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ALTEC LANSING A7は、1954年発売のヴィンテージなスピーカーシステムです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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ALTEC LANSING A7の概要と特徴

| ALTEC LANSING A7のスペック(A7-8・1977年頃) | |
|---|---|
| 発売年 | 1954年(A7-8は1970年〜) |
| 方式 | 2ウェイ・2スピーカー・ホーン+バスレフ・フロア型 |
| 使用ユニット | 低域:416-8B(38cm)/高域:806-8B+811B |
| 再生周波数帯域 | 45Hz~20kHz |
| インピーダンス | 8Ω |
| 出力音圧レベル | 103dB(新JIS) |
| 最大入力 | 50W(連続プログラム) |
| 外形寸法 | 762×1,378×610mm(1台) |
| 重量 | 64.5kg(1台) |
ALTEC LANSING A7は1954年に発売されたスピーカーシステムです。
「ボイス・オブ・ザ・シアター(Voice of the Theatre)」の愛称で親しまれる劇場用スピーカーシステムの代表作であり、半世紀以上にわたって世界中のオーディオファンに愛され続けてきたヴィンテージの名機です。
では、以下からALTEC LANSING A7の特徴を解説します。
①:「ボイス・オブ・ザ・シアター」誕生の背景と2ウェイホーン設計の思想
ALTEC LANSING A7は、映画館や劇場向けに開発された「ボイス・オブ・ザ・シアター」シリーズの中核モデルとして1954年に誕生しました。

ボイス・オブ・ザ・シアターって何ですか?
ALTECが1945年に発表した劇場用スピーカーシステムのシリーズ名です。大空間でも明瞭に音を届けるために設計された高能率・高音圧のホーン型システムで、映画のサウンドトラック再生から音楽鑑賞まで幅広く活用されました。A1〜A10の全10種類がラインナップされ、A7はその代表格となっています。
A7のルーツは1947年に発表された800システムに遡ります。バスレフ型エンクロージャーに38cmウーファーとホーン型高域ユニットを組み合わせた2ウェイ構成は、設計当初から大空間での音楽再生を前提とした思想を貫いています。
この設計哲学は半世紀以上を経た現在も支持され続けており、A7-8・A7-XF・A7 Legacyなど数多くのバリエーションが生まれながら、基本的な2ウェイホーン構成は変わらず受け継がれています。
以下は、A7の2ウェイホーン設計が持つ利点です。
- 103dB(新JIS)という高出力音圧レベルで小出力アンプでも大音量再生が可能
- ホーン型高域ユニットによる高い指向性制御で広い空間でも明瞭な音場を形成
- バスレフ型エンクロージャーとの組み合わせで45Hz~20kHzの広帯域再生を実現
②:38cmコーン型ウーファーとコンプレッションドライバーによる帯域分担設計
A7の心臓部は、低域を担う38cmコーン型ウーファーと、高域を担うコンプレッションドライバー+ホーンの組み合わせです。



コンプレッションドライバーって何ですか?
ホーン型スピーカーに使用される高域ドライバーの一種です。振動板とホーンの入口の間に小さな空間(スリット)を設けて音圧を圧縮することで、高い変換効率と音圧を実現します。大音量・大空間での使用を前提とした劇場用スピーカーに採用されることが多く、ALTECの806や802がその代表例です。
A7-8(1977年頃)では低域に416-8B(38cmコーン型)、高域に806-8B+ホーン811Bを採用し、ネットワークN801-8AでクロスオーバーしてLRチャンネルの帯域分担を行っています。この組み合わせが生み出す中域の充実した押し出し感は、A7ならではの音楽的表現の核心です。
エンクロージャーには828Bを採用し、120Hz以下でバスレフ動作、120Hz以上でホーン動作する独自の設計により、低域の量感と中高域のホーンらしい鮮明さを両立しています。
以下は、A7の帯域分担設計の主な特徴です。
- 38cmウーファー416-8Bが豊かな低域と中低域の量感を担当
- コンプレッションドライバー806-8B+ホーン811Bが鮮明な中高域を再現
- バスレフ+ホーンの複合動作エンクロージャーで低域から高域まで自然につながる
③:半世紀を超えるロングセラーと多彩なバリエーション展開
ALTEC A7は1954年の登場以来、時代ごとにユニットや構成を進化させながら半世紀以上にわたって生産・販売された、オーディオ史上稀有なロングセラーモデルです。



A7にはどんなバリエーションがあるのですか?
A7(初期16Ω)・A7-500(500Hzクロスオーバー)・A7-8(8Ω化)・A7-X(タンジェリンドライバー搭載)・A7-XS(日本仕様・3ウェイ化)・A7-XF(フェライト型)・A7-8G・A7/MR994A(マンタレイホーン搭載)・A7 Legacy(2005年復刻)など10種類以上のバリエーションが存在します。
1970年の8Ω化(A7-8)、1978年のタンジェリン・ドライバー採用(A7-X)、1980年の日本仕様3ウェイ化(A7-XS)、2005年の復刻モデル(A7 Legacy)と、各時代の最新技術を取り込みながらも基本的なホーン型2ウェイ設計を守り続けました。
日本への輸入は1960年代から始まり、1966年以降はエレクトリが代理店となって普及しました。ジャズ喫茶や録音スタジオなどプロの現場でも長く使われ続けたことが、A7を「生きた伝説」たらしめています。
以下は、A7がロングセラーを続けた主な理由です。
- シンプルな2ウェイ構成により修理・メンテナンスが容易で長期使用が可能
- ユニット単位での交換・アップグレードが可能な拡張性の高い設計
- 劇場・スタジオ・家庭用と幅広い用途に対応する高い汎用性
ALTEC LANSING A7と他のヴィンテージスピーカーとの比較


当然ですが、ヴィンテージスピーカーはALTEC LANSING A7だけではありません。
以下では
- JBL ハーツフィールド
- TANNOY ウェストミンスター
- Klipsch クリプシュホーン
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
| 項目 | ALTEC A7-8 | JBL ハーツフィールド | TANNOY ウェストミンスター | Klipsch クリプシュホーン |
|---|---|---|---|---|
| 使用ユニット | 38cm ウーファー+コンプレッションドライバー+ホーン(2ウェイ) | 38cm ウーファー+コンプレッションドライバー+ホーン+ツィーター(3ウェイ) | 38cm 同軸2ウェイ(デュアルコンセントリック) | 38cm ウーファー+スコーカー+ツィーター(3ウェイ) |
| 再生周波数帯域 | 45Hz~20kHz | 40Hz~20kHz | 34Hz~20kHz | 35Hz~17kHz |
| インピーダンス | 8Ω | 8Ω | 8Ω | 8Ω |
| 最大入力 | 50W | 30W | 60W | 100W |
| 外形寸法(1台) | 762×1,378×610mm | 914×1,143×737mm | 850×1,730×600mm | コーナー設置型 |
| 重量(1台) | 64.5kg | 約90kg | 約120kg | 約100kg |
| 音質 | 劇場的な音場・高能率・押し出し感 | 豊潤で温かみのある音色 | 立体的な音場と英国的な音楽性 | 超高能率・爆発的なダイナミズム |
ALTEC LANSING A7とJBL ハーツフィールドとの比較
ALTEC LANSING A7とJBL ハーツフィールドとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:A7は2ウェイ構成、ハーツフィールドは38cmウーファー+コンプレッションドライバー+ツィーターの3ウェイ構成です。帯域の細かい分担ではハーツフィールドが優れています。
- 再生周波数帯域:A7が45Hz~20kHz、ハーツフィールドが40Hz~20kHzです。低域の伸びではハーツフィールドがわずかに優れています。
- インピーダンス:両機とも8Ωで同等です。アンプの選択肢に差はありません。
- 最大入力:A7が50Wに対しハーツフィールドは30Wです。大出力アンプへの耐性ではA7が優れています。
- 外形寸法・重量:A7が64.5kgに対しハーツフィールドは約90kgです。設置のしやすさと取り扱いやすさではA7が優れています。
- 音質:A7は劇場的な開放感と押し出し感のある音、ハーツフィールドは豊潤で温かみのある音色です。生々しい音楽的表現と迫力を求めるならA7が優れています。
ALTEC LANSING A7とTANNOY ウェストミンスターとの比較
ALTEC LANSING A7とTANNOY ウェストミンスターとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:A7は2ウェイ独立構成、ウェストミンスターはTANNOY独自のデュアルコンセントリック(同軸)2ウェイです。音の位相整合性と一体感ではウェストミンスターが優れています。
- 再生周波数帯域:A7が45Hz~20kHz、ウェストミンスターが34Hz~20kHzです。低域の伸びではウェストミンスターが明確に優れています。
- インピーダンス:両機とも8Ωで同等です。アンプの選択肢に差はありません。
- 最大入力:A7が50Wに対しウェストミンスターは60Wです。大出力アンプへの対応力ではウェストミンスターが優れています。
- 外形寸法・重量:ウェストミンスターは約120kgと大重量です。設置・移動のしやすさではA7が大きく優れています。
- 音質:A7はアメリカ的な開放感と躍動感、ウェストミンスターは英国的な温かみと立体的な音場表現です。ジャズやロックの迫力を楽しみたいならA7が優れています。
ALTEC LANSING A7とKlipsch クリプシュホーンとの比較
ALTEC LANSING A7とKlipsch クリプシュホーンとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:A7は2ウェイ、クリプシュホーンは3ウェイ構成です。中域の再現性ではクリプシュホーンが有利ですが、A7の2ウェイはシンプルな分だけ位相のつながりが自然です。
- 再生周波数帯域:A7が45Hz~20kHz、クリプシュホーンが35Hz~17kHzです。高域の伸びではA7が優れています。
- インピーダンス:両機とも8Ωで同等です。アンプの選択肢に差はありません。
- 最大入力:クリプシュホーンが100WとA7の50Wを大きく上回ります。大出力アンプへの耐性ではクリプシュホーンが優れています。
- 外形寸法・重量:クリプシュホーンはコーナー設置必須の特殊な形状です。設置の自由度ではA7が大きく優れています。
- 音質:A7は劇場的な開放感と音楽的な表情の豊かさ、クリプシュホーンは爆発的なダイナミズムと超高能率が特徴です。設置の柔軟性と音楽的バランスではA7が優れています。
ALTEC LANSING A7とヴィンテージアンプとの組み合わせ


以下では、ALTEC LANSING A7とヴィンテージアンプとの組み合わせを一部解説します。
ALTEC LANSING A7と組み合わせるヴィンテージアンプは、
- Marantz Model 9
- McIntosh MC275
- Accuphase(アキュフェーズ)A-50V
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
ALTEC LANSING A7とMarantz Model 9の組み合わせ
ALTEC LANSING A7とMarantz Model 9の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Marantz Model 9は70W(モノラル)の真空管パワーアンプです。A7の103dBという高能率と組み合わせることで70Wでも圧倒的な音量と余裕のあるドライブが実現します。インピーダンス8Ω同士の組み合わせとして電気的な相性も良好です。
- 音質の向上:Marantz Model 9の真空管ならではの豊かな倍音と滑らかな中域表現がA7の劇場的な音場と融合し、ジャズの生々しい臨場感やボーカルの艶やかさが際立ちます。
- おすすめの音楽ジャンル:ジャズ(特にビッグバンド・ライブ録音)やクラシックのオーケストラとの相性が抜群です。真空管の温かみとホーンの開放感が相まって、音楽の生命力を最大限に引き出します。
ALTEC LANSING A7とMcIntosh MC275の組み合わせ
ALTEC LANSING A7とMcIntosh MC275の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:McIntosh MC275は75W×2(ステレオ)の真空管パワーアンプです。ALTECとMcIntoshはともにアメリカのブランドであり、設計思想の親和性が高く組み合わせとして自然な選択です。A7の高能率と組み合わせることで余裕のある駆動が実現します。
- 音質の向上:MC275の力強くダイナミックな低域と滑らかな高域表現がA7のホーンサウンドと融合し、アメリカ的な躍動感と開放感が最大限に引き出されます。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック・ブルース・カントリーなどアメリカンミュージックとの相性が特に優れています。アメリカ製同士のサウンド哲学が重なり合い、音楽の躍動感と力強さが存分に楽しめます。
ALTEC LANSING A7とAccuphase(アキュフェーズ)A-50Vの組み合わせ
ALTEC LANSING A7とAccuphase(アキュフェーズ)A-50Vの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Accuphase A-50VはA級動作の50W×2パワーアンプです。A7の高能率(103dB)とA級動作の組み合わせは理想的で、50Wでも実使用では十分すぎるほどの余裕が生まれます。
- 音質の向上:A-50VのA級動作が生み出す歪みのない滑らかで透明感のある出力がA7のホーンサウンドに乗ることで、中高域の細かいニュアンスと音場の立体感が格段に向上します。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック音楽や女性ボーカルとの相性が特に優れています。A級動作の純度の高い出力とA7の開放的な音場表現が融合し、コンサートホールに近い空気感が再現されます。
ALTEC LANSING A7を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました
ALTEC LANSING A7の詳細スペック一覧
| ALTEC LANSING A7-8(1977年頃)スペック詳細 | |
|---|---|
| 方式 | 2ウェイ・2スピーカー・ホーン+バスレフ方式・フロア型 |
| 低域ユニット | 38cmコーン型ウーファー 416-8B |
| 高域ユニット | コンプレッションドライバー 806-8B + ホーン 811B |
| ネットワーク | N801-8A |
| エンクロージャー | 828B |
| インピーダンス | 8Ω |
| 許容入力 | 50W(連続プログラム) |
| 周波数特性 | 45Hz~20kHz |
| 出力音圧レベル | 103dB(新JIS) |
| 外形寸法(1台) | 幅762×高さ1,378×奥行610mm |
| 重量(1台) | 64.5kg |
