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ONKYO(オンキョー) Integra M-508の特徴を徹底解説!【他のヴィンテージパワーアンプとの比較】

この記事の概要

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ONKYO Integra M-508は、1986年頃発売のヴィンテージなステレオパワーアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

ONKYO Integra M-508の概要と特徴

ONKYO Integra M-508のスペック
発売年1986年頃
定価240,000円
型式ステレオパワーアンプ
定格出力200W+200W(8Ω、20Hz~20kHz)
全高調波歪率0.002%(20Hz~20kHz、8Ω、定格出力時)
ダンピングファクター140(8Ω、50Hz)
重量25kg

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ONKYO Integra M-508は、リアルフェイズ(デジタル)アンプ構成を核に据えたステレオパワーアンプです。位相を正確に再現するという一点に徹した設計哲学と、定価240,000円(1986年)という価格帯を超えた本格的なハードウェア構成が、今なお語り継がれる理由となっています。

ONKYO Integra M-508がなぜ評価されているのか、3つの観点から紐解いていきます。

Point①|リアルフェイズ(デジタル)アンプとパワー・インフェイズトランス

SN比124dB(IHF-Aフィルター、入力ショート)——これがONKYO Integra M-508の静寂性を支える土台となる数値です。この驚異的な静粛性を実現したのが、パワー・インフェイズトランスという独自の技術にほかなりません。

スピーカーを駆動するパワーアンプには、スピーカーから逆流してくる電流(逆起電力)がアンプ回路に再び干渉し、位相を乱すという問題が常につきまといます。M-508ではこの干渉を遮断するため、電流経路にパワー・インフェイズトランスを左右チャンネル独立で2基搭載し、スピーカー電流がアンプ回路へ戻るのを物理的に阻止しています。

リアルフェイズ(デジタル)アンプって何ですか?

リアルフェイズ(デジタル)アンプ

入力信号の位相を入口から出口まで正確に再現することを最優先に設計されたアンプ方式です。ONKYOがIntegra M-508で採用した名称で、スピーカー電流による位相の乱れを根本から排除するためにパワー・インフェイズトランスをアンプ回路の電流経路に付加した点が特徴です。またACラインから侵入するコモンモードノイズの除去にも効果を発揮しています。

周波数特性は1Hz~100kHz +0 -1.5dBという超広帯域を誇り、可聴帯域を大きく超えた領域まで位相の乱れを抑え込んでいます。この特性が「音場感」や「定位の正確さ」として聴き手に伝わる、M-508ならではのサウンドキャラクターにつながっています。

Point②|4トランス構成とトリプルプッシュプル出力段

ONKYO Integra M-508の電源部は、左右独立電源トランス+左右専用パワー・インフェイズトランスの4トランス構成という異例の構成を採用しています。

左右専用の電源トランス2基に加え、各チャンネル専用のパワー・インフェイズトランスをさらに1基ずつ追加した合計4基構成です。左右の電源経路が完全に独立することでチャンネル間干渉を排除し、ダイナミックパワー460W+460W(4Ω)という大出力時でも安定した電力供給を実現しています。

トリプルプッシュプルとはどういう構成ですか?

トリプルプッシュプル

プッシュプル回路(正負の信号を2系統で対称増幅する方式)を3段パラレルで構成したものです。1段あたりの電流負担を3分の1に軽減できるため、各パワートランジスタが動作的に余裕のある領域で動き、歪の発生を抑えながら大電流を安定して供給できます。

パワーバンドウィズは5Hz~100kHz(IHF-3dB、THD 0.2%)と、可聴帯域のはるか上まで均一なパワーを供給できます。さらに10,000μFの大型コンデンサー8本を搭載した電源部と最短距離でのダイレクト給電の組み合わせにより、瞬発的な大電流にも即応できる底力を持っています。

  • 左右独立電源トランス2基で完全チャンネル分離
  • 左右専用パワー・インフェイズトランスを追加した4トランス構成
  • トリプルプッシュプルのパワートランジスタで余裕ある電流供給
  • 10,000μF×8本の大型コンデンサーによる強力な電源バッファ

Point③|低ノイズバイアスとWセンシングサーボが生む低歪率

ONKYO Integra M-508の全高調波歪率は0.002%(20Hz~20kHz、8Ω、定格出力時)ハイパワーアンプでは達成が難しいとされる超低歪率です。

この数値を支えるのが2つの独自技術です。まずリニアスイッチング方式とLEDを採用した低ノイズ・バイアス回路は、パワートランジスタのバイアス点を高精度で安定させ、クロスオーバー歪の発生を最小限に抑えます。さらにWセンシングサーボ回路が出力電圧と出力電流の両方を検出して定常的にフィードバック補正をかけることで、負荷変動があっても歪率の悪化を防いでいます。

高精度マルチブラシによる左右独立レベルコントローラーも特筆すべき要素です。精密なアッテネーター操作が可能なため、スピーカーの許容入力に合わせた細かな出力調整ができます。さらに2段切換えのピークメーターは0.01W~500W(×1レンジ)と0.001W~50W(×0.1レンジ)の2段階で計測でき、日常使いから大出力まで幅広い状況に対応します。

  • 全高調波歪率0.002%(20Hz~20kHz、8Ω、定格出力時)
  • リニアスイッチング方式・LEDによる低ノイズ・バイアス設定
  • Wセンシングサーボ回路で負荷変動時の歪悪化を抑制
  • 高精度マルチブラシ左右独立レベルコントローラー搭載
  • 2段切換えピークメーター(照明ON/OFF付き)搭載

ONKYO Integra M-508と他のヴィンテージパワーアンプとの比較

ONKYO Integra M-508と他のヴィンテージパワーアンプとの比較は以下の通りです。

項目ONKYO Integra M-508Technics SE-A3YAMAHA B-6LUXMAN M-6000
発売年1986年頃1979年12月1980年頃1975年2月
定価240,000円300,000円190,000円650,000円
実効出力(8Ω、両ch)200W+200W200W+200W200W+200W300W+300W
全高調波歪率0.002%0.002%0.003%0.05%
ダンピングファクター140(8Ω、50Hz)120(8Ω)200以上(8Ω)70(8Ω)
重量25kg35.2kg9.0kg52kg
消費電力500W560W180W150VA~1.3kVA

ONKYO Integra M-508とTechnics SE-A3との比較

ONKYO Integra M-508とTechnics SE-A3との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:両機とも200W+200W(8Ω)と同等の出力を持ちます。SE-A3はニュークラスAアンプとして4Ω時に320W+320Wを誇り、4Ω負荷ではSE-A3が有利です。ただしM-508はダイナミックパワー460W+460W(4Ω)を持ち、瞬発力では引けを取りません。
  • 全高調波歪率:両機ともに0.002%と並ぶ超低歪率を達成しており、純粋な歪特性の面では互角です。SE-A3はTIM歪が「測定不能」という特筆すべき数値も記録しており、過渡特性の純度ではSE-A3がわずかに優位といえます。
  • ダンピングファクター:M-508がDF 140(8Ω、50Hz)に対し、SE-A3はDF 120(8Ω)です。スピーカー制動力の数値ではM-508が有利で、低域の締まりに差が出やすい項目です。
  • 重量・価格:SE-A3(¥300,000、35.2kg)はM-508(¥240,000、25kg)より高価で重量も重くなります。コストと取り回しやすさではM-508が有利で、設計思想として位相・歪の低減を追求した点は両機に共通しています。

ONKYO Integra M-508とYAMAHA B-6との比較

ONKYO Integra M-508とYAMAHA B-6との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:両機とも200W+200W(8Ω)ですが、瞬発的な大電流供給の面でM-508はダイナミックパワー460W+460W(4Ω)を持ちます。B-6には対応する記載がなく、瞬発力の余裕ではM-508が有利といえます。
  • ダンピングファクター:B-6はDF 200以上(8Ω、1kHz)とM-508のDF 140(8Ω、50Hz)を上回ります。純粋なスピーカー制動力の数値ではB-6が優位で、低域の引き締まりに差が出る場合があります。
  • SN比:B-6はSN比127dB以上に対し、M-508は124dBです。わずかな差ですが静寂性の数値ではB-6が有利です。いずれも実用上は十分な水準にあります。
  • 重量・消費電力:B-6は9.0kg・消費電力180WとM-508(25kg・500W)に対して大幅に軽量・省エネです。設置性と経済性ではB-6が圧倒的に有利ですが、M-508の4トランス電源構成が生み出す音楽的な安定感は、B-6との明確な差別化ポイントとなります。

ONKYO Integra M-508とLUXMAN M-6000との比較

ONKYO Integra M-508とLUXMAN M-6000との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:M-6000は300W+300W(8Ω)とM-508の200W+200Wを上回ります。定格出力の余裕ではM-6000が優位で、大型フロア型スピーカーを全力で鳴らす場面での差が出ます。
  • 全高調波歪率:M-6000が0.05%以下に対し、M-508は0.002%と大幅に低く、歪率の低さはM-508が圧倒的に有利です。10年以上の技術的な進化が数値に如実に反映されています。
  • ダンピングファクター:M-6000はDF 70(8Ω)に対し、M-508はDF 140(8Ω、50Hz)です。スピーカー制動力はM-508が2倍の優位を持ち、低域の解像度と制動感に大きな差をもたらします。
  • 価格・重量:M-6000の定価650,000円・52kgはM-508(240,000円・25kg)を大幅に上回ります。コストパフォーマンスと設置性ではM-508が圧倒的に有利で、定価の2.7倍の機種に歪率・制動力両面で勝るという事実がM-508の高い完成度を物語っています。

ONKYO Integra M-508とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

ONKYO Integra M-508とTANNOY Stirlingとの組み合わせ

ONKYO Integra M-508とTANNOY Stirlingとの組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:TANNOY Stirlingは100W連続・250Wピーク許容(8Ω)の2ウェイブックシェルフ型スピーカーです。M-508の左右独立レベルコントローラーで出力を適切に管理することで、余裕を持った安全な範囲での使用が可能です。インピーダンス8Ωも完全に適合します。
  • 音質の向上:Stirlingの25cm同軸型デュアルコンセントリックユニットは点音源に近い音場を形成するのが最大の特長で、M-508のリアルフェイズ設計が実現する精密な位相特性と組み合わさることで音像の立体感と定位の正確さが際立ちます。バリアブル・ポートによる低域調整機能を活かし、リスニングルームに合わせた最適なセッティングが可能です。
  • おすすめの音楽ジャンルクラシックのピアノ・ソナタや室内楽、ジャズのピアノトリオなど、音像定位と倍音の再現が重要な音楽との相性が特に優れています。Stirlingの出力音圧レベル90dB/W/mという感度も、M-508の大出力を余裕ある音量域で活かせる点で理想的な相手です。

ONKYO Integra M-508とTANNOY Ardenとの組み合わせ

ONKYO Integra M-508とTANNOY Ardenとの組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:TANNOY Ardenは許容入力85W・公称インピーダンス8Ωの38cm同軸型大型フロア型スピーカーです。M-508の高精度レベルコントローラーで出力を85W以下に抑える運用が前提ですが、出力音圧レベル91dB/Wという高感度のため、ごく小さな出力でも十分な音量が得られます。
  • 音質の向上:ArdenのHPD385A(38cm同軸型)は30Hz~20kHzの再生帯域を持つ大型ユニットです。M-508のDF 140が38cmウーファーの動きを精密にコントロールすることで、大型ユニットの弱点とされる低域の「ぼやけ」を抑え、デュアルコンセントリック構造ならではの自然な音場感が最大限に引き出されます。
  • おすすめの音楽ジャンルオーケストラのシンフォニーやオペラ、フルスケールのジャズビッグバンドなど、大きなダイナミックレンジと豊かな低域が求められる音楽に最適です。Ardenの重厚な低域表現とM-508のリアルフェイズ設計が相まって、ホールの空気感まで再現する体験ができます。

ONKYO Integra M-508とSPENDOR BC-IIとの組み合わせ

ONKYO Integra M-508とSPENDOR BC-IIとの組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:SPENDOR BC-IIは最大入力50W(8Ω)の3ウェイバスレフ型スピーカーです。M-508との組み合わせでは、必ず高精度レベルコントローラーで出力を絞り、低〜中音量でのリスニングを前提とする必要があります。適切な出力管理さえ行えば、BC-IIの繊細な質感表現を損なうことなく使用できます。
  • 音質の向上:BC-IIは20cmベクストレンコーン型ウーファー・3.8cmドーム型ツィーター・ドーム型スーパートゥイーターによる3ウェイ構成を持ちます。M-508の0.002%という超低歪率が全帯域にわたって純度の高い信号を届けることで、ベクストレン振動板が持つ中域の透明感が鮮明に浮かび上がります。
  • おすすめの音楽ジャンルボーカルアルバムや弦楽四重奏、アコースティックギターなど、中高域の質感と倍音の豊かさが重要な音楽との親和性が高い組み合わせです。BC-IIの40Hz~20kHzにわたる自然な周波数特性とM-508の精密な位相再現が、繊細な音楽表現を引き立てます。

ONKYO Integra M-508は、リアルフェイズ(デジタル)アンプ構成とパワー・インフェイズトランスによる位相特性の追求、4トランス構成の電源部、そして全高調波歪率0.002%という超低歪率を実現した、1986年頃のヴィンテージパワーアンプです。

比較3機種(Technics SE-A3・YAMAHA B-6・LUXMAN M-6000)との検討を通じて明らかになったのは、歪率とダンピングファクターのバランスという点でM-508が非常にコストパフォーマンスに優れた機種であるという事実です。組み合わせるスピーカーにはTANNOY Stirling・TANNOY Arden・SPENDOR BC-IIのようなヴィンテージ英国系スピーカーが、M-508の精密な位相再現能力を最大限に引き出す相手となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました

ONKYO Integra M-508の詳細スペック一覧

ONKYO Integra M-508のスペック詳細
型式ステレオパワーアンプ
定格出力(20Hz~20kHz)290W+290W(4Ω) / 240W+240W(6Ω) / 200W+200W(8Ω)
ダイナミックパワー690W+690W(2Ω) / 460W+460W(4Ω) / 270W+270W(8Ω)
全高調波歪率0.002%(20Hz~20kHz、8Ω、定格出力時)
混変調歪率0.003%(70Hz:7kHz=4:1、定格出力時)
パワーバンドウィズ5Hz~100kHz(IHF-3dB、THD 0.2%)
利得32dB
周波数特性1Hz~100kHz +0 -1.5dB
入力感度/インピーダンス1V/20kΩ
SN比124dB(IHF-Aフィルター、入力ショート)
ダンピングファクター140(8Ω、50Hz)
入力端子Variable:1系統 Direct:1系統
出力端子Speakers:2系統
メーターレンジ切換×1(0dB=200W) / ×0.1(0dB=20W)
メーター指示範囲×1レンジ:0.01W~500W / ×0.1レンジ:0.001W~50W
メーター指示精度0±1dB / -10±2dB / -20±3dB
メーター応答速度100μsec(-∞→0dB)
メーター復帰速度1sec(0dB→-20dB)
ACアウトレット電源スイッチ非連動:1系統、100W
電源AC100V、50Hz/60Hz
消費電力500W(電気用品取締法)
外形寸法幅465×高さ187×奥行426mm
重量25kg
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