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【徹底解説】DENON PMA-2000の魅力|ハイエンド技術を100,000円で実現したプリメインアンプ

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DENON PMA-2000は、1996年頃発売のヴィンテージなプリメインアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

DENON PMA-2000の概要と特徴

DENON PMA-2000のスペック
発売年1996年頃
定価100,000円
型式プリメインアンプ
定格出力80W+80W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.07%)
全高調波歪率0.01%(定格出力-3dB時、1kHz、8Ω)
SN比110dB(CD/Line、Aネットワーク、入力端子短絡)
重量20.0kg

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定価100,000円という価格帯にありながら、DEONのハイエンドS1シリーズで開発されたピーク電流120AのUHC MOS(ウルトラ・ハイ・カレント MOS FET)とツイントランス並列接続技術を惜しみなく投入した意欲作。それがDENON PMA-2000です。ハイエンドの設計思想を100,000円台に凝縮したという一点が、今なお高い評価を集める理由となっています。

DENON PMA-2000がなぜ評価されているのか、3つの観点から紐解いていきます。

①:UHC MOSとシングルプッシュプル構成

DENON PMA-2000の出力段を支えるのが、UHC MOS(ウルトラ・ハイ・カレント MOS FET)という独自開発の増幅素子です。ピーク電流120Aという大電流供給能力を持ち、バイポーラトランジスタと同等以上の電流特性とMOS FETの音質的な特長を兼ね備えた素子で、DEONのモノラルパワーアンプPOA-S1で開発された技術をPMA-2000に継承しています。

このUHC MOSをシングルプッシュプル構成で1石のみ搭載することで、複数パラレル接続時に発生しがちな増幅動作のバラつきを根本から排除しています。個体差による歪の上乗せがないため、1石の素性を最大限に引き出した純度の高い増幅が実現されています。

UHC MOSってどんな素子なんですか?

UHC MOS(ウルトラ・ハイ・カレント MOS FET)

通常のMOS FETは電流供給能力がバイポーラトランジスタに劣りますが、UHC MOSはその弱点を克服し、ピーク電流120Aという大電流能力とMOS FET固有の音質的なメリット(スムーズなゲイン特性・過渡応答性の良さ)を両立した素子です。DEONが自社のハイエンドアンプPOA-S1のために独自開発し、PMA-2000にも採用されました。

4Ω負荷では160W+160Wのダイナミックパワーを発揮し、低インピーダンスのスピーカーへの駆動力も確保されています。スピーカー出力端子もA・B系統それぞれ4Ω~16Ω対応(A+B同時使用時は8Ω~16Ω)と幅広い組み合わせに対応します。

  • ピーク電流120AのUHC MOSをシングルプッシュプル構成で搭載
  • 4Ω時160W+160Wのダイナミックパワー
  • スピーカー端子A・B:4Ω~16Ω対応(バイワイヤリング対応)

②:ツイントランス並列接続と電源設計

DENON PMA-2000の電源部には、POA-S1で開発されたツイントランス並列接続を採用しています。

2基のトランスを並列接続することで、磁気回路と巻線回路それぞれの特性を大幅に改善できます。さらにL・Cマウント(LとCを互いに磁気影響をキャンセルする向きで設置)により、パワートランスから漏れるリーケージフラックスを低減し、アンプ内部のノイズ源となる干渉を排除しています。これにより高い電源供給能力とローノイズ化を同時に実現しています。

整流回路には大電流供給能力に優れた大型整流ダイオードと高速ファースト・リカバリー・ダイオードを並列接続し、さらに大容量高音質電解コンデンサとフィルムコンデンサを組み合わせた電源コンデンサを搭載しています。周波数特性の異なるコンデンサを組み合わせることで、全帯域にわたって安定した電流供給を実現しています。

③:6ブロック構造とツイン・モノラル構成

DENON PMA-2000はどこまで音質劣化を排除するために内部構造を最適化しているのでしょうか。その答えがパワーアンプブロックをL/R独立させたツイン・モノラル構成と、信号レベルの異なる回路を分離した6ブロック構造の採用にあります。

L/R完全独立のパワーアンプブロックによりチャンネル間干渉を排除し、さらに6ブロック分離構造が各回路間のノイズ流入を防いでいます。シャーシには厚さ1.6mmの鋼板を採用し、パワートランス部には厚さ3.2mmのトランスベースを追加した高剛性構造が振動の抑止を徹底しています。

ツイン・モノラル構成ってどういう意味ですか?

ツイン・モノラル構成

パワーアンプのLチャンネルとRチャンネルをそれぞれ独立した回路ブロックとして設計し、まるで2台のモノラルアンプが並んでいるように構成する方式です。チャンネル間のクロストークや干渉を物理的に排除できるため、ステレオイメージの分離感と左右の再生精度が向上します。

出力部の主要パーツには黄銅削り出し金メッキのスピーカーターミナル、OFC内部配線材、不活性ガス封入型リレー、高音質カーボン抵抗など、信頼性と音質を重視した素材を採用。100,000円台という価格水準ながら、ハイエンドの設計思想を随所に盛り込んだコストパフォーマンスの高さがPMA-2000を語るうえで欠かせないポイントです。

  • ツイン・モノラル構成(L/R独立パワーアンプブロック)
  • 6ブロック構造で各回路間のノイズ干渉を排除
  • シャーシ1.6mm鋼板 + トランスベース3.2mm強靭構造
  • 黄銅削り出し金メッキ・スピーカーターミナル搭載

DENON PMA-2000と他のヴィンテージプリメインアンプとの比較

DENON PMA-2000と他のヴィンテージプリメインアンプとの比較は以下の通りです。

項目DENON PMA-2000Marantz PM-14LUXMAN L-540SANSUI AU-α907
発売年1996年頃1998年1989年2月1986年
定価100,000円200,000円240,000円198,000円
実効出力(8Ω、両ch)80W+80W100W+100W100W+100W180W+180W
全高調波歪率0.01%0.008%0.015%0.003%
ダンピングファクター180(8Ω)100(6Ω)
重量20.0kg23.0kg24kg28.0kg
消費電力250W300W300W370W

DENON PMA-2000とMarantz PM-14との比較

DENON PMA-2000とMarantz PM-14との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:PM-14は100W+100W(8Ω)とPMA-2000の80W+80Wを上回ります。定格出力の余裕ではPM-14が有利で、難鳴らしスピーカーや大音量再生での余裕感に差が出ます。
  • 全高調波歪率:PM-14は0.008%とPMA-2000の0.01%より低い歪率を誇ります。純粋な低歪率ではPM-14がわずかに優位で、マランツ独自の電流帰還型アンプとアジャスタブルHDAMによる高速性が貢献しています。
  • ダンピングファクター:PM-14はDF 180(8Ω)という高い制動力を持ちます。PMA-2000はDFが非公表ですが、スピーカー制動力の数値はPM-14が優位で、低域の引き締まりに影響します。
  • 価格・重量:PM-14(¥200,000、23kg)はPMA-2000(¥100,000、20kg)の2倍の定価です。コストパフォーマンスはPMA-2000が圧倒的に有利で、UHC MOS搭載のハイエンド技術継承機が100,000円で入手できる点がPMA-2000最大の魅力です。

DENON PMA-2000とLUXMAN L-540との比較

DENON PMA-2000とLUXMAN L-540との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:L-540は100W+100W(8Ω)でPMA-2000の80W+80Wを上回ります。特にL-540は15W+15WのA級動作領域を持ち、小音量帯域でのクロスオーバー歪を排除した純粋なA級サウンドが得られます。大音量ではAB級に移行しますが、この設計がL-540独自の音質的な魅力となっています。
  • 全高調波歪率:L-540は0.015%以下とPMA-2000の0.01%より高い歪率です。歪率の数値ではPMA-2000が有利ですが、L-540のA級動作領域内での音質は歪率の数値を超えた音楽的な質感を持ちます。
  • フォノイコライザー:L-540は4イコライザーアンプ構成でMC/MMを完全独立・L/Rも独立させたフォノ回路を持ちます。アナログレコード再生への対応深度ではL-540が有利で、本格的なレコード環境を持つユーザーに向いています。
  • 価格・重量:L-540(¥240,000、24kg)はPMA-2000(¥100,000、20kg)の2.4倍の価格です。価格対出力・機能のバランスではPMA-2000が明確に有利で、入門から中級クラスのユーザーに適したコストです。

DENON PMA-2000とSANSUI AU-α907との比較

DENON PMA-2000とSANSUI AU-α907との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:AU-α907は180W+180W(8Ω)とPMA-2000の80W+80Wを大幅に上回ります。駆動力と大音量再生の余裕は圧倒的にAU-α907が有利で、難鳴らしの大型スピーカーを使用する場合には明確な差となります。
  • 全高調波歪率:AU-α907は0.003%以下(8Ω)という極めて低い歪率を誇り、PMA-2000の0.01%を大きく上回ります。低歪率の数値はAU-α907が圧倒的に優位で、α-Xバランスサーキットによる設計が貢献しています。
  • SN比:AU-α907はSN比120dB以上、PMA-2000は110dBです。静粛性の数値でもAU-α907が優位ですが、実際の使用環境では両機ともに問題なく機能します。
  • 価格・重量:AU-α907(¥198,000、28kg)はPMA-2000(¥100,000、20kg)の約2倍の価格で大幅に重量があります。設置性とコストパフォーマンスではPMA-2000が有利で、スペック数値よりも日常使いの扱いやすさを重視する場合はPMA-2000の実用性が光ります。

DENON PMA-2000とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

DENON PMA-2000とYAMAHA NS-1000との組み合わせ

DENON PMA-2000とYAMAHA NS-1000との組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:YAMAHA NS-1000(¥145,000/台、1978年頃)は最大許容入力100W・インピーダンス8Ωの3ウェイ密閉型スピーカーです。PMA-2000の8Ω出力80Wは最大許容入力100Wを下回るため、余裕のある安全な組み合わせとなります。PMA-2000はA・B端子それぞれ4Ω~16Ω対応でNS-1000の8Ωに完全に適合します。
  • 音質の向上:NS-1000のベリリウム振動板が持つ中高域の解像度と透明感に対し、PMA-2000のUHC MOSが生み出す大電流能力の滑らかな増幅が相乗効果を発揮します。PMA-2000のツイン・モノラル構成によるチャンネル分離の高さが、NS-1000のモニター的なステレオイメージをさらに鮮明に再現します。
  • おすすめの音楽ジャンルクラシックの弦楽四重奏やジャズのカルテット、ボーカルアルバムなど、各楽器の音色と倍音の純度を精密に再現したい音楽に最適です。PMA-2000の低歪率とNS-1000の高解像度が、スタジオ録音のニュアンスまで忠実に引き出します。

DENON PMA-2000とDIATONE DS-2000との組み合わせ

DENON PMA-2000とDIATONE DS-2000との組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:DIATONE DS-2000(¥168,000/台、1985年)は最大入力180W(EIAJ)・公称インピーダンス6Ωの3ウェイ密閉型スピーカーです。PMA-2000は4Ω~16Ωに対応しており、6Ω負荷では8Ω時の80W以上の出力が期待できますが、DS-2000の180W最大入力に対して十分な余裕があります。
  • 音質の向上:DS-2000のボロンD.U.D.振動板が持つハイスピードなトランジェント応答と、PMA-2000のUHC MOSによる俊敏な電流供給能力が組み合わさることで、打楽器のアタックや弦楽器の弓の動き、ピアノの打鍵など瞬発的な音の立ち上がりがリアルに再現されます。
  • おすすめの音楽ジャンルジャズのピアノトリオやフュージョン、ロックのライブ録音など、エネルギー感と瞬発力が重要な音楽に向いた組み合わせです。DS-2000の広帯域(28Hz~40kHz)とPMA-2000の4Ω対応大電流設計が、ダイナミックレンジの広い音楽を力強く再現します。

DENON PMA-2000とONKYO D-77との組み合わせ

DENON PMA-2000とONKYO D-77との組み合わせは以下の通りです。

  • 互換性:ONKYO D-77(¥59,800/台、1986年頃)は最大入力200W(EIAJ)・公称インピーダンス6Ωの3ウェイバスレフ型スピーカーです。PMA-2000の4Ω~16Ω対応範囲内に収まり、6Ω負荷での出力もD-77の200W最大入力に対して安全な範囲に留まります。バイワイヤリング対応のPMA-2000端子をD-77に活用することで、より高品位な接続が可能です。
  • 音質の向上:D-77はピュア・クロスカーボン振動板と28Hz~45000Hzという超広帯域再生が特長のスピーカーです。PMA-2000のツイン・モノラル6ブロック構成が生み出すクリーンな信号経路がD-77の広帯域にわたる再生能力を余すところなく発揮させます。バスレフ型の豊かな低域とPMA-2000の大電流設計の相性も良く、エネルギー感のある低域が得られます。
  • おすすめの音楽ジャンルポップスやJ-POP、ロックなど、幅広い音域と聴きやすいサウンドが求められるジャンルに向いた組み合わせです。D-77の91dB/W/mという高感度とPMA-2000の安定したドライブ力が、日常的なリスニングで心地よい音量域を作り出します。

DENON PMA-2000は、UHC MOSシングルプッシュプルとツイントランス並列接続、そしてツイン・モノラル6ブロック構造を100,000円台で実現した、1996年頃のヴィンテージプリメインアンプです。

比較3機種(Marantz PM-14・LUXMAN L-540・SANSUI AU-α907)との検討を通じて明らかになったのは、ハイエンド技術の継承という点でPMA-2000がコストパフォーマンスの面で際立った優位性を持つという事実です。組み合わせるスピーカーにはYAMAHA NS-1000・DIATONE DS-2000・ONKYO D-77のような精度の高いヴィンテージスピーカーが、PMA-2000の実力を最大限に引き出す組み合わせとなります。

最後まで読んでいただきありがとうございました

DENON PMA-2000の詳細スペック一覧

DENON PMA-2000のスペック詳細
型式プリメインアンプ
定格出力(両ch駆動)160W+160W(4Ω、1kHz、THD 0.7%) / 80W+80W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.07%)
全高調波歪率0.01%(定格出力-3dB時、1kHz、8Ω)
スピーカー出力端子A、B:4Ω~16Ω / A+B:8Ω~16Ω / バイワイヤリング負荷:4Ω~16Ω
入力感度/インピーダンスPhono MM:2.5mV/47kΩ / Phono MC:0.2mV/100Ω / Line:150mV/47kΩ
RIAA偏差20Hz~20kHz ±0.5dB
SN比(Aネットワーク)Phono MM:91dB / Phono MC:76dB / CD、Line等:110dB
トーンコントロールBass:100Hz、±8dB / Treble:10kHz、±8dB
電源コンセントSwitched(連動):2系統、合計120W / Unswitched(非連動):1系統、240W
電源電圧AC100V、50Hz/60Hz
消費電力250W
外形寸法幅434×高さ180×奥行478mm
重量20.0kg
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