この記事の概要
※上記の青文字をタップすると該当箇所に飛びます。
SANSUI AU-D607は、1979年頃発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

ten
SANSUI AU-D607の概要と特徴

| SANSUI AU-D607のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1979年頃 |
| 定価 | 69,800円 |
| 型式 | ワイドレンジDCプリメインアンプ |
| 実効出力 | 70W+70W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、1kHz) |
| 重量 | 15.5kg |
AU-D607は、AU-607の思想をさらに押し進め、イコライザー部、フラットアンプ部、パワーアンプ部をすべてDCアンプ構成としたモデルです。ダイアモンド差動回路、全ブロックFET入力、ダイレクト・カップル方式によって、ワイドレンジで濁りの少ない音楽信号の伝送を狙っています。
SANSUI AU-D607がなぜ評価されているのか、3つの観点から紐解いていきます。
特徴①|3DCアンプ構成とダイレクト・カップル方式
SANSUI AU-D607は、イコライザー、フラット、パワーの各ブロックをDCアンプ構成としています。
全ブロック段の入力はオールFET入力で、入力コンデンサーを排除したダイレクト・カップル方式です。信号経路からコンデンサー由来の低域位相回転を減らし、低域から高域までの見通しを整えることを狙っています。
- イコライザー部、フラットアンプ部、パワーアンプ部をDC化しています。
- 全ブロック段の入力にFET入力回路を採用しています。
- ダイレクト・カップル方式で信号経路を高純度化しています。
特徴②|ダイアモンド差動回路と高速応答
パワーアンプ部には、サンスイが重視したダイアモンド差動回路が搭載されています。初段にはデュアルFET使用の定電流付き差動回路、2段目にはカスコード・ブートストラップによるダイアモンド差動回路を採用しています。

ダイアモンド差動回路って何ですか?
ダイアモンド差動回路は、信号を対称的に扱って動的な歪を抑えるための回路構成です。AU-D607では高周波領域まで歪の少ない波形伝送を狙い、スルーレイト±160V/μsecを実現しています。
周波数特性はDC~400kHz +0 -3dBで、ライズタイムは0.5μsecです。数値からも、音の立ち上がりや余韻を曇らせにくい高速志向のアンプだとわかります。
特徴③|左右独立電源とMC対応フォノ部
AU-D607は、電源部にも力が入っています。左右チャンネルを独立させた2巻線・2整流回路を採用し、電源コンデンサーには12,000μF×4を搭載しています。
フォノ部では、Phono-1がMM、Phono-2がMC専用という構成です。MC入力感度は0.1mV/100Ωで、最大許容入力はPhono MCで15mVとなっています。



MC入力は何が違いますか?
MC入力は、出力電圧の小さいMCカートリッジを直接扱うための入力です。AU-D607ではMC専用入力を備えているため、昇圧トランスなしでMCカートリッジを使いやすい構成です。
レコード再生を軸にしながら、AUXやTuner、Tape系も広帯域に扱える点が魅力です。1979年頃のプリメインアンプとして、アナログ再生の完成度をかなり高く見ています。
SANSUI AU-D607と他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-D607と他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-D607 | SANSUI AU-D707 | SANSUI AU-607 | Lo-D HA-5700 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 70W+70W(8Ω) | 90W+90W(8Ω) | 65W+65W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.008%以下 | 0.008%以下 | 0.03%以下 | 0.02% |
| ダンピングファクター | 100(8Ω) | 100(8Ω) | 60(8Ω) | ― |
| 重量 | 15.5kg | 20.1kg | 15.3kg | 10.8kg |
| 消費電力 | 195W | 230W | 185W | 140W |
| サウンドキャラクター | ダイアモンド差動回路による高純度で厚い音 | 同系統でさらに余裕ある力感 | 初代607らしい骨太なDCサウンド | MOS FETの滑らかで軽い音 |
SANSUI AU-D607とSANSUI AU-D707との比較
SANSUI AU-D607とSANSUI AU-D707との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607は70W+70W、AU-D707は90W+90Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D707が優れています。
- 高調波歪率:どちらも0.008%以下です。低歪率の数値では同等です。
- ダンピングファクター:どちらも100(8Ω)です。低域制動の数値でも同等です。
- 扱いやすさ:AU-D607は15.5kg、AU-D707は20.1kgです。設置性ではSANSUI AU-D607が優れています。
SANSUI AU-D607とSANSUI AU-607との比較
SANSUI AU-D607とSANSUI AU-607との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607は70W+70W、AU-607は65W+65Wです。出力ではSANSUI AU-D607がわずかに優れています。
- 高調波歪率:AU-D607は0.008%以下、AU-607は0.03%以下です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607が優れています。
- ダンピングファクター:AU-D607は100、AU-607は60です。低域制動の数値ではSANSUI AU-D607が上回ります。
- 音の方向性:AU-607は初代らしい骨太さ、AU-D607はダイアモンド差動回路によるワイドレンジ感が魅力です。解像感を重視するならSANSUI AU-D607が選びやすいです。
SANSUI AU-D607とLo-D HA-5700との比較
SANSUI AU-D607とLo-D HA-5700との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607は70W+70W、HA-5700は50W+50Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D607が優れています。
- 高調波歪率:AU-D607は0.008%以下、HA-5700は0.02%です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607が有利です。
- 重量:AU-D607は15.5kg、HA-5700は10.8kgです。設置しやすさではLo-D HA-5700が優れています。
- 音の方向性:HA-5700はMOS FETの滑らかさ、AU-D607はサンスイらしい厚みと低歪感が魅力です。力感と制動力ではSANSUI AU-D607が優れています。
SANSUI AU-D607とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-D607は8Ω負荷で70W+70W、ダンピングファクター100のプリメインアンプです。サンスイらしい厚みを活かすなら、密閉型や中型ブックシェルフを落ち着いて鳴らす組み合わせが向いています。
SANSUI AU-D607と組み合わせるヴィンテージスピーカーは、以下の3機種です。
- DIATONE DS-503
- YAMAHA NS-690II
- JBL L26 Decade
以下では、互換性・音質・おすすめジャンルに分けて解説します。
SANSUI AU-D607とDIATONE DS-503との組み合わせ
SANSUI AU-D607とDIATONE DS-503との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:DS-503は6Ω、最大入力100W(EIAJ)、出力音圧レベル90dB/W/mです。AU-D607は8Ω出力70W+70Wのため、音量を上げすぎず余裕を見ながら鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:DS-503は32cmウーファー、6.5cmドーム型ミッドレンジ、2.3cmドーム型トゥイーターを備えたバスレフ型で、クロスオーバーは500Hz、5kHzです。AU-D607により、30Hz〜40kHzの広帯域とドーム型中高域の密度感を出しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ジャズ、フュージョン、女性ボーカル、クラシックに向いています。厚みと解像感を両立したい人に合います。
SANSUI AU-D607とYAMAHA NS-690IIとの組み合わせ
SANSUI AU-D607とYAMAHA NS-690IIとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:NS-690IIは8Ω、最大許容入力80W、出力音圧レベル90dB/W/mです。AU-D607の8Ω出力70W+70Wと近く、音量を丁寧に合わせると扱いやすい組み合わせです。
- 音質の向上:NS-690IIは30cmウーファー、7.5cmドーム型スコーカー、3cmドーム型トゥイーターを備えた密閉型で、クロスオーバーは800Hz、6kHzです。AU-D607の制動力により、35Hz〜20kHzの自然な帯域バランスを整えやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ピアノ、アコースティック、ジャズボーカルに向いています。落ち着いた中域と低域の締まりを重視する人に合います。
SANSUI AU-D607とJBL L26 Decadeとの組み合わせ
SANSUI AU-D607とJBL L26 Decadeとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:L26 Decadeは8Ω、許容入力35W(連続プログラム)、出力音圧レベル89dB(新JIS)です。AU-D607では、小音量〜中音量を中心に音量管理して鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:L26 Decadeは25.5cmコーン型ウーファーと3.6cmトゥイーターを備えた2ウェイ・バスレフ型で、クロスオーバーは2kHzです。AU-D607の厚みにより、JBLらしい中低域の押し出しと明るい音色を楽しみやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、ブルース、ソウル、ジャズボーカルに向いています。明るくリズムの立つ音を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D607は、70W+70Wの出力とダンピングファクター100を備えた、ワイドレンジDCプリメインアンプです。
3DCアンプ構成、ダイアモンド差動回路、全ブロックFET入力、ダイレクト・カップル方式、MC専用入力など、1979年頃のサンスイらしい濃い設計が詰まっています。レコード再生を軸に、厚みと解像感を両立した音を楽しみたい人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-D607の詳細スペック一覧
| SANSUI AU-D607のスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | ワイドレンジDCプリメインアンプ |
| 実効出力 | 70W+70W(10Hz~20kHz、THD 0.008%、8Ω)、70W+70W(1kHz、THD 0.003%、8Ω) |
| 全高調波歪率 | 0.008%以下(10Hz~20kHz、実効出力時、8Ω) |
| 混変調歪率 | 0.008%以下(70Hz:7kHz=4:1) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~70kHz(IHF、両ch動作、1kHz、8Ω) |
| ダンピングファクター | 100(IHF、両ch動作、1kHz、8Ω) |
| 周波数特性 | DC~400kHz、+0 -3dB |
| 入力感度/入力インピーダンス | 1V/47kΩ(1kHz) |
| SN比 | 125dB以上(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) |
| チャンネルセパレーション | 90dB以上(IHF、1kHz) |
| ライズタイム | 0.5μsec |
| スルーレイト | ±160V/μsec |
| 入力感度/入力インピーダンス(プリアンプ部) | Phono-1 MM:2.5mV/47kΩ、Phono-2 MC専用:0.1mV/100Ω、AUX、Tuner、Tape Play 1、2(PIN):150mV/47kΩ |
| MC適合インピーダンス | 100Ω以下 |
| Phono最大許容入力 | Phono MM:300mV(1kHz、THD 0.01%)、Phono MC:15mV(1kHz、THD 0.03%) |
| 出力電圧 | Tape Rec 1、2(PIN、47kΩ時):150mV、Pre Out(47kΩ時):1V、Max Pre Out(THD 0.05%、47kΩ時):4V |
| 出力インピーダンス | Tape Rec 1、2:600Ω以下 |
| 全高調波歪率(プリアンプ部) | Phono MC(1kHz、6V):0.01%以下、Phono MM(20Hz~20kHz、6V):0.005%以下、AUX、Tuner、Tape Play 1、2(20Hz~20kHz、1V):0.005%以下 |
| 混変調歪率(プリアンプ部) | 0.005%以下(AUX、Tuner、Tape Play 1、2、1V、70Hz:7kHz=4:1) |
| 周波数特性(プリアンプ部) | RIAA偏差(Phono 1、2、20Hz~20kHz):±0.2dB、AUX、Tuner、Tape Play 1、2:5Hz~100kHz、+0 -1dB |
| SN比(プリアンプ部) | Phono MC(入力換算):-152dBV、Phono MM:88dB以上、AUX、Tuner、Tape Play 1、2:100dB以上 |
| チャンネルセパレーション(プリアンプ部) | Phono MC:70dB以上、Phono MM:70dB以上、AUX、Tuner、Tape Play 1、2:75dB以上 |
| 入力間セパレーション | Tuner⇔Phono MM:90dB以上、Tape Play 1、2⇔Phono MM:90dB以上、Tuner⇔Tape Play 1、2:90dB以上、Tape Play 1⇔Tape Play 2:90dB以上 |
| トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz)、Treble:±10dB(15kHz) |
| サブソニックフィルター | 16Hz(-3dB、6dB/oct) |
| ラウドネス | +10dB(50Hz)、+4dB(10kHz)(ボリューム -30dB時) |
| ヘッドホン端子出力 | 85mW(8Ω) |
| 負荷インピーダンス | 4~16Ω |
| 定格消費電力 | 195W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅430x高さ168x奥行390mm、ラックマウントアダプター装着時:幅482x奥行418mm |
| 重量 | 15.5kg、ラックマウントアダプター装着時:16kg |
| 別売 | ラックマウントアダプターBX-7(1組、3,000円) |
