この記事の概要
※上記の青文字をタップすると該当箇所に飛びます。
SANSUI AU-D707Fは、1980年発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

ten
SANSUI AU-D707Fの概要と特徴

| SANSUI AU-D707Fのスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1980年 |
| 定価 | 108,000円 |
| 型式 | スーパー・フィードフォワード&DD/DCアンプ |
| 実効出力 | 95W+95W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、20Hz~20kHz) |
| 重量 | 14.0kg |
AU-D707Fは、Fシリーズの中核としてスーパー・フィードフォワード・システムを搭載し、95W+95Wの出力を確保したプリメインアンプです。TIM歪とエンベロープ歪を測定限界以下に抑える設計が特徴で、サンスイらしい厚みと明快な低歪感を両立しています。
SANSUI AU-D707Fを語るうえで欠かせない3つのポイントを順番に見ていきましょう。
Point①|スーパー・フィードフォワード・システム
AU-D707Fの中心技術は、NFBとフィードフォワードを組み合わせたスーパー・フィードフォワード・システムです。従来のNFBだけでは難しかった広帯域の歪キャンセルを狙い、安定度と低歪率の両立を目指しています。
全高調波歪率は0.005%以下、TIM歪は測定限界以下とされており、AU-D607Fと同系統ながら出力に余裕があります。

スーパー・フィードフォワードとは何ですか?
スーパー・フィードフォワードは、NFBとフィードフォワードを組み合わせて歪を打ち消すサンスイ独自の回路です。AU-D707FではNFB量を抑えながら広帯域の歪低減を狙っています。
Point②|ヒートパイプとシンプル&ストレート構成
AU-D707Fは、信号の流れを短距離かつシンプルにするため、3次元的な立体配線を採用しています。放熱用ヒートパイプによって、パワー段とドライバー段を近づけたレイアウトが可能になっています。
ツインリレースピーカースイッチを使い、スピーカーA/B切替時の出力ラインの引き回しも抑えています。大電流が流れる部分を短くまとめることで、力感と見通しの良さを両立する設計です。
- ヒートパイプによりパワー段とドライバー段を近接配置しています。
- ツインリレースピーカースイッチで出力ラインを短縮しています。
- 青銅メッキビスやNM素子など、磁気歪対策も投入されています。
Point③|MC High/Low対応フォノ部と左右独立電源
AU-D707Fは、MCカートリッジ用に差動2段のシンメトリカル回路によるMCヘッドアンプを搭載しています。MC入力はHighとLowを切り替えられ、0.1mV/100Ωと0.25mV/100Ωに対応します。
電源部は左右独立2電源方式で、2巻線2電源構成です。ハイスピード・コンデンサーとファーストリカバリーダイオードを採用し、過渡的な充放電への追従性も高めています。



MC High/Lowとは何ですか?
MC High/Lowは、MCカートリッジの出力電圧に合わせて入力感度を切り替える機能です。AU-D707Fでは0.1mVと0.25mVのMC入力感度を選べるため、複数のMCカートリッジに合わせやすいです。
SANSUI AU-D707Fと他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-D707Fと他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-D707F | SANSUI AU-D607F | SANSUI AU-D707 | Lo-D HA-5700 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 95W+95W(8Ω) | 75W+75W(8Ω) | 90W+90W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.005%以下 | 0.005%以下 | 0.008%以下 | 0.02% |
| ダンピングファクター | 100(8Ω) | 100(8Ω) | 100(8Ω) | ― |
| 重量 | 14.0kg | 12.4kg | 20.1kg | 10.8kg |
| 消費電力 | 250W | 200W | 230W | 140W |
| サウンドキャラクター | フィードフォワードの低歪感と出力余裕 | 同系統で軽快な明瞭さ | 3DC構成の厚く濃い高純度感 | MOS FETの滑らかで軽い音 |
SANSUI AU-D707FとSANSUI AU-D607Fとの比較
SANSUI AU-D707FとSANSUI AU-D607Fとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D707Fは95W+95W、AU-D607Fは75W+75Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D707Fが優れています。
- 高調波歪率:どちらも0.005%以下です。低歪率の数値では同等です。
- MC対応:AU-D707FはPhono1/2ともMC High/Lowに対応します。MC入力の柔軟性ではSANSUI AU-D707Fが有利です。
- 扱いやすさ:AU-D707Fは14.0kg、AU-D607Fは12.4kgです。設置の軽さではAU-D607F、出力と機能の余裕ではSANSUI AU-D707Fが優れています。
SANSUI AU-D707FとSANSUI AU-D707との比較
SANSUI AU-D707FとSANSUI AU-D707との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D707Fは95W+95W、AU-D707は90W+90Wです。出力ではSANSUI AU-D707Fがわずかに優れています。
- 高調波歪率:AU-D707Fは0.005%以下、AU-D707は0.008%以下です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D707Fが有利です。
- 重量:AU-D707Fは14.0kg、AU-D707は20.1kgです。物量感ではAU-D707、取り回しではSANSUI AU-D707Fが優れています。
- 設計思想:AU-D707は3DC構成、AU-D707Fはスーパー・フィードフォワードが主軸です。動的歪の抑制を重視するならSANSUI AU-D707Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D707FとLo-D HA-5700との比較
SANSUI AU-D707FとLo-D HA-5700との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D707Fは95W+95W、HA-5700は50W+50Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D707Fが優れています。
- 高調波歪率:AU-D707Fは0.005%以下、HA-5700は0.02%です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D707Fが上回ります。
- 重量:AU-D707Fは14.0kg、HA-5700は10.8kgです。軽さではHA-5700、電源や出力の余裕ではSANSUI AU-D707Fが有利です。
- 音の方向性:HA-5700はMOS FETの滑らかさ、AU-D707Fは低歪で力強い明快さが特徴です。駆動力と透明感を両立したいならSANSUI AU-D707Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D707Fとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-D707Fは8Ωで95W+95W、ダンピングファクター100のプリメインアンプです。サンスイらしい厚みを活かすなら、高能率スピーカーを落ち着いて鳴らす組み合わせが向いています。
SANSUI AU-D707Fと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、以下の3機種です。
- Pioneer S-180A
- SONY SS-G7
- JBL 4311B
以下では、互換性・音質・おすすめジャンルに分けて解説します。
SANSUI AU-D707FとPioneer S-180Aとの組み合わせ
SANSUI AU-D707FとPioneer S-180Aとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:S-180Aは6.3Ω、最大入力120W、出力音圧レベル95dB/W/mです。AU-D707Fの95W+95Wと合わせると、小音量でも反応の良さを出しやすい組み合わせです。
- 音質の向上:S-180Aは32cmウーファー、12cmバランス・ドライブ型ミッドレンジ、2.5cmドーム型トゥイーターを備えたバスレフ型です。AU-D707Fにより、30Hz〜30000Hzの広がりと明るい音像感を活かしやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、フュージョン、シティポップ、ジャズに向いています。リズムの立ち上がりを軽快に楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D707FとSONY SS-G7との組み合わせ
SANSUI AU-D707FとSONY SS-G7との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:SS-G7は8Ω、定格最大入力100W、出力音圧レベル94dB/W/mです。AU-D707Fの8Ω出力と合わせると、余裕を残して大型フロア型を鳴らしやすい組み合わせです。
- 音質の向上:SS-G7は38cmウーファー、10cmバランスドライブ型ミッドレンジ、3.5cmバランスドライブ型トゥイーターを備えたバスレフ型です。AU-D707Fの制動力により、30Hz〜20000Hzのスケール感と定位感を整えやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ジャズ、ソウル、ライブ音源に向いています。大きな空間表現と厚みを楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D707FとJBL 4311Bとの組み合わせ
SANSUI AU-D707FとJBL 4311Bとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:4311Bは8Ω、許容入力40W(RMS)、出力音圧レベル91dB/W/mです。AU-D707Fでは、小音量〜中音量を中心に音量管理して鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:4311Bは30cmウーファー、13cmスコーカー、3.6cmトゥイーターを備えた3ウェイ・バスレフ型で、クロスオーバーは1.5kHz、6kHzです。AU-D707Fの厚みにより、45Hz〜15kHzのモニターらしい押し出しを楽しみやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、ブルース、ファンク、ジャズボーカルに向いています。中域の存在感をはっきり楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D707Fは、スーパー・フィードフォワード・システムを軸に、95W+95Wの出力とMC High/Low対応フォノ部を備えたFシリーズの上位寄りモデルです。
スーパー・フィードフォワード、ヒートパイプ、左右独立2電源、MC High/Low入力、ハイスピード・コンデンサーなど、歪の少なさと駆動力を両立するための工夫が詰め込まれています。サンスイらしい厚みを残しながら、より明快な低歪サウンドを楽しみたい人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-D707Fの詳細スペック一覧
| SANSUI AU-D707Fのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | スーパー・フィードフォワード&DD/DCアンプ |
| 実効出力 | 95W+95W(8Ω、10Hz~20kHz、THD 0.005%)、95W+95W(8Ω、1kHz、THD 0.003%) |
| 全高調波歪率 | 0.005%以下(10Hz~20kHz、実効出力時) |
| 混変調歪率 | 0.008%以下(60Hz:7kHz=4:1、SMPTE)、0.005%以下(8Ω、別カタログ記載) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~80kHz(8Ω、IHF、両ch動作、THD 0.02%) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、新IHF、20Hz~20kHz) |
| 周波数特性 | DC~300kHz +0 -3dB(1W) |
| エンベロープ歪 | 測定限界以下 |
| TIM歪 | 測定限界以下(Sawtooth法) |
| スルーレイト | ±200V/μsec(8Ω) |
| インサイド・スルーレイト | ±300V/μsec(8Ω) |
| ライズタイム | 0.8μsec |
| 入力感度/入力インピーダンス | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ、Phono1、2 MC(high/low):100μV、250μV/100Ω、Tuner、AUX、Tape play1、2:250mV/27kΩ |
| Phono最大許容入力 | MM:200mV、MC:25mV(Low)(1kHz、THD 0.01%) |
| 出力レベル/インピーダンス | Tape Rec:250mV(47kΩ)/600Ω |
| 全高調波歪率(プリアンプ部) | Phono1、2 MM:0.005%以下(20Hz~20kHz、5V出力時)、Phono1、2 MC:0.006%以下(20Hz~20kHz、5V出力時) |
| RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.2dB(MM) |
| SN比 | Phono1、2 MM:90dB以上、Phono1、2 MC:74dB以上、Tuner、Aux、Tape play1、2:110dB以上 |
| Phono入力換算雑音 | Phono1、2 MM:-142dBV、Phono1、2 MC:-154dBV(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| チャンネルセパレーション | Phono1、2 MM:60dB以上、Phono1、2 MC:50dB以上、Tuner、AUX、Tape Play:80dB以上 |
| トーンコントロール | Bass:+6~-8dB(50Hz)、別カタログでは±8dB(50Hz)、Treble:±6dB(10kHz)、別カタログでは±8dB(15kHz) |
| トーンセレクター | Bass:150Hz、300Hz、Treble:3kHz、6kHz |
| フィルター | Low:16Hz(-3dB、6dB/oct)、High:20kHz(-3dB、6dB/oct) |
| オーディオミューティング | -20dB |
| 定格消費電力 | 250W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅445x高さ163x奥行403mm |
| 重量 | 14.0kg |
