KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rを徹底解説!【他のアンプとの比較】

KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rを徹底解説!【他のアンプとの比較】

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KENWOOD KA-7090Rはヴィンテージなプリメインアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rの概要と特徴

KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rの概要と特徴
KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rのスペック
定格出力(20Hz~20kHz、両ch動作)110W+110W(4Ω、THD 0.05%)
85+85W(8Ω、THD 0.05%)
ダイナミックパワー280W(2Ω)
185W(4Ω)
120W(8Ω)
全高調波歪率(8Ω、42.5W)0.025%(20Hz~20kHz)
0.005%(1kHz)
入力感度/インピーダンスPhono MM:2.5mV/47kΩ
Phono MC:0.2mV/100Ω
Line(CD、MD、Tuner、AUX、Tape):200mV/47kΩ
出力レベル/インピーダンスTape Rec:200mV/1.5kΩ
定格消費電力(電気用品取締法)230W
重量11.7kg
外形寸法幅440x高さ147x奥行392mm

KENWOOD KA-7090Rは1997年に発売したプリメインアンプです。

入力切換回路にはリレーによる切り替え回路を採用しています。

では、以下からKENWOOD KA-7090Rの特徴を解説します。

①:KENWOOD KA-7090RはTRIATRを採用

KENWOOD KA-7090RはTRIATRを採用しています。

TRIATRってなに?

TRIATRは、温度検出・補正回路をパワートランジスタに内蔵しているトランジスタです。

従来のAクラスアンプでは、信号の変化の瞬間にトランジスタ内部の温度が大幅に変動する問題がありました。

この温度変動は通常の温度検出器では検出できず、動作点を理想状態に保つのが困難でした。

しかし、TRIATRの採用により、この問題が解消されます。

以下は、KENWOOD KA-7090RにTRIATRを採用する利点です。

  • 高度な熱管理:TRIATRは、内蔵された温度検出・補正回路によって、瞬時にトランジスタ内部の温度変動を検出し補正します。これにより、Q点(クオイズント・ポイント)の安定性が向上し、熱によるドリフトを最小限に抑えます。
  • 線形性の向上:TRIATRの高度な熱管理能力により、アンプの線形動作範囲が拡大します。これによって、THD(Total Harmonic Distortion:全高調波歪)が低減し、よりクリーンな信号伝達が可能になります。
  • 高いトランジェント応答性:温度の瞬時の補正により、アンプは音楽信号の急激な変化にも迅速に対応します。これは、トランジェント応答性が高いということであり、音像の定位やダイナミクスレンジに優れた影響を与えます。
  • SNRとCMRRの向上:TRIATRの採用により、SNR(Signal-to-Noise Ratio:信号対雑音比)とCMRR(Common-Mode Rejection Ratio:共通モード抑制比)が向上します。これにより、ノイズの少ない、高精度なオーディオ出力が可能になります。
  • 高いパワーハンドリング能力:TRIATRは、高い電流容量と高い電圧耐性を持っています。これにより、アンプは高いパワーハンドリング能力を持ち、大音量でも歪みの少ないサウンドを提供します。

②:KENWOOD KA-7090Rは静電結合防止構造を採用

KENWOOD KA-7090Rは、静電結合防止構造を採用しています。

静電結合防止構造ってなに?

静電結合防止構造の主な目的は、電源回路と信号回路の間での不要なノイズや干渉を最小限に抑えることです。

静電結合防止構造では、放熱器をシャーシと電気的に結合させず、直接電源トランス側の基準グランドに結合させます。

この設計により、汚れた信号が電源回路に直接返され、その結果、グランドラインがクリーンに保たれます。

クリーンなグランドラインが確保されることで、信号対雑音比(SNR)も向上します。

これは、オーディオ信号がよりクリアに再生されるということを意味していて、高解像度の音源でもその品質が損なわれることが少なくなります。

また、静電結合防止構造は、外部からの電磁干渉(EMI)やラジオ周波数干渉(RFI)に対する耐性も高めます。

③:KENWOOD KA-7090Rにはソースダイレクト回路を搭載

KENWOOD KA-7090Rには、ソースダイレクト回路を搭載しています。

ソースダイレクト回路は、トーンコントロール回路などの追加機能をバイパスすることで信号経路を最短化し、音質の劣化を防ぐ役割を果たします。

以下は、ソースダイレクト回路の利点です。

  • 音質の純粋性の維持:ソースダイレクト回路は、トーンコントロール回路やその他の信号処理回路をバイパスすることで、オーディオ信号が直接アンプに送られます。これにより、信号の純粋性が維持され、音質の劣化が最小限に抑えられます。
  • 高解像度の実現:信号経路が短縮されることで、オーディオ信号の高周波成分が保持されやすくなります。これにより、高解像度の音源でもその品質が損なわれることが少なくなり、より細やかな音の表現が可能になります。
  • 低ノイズと高いS/N比:ソースダイレクト回路の採用により、信号経路が短縮されるため、ノイズの影響を受けにくくなります。これにより、S/N(Signal-to-Noise)比が向上し、よりクリーンな音質が得られます。

KENWOOD KA-7090Rと他のヴィンテージアンプとの比較

KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rと他のヴィンテージアンプとの比較

当然ですが、ヴィンテージアンプはKENWOOD KA-7090Rだけではありません。

以下では

  • SONY TA-F777ES
  • HITACHI/Lo-D IA-600
  • Pioneer SA-910

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

KENWOOD KA-7090RとSONY TA-F777ESとの比較

KENWOOD KA-7090RとSONY TA-F777ESとの比較は以下の通りです。

  • 実効出力:KENWOODの定格出力は110W+110W(4Ω)であり、SONYは180W+180W(4Ω)です。SONYの方が高出力ですので、大きなスピーカーを駆動する場合には有利です。
  • 混変調歪率:KENWOODは全高調波歪率が0.025%、SONYは高調波歪率が0.004%です。こちらもSONYが優れていると言えます。
  • 負荷インピーダンス:両者ともに4Ωと8Ωのスピーカーに対応しています。
  • SN比:KENWOODはPhono MM:88dB、SONYはPhono MM:82dBです。この点ではKENWOODがわずかに優れています。
  • 消費電力:KENWOODは230W、SONYは300Wです。消費電力が少ない方がエコではあります。
  • 重量:KENWOODは11.7kg、SONYは19.0kgです。
  • 音質:KENWOODはTRAITR技術と静電結合防止構造を採用しています。SONYはオーディオ・カレント・トランスファ方式とレガーリニア方式を採用しています。両者ともに高度な技術を採用しているため、音質は主観的な評価となります。

KENWOOD KA-7090RとHITACHI/Lo-D IA-600との比較

KENWOOD KA-7090RとHITACHI/Lo-D IA-600との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:KENWOOD KA-7090Rは、定格出力が110W+110W(4Ω)であり、HITACHI/Lo-D IA-600は32W/32W(8Ω)です。KENWOODの方が高出力です。
  • 混変調歪率:KENWOODの全高調波歪率は0.025%(8Ω、42.5W)、一方でHITACHIの混変調歪率は0.15%(定格出力時)です。この点でもKENWOODが優れています。
  • 入力感度/インピーダンス:KENWOODはPhono MM:2.5mV/47kΩ、Line:200mV/47kΩです。HITACHIはPhono Low:2.5mV/50kΩ、Aux1、2、Tuner:200mV/100kΩです。ほぼ同等の性能ですが、インピーダンスでわずかな違いがあります。
  • ダンピングファクター:KENWOODは250(50Hz)、HITACHIは50(8Ω、1kHz)です。この点でもKENWOODが優れています。
  • SN比:KENWOODはPhono MM:88dB、Line:105dBです。HITACHIはPhono:68dB、Aux1、2、Tuner:75dBです。この点でもKENWOODが優れています。
  • 重量:KENWOODは11.7kg、HITACHIは8.8kgです。
  • 音質:KENWOODはTRAITRという独自の技術を採用しており、歪率が出力によって変動しないなど、高い音質が期待できます。HITACHIもHi-Fi用シリコントランジスタを採用していますが、総合的に見てKENWOODが優れていると言えます。

KENWOOD KA-7090RとPioneer SA-910との比較

KENWOOD KA-7090RとPioneer SA-910との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:KENWOOD KA-7090Rは、定格出力が110W+110W(4Ω)および85+85W(8Ω)です。一方で、Pioneer SA-910は、60W+60W(8Ω)および75W+75W(4Ω)です。KENWOODの方が出力が高いです。
  • 混変調歪率:KENWOODの全高調波歪率は0.025%(20Hz~20kHz)、Pioneerは0.1%です。この点でも、KENWOODが優れています。
  • 入力感度/インピーダンス:KENWOODの入力感度はPhono MM:2.5mV/47kΩ、Line:200mV/47kΩです。PioneerはPower Amp In:500mV/50kΩです。KENWOODがより多くのオプションを提供しているため、この点でもKENWOODが優れています。
  • ダンピングファクター:KENWOODのダンピングファクターは250(50Hz)、Pioneerは70以上(1kHz、8Ω)です。この点でも、KENWOODが優れています。
  • 負荷インピーダンス:KENWOODは4Ωと8Ωに対応していますが、Pioneerも4Ω~16Ωに対応しています。この点では、Pioneerがわずかに優れています。
  • SN比:KENWOODのSN比はPhono MM:88dB、Line:105dBです。Pioneerは95dB以上です。この点でも、KENWOODが優れています。
  • 消費電力:KENWOODは定格消費電力が230W、Pioneerは152Wです。
  • 重量:KENWOODは11.7kg、Pioneerは13.6kgです。軽い方が設置や移動が容易です。
  • 音質:KENWOODはTRAITR(Thermally Reactive Advanced Instantaneous TRansistor)を採用しており、音質の安定性と低歪が実現されています。Pioneerも全回路に正負2電源方式を採用して音質を高めていますが、KENWOODの方がより高度な技術を採用しているため、この点でもKENWOODが優れています。

KENWOOD KA-7090Rとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

以下では、KENWOOD KA-7090Rとヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。

KENWOOD KA-7090Rと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、

  • SANSUI SP-G300
  • OTTO SX-P3
  • ONKYO D-305F

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

KENWOOD KA-7090RとSANSUI SP-G300の組み合わせ

KENWOOD KA-7090RとSANSUI SP-G300の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:KENWOOD KA-7090Rの定格出力は110W+110W(4Ω)または85+85W(8Ω)であり、SANSUI SP-G300のインピーダンスは8Ωです。この点から見ても、両者は非常によく合っています。また、KENWOOD KA-7090Rには多くの入力オプションがあり、SANSUI SP-G300にはマルチアンプ方式用の専用入力端子も装備されているため、接続の柔軟性も高いです。さらに、両機種ともに高いSN比を持っているため、ノイズの影響を最小限に抑えられます。
  • 音質の向上:KENWOOD KA-7090RはTRAITR(Thermally Reactive Advanced Instantaneous TRansistor)を採用しており、これによって音楽信号の強弱に対する追従性が高まっています。一方で、SANSUI SP-G300は低域に30.5cmコーン型ウーファーを2個搭載し、高域には7cmホーン型ツィーターを採用しています。これらの組み合わせにより、低域から高域まで非常にバランスの取れたサウンドを実現できます。特に、KENWOOD KA-7090Rの高いダンピングファクターとSANSUI SP-G300の高出力音圧レベルが相まって、ダイナミックな音楽表現が可能です。
  • 機能の拡張:KENWOOD KA-7090Rにはトーンコントロールやラウドネスコントロールがあり、SANSUI SP-G300には連続可変タイプの巻線型アッテネーターが装備されています。これにより、より細かい音質調整が可能となります。また、両機種ともにリモコンや専用入力端子が装備されているため、システムの拡張性も高く、将来的に他のオーディオ機器を追加する際にも柔軟に対応できます。

KENWOOD KA-7090RとOTTO SX-P3の組み合わせ

KENWOOD KA-7090RとOTTO SX-P3の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性,:KENWOOD KA-7090Rは、定格出力が110W+110W(4Ω)であり、OTTO SX-P3はインピーダンスが6Ω、定格許容入力が50W(100Wピーク時)です。この数値からも、両者は十分にマッチングが可能であると言えます。特に、KENWOOD KA-7090Rのダイナミックパワーが高いため、OTTO SX-P3の出力音圧レベル92dB/W/mをしっかりとサポートできます。また、周波数特性も両者ともに広範であり、高い互換性を持っています。
  • 音質の向上:KENWOOD KA-7090RはTRAITR(Thermally Reactive Advanced Instantaneous TRansistor)を採用しており、温度の変動による音質の劣化を防いでいます。一方で、OTTO SX-P3はポーラスメタルコーンを用いた30cmコーン型ウーファーと3.0cmハードドーム型ツィーターを搭載しています。これらの高性能な部品が組み合わさることで、低域から高域まで非常にクリアでバランスの良い音質を実現します。
  • 機能の拡張:KENWOOD KA-7090Rには多数の入力端子があり、Phono MM/MCからLine(CD、MD、Tuner、AUX、Tape)まで幅広い接続が可能です。また、トーンコントロールやラウドネスコントロールも備えています。これにより、OTTO SX-P3の高域用レベルコントロールと組み合わせることで、より細かい音質調整が可能となります。

KENWOOD KA-7090RとONKYO D-305Fの組み合わせ

KENWOOD KA-7090RとONKYO D-305Fの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:KENWOOD KA-7090Rは、定格出力が110W+110W(4Ω)または85+85W(8Ω)であり、ONKYO D-305Fは最大入力が100Wとなっています。また、定格インピーダンスは6Ωです。この数値を基にすると、両者は非常によくマッチしています。特に、KENWOOD KA-7090Rのダイナミックパワーとダンピングファクターが高いため、ONKYO D-305Fのスピーカーが持つポテンシャルを最大限に引き出すことが可能です。
  • 音質の向上:KENWOOD KA-7090Rは、独自に開発されたTRAITR(Thermally Reactive Advanced Instantaneous TRansistor)を採用しています。これにより、歪率が出力によって変動せず、実使用領域での低歪化が実現しています。一方で、ONKYO D-305Fは、低域にシルクOMFダイアフラムを用いた12cmコーン型ウーファーを2個、高域には2.5cmソフトドーム型トゥイーターを搭載しています。この組み合わせにより、低域から高域までバランスの取れた、クリアで豊かな音質を実現することができます。
  • 機能の拡張:KENWOOD KA-7090Rには、トーンコントロール、ラウドネスコントロール、ソースダイレクト回路などが搭載されています。これにより、音質を自分好みに調整することが可能です。また、ONKYO D-305Fには、バナナプラグに対応したネジ式スピーカーターミナルが採用されています。これにより、高品質なスピーカーケーブルを使用することで、さらに音質の向上が期待できます。

KENWOOD(ケンウッド)KA-7090Rを徹底解説!【他のアンプとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました

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