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Marantz Model 500は、1972年頃発売のヴィンテージなステレオパワーアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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Marantz Model 500の概要と特徴

| Marantz Model 500のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1972年頃 |
| 定価 | 595,000円 |
| 型式 | ステレオパワーアンプ |
| 定格出力 | 250W+250W(8Ω、両ch、20Hz~20kHz) |
| 全高調波歪率 | 0.05%以下(20Hz~20kHz、両ch、定格出力時) |
| ダンピングファクター | 400以上 |
| 重量 | 37.6kg |
ヴィンテージパワーアンプの中でも、なぜMarantz Model 500が今なお「伝説機」として語り継がれるのか。その答えは、定価595,000円(1972年)という当時の超高価格帯にもかかわらず、音質と技術の両面で妥協を一切排した設計思想にあります。
250W+250W(8Ω)という驚異の出力を全帯域で維持しながら、世界で初めて入口から出口まで完全プッシュプルを貫いたその回路構成は、同時代のいかなるパワーアンプとも一線を画するものでした。
Marantz Model 500がなぜ評価されているのか、3つの観点から紐解いていきます。
世界初の完全プッシュプル設計【ポイント①】
Typically 600W——これがMarantz Model 500の出力部が秘める真の数値です。定格250W+250W(8Ω)に加えて、瞬間的には両ch合計で600Wを超えるパワーバンドウィズ(5Hz~45kHz、THD 0.1%)を実現しています。
この圧倒的な出力を支えるのが、世界で初めて採用された入口から出口までの完全プッシュプル構成です。差動回路からドライブ段、最終段まで上下完全に独立した経路を持ち、ピュアコンプリメンタリーの最終段に至るまで完璧な対称性を保っています。これにより動特性が飛躍的に向上し、大出力時の歪劣化を最小限に抑えることに成功しています。

プッシュプル構成って何ですか?
正(プッシュ)と負(プル)の信号を2系統の増幅回路で完全に対称処理する方式です。偶数次歪を理論的にキャンセルできるため、低歪率かつ高出力を両立しやすいのが特徴です。Model 500ではこの方式を差動入力段から最終出力段まで全段にわたって徹底することで、当時の技術水準を大きく上回る特性を実現しました。
周波数特性は20Hz~20kHz ±0.1dBという極めて平坦な特性を誇り、可聴帯域全域で均一な増幅が保証されています。この数値はモノ機器の枠を超えた測定器レベルの精度といえます。
マランツ×モトローラ共同開発トランジスタとAB級動作【ポイント②】
Marantz Model 500のパワーステージに搭載されるトランジスタは、マランツとモトローラが共同開発した専用デバイスです。型番にSJの文字が入るこれらのトランジスタは、市販品では実現できなかった電流特性と耐圧を備え、Model 500専用に設計されました。
パワーステージは片ch4石パラレルの8石構成(3石ダーリントン接続)を採用しています。各トランジスタに流れる電流を均等に分散させることで、特性の揃った動作点が選択でき、大出力時でも安定したリニアリティを確保しています。さらに十分なアイドリング電流を流してAB級動作させることで、B級特有のノッチング歪を根本から排除しているのが大きなポイントです。
また、特注の抵抗類やスイッチが全回路に採用されており、量産品とは次元の異なる部品管理がなされています。NFをプリアンプ部終端とパワーアンプ出力部の二重から掛ける構成は、安定性と低歪率を同時に追求した設計者の意図を端的に示しています。
パワー切換えには500W・300W・100Wの3段階リミッタ回路が搭載されており、スピーカーの耐入力に合わせた柔軟な出力管理が可能です。これも大出力機ならではの実用的な配慮といえます。
ダンピングファクター400以上と多重保護回路設計【ポイント③】
Marantz Model 500の信頼性を支える核心は、ダンピングファクター400以上という圧倒的なスピーカー制動力と、3重構造の保護回路にあります。
ダンピングファクターとは、アンプがスピーカーの不要な振動(逆起電力)をどれほど素早く抑制できるかを示す指標です。一般的なパワーアンプでは50~150程度が多い中、400以上という数値は規格外の制動力を意味します。これにより低域の解像度と締まりが格段に向上し、大出力でも破綻しない正確な再生が可能になっています。



保護回路にはどんな種類があるんですか?
①異常動作時にドライブ段で電流をストップする2石構成のアンプ保護回路、②スピーカー端子に直流が現れるとリレーで遮断する3石構成のスピーカー保護兼ミューティング回路、③電源ON時のラッシュカレント防止リレーの3系統が独立して動作します。それぞれが連携することで、アンプ・スピーカー双方を万全に守る設計になっています。
Model 500が備える主な仕様上の特長をまとめると次の通りです。
- 定格出力250W+250W(8Ω)、Typically 600Wの大出力
- 全高調波歪率0.05%以下(20Hz~20kHz、両ch定格出力時)
- ダンピングファクター400以上による強力なスピーカー制動
- 内蔵強制空冷ファンによる安定した連続動作
- 500W・300W・100Wの3段階パワーリミッタ搭載
Marantz Model 500と他のヴィンテージパワーアンプとの比較


Marantz Model 500と他のヴィンテージパワーアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | Marantz Model 500 | SANSUI BA-5000 | SANSUI BA-2000 | LUXMAN M-4000 |
|---|---|---|---|---|
| 発売年 | 1972年頃 | 1975年 | 1976年頃 | 1975年 |
| 定価 | 595,000円 | 390,000円 | 120,000円 | 350,000円 |
| 実効出力(8Ω、両ch) | 250W+250W | 300W+300W | 110W+110W | 180W+180W |
| 全高調波歪率 | 0.05%以下 | 0.1%以下 | 0.03%以下 | 0.02%以下 |
| ダンピングファクター | 400以上 | 10(8Ω) | ― | 100(8Ω) |
| 重量 | 37.6kg | 49kg | 18.3kg | 30kg |
| 消費電力 | ― | 490W(定格) | 245W(定格) | 750VA(定格出力時) |
Marantz Model 500とSANSUI BA-5000との比較
Marantz Model 500とSANSUI BA-5000との比較は以下の通りです。
- 実効出力:BA-5000は300W+300W(8Ω)を誇り、数値上はModel 500の250W+250Wを上回ります。モノ動作時には600Wにも達しますが、両ch連続動作での音楽再生ではModel 500のTypically 600Wも同水準といえます。
- 歪率:Model 500が0.05%以下に対し、BA-5000は0.1%以下(定格出力時)。全高調波歪率ではModel 500が優位です。
- ダンピングファクター:BA-5000はアウトプットトランスを搭載するためDFが10(8Ω)と大幅に低くなります。スピーカー制動力はModel 500(DF 400以上)が圧倒的に有利で、低域の解像度と締まりに大きな差が生じます。
- 重量・価格:BA-5000は49kgと重量級で、定価390,000円はModel 500(595,000円)より安価です。コストパフォーマンスではBA-5000、音楽表現の精密さではModel 500がそれぞれ上回ります。
Marantz Model 500とSANSUI BA-2000との比較
Marantz Model 500とSANSUI BA-2000との比較は以下の通りです。
- 実効出力:BA-2000は110W+110W(8Ω)と、Model 500の250W+250Wの半分以下の出力です。大型フロア型スピーカーや難鳴らしスピーカーへの駆動力はModel 500が大きく上回ります。
- 歪率:BA-2000は0.03%以下(8Ω、定格出力時)とModel 500(0.05%以下)より数値上は良好です。低出力域での歪特性ではBA-2000が有利な面もあります。
- 価格・重量:BA-2000は120,000円・18.3kgと、Model 500(595,000円・37.6kg)より大幅に安価で軽量です。導入コストと取り回しやすさではBA-2000が有利で、日常使いのパワーアンプとしての実用性は高いといえます。
- サウンドキャラクター:BA-2000はパワーメーター搭載で視覚的な楽しさも備えています。ただし音楽的なスケール感と制動力の圧倒的な差はModel 500が持つ固有の魅力で、価格差を超えた価値があります。
Marantz Model 500とLUXMAN M-4000との比較
Marantz Model 500とLUXMAN M-4000との比較は以下の通りです。
- 実効出力:M-4000は180W+180W(8Ω)と高出力ながらも、250W+250Wを誇るModel 500の余裕には及びません。4Ω負荷では270W+270Wまで高まりますが、8Ω実効出力での優位はModel 500にあります。
- 歪率:M-4000は0.02%以下(8Ω、180W)と三者中で最も低い歪率を誇ります。純粋な歪特性ではM-4000が優位で、細部の表現力に優れたサウンドを持ちます。
- ダンピングファクター:M-4000はDF 100(8Ω)と優秀ですが、Model 500のDF 400以上には大きく及ばず、スピーカー制動力は明確にModel 500が上です。
- 価格・機能:M-4000(350,000円)はVUメーターとLEDピークインジケーター、精密アッテネーターを搭載した多機能機です。使い勝手と視認性ではM-4000が有利ですが、ピュアな増幅性能と制動力の総合評価ではModel 500が一段上に位置します。
Marantz Model 500とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


Marantz Model 500とCORAL BX-1500との組み合わせ
Marantz Model 500とCORAL BX-1500との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:BX-1500は最大入力150W(8Ω)を持つ6ウェイ・7スピーカー構成のフロア型スピーカーです。Model 500のパワーリミッタを100Wに設定することで安全な範囲での使用が可能で、両者の8Ωインピーダンスも完全に適合します。
- 音質の向上:BX-1500の102dB/Wという高感度は、Model 500の制動力(DF 400以上)と組み合わさることで38cmウーファーの低域を精密にコントロールします。1969年製の大型同軸マルチウェイ構成が持つ豊かな音場と、Model 500の圧倒的な駆動力が融合した組み合わせです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシックのオーケストラやジャズのビッグバンドなど、ダイナミックレンジの広い音楽との相性が特に優れています。BX-1500の20Hz~25kHzにわたる広帯域再生と圧倒的な音圧が、ホールの残響まで再現します。
Marantz Model 500とCORAL BX-1200との組み合わせ
Marantz Model 500とCORAL BX-1200との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:BX-1200は最大入力100W(8Ω)の5ウェイ・6スピーカーシステムです。Model 500のパワーリミッタを100Wに設定すれば、ウーファー保護を確保しながら大きな余裕を持って駆動できます。インピーダンスは8Ωで問題なく適合します。
- 音質の向上:BX-1200は102dB/Wという高能率のため、Model 500の大出力をごく小さなボリュームでも余裕を持って使用できます。DF 400以上の制動力により30cmウーファーの動作が精密にコントロールされ、コーン型マルチウェイならではの密度感ある低域が引き出されます。
- おすすめの音楽ジャンル:ロックやポップス、ジャズのトリオ演奏など、リズム感と躍動感が重要な音楽に最適です。BX-1200のワイドレンジ再生(25Hz~25kHz)とシャープな音離れが、Model 500の駆動力によって最大限に引き出されます。
Marantz Model 500とCORAL DX-7との組み合わせ
Marantz Model 500とCORAL DX-7との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:DX-7はプログラムソース入力150W・瞬間最大入力300W(8Ω)を備えた3ウェイバスレフ型スピーカーで、Model 500の大出力を正面から受け止められる数少ないヴィンテージスピーカーのひとつです。インピーダンスも8Ωで完全適合します。
- 音質の向上:1983年設計のDX-7はATMCダイアフラムを採用したハードドーム型スコーカー・ツィーターを持ち、デジタルオーディオ時代の高解像度再生に対応しています。Model 500のDF 400以上が31cmウーファー(無酸素銅リボン線ボイスコイル)を精密制御することで、28Hz~33kHzの超広帯域が破綻なく再現されます。
- おすすめの音楽ジャンル:デジタルソースを活かしたハイレゾ音源の再生やクラシックの室内楽に特に相性が良い組み合わせです。DX-7の高解像度な中高域と、Model 500が生み出す力感ある低域制御が絶妙なバランスを作り出します。
Marantz Model 500は、1972年に595,000円という当時破格の価格で登場したステレオパワーアンプです。世界初の完全プッシュプル設計、マランツ×モトローラ共同開発トランジスタ、そしてダンピングファクター400以上という規格外の制動力——これらを組み合わせることで、半世紀を経た今もなお現役のシステムとして通用する音楽性を持ちます。
比較3機種(SANSUI BA-5000・SANSUI BA-2000・LUXMAN M-4000)との検討を通じて明らかになったのは、出力や歪率でそれぞれ競合を持ちながらも、スピーカー制動力という点ではModel 500が圧倒的な優位性を持つという事実です。組み合わせるスピーカーとしては、CORAL BX-1500・BX-1200・DX-7のような高能率・高耐入力モデルが大きな相乗効果をもたらします。
最後まで読んでいただきありがとうございました
Marantz Model 500の詳細スペック一覧
| Marantz Model 500のスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | ステレオパワーアンプ |
| 出力(8Ω、両ch、20Hz~20kHz) | 500W(250W+250W)、Typically 600W |
| 全高調波歪率 | 0.05%以下(20Hz~20kHz、両ch、定格出力時) |
| 混変調歪率 | 0.05%以下(定格出力時、両ch、SMPTE) |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz ±0.1dB |
| パワーバンドウィズ(IHF) | 5Hz~45kHz(THD 0.1%) |
| 入力感度 | 2.25V(250W、8Ω負荷、ゲインコントロール全開時) |
| 入力インピーダンス | 33kΩ(ゲインコントロール全開時) |
| ダンピングファクター | 400以上 |
| Total Noise | 106dB以上(250W、8Ω負荷以下) |
| 外形寸法 | 幅425×高さ171×奥行435mm |
| 重量 | 37.6kg |
