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Marantz PM8000は、1999年発売のヴィンテージなプリメインアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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Marantz PM8000の概要と特徴

| Marantz PM8000のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1999年 |
| 定価 | ¥65,000 |
| 型式 | プリメインアンプ |
| 定格出力(AB級/8Ω) | 100W+100W |
| 定格出力(A級/8Ω) | 25W+25W |
| 全高調波歪率 | AB級:0.015%/A級:0.010% |
| 消費電力 | 160W |
| 重量 | 12.3kg |
Marantz PM8000は1999年に発売されたプリメインアンプです。
マランツが歩んできた半世紀にも及ぶ思想と技術を見つめ直し、本来のポリシーである「音楽の再現性の最優先」を徹底したCシリーズのフラッグシップ的モデルで、A級/AB級切り替え動作とツインモノラル構成を実現しています。
では、以下からMarantz PM8000の特徴を解説します。
①:A級/AB級切り替え動作とツインモノラルコンストラクション
Marantz PM8000の最大の特徴は、純A級動作(25W+25W)とAB級動作(100W+100W)を切り替えられる2モードの出力段と、完全なツインモノラルコンストラクションを採用している点です。

A級動作とAB級動作って何が違うんですか?
アンプの出力段に常に電流を流し続けて信号の全波形を1つの素子で増幅する方式が「A級動作」で、歪が極めて少なく音が滑らかですが発熱が大きく効率が悪い方式です。AB級動作は小音量時のみA級動作し大音量時は複数素子で分担する方式で、A級の音質的利点と効率のバランスを取った方式です。
ツインモノラルコンストラクションは、左右チャンネルを電源部から増幅段まで完全に独立させる構造で、クロストーク(左右チャンネル間の信号漏れ)を徹底的に排除することで広大なステレオイメージを実現します。
A級動作時の全高調波歪率は0.010%、AB級動作時でも0.015%と、価格帯を超える極めて低歪み特性を達成しています。ジャズや室内楽ではA級モード、オーケストラやロックではAB級モードといった使い分けが可能です。
以下は、PM8000の出力段・筐体構造の特徴です。
- A級25W+AB級100Wの切り替え動作で音楽ジャンル・音量に応じた最適な音質を選択可能
- ツインモノラルコンストラクションで左右チャンネルを完全独立
- A級0.010%・AB級0.015%の低歪み特性で純度の高い音楽再生を実現
②:マランツ独自HDAMと4連アクティブボリュームの高音質回路
PM8000にはマランツ独自のHDAM(Hyper Dynamic Amplifier Module)と4連アクティブボリュームが搭載されており、聴感上のSN感と音の抜けの良さを大きく向上させています。



HDAMって何ですか?
マランツが独自開発したディスクリート構成の高速アンプモジュールで、汎用オペアンプの代わりにバッファやゲイン段に用いることで、スルーレート(信号応答速度)と音質を飛躍的に向上させる回路ブロックです。マランツのCDプレーヤー・プリメインアンプに広く採用され、マランツサウンドの中核技術として知られています。
4連アクティブボリュームは、左右2チャンネル分のボリューム制御を4連化して信号経路に組み込む方式で、ボリュームを絞ったときのSN比を大幅に改善します。小音量時でもノイズに埋もれない微細な音楽情報を再生できます。
トーンコントロールはアクティブフィルターNFB型を採用しており、ソースダイレクトスイッチで回路をバイパスすれば音源本来のピュアな信号を楽しむことができます。高音質コンデンサーなど厳選パーツを随所に投入した設計です。
以下は、PM8000の音質設計上の主な特徴です。
- マランツ独自HDAMによる高スルーレートで音の立ち上がりと抜けを向上
- 4連アクティブボリュームで小音量時のSN比を大幅改善
- ソースダイレクトスイッチ/アクティブフィルターNFB型トーンで音源を純度高く再生
③:10Hz~100kHzの広帯域特性と豊富な入出力端子
PM8000は周波数特性10Hz~100kHz(+0 -1dB)という広帯域特性を実現しており、PhonoからCD・テープ・プロセッサーまで幅広い入出力端子を備えています。



プロセッサー入出力って何のためにあるんですか?
プリアンプ部とパワーアンプ部の間に外部機器を挿入するための端子で、グラフィックイコライザーやAVアンプのフロントチャンネルを接続するためのループ端子です。2chピュアオーディオと5.1chサラウンドシステムを1台のパワーアンプで共用できるため、オーディオビジュアル環境との統合が容易になります。
Phono(MM)入力は2.5mV/47kΩ、SN比85dBと価格帯を超えた高品位なレコード再生性能を備えており、レコードプレーヤーを接続してもヴィンテージアンプらしい豊かな音楽性を楽しめます。
ライン入力4系統・テープ入出力・CD-R/MD入出力・スピーカー出力2系統を備え、A/Bスピーカー切り替えや多彩なソース機器の接続にも対応します。システムリモコンでマランツ製品を一括操作可能です。
以下は、PM8000の入出力系統と接続性の主な特徴です。
- 10Hz~100kHz(+0 -1dB)の広帯域特性でハイレゾ時代にも通用する高解像度再生
- Phono MM入力(SN比85dB)搭載でレコード再生にも対応
- スピーカー出力2系統・プロセッサー入出力搭載で多彩なシステム構築に対応
Marantz PM8000と他のヴィンテージプリメインアンプとの比較


当然ですが、ヴィンテージプリメインアンプはMarantz PM8000だけではありません。
以下では
- Denon PMA-1500RII
- Sansui AU-α607NRA
- Pioneer A-D5X
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
| 項目 | Marantz PM8000 | Denon PMA-1500RII | Sansui AU-α607NRA | Pioneer A-D5X |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力(8Ω) | AB級100W+100W/A級25W+25W | 70W+70W | 90W+90W | 70W+70W |
| 全高調波歪率 | AB級0.015%/A級0.010% | 0.01% | 0.003% | 0.008% |
| ダンピングファクター | 非公表(80以上相当) | 240 | 120 | 60 |
| 重量 | 12.3kg | 13.0kg | 17.0kg | 9.0kg |
| 消費電力 | 160W | 215W | 240W | 170W |
| サウンドキャラクター | 繊細さ・透明感・音楽性 | 力強く解像度の高いHi-Fi | 安定感・厚みのある重厚サウンド | 明瞭でスピード感のある現代的音調 |
Marantz PM8000とDenon PMA-1500RIIとの比較
Marantz PM8000とDenon PMA-1500RIIとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:PM8000がAB級100W+100Wに対しPMA-1500RIIは70W+70Wです。最大出力ではPM8000が優れています。
- 全高調波歪率:PM8000がA級0.010%・AB級0.015%、PMA-1500RIIが0.01%です。純度ではほぼ同等ですが、A級モードの透明感ではPM8000が優れています。
- ダンピングファクター:PMA-1500RIIが240と高い数値で、低域のスピーカー制動力ではPMA-1500RIIが優れています。
- 重量:PM8000が12.3kgに対しPMA-1500RIIは13.0kgとほぼ同等です。設置のしやすさに大きな差はありません。
- 消費電力:PM8000が160WでPMA-1500RIIの215Wより小さく、省エネ性ではPM8000が優れています。
- サウンドキャラクター:PM8000は繊細で透明感のある音楽性、PMA-1500RIIは力強く解像度の高いHi-Fi系サウンドが特徴です。クラシックやジャズボーカルを繊細に聴きたいならPM8000が優れています。
Marantz PM8000とSansui AU-α607NRAとの比較
Marantz PM8000とSansui AU-α607NRAとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:PM8000がAB級100W+100W、AU-α607NRAが90W+90Wと近い数値です。最大出力ではPM8000がわずかに優れています。
- 全高調波歪率:AU-α607NRAが0.003%と極めて低く、純度の高さではAU-α607NRAが優れています。
- ダンピングファクター:AU-α607NRAが120とPM8000を上回り、スピーカー制動力ではAU-α607NRAが優れています。
- 重量:AU-α607NRAが17.0kgに対しPM8000は12.3kgです。筐体剛性・物量投入ではAU-α607NRAが優れ、取り扱いやすさではPM8000が優れています。
- 消費電力:PM8000が160WでAU-α607NRAの240Wより小さく、省エネ性ではPM8000が優れています。
- サウンドキャラクター:PM8000は繊細さと透明感、AU-α607NRAは安定感と厚みのある重厚サウンドが特徴です。女性ボーカルやクラシックの繊細な表現を求めるならPM8000が優れています。
Marantz PM8000とPioneer A-D5Xとの比較
Marantz PM8000とPioneer A-D5Xとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:PM8000がAB級100W+100Wに対しA-D5Xは70W+70Wです。最大出力ではPM8000が優れています。
- 全高調波歪率:PM8000のA級0.010%がA-D5Xの0.008%に近い水準です。純度の高さではほぼ同等ですが、A級動作の音質面でPM8000が優れています。
- ダンピングファクター:PM8000の方が高く、低域のスピーカー制動力ではPM8000が優れています。
- 重量:PM8000が12.3kgに対しA-D5Xは9.0kgです。筐体剛性・物量投入ではPM8000が優れ、取り扱いやすさではA-D5Xが優れています。
- 消費電力:PM8000が160W、A-D5Xが170Wとほぼ同等です。省エネ性に大きな差はありません。
- サウンドキャラクター:PM8000は繊細さと音楽性、A-D5Xは明瞭でスピード感のある現代的音調が特徴です。ヴィンテージな音楽性と温かみを求めるならPM8000が優れています。
Marantz PM8000とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


以下では、Marantz PM8000とヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。
Marantz PM8000と組み合わせるヴィンテージスピーカーは、
- JBL 4312B MkII
- Tannoy(タンノイ)Stirling HE
- DIATONE(ダイヤトーン)DS-1000HR
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
Marantz PM8000とJBL 4312B MkIIの組み合わせ
Marantz PM8000とJBL 4312B MkIIの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:JBL 4312B MkIIは許容入力100W・能率91dBの3ウェイ・スタジオモニター系スピーカーです。PM8000のAB級100W+100Wで駆動力は十分で、ツインモノラル構成とJBLの広い音場表現が相性良くマッチします。
- 音質の向上:PM8000の繊細で透明感のある音質と4312B MkIIの力強く厚みのあるアメリカンサウンドが組み合わさり、マランツの上質さとJBLのダイナミックさの両方を楽しめるバランスが実現します。
- おすすめの音楽ジャンル:ジャズ・ロック・ポップスとの相性が特に優れています。A級モードに切り替えればジャズボーカルの繊細さも、AB級モードならロックの迫力も引き出せます。
Marantz PM8000とTannoy(タンノイ)Stirling HEの組み合わせ
Marantz PM8000とTannoy(タンノイ)Stirling HEの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Tannoy Stirling HEは同軸2ウェイ・デュアルコンセントリックユニット搭載の英国製スピーカーで能率92dBと高能率です。PM8000のA級25W+25Wモードでも余裕を持って駆動でき、純A級の滑らかな音質を最大限引き出せます。
- 音質の向上:PM8000の透明感とHDAMによる高速応答が、Stirling HEの同軸ユニットならではの音像定位の良さと木製エンクロージャーの温かみと組み合わさり、室内楽やクラシック声楽の繊細な表現が極めて美しく再現されます。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック室内楽・女性ボーカル・アコースティック系音楽との相性が特に優れています。A級モードとStirling HEの組み合わせは、管球式アンプに近い滑らかさを固体素子アンプで実現する稀有な組み合わせです。
Marantz PM8000とDIATONE(ダイヤトーン)DS-1000HRの組み合わせ
Marantz PM8000とDIATONE(ダイヤトーン)DS-1000HRの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:DIATONE DS-1000HRは3ウェイ密閉型・能率90dBの国産ヴィンテージ名機で、許容入力は100Wです。PM8000のAB級100W+100W出力で余裕を持って駆動でき、密閉型の正確な低域とPM8000の繊細さが相乗効果を生みます。
- 音質の向上:PM8000のツインモノラル構成による広大なステレオイメージと、DS-1000HRのボロンドームツイーターによる高解像度な高域が組み合わさり、日本の音楽文化に最適化されたニュートラルで情報量の多いサウンドが実現します。
- おすすめの音楽ジャンル:J-POP・クラシックオーケストラ・ジャズとの相性が特に優れています。国産同士の組み合わせならではの緻密な情報量で、楽器の音色や定位を正確に楽しめます。
Marantz PM8000を徹底解説!【他のヴィンテージプリメインアンプとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました
Marantz PM8000の詳細スペック一覧
| Marantz PM8000 スペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | プリメインアンプ |
| 定格出力(20Hz~20kHz、両ch駆動) | クラスAB:100W+100W(8Ω)/クラスA:25W+25W(8Ω) |
| 全高調波歪率(20Hz~20kHz、8Ω) | クラスAB:0.015%/クラスA:0.010% |
| 周波数特性(CD、ソースダイレクト) | 10Hz~100kHz +0 -1dB |
| 入力感度/インピーダンス(Phono MM) | 2.5mV/47kΩ |
| 入力感度/インピーダンス(High level) | 150mV/20kΩ |
| Phono最大許容入力(1kHz) | MM:150mV |
| RIAA偏差 | 20Hz -2dB/40Hz~20kHz ±0.5dB |
| SN比(IHF、Aネットワーク、入力ショート) | Phono MM:85dB |
| 入出力端子 | ライン入力:4系統/テープ入出力:1系統/プロセッサー入出力:1系統/Phono入力:1系統/CD-R/MD入出力:1系統/ヘッドホン出力:1系統/スピーカー出力:2系統 |
| 電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 160W(電気用品取締法) |
| 最大外形寸法 | 幅440×高さ159×奥行370.5mm |
| 重量 | 12.3kg |
| 付属 | システムリモコン |
