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OTTO/SANYO DCA-1301は、ヴィンテージなプリメインアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
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OTTO/SANYO DCA-1301の概要と特徴
OTTO/SANYO DCA-1301のスペック | |
---|---|
<メインアンプ部> | |
回路方式 | 差動入力全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL |
実効出力(両ch駆動) | 60W+60W(8Ω、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.1%(定格出力時) 0.03%(1W) |
ダンピングファクター | 40(1kHz、8Ω) |
出力端子 | Speaker A、B:4Ω~8Ω Speaker A+B:8Ω~16Ω |
<プリアンプ部> | |
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.5mV/50kΩ Phono2:2.5mV/30kΩ、50kΩ、100kΩ Tuner、Aux1/2、Tape1/2:300mV/80kΩ |
Phono最大許容入力 | 500mV(1kHz、RMS) |
SN比(IHF-A) | Phono:70dB Aux:90dB |
<総合> | |
電源 | AC100V、50H/60Hz |
定格消費電力 | 165W |
重量 | 12kg |
OTTO/SANYO DCA-1301は1975年に発売したプリメインアンプです。
電源回路にはトランジスタとツェナーダイオードを用いた、リップルフィルタ兼用の定電圧電源を採用しています。
では、以下からOTTO/SANYO DCA-1301の特徴を解説します。
①:クロスバイアス方式のトリプルダーリントン構成ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用
OTTO/SANYO DCA-1301のパワーアンプ部には、クロスバイアス方式のトリプルダーリントン構成ピュアコンプリメンタリーOCL回路が採用されています。
それは一体なに?
一言で解説することは難しいので、以下で分解しながら解説します。
- クロスバイアス方式:バイアスとは、トランジスタなどの半導体素子が正確に動作するために必要な定常電流や定常電圧のことです。クロスバイアス方式は、このバイアスを動的に調整する方式の一つです。これにより、音質の向上と効率の良い動作が可能になります。
- トリプルダーリントン構成:ダーリントンペアとは、二つのトランジスタを接続して一つのトランジスタのように動作させる方法です。トリプルダーリントン構成では、これをさらに一段階進めて、三つのトランジスタを接続します。この構成により高い電流増幅率が得られ、より精密な制御が可能になります。
- ピュアコンプリメンタリー:コンプリメンタリーとは、NPN型とPNP型のトランジスタを対にして使用することです。ピュアコンプリメンタリーは、これらのトランジスタが同じ性能特性を持つように選ばれている状態を指します。これにより歪みが少なく、高品質な音声信号の伝送が可能になります。
- OCL回路(Output Capacitor-Less):OCL回路とは、出力用のコンデンサが不要な回路設計の一つです。これにより信号経路が短くなり、音質が向上します。
以上の各要素が組み合わさることで、OTTO/SANYO DCA-1301は高品質な音声信号の増幅が可能になります。
②:イコライザアンプ部は初段差動増幅・終段エミッタフォロワの3段直結回路を採用
OTTO/SANYO DCA-1301のイコライザアンプ部は初段差動増幅・終段エミッタフォロワの3段直結回路が採用されています。
以下は、初段差動増幅・終段エミッタフォロワの3段直結回路の特徴や利点です。
- 初段差動増幅:差動増幅とは、二つの入力信号の差を増幅する回路です。この回路は、一般的に高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスを持ち、ノイズに対する耐性が高いです。初段に差動増幅を採用することで、信号の品質を維持しながら効率的に増幅が行えます。
- 終段エミッタフォロワ:エミッタフォロワは、トランジスタの一つの極(エミッタ)を出力とする回路です。この回路は、高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスを持つため、信号の伝送において非常に効率的です。終段にエミッタフォロワを採用することで、高品質な信号をスムーズに出力することが可能です。
- 3段直結回路:「3段直結回路」とは、三つの増幅ステージが直接(コンデンサなどで分断されずに)接続されている回路を指します。この設計により、信号経路が短縮され、音質の劣化が最小限に抑えられます。
ちなみに、イコライザアンプ(Equalizer Amplifier)部というのは、音質調整のための重要なセクションです。
③:テープモニター回路を搭載
OTTO/SANYO DCA-1301には、テープモニター回路が搭載されています。
テープモニター回路ってなに?
テープモニター回路とは、テープレコーダーやその他の録音機器と連携するための特別な回路です。
この回路の主な機能は、録音と再生を同時に監視することです。
以下は、OTTO/SANYO DCA-1301に搭載されているテープモニター回路の特徴や利点です。
- 監視機能:テープモニター回路は、録音された内容をリアルタイムで監視することができます。これにより、録音中に何らかの問題が発生した場合、すぐに対処することが可能です。
- 音質調整:テープモニター回路を使用すると、録音中でもイコライザやその他の音質調整機能を活用することができます。これは、最終的な録音品質を高めるために非常に有用です。
- フレキシビリティ:テープモニター回路はテープレコーダーだけでなく、CDレコーダーやコンピュータといった他の録音機器にも対応しています。これにより、多様な録音環境での使用が可能です。
テープモニター回路を搭載したOTTO/SANYO DCA-1301は、録音作業を頻繁に行う方や高品質な録音を求める方におすすめと言えます。
OTTO/SANYO DCA-1301と他のヴィンテージアンプとの比較
当然ですが、ヴィンテージアンプはOTTO/SANYO DCA-1301だけではありません。
以下では
- DIATONE DA-U650
- Marantz PM-80
- SANSUI AU-9500
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
OTTO/SANYO DCA-1301とDIATONE DA-U650との比較
OTTO/SANYO DCA-1301とDIATONE DA-U650との比較は以下の通りです。
- 混変調歪率:DCA-1301は全高調波歪率が0.1%(定格出力時)、DA-U650は混変調歪率が0.034%(1W時)。DA-U650がより低い歪率を持っていますので、この点ではDA-U650が優れています。
- 入力感度/インピーダンス:DCA-1301はPhono1:2.5mV/50kΩ、DA-U650はPhono:2.5mV/50kΩとほぼ同等です。
- 消費電力:DCA-1301は165W、DA-U650は72Wとなっており、DA-U650がよりエネルギー効率が良いです。
- 重量:DCA-1301は12kg、DA-U650は9.4kgとなっており、DA-U650がより軽量です。
- 音質:DCA-1301はクロスバイアス方式のトリプルダーリントン構成ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しています。DA-U650は全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しています。音質は主観的な要素も多いですが、特性を改善している点ではDCA-1301が優れている可能性があります。
OTTO/SANYO DCA-1301とMarantz PM-80との比較
OTTO/SANYO DCA-1301とMarantz PM-80との比較は以下の通りです。
- 実効出力:DCA-1301は60W+60W(8Ω)ですが、PM-80は最大でクラスABで140W+140W(4Ω)と非常に高出力です。
- 混変調歪率:DCA-1301は全高調波歪率が0.1%、PM-80は全高調波歪率が0.0008%と非常に低いです。
- 入力感度/インピーダンス:DCA-1301はPhono1で2.5mV/50kΩ、PM-80はPhono MMで2.5mV/47kΩとほぼ同等です。
- ダンピングファクター:DCA-1301は40(1kHz、8Ω)、PM-80は180(8Ω負荷、20Hz~10kHz)とPM-80が圧倒的に高いです。
- SN比:DCA-1301はPhonoで70dB、Auxで90dB。PM-80はPhono MCで75dB、High Levelで105dBと高いです。
- 消費電力:DCA-1301は165W、PM-80は220WとPM-80の方が高いですが、出力も高いため妥当です。
- 重量:DCA-1301は12kg、PM-80は17.5kgとPM-80の方が重いです。重量が重い方が音質に良い影響を与える場合もあります。
- 音質:DCA-1301は裸特性の改善とNFBの抑制によりバランスの良い音を目指しています。PM-80は高品質のパーツと独自の技術で非常に高い音質を実現しています。
OTTO/SANYO DCA-1301とSANSUI AU-9500との比較
OTTO/SANYO DCA-1301とSANSUI AU-9500との比較は以下の通りです。
- 実効出力:OTTO/SANYO DCA-1301は60W+60W(8Ω、20Hz~20kHz)ですが、SANSUI AU-9500は実効出力が80W+80W(8Ω、1kHz)です。SANSUIの方が出力が高いです。
- 混変調歪率:両方とも0.1%以下であり、この点ではほぼ同等です。
- 入力感度/インピーダンス:OTTO/SANYO DCA-1301はPhono1:2.5mV/50kΩ、SANSUI AU-9500もPhono1:2.5mV/50kΩであり、この点でも大きな違いはありません。
- ダンピングファクター:OTTO/SANYO DCA-1301は40(1kHz、8Ω)で、SANSUI AU-9500は50(8Ω)です。SANSUIの方が高いため、SANSUI AU-9500が優れています。
- SN比:OTTO/SANYO DCA-1301はPhono:70dB、Aux:90dBで、SANSUI AU-9500はPhono1、2:75dB以上、Tuner、AUX:85dB以上です。この点ではSANSUIがわずかに優れています。
- 消費電力:OTTO/SANYO DCA-1301は165W、SANSUI AU-9500は205Wです。
- 重量:OTTO/SANYO DCA-1301は12kg、SANSUI AU-9500は23.3kgです。
- 音質:音質は主観的な要素も多いですが、SANSUI AU-9500は高出力と低歪率を誇り、OTTO/SANYO DCA-1301も裸特性の改善と高信頼保護回路を採用しています。この点では、どちらも非常に優れています。
OTTO/SANYO DCA-1301とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ
以下では、OTTO/SANYO DCA-1301とヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。
OTTO/SANYO DCA-1301と組み合わせるヴィンテージスピーカーは、
- SANSUI SP-100
- TANNOY GRF Memory/HW
- AKAI ST-300
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
OTTO/SANYO DCA-1301とSANSUI SP-100の組み合わせ
OTTO/SANYO DCA-1301とSANSUI SP-100の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:DCA-1301の実効出力は60W+60W(8Ω、20Hz~20kHz)であり、SP-100の最大入力は25W、インピーダンスは8Ωです。この数値から見て、両者は非常によく合っています。特に、DCA-1301のダンピングファクターが40(1kHz、8Ω)であり、SP-100の出力音圧レベルが100dB/Wであることを考慮すると、非常に安定した音響環境が期待できます。
- 音質の向上:DCA-1301は差動入力全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しており、全高調波歪率が非常に低いです。一方で、SP-100は豊かな低音とバランスの良い音質で知られています。特に、低域用の25cmコーン型ウーファーと高域用の5cmホーン型トゥイーターがこの組み合わせによって最大限に活かされます。DCA-1301の高いダンピングファクターと低い歪率が、SP-100の自然な音質を一層引き立てます。
- 機能の拡張:最後に、機能の拡張についてです。DCA-1301にはテープモニター回路が搭載されており、SP-100にはタップ式レベルコントロールがあります。これにより、音量調整が非常に繊細に行えます。また、DCA-1301のトーンコントロール回路は2dBステップであり、SP-100のレベルコントロールは3ポイント(クリア、ナチュラル、ソフト)に切り替え可能です。これらの機能を組み合わせることで、より多様な音響表現が可能になります。
OTTO/SANYO DCA-1301とTANNOY GRF Memory/HWの組み合わせ
OTTO/SANYO DCA-1301とTANNOY GRF Memory/HWの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:DCA-1301はプリメインアンプであり、出力は60W+60W(8Ω、20Hz~20kHz)です。一方で、TANNOY GRF Memory/HWは許容入力が120W連続、500Wピークで、公称インピーダンスは8Ωです。このスペックを見る限り、DCA-1301はTANNOY GRF Memory/HWと非常に良い互換性を持っていると言えます。特に、インピーダンスと出力レベルがマッチしています。
- 音質の向上:DCA-1301は差動入力全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しており、全高調波歪率は非常に低いです。これがTANNOY GRF Memory/HWの高品質な38cm同軸型ユニットと組み合わさることで、非常にクリアでダイナミックレンジの広い音質を実現できます。特に、TANNOYの高い出力音圧レベルとDCA-1301の低歪みが相乗効果を生みます。
- 機能の拡張:DCA-1301はテープモニター回路や2dBステップのトーンコントロール回路を搭載しています。これにより、音質調整が非常に柔軟に行えます。一方で、TANNOY GRF Memory/HWはコントロールネットワークが豊富で、高周波数と低周波数の調整が可能です。
OTTO/SANYO DCA-1301とAKAI ST-300の組み合わせ
OTTO/SANYO DCA-1301とAKAI ST-300の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:DCA-1301はプリメインアンプであり、最大出力は60W+60W(8Ω、20Hz~20kHz)です。一方で、AKAI ST-300は最大入力が50Wで、インピーダンスが8Ωです。この数値を見る限り、両者は非常によくマッチしています。特に、DCA-1301のダンピングファクターが40(1kHz、8Ω)であることから、ST-300の低域もしっかりとコントロールできるでしょう。また、DCA-1301のプリアンプ部には多様な入力端子が用意されているため、ST-300との接続もスムーズです。
- 音質の向上:DCA-1301は差動入力全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しており、全高調波歪率が非常に低いです。これがST-300の音響フィルターと相まって、非常にクリアでダイナミックレンジの広い音を実現します。特に、ST-300の中高域の歪をカットする音響フィルターが、DCA-1301の低歪み設計と相乗効果を生みます。さらに、DCA-1301の周波数特性が5Hz~100kHz ±1dBと非常に広いため、ST-300の30Hz~20kHzの周波数特性をフルに活かすことができます。
- 機能の拡張:DCA-1301にはテープモニター回路が搭載されています。これにより、ST-300と組み合わせた際にも、録音や再生をより柔軟に行うことができます。また、DCA-1301の2dBステップのトーンコントロール回路と、ST-300の中域と高域を別々に調節できる可変式レベルコントロールが、より細かな音質調整を可能にします。
OTTO/SANYO DCA-1301を徹底解説!【他のアンプとの比較】まとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました