OTTO/SANYO DCA-1400を徹底解説!【他のアンプとの比較】

OTTO:SANYO DCA-1400を徹底解説!【他のアンプとの比較】

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OTTO/SANYO DCA-1400は、ヴィンテージなプリメインアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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OTTO/SANYO DCA-1400の概要と特徴

OTTO:SANYO DCA-1400の概要と特徴
OTTO/SANYO DCA-1400のスペック
実効出力20W+20W(8Ω、歪率0.8%)
周波数特性15Hz~100kHz -1dB
入力感度/インピーダンスPhono1/2:2.5mV/50kΩ
Aux1/2、Tuner、TapePB:100mV/100kΩ
S/N(IHF Bカーブ)Phono1/2:70dB以上
Aux1/2、Tuner、TapePB:75dB以上
トーンコントロールBass:±12dB(100Hz)
Treble:±12dB(10kHz)
ダンピングファクター100(50Hz、8Ω)
出力インピーダンス4Ω~16Ω
消費電力50W
重量4.8kg

OTTO/SANYO DCA-1400は1970年に発売したプリメインアンプです。

電源回路にはトランジスタとツェナーダイオードを用いた、リップルフィルタ兼用の定電圧電源を採用しています。

では、以下からOTTO/SANYO DCA-1400の特徴を解説します。

①:全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路を搭載

OTTO/SANYO DCA-1400には、全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路が搭載されています。

全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路ってなに?

一言で解説するのは難しいので、分解しながら解説します。

まず「全段直結」とは、アンプ内の各段(部分)が直接結合されている状態を指します。

全段直結にされることで信号がクリーンに伝達され、音質の劣化が最小限に抑えられます。

次に「シンメトリカル」とは、左右のチャンネルが完全に独立している設計を指します。

これにより左右の音像が明瞭になり、より高度なステレオ再生が可能になります。

「ピュア・コンプリメンタリー」は、NPN型とPNP型のトランジスタを対にして使用する設計です。

この設計により、各トランジスタの長所と短所を補完し合い、より高性能なアンプを実現します。

最後に「OCL(Output Capacitor-Less)回路」とは、出力段にコンデンサを使用しない設計を指します。

コンデンサは信号に影響を与える可能性があるため、これを排除することで、より自然な音質が得られます。

②:メインアンプ部の初段には差動増幅回路を採用

OTTO/SANYO DCA-1400のメインアンプ部の初段には、差動増幅回路が採用されています。

差動増幅回路とは、一般的には2つの入力信号の差を増幅する回路のことを指します。

差動増幅回路の特長としては、同じ信号を2つの入力に与えると、その差が0になるため出力も0になります。

これを利用して、ノイズや干渉を効果的に除去することができます。

ちょっとよくわかんないな…。

という方もいるはずなので、以下で紹介する差動増幅回路の利点が少しでも伝われば幸いです。

  • ノイズ耐性:この回路の最大の特長は、高いノイズ耐性を持つ点です。差動増幅回路は、共通のノイズを効果的にキャンセルする能力があります。これは、特に長いケーブルを介して信号が伝送される場合や、高い電磁干渉が存在する環境で非常に有用です。
  • 線形性と低歪み:差動増幅回路は、高い線形性を持っています。これにより、入力信号に対する出力信号が一定の比率で増幅され、歪みが非常に少なくなります。これは、
  • 効率と安定性:差動増幅回路は効率的な動作が可能であり、安定した性能を発揮します。これは、高い信頼性と長寿命を意味し、長期間にわたって一貫した音質を提供できるというメリットがあります。

ちなみに、プリメインアンプの「メインアンプ部の初段」とは、アンプ内部で音信号が最初に通る部分を指します。

この部分での増幅処理が全体の音質に影響を与えるため、ここでどのような回路が採用されているかは非常に重要です。

③:メインアンプ部にダイオードを用いた回路を付加

OTTO/SANYO DCA-1400のメインアンプ部には、ダイオードを用いた回路を付加されています。

ダイオードは、電流を一方向にしか流さない半導体素子です。

この特性を利用してメインアンプ部にダイオードを組み込むことで、以下のようなメリットが生まれます。

  1. ノイズの低減:ダイオードは、不要な電流やノイズをフィルタリングする能力があります。これにより、クリアで細やかな音質が得られます。
  2. 安定した動作:ダイオードの一方向性が、アンプ内部での電流の流れを安定させます。これにより、急な負荷変化や温度変化にも強い、安定した動作が期待できます。
  3. 瞬間的な電流の制御:ダイオードは瞬間的な電流の流れを制御することができます。これにより、スイッチをONにした際に生じる急激な電流変化を抑制し、ショック音を排除します。
  4. 機器への負担軽減:ショック音は、スピーカーやアンプにも負担をかける可能性があります。ダイオードを用いることで、このような機器への負担を軽減することができます。

このように、OTTO/SANYO DCA-1400のメインアンプ部にダイオードを用いた回路を付加することで、多くのメリットがあります。

OTTO/SANYO DCA-1400と他のヴィンテージアンプとの比較

OTTO:SANYO DCA-1400と他のヴィンテージアンプとの比較

当然ですが、ヴィンテージアンプはOTTO/SANYO DCA-1400だけではありません。

以下では

  • TRIO KA-7100D
  • ONKYO Integra A-919
  • DIATONE DA-U600

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

OTTO/SANYO DCA-1400とTRIO KA-7100Dとの比較

OTTO/SANYO DCA-1400とTRIO KA-7100Dとの比較は以下の通りです。

  • 実効出力:OTTO/SANYO DCA-1400は20W+20W(8Ω、歪率0.8%)であり、TRIO KA-7100Dは60W+60W(20Hz~20kHz、両ch動作、8Ω)です。TRIO KA-7100Dの方が高出力です。
  • 入力感度/インピーダンス:両者ともにPhonoの入力感度は2.5mV/50kΩですが、AuxやTunerの入力感度はTRIO KA-7100Dの方が高いです。
  • ダンピングファクター:OTTO/SANYO DCA-1400は100(50Hz、8Ω)、TRIO KA-7100Dは50(8Ω)です。この点では、OTTO/SANYO DCA-1400が優れています。
  • 負荷インピーダンス:両者ともに4Ω~16Ωとなっています。
  • SN比:OTTO/SANYO DCA-1400はPhonoで70dB以上、Auxで75dB以上です。TRIO KA-7100DはPhonoで80dB、Tuner/Tapeで110dBです。この点では、TRIO KA-7100Dが優れています。
  • 消費電力:OTTO/SANYO DCA-1400は50W、TRIO KA-7100Dは150Wです。
  • 重量:OTTO/SANYO DCA-1400は4.8kg、TRIO KA-7100Dは11.5kgです。
  • 音質:OTTO/SANYO DCA-1400は全段直結構成で、低域の劣化を抑えています。TRIO KA-7100DはDCアンプ構成で、位相回転がなく広帯域にわたって低歪率を維持しています。音質は主観的な要素も多いですが、高性能なアンプを求めるならTRIO KA-7100Dが優れています。

OTTO/SANYO DCA-1400とONKYO Integra A-919との比較

OTTO/SANYO DCA-1400とONKYO Integra A-919との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:DCA-1400は20W+20W(8Ω、歪率0.8%)ですが、A-919は155W+155W(6Ω)または120W+120W(8Ω)です。明らかにA-919の方が高出力です。
  • 入力感度/インピーダンス:DCA-1400はPhono1/2:2.5mV/50kΩ、Aux1/2、Tuner、TapePB:100mV/100kΩです。一方、A-919はPhono MM:2.5mV/47kΩ、Phono MC:160μV/100Ωなどと多様です。A-919の方がより多くのオプションを提供しています。
  • ダンピングファクター:DCA-1400は100(50Hz、8Ω)であり、A-919は400(1kHz、8Ω)です。A-919の方が高いダンピングファクターを持っています。
  • 負荷インピーダンス:DCA-1400は4Ω~16Ω、A-919の負荷インピーダンスは明示されていませんが、出力が高いため、こちらも高いと推測されます。評価としては、A-919が優れている可能性が高いです。
  • SN比:DCA-1400はPhono1/2:70dB以上、Aux1/2、Tuner、TapePB:75dB以上です。A-919はPhono MM:94dB、Phono MC:75dB、CD、他:107dBと、全体的に高いSN比を持っています。
  • 消費電力:DCA-1400は50W、A-919は325Wです。消費電力が高いということは、高いパフォーマンスを持っているとも言えます。
  • 重量:DCA-1400は4.8kg、A-919は26.6kgです。A-919の方が重く、設置には注意が必要です。
  • 音質:DCA-1400は全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路を採用しています。A-919はスーパーカレントアンプ構成とBi-MOSドライブ方式を採用しています。両者ともに高度な技術を採用していますが、A-919の方がより新しい技術を採用していると言えます。

OTTO/SANYO DCA-1400とDIATONE DA-U600との比較

OTTO/SANYO DCA-1400とDIATONE DA-U600との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:OTTO/SANYO DCA-1400は実効出力が20W+20W(8Ω、歪率0.8%)です。一方で、DIATONE DA-U600は実効最大出力が30W+30W(8Ω、0.5%歪)です。DIATONE DA-U600の方が出力が高いです。
  • 混変調歪率:OTTO/SANYO DCA-1400の高調波歪率は0.8%(定格出力時)、DIATONE DA-U600は0.07%以下です。DIATONE DA-U600の方が低い歪率を持っているため、音質面で優れています。
  • 入力感度/インピーダンス:OTTO/SANYO DCA-1400はPhono1/2:2.5mV/50kΩ、DIATONE DA-U600はPhono:2.5mV、50kΩ以上です。入力感度とインピーダンスはほぼ同等です。
  • ダンピングファクター:OTTO/SANYO DCA-1400はダンピングファクターが100、DIATONE DA-U600は40です。OTTO/SANYO DCA-1400の方が高いダンピングファクターを持っているため、スピーカー制御が優れています。
  • SN比:OTTO/SANYO DCA-1400はS/N(IHF Bカーブ)がPhono1/2:70dB以上、DIATONE DA-U600はPhono:65dB以上です。OTTO/SANYO DCA-1400の方がわずかに高いSN比を持っています。
  • 消費電力:OTTO/SANYO DCA-1400は消費電力が50W、DIATONE DA-U600は60Wです。
  • 重量:OTTO/SANYO DCA-1400は重量が4.8kg、DIATONE DA-U600は9.1kgです。
  • 音質:OTTO/SANYO DCA-1400は全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路を採用しています。DIATONE DA-U600は全段直結OCL回路を採用しています。両方とも音質の劣化を防ぐ設計がされていますが、DIATONE DA-U600の方が高調波歪率が低いため、細部までクリアな音質が期待できます。

OTTO/SANYO DCA-1400とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

OTTO:SANYO DCA-1400と他のヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

以下では、OTTO/SANYO DCA-1400とヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。

OTTO/SANYO DCA-1400と組み合わせるヴィンテージスピーカーは、

  • JBL L112
  • DIATONE DS-66EXV
  • YAMAHA NS-890

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

OTTO/SANYO DCA-1400とJBL L112の組み合わせ

OTTO/SANYO DCA-1400とJBL L112の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:DCA-1400はプリメインアンプであり、出力インピーダンスが4Ω~16Ωとなっています。一方で、JBL L112は8Ωのインピーダンスを持っています。この点から見ても、両者は非常によく合います。また、DCA-1400の実効出力が20W+20Wであり、JBL L112が許容入力で80W(連続プログラム)と100W(IEC規格)を持っているため、出力と入力もバランスが取れています。
  • 音質の向上:DCA-1400は周波数特性が15Hz~100kHzと非常に広く、高調波歪率も低いです。これにより、JBL L112の3ウェイスピーカーが持つ豊かな音楽表現力を最大限に引き出すことができます。特に、低域と高域の再生能力が高いJBL L112は、DCA-1400の広い周波数帯域と低歪率によって、よりクリアでダイナミックな音質を実現します。
  • 機能の拡張:DCA-1400にはテープモニターやプリ・メイン分離端子、スピーカーA/B切り替えなど多くの機能が備わっています。これにより、JBL L112と組み合わせた際にも、より多様な音源や接続オプションが可能となります。例えば、プリ・メイン分離端子を使用することで、外部のイコライザーを接続して音質をさらに調整することができます。

OTTO/SANYO DCA-1400とDIATONE DS-66EXVの組み合わせ

OTTO/SANYO DCA-1400とDIATONE DS-66EXVの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:DCA-1400の出力インピーダンスは4Ω~16Ωであり、DS-66EXVの公称インピーダンスは6Ωですので、この範囲内でしっかりとマッチングが可能です。また、DCA-1400の周波数特性は15Hz~100kHzと広範であり、DS-66EXVの再生周波数帯域38Hz~30kHzともよく合致しています。このような特性から、両者の組み合わせは非常にバランスが良く、高いパフォーマンスを発揮します。
  • 音質の向上:DCA-1400は全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路を採用しており、低歪みで高品質な音を出力します。これがDS-66EXVの高性能な3ウェイスピーカーと組み合わせることで、低域から高域まで非常にクリアでダイナミックな音質が得られます。特に、DS-66EXVのウーファーに搭載されているカーボン・グラファイト・ハニカム・コーンは、DCA-1400の低歪み設計と相まって、深みのある低音を実現します。
  • 機能の拡張:DCA-1400にはテープモニターやプリ・メイン分離端子、スピーカーA/B切替などの多機能があります。これにより、DS-66EXVの高性能をさらに引き出すことが可能です。例えば、DS-66EXVには新たにAVイコライザーが搭載されていますが、DCA-1400の多機能と組み合わせることで、より多彩な音場設定やソースに合わせた音質調整が可能になります。

OTTO/SANYO DCA-1400とYAMAHA NS-890の組み合わせ

OTTO/SANYO DCA-1400とYAMAHA NS-890の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:DCA-1400の出力インピーダンスは4Ω~16Ωであり、NS-890のインピーダンスは8Ωです。これにより、アンプとスピーカーの間で電気的なマッチングが適切に行われます。また、DCA-1400の実効出力は20W+20Wで、NS-890の最大許容入力は80Wです。これにより、アンプの出力がスピーカーの許容入力を超える心配がありません。さらに、DCA-1400にはプリ・メイン分離端子やスピーカーA/B切り替え機能もあり、システムの拡張性も高いです。
  • 音質の向上:DCA-1400は全段直結シンメトリカルピュア・コンプリメンタリーOCL回路を採用しており、低域から高域まで非常にクリアな音質を実現しています。一方で、NS-890は4ウェイ・4スピーカー・密閉方式を採用し、特に中高域に高純度ベリリウム振動板を使用しています。これにより、DCA-1400のアンプからの信号が非常に高精度で再生され、音質が大幅に向上します。
  • 機能の拡張:DCA-1400にはテープモニターやヘッドホン端子、ACアウトレットなど、多くの付属回路と機能があります。これにより、NS-890と組み合わせても、さまざまなオーディオ機器と連携することが可能です。特に、DCA-1400のトーンコントロール機能は、NS-890の連続可変のレベルコントロールと相まって、非常に細かい音質調整が可能です。

OTTO/SANYO DCA-1400を徹底解説!【他のアンプとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました

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