この記事の概要
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Pioneer A-D3は、1998年発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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Pioneer A-D3の概要と特徴

| Pioneer A-D3のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1998年5月 |
| 定価 | 39,000円 |
| 型式 | プリメインアンプ |
| 定格出力 | 70W+70W(4Ω)、45W+45W(8Ω) |
| 周波数特性 | 5Hz~100kHz +0 -2dB |
| 重量 | 5.9kg |
定価39,000円という価格帯にありながら、上位モデルA-D5の技術を継承した意欲作。それがPioneer A-D3です。ダイレクトエナジーMOS-FETとワイドレンジリニアサーキットを組み合わせ、低発熱化と小型化を進めながら、スピーカーを安定して鳴らすことを狙っています。
【ポイント①】ダイレクトエナジーMOS-FETとは?
小型で手頃なアンプでも、低域が頼りなくならない理由はどこにあるのでしょうか。
A-D3は出力段にダイレクトエナジーMOS-FETを採用しています。この素子はオン抵抗が小さく、優れたパワーリニアリティと低負荷ドライブ能力を狙える点が特徴です。

MOS-FETって何ですか?
MOS-FETはアンプの出力段などに使われる半導体素子です。音の傾向は設計によって変わりますが、高速動作や低負荷時の安定性を狙いやすい素子として採用されることがあります。
その結果、A-D3は価格帯やサイズを超えて、音の立ち上がりをすっきり出しやすいアンプになっています。ロックやポップスのリズムを軽快に聴きたい場合にも扱いやすいです。
- 出力段にダイレクトエナジーMOS-FETを採用しています。
- 低負荷ドライブ能力を重視した設計です。
- 低発熱化と小型化にも貢献しています。
【ポイント②】5Hz~100kHzのワイドレンジ再生
A-D3のCD、Tuner、Line系入力は5Hz~100kHz +0 -2dBの周波数特性を持っています。可聴帯域だけでなく、その外側まで余裕を持たせた設計です。
ワイドレンジリニアサーキットは、電流帰還型回路による1段増幅で必要なゲインを得るシンプルな回路です。出力インピーダンスの安定性を重視し、低域から高域までスピーカーを安定して鳴らすことを狙っています。
高域だけを強調するタイプではなく、音の抜けや空間の見通しを整えるためのワイドレンジ設計と考えるとわかりやすいです。
【ポイント③】コンプリメンタリーキャパシティペアとは?
電源部の平滑コンデンサーには、コンプリメンタリーキャパシティペアが採用されています。
このコンデンサーは、プラス側とマイナス側で発生する磁界を互いにキャンセルする考え方です。音楽信号に不要な影響を与えにくくするための、電源部の細かな工夫といえます。
さらに、非磁性体抵抗やオーディオ用コンデンサーなど、上級モデル向けだった音質重視パーツも使われています。価格を抑えながら音の純度を確保するというA-D3らしい設計です。
- 左右対称レイアウトで信号経路の短縮を狙っています。
- 独立ヒートシンクでMOS-FET間の相互干渉を抑えています。
- ダイレクトボタンでバランス回路とトーン回路をパスできます。
Pioneer A-D3と他のヴィンテージアンプとの比較


Pioneer A-D3と他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | Pioneer A-D3 | Pioneer A-D5X | ONKYO A-922M | DENON PMA-390IV |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 45W+45W(8Ω) | 60W+60W(8Ω) | 43W+43W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) |
| 高調波歪率 | ― | 0.05%(8Ω、20Hz~20kHz) | 0.08%(8Ω、20Hz~20kHz) | 0.01%(1kHz、8Ω) |
| ダンピングファクター | ― | ― | ― | ― |
| 重量 | 5.9kg | 6.7kg | 7.0kg | 7.0kg |
| 消費電力 | 110W | 160W | 120W | 135W |
| サウンドキャラクター | MOS-FETの軽快さとワイドレンジ感 | 上級筐体設計による安定感 | 小型ながら芯のある素直な音 | HCシングルプッシュプルの力感 |
Pioneer A-D3とPioneer A-D5Xとの比較
Pioneer A-D3とPioneer A-D5Xとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:A-D3は45W+45W(8Ω)、A-D5Xは60W+60W(8Ω)です。出力の余裕ではPioneer A-D5Xが優れています。
- 周波数特性:A-D3は5Hz~100kHz +0 -2dB、A-D5Xは5Hz~100kHz +0 -3dBです。表記上のフラットさではPioneer A-D3がわずかに有利です。
- 重量:A-D3は5.9kg、A-D5Xは6.7kgです。筐体の余裕ではPioneer A-D5Xが上回ります。
- 音の方向性:A-D5Xは筐体制振と電源の余裕、A-D3は価格を抑えた軽快さが魅力です。コンパクトで扱いやすい音を求めるならPioneer A-D3が選びやすいです。
Pioneer A-D3とONKYO A-922Mとの比較
Pioneer A-D3とONKYO A-922Mとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:A-D3は45W+45W(8Ω)、A-922Mは43W+43W(8Ω)です。出力ではPioneer A-D3がわずかに優れています。
- 周波数特性:A-D3は5Hz~100kHz +0 -2dB、A-922Mは5Hz~100kHz +0 -3dBです。表記上の広帯域感ではPioneer A-D3が有利です。
- 重量:A-D3は5.9kg、A-922Mは7.0kgです。筐体の重さではONKYO A-922Mが上回ります。
- 音の方向性:A-D3はMOS-FETの軽快さ、A-922MはAEIトランスによる落ち着いた安定感が魅力です。反応の速さを楽しむならPioneer A-D3が魅力的です。
Pioneer A-D3とDENON PMA-390IVとの比較
Pioneer A-D3とDENON PMA-390IVとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:A-D3は45W+45W(8Ω)、PMA-390IVは50W+50W(8Ω)です。出力ではDENON PMA-390IVがわずかに優れています。
- 高調波歪率:A-D3は公式ページに記載がなく、PMA-390IVは0.01%(1kHz、8Ω)です。数値で判断しやすいのはDENON PMA-390IVです。
- 重量:A-D3は5.9kg、PMA-390IVは7.0kgです。物量感ではDENON PMA-390IVが上回ります。
- 音の方向性:PMA-390IVはHCシングルプッシュプルの力感、A-D3はMOS-FETとシンプル回路の軽快さが魅力です。すっきりしたワイドレンジ感ならPioneer A-D3が選びやすいです。
Pioneer A-D3とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


Pioneer A-D3は8Ωで45W+45W、4Ωで70W+70Wの定格出力を持つアンプです。高能率なブックシェルフや、推奨アンプ出力の範囲に収まる小型スピーカーと合わせると扱いやすいです。
Pioneer A-D3とTANNOY Mercury M20 Goldとの組み合わせ
Pioneer A-D3とTANNOY Mercury M20 Goldとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:Mercury M20 Goldは8Ω、75W連続、90dB/W/1mです。A-D3の45W+45W(8Ω)と合わせやすく、互換性ではこの組み合わせが優れています。
- 音質の向上:A-D3の軽快な反応と、Mercury M20 Goldの明るい音調が合います。ポップスやジャズで抜けの良さを求めるならTANNOY Mercury M20 Goldとの組み合わせが魅力的です。
- おすすめの音楽ジャンル:ポップス、ロック、ジャズボーカルに向いています。音量余裕と扱いやすさのバランスではこの組み合わせが有利です。
Pioneer A-D3とCelestion SL-6との組み合わせ
Pioneer A-D3とCelestion SL-6との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:SL-6は8Ω、推奨アンプ出力35~100WRMSです。A-D3の45W+45Wは推奨範囲内で、互換性では良好な組み合わせです。
- 音質の向上:SL-6は82dB SPL/W/mと低能率です。大音量より近接リスニングで使うと、A-D3のワイドレンジ感が定位表現に効きます。
- おすすめの音楽ジャンル:室内楽、ピアノ、小編成ジャズに向いています。細かな響きの見通しではCelestion SL-6との組み合わせが優れています。
Pioneer A-D3とROGERS LS3/5Aとの組み合わせ
Pioneer A-D3とROGERS LS3/5Aとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:LS3/5Aは15Ω、最大許容入力25Wです。A-D3の出力に対して音量管理は必要で、扱いやすさではTANNOY Mercury M20 Goldが優れています。
- 音質の向上:小音量で使う前提なら、LS3/5Aの自然な中域とA-D3の軽快さが合います。声の距離感を楽しむならROGERS LS3/5Aとの組み合わせが魅力的です。
- おすすめの音楽ジャンル:女性ボーカル、弦楽、深夜の小音量リスニングに向いています。大音量より音の表情を重視するならこの組み合わせが優れています。
Pioneer A-D3は、A-D5の技術を継承しつつ価格を抑えた、扱いやすいプリメインアンプです。
ダイレクトエナジーMOS-FET、ワイドレンジリニアサーキット、コンプリメンタリーキャパシティペアを備え、軽快さとワイドレンジ感を重視したシステムを作りやすいです。大出力機ではありませんが、スピーカーを選べば日常的に音楽を楽しむアンプとして魅力があります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Pioneer A-D3の詳細スペック一覧
| Pioneer A-D3のスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | プリメインアンプ |
| 実用最大出力 | 100W+100W(EIAJ、4Ω) |
| 定格出力(両ch駆動) | 70W+70W(4Ω、20Hz~20kHz、0.2%)、45W+45W(8Ω、20Hz~20kHz、0.1%) |
| 入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.8mV/50kΩ、CD、Tuner、Line、Tape1/MD、Tape2/monitor:200mV/50kΩ |
| Phono最大許容入力 | Phono MM:150mV(1kHz、0.1%) |
| 出力レベル/インピーダンス | Tape1/MD、Tape2/Monitor:200mV/1kΩ、Tape rec:200mV/1kΩ |
| 周波数特性 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.3dB、CD、Tuner、Line、Tape1/MD、Tape2/Monitor:5Hz~100kHz +0 -2dB |
| トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz)、Treble:±8dB(10kHz) |
| ラウドネスコンター(Vol -30dB) | +5dB(100Hz)、+3dB(10kHz) |
| SN比(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) | Phono MM:85dB(at 5mV)、CD、Tuner、Line、Tape1/MD、Tape2/Monitor:108dB |
| スピーカー負荷インピーダンス | A、B:4Ω~16Ω、A+B:8Ω~32Ω |
| ACアウトレット | 電源スイッチ連動:2系統(100W)、電源スイッチ非連動:1系統(100W) |
| 電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 110W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅420x高さ114x奥行307mm |
| 重量 | 5.9kg |
| 付属 | ワイヤレスリモコン |
