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SANSUI AU-α707MRは、1995年発売のヴィンテージなプリメインアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI AU-α707MRの概要と特徴

| SANSUI AU-α707MRのスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1995年 |
| 定価 | 185,000円 |
| 型式 | インテグレーテッドアンプ |
| 実効出力 | 130W+130W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| 全高調波歪率 | 0.003%以下(8Ω、実効出力時) |
| ダンピングファクター | 150(8Ω) |
| 重量 | 23.5kg |
SANSUI AU-α707MRは、CMRRで理論値140dBの改善効果を実現するアドバンスドウィルソン・カレントミラー方式を搭載したNew Hyper α-Xバランス回路を核に据えたプリメインアンプです。回路内部で発生する電気的ノイズを動作上ゼロにするという高い目標を掲げたMRシリーズの頂点に位置し、純銅製アイソレーションパーツによる振動制御まで徹底することで、1995年当時の国産インテグレーテッドアンプとして最高水準の設計を実現しています。
SANSUI AU-α707MRを語るうえで欠かせない3つのポイントを順番に見ていきましょう。
特徴①|New Hyper α-Xバランス回路の革新
AU-α707MRが誇るダンピングファクター150(8Ω)、SN比120dB以上、THD 0.003%以下という数値群は、単なるスペックの積み重ねではありません。CMRRで理論値140dBという同相除去比を達成したアドバンスドウィルソン・カレントミラー方式の上下対称バランス型定電流回路が、これらの数値を支えています。
従来のHyper α-Xバランス回路をさらに発展させたこの回路は、ドライバー段を別巻線によるクローズドループに構成しており、素子の非対称性に起因するDCオフセットによる電流のばらつきを整えながら回路全体の動作安定性を向上させています。さらにドライブ段にNewダイアモンド差動回路を採用することで、位相反転なしで−出力を取り出し、激しく変化する入力信号に対する電流供給能力を高めています。

CMRRって何ですか?
CMRR(Common Mode Rejection Ratio)とは、アンプが同相(コモンモード)ノイズを拒絶する能力を示す指標で、値が大きいほどノイズ除去能力が優れています。AU-α707MRのアドバンスドウィルソン・カレントミラー回路では理論値140dBというきわめて高いCMRRを達成しており、電源やグラウンドを伝わる微細なノイズが音楽信号に混入することを原理的に排除します。
ダイナミックパワーは2Ω負荷で405W、4Ωで320Wという瞬発力を持ちます。定格130W+130Wという連続出力を大きく超えた瞬間的な大電流供給能力が、音楽の過渡的な峰音を歪なく再生する礎となっています。
特徴②|アイソレーテッド・メカニカルフィードバックと振動制御
電気的な設計の完成度だけでなく、AU-α707MRが音質劣化の原因として徹底的に排除しようとしたのが振動のメカニカルフィードバックです。マスターボリュームとシャーシの間、パワートランジスタと放熱器の間、電解コンデンサーの取付けベースなど、振動が伝わりやすいすべての結合部に純銅製のアイソレーションパーツを使用し、振動の伝達経路を構造的に遮断しています。



メカニカルフィードバックってどういう現象ですか?
スピーカーが再生した音圧の振動が床や棚板を伝わってアンプ筐体に戻り、内部の電解コンデンサーや半導体が微細に振動することで音楽信号にわずかな揺らぎが混入する現象です。純銅やテフロンなどの内部損失の大きな素材で各部をアイソレートすることで、この振動の伝達経路を物理的に断ち切り、音質への悪影響を防いでいます。
さらに強化ツイン・モノラル・コンストラクションを採用しています。電源系の振動源(大型トランスや電解コンデンサー)を中央に、パワートランジスタや放熱器などパワーユニットを左右対称に筐体両サイドに配置することで、最適な重量バランスを確保しアンプの固有振動を構造的に制御しています。
インシュレーターと底板の間、放熱器やボンネットとシャーシの間には分子構造が安定したテフロンテープとテフロンシートを多用しており、メカニカルノイズへの対策は電子回路と同レベルの密度で実施されています。
特徴③|New α-Xバランス電源と多彩なダイレクト入力
AU-α707MRの電源部には、New α-Xバランス電源を採用しています。出力段をバランス型クローズドループに、ドライバー段を上下対称バランス型定電流電源にし、アースから完全独立させたクローズドループ構成とすることで、電源アンバランス電流による音質劣化を防いでいます。
大型パワートランスや楕円形状電解コンデンサー、ファーストリカバリーダイオードを採用した電源部の充実ぶりは、ダイナミックパワー405W(2Ω)という瞬発力に裏打ちされた数字として現れています。音楽の過渡的なピーク再生で求められる瞬間的な電流供給を迷いなく行える設計です。
パワーアンプダイレクト入力は3系統に対応し、CDプレーヤーやネットワークプレーヤーなどのソースを直接パワーアンプ部に入力する運用が可能です。ソースパワーダイレクト機能では全ラインの入力信号をアクセサリー回路を通さずにパワーアンプ部へ伝送でき、信号経路の純粋化を徹底しています。
SANSUI AU-α707MRと他のヴィンテージプリメインアンプとの比較


SANSUI AU-α707MRと他のヴィンテージプリメインアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-α707MR | LUXMAN L-580 | Marantz PM-14 | DENON PMA-2000 |
|---|---|---|---|---|
| 発売年 | 1995年 | 1994年10月 | 1998年 | 1996年頃 |
| 定価 | 185,000円 | 380,000円 | 200,000円 | 100,000円 |
| 実効出力(8Ω、両ch) | 130W+130W | 50W+50W(純A級) | 100W+100W | 80W+80W |
| 全高調波歪率 | 0.003%以下 | 0.01%以下 | 0.008% | 0.01% |
| ダンピングファクター | 150(8Ω) | ― | 180(8Ω) | ― |
| 重量 | 23.5kg | 30kg | 23.0kg | 20.0kg |
| 消費電力 | 330W | 270W | 300W | 250W |
SANSUI AU-α707MRとLUXMAN L-580との比較
SANSUI AU-α707MRとLUXMAN L-580との比較は以下の通りです。
- 実効出力:L-580は50W+50W(8Ω、純A級動作)、AU-α707MRは130W+130W(8Ω)と出力の余裕ではAU-α707MRが2.6倍の優位を持ちます。ただしL-580は全出力域でA級動作を維持するため、小音量から大音量まで一切クロスオーバー歪のない純粋なA級サウンドを提供します。
- 全高調波歪率:AU-α707MRは0.003%以下、L-580は0.01%以下です。低歪率の数値ではAU-α707MRが優位ですが、L-580のA級動作ではクロスオーバー歪が根本的に存在しないため、歪の「種類」という面での差が音色に影響します。
- 音楽性・価格帯:L-580(¥380,000、30kg)はAU-α707MR(¥185,000、23.5kg)の約2倍の価格を持ちます。コストパフォーマンスと総合出力性能ではAU-α707MRが有利で、L-580は純A級動作の音質的メリットを求めるユーザーに向いています。
- 消費電力:L-580は270W、AU-α707MRは330Wです。消費電力の効率面ではL-580がわずかに有利ですが、AU-α707MRのダイナミックパワー405W(2Ω)の余裕はL-580には及ばない数字です。
SANSUI AU-α707MRとMarantz PM-14との比較
SANSUI AU-α707MRとMarantz PM-14との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-α707MRは130W+130W(8Ω)、PM-14は100W+100W(8Ω)と出力の余裕はAU-α707MRが有利です。ダイナミックパワーでも405W(2Ω)対PM-14の非公表という差があり、難鳴らしスピーカーへの駆動力ではAU-α707MRが勝ります。
- 全高調波歪率:AU-α707MRは0.003%以下、PM-14は0.008%(20Hz~20kHz、8Ω)です。低歪率ではAU-α707MRが優位ですが、PM-14の電流帰還型アンプによるハイスピードな音楽表現は独自の魅力を持ちます。
- ダンピングファクター:PM-14はDF 180(8Ω)、AU-α707MRはDF 150(8Ω)とほぼ同水準です。スピーカー制動力はほぼ互角で、どちらも低域の引き締まりには十分な数値となっています。
- SN比・価格:AU-α707MR(SN比120dB以上、¥185,000)はPM-14(SN比110dB、¥200,000)より静粛性に優れ、かつ低価格です。SN比と価格の両面でAU-α707MRが有利な数値を示しています。
SANSUI AU-α707MRとDENON PMA-2000との比較
SANSUI AU-α707MRとDENON PMA-2000との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-α707MRは130W+130W(8Ω)、PMA-2000は80W+80W(8Ω)と出力の余裕ではAU-α707MRが明確に有利です。大型スピーカーや難鳴らし機種への駆動力は大きく異なります。
- 全高調波歪率:AU-α707MRは0.003%以下、PMA-2000は0.01%(定格出力-3dB時、1kHz)です。低歪率の数値ではAU-α707MRが約3倍の優位を持ち、バランス型設計の精度の高さが数字に現れています。
- SN比:AU-α707MRはSN比120dB以上(パワーアンプ部)、PMA-2000はSN比110dB(Line入力)と静粛性でもAU-α707MRが優位で、弱音再生の精細さに差が出ます。
- 価格:PMA-2000(¥100,000)はAU-α707MR(¥185,000)の約54%の定価です。コストパフォーマンスではPMA-2000が有利で、UHC MOSによる大電流設計を100,000円台で入手できる点がPMA-2000の強みとなります。
SANSUI AU-α707MRとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-α707MRとYAMAHA NS-1000Mとの組み合わせ
SANSUI AU-α707MRとYAMAHA NS-1000Mとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:YAMAHA NS-1000M(1974年~1997年、¥119,000/台)はインピーダンス8Ω・最大許容入力100W・出力音圧90dB/W/mの3ウェイ密閉型スピーカーです。AU-α707MRの8Ω出力130Wは最大許容100Wを上回りますが、実音楽再生での平均電力は定格を大きく下回るため、適切な音量管理のもとで長期にわたって使用されてきた組み合わせです。
- 音質の向上:NS-1000Mのベリリウム振動板(中域8.8cmドーム、高域3cmドーム)が持つ高純度の中高域再現と密閉型エンクロージャーの引き締まった低域に対し、AU-α707MRのDF 150という高い制動力が40Hzという低域限界まで正確にコントロールします。SN比120dBという静粛性がベリリウム振動板の微細な表現を余すところなく引き出します。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシックのオーケストラやピアノ独奏、ジャズのヴォーカル録音など、ベリリウムが持つ情報量の多い中高域が活きるジャンルに最適です。AU-α707MRのバランス回路が生み出す低ノイズと、NS-1000Mのモニター的な解像度が、スタジオ録音の微細なニュアンスまで再現します。
SANSUI AU-α707MRとONKYO D-77Xとの組み合わせ
SANSUI AU-α707MRとONKYO D-77Xとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:ONKYO D-77X(¥59,800/台、1986年)はインピーダンス6Ω・最大入力200W・再生周波数28Hz~45000Hzの3ウェイバスレフ型スピーカーです。AU-α707MRの6Ω負荷でのダイナミックパワー210Wは最大入力200Wに近い数値ですが、瞬間的なピーク以外では実用上十分な安全域があります。6Ω負荷での安定動作はAU-α707MRのバランス電源設計が支えています。
- 音質の向上:D-77Xの31cmピュア・クロスカーボンウーファーと45kHzまで伸びるプラズマ・ナイトライデッドチタンツイーターの超広帯域再生に対し、AU-α707MRのスルーレート200V/μsec・周波数特性DC~300kHzという超高速特性が完璧に対応します。AU-α707MRのDF 150がD-77Xの31cmウーファーを精密に制動し、28Hzという深い低域をタイトに再現します。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック・エレクトロニカ・ポップスのライブ録音など、低域の力感と超高域の開放感が同時に求められる音楽に向いた組み合わせです。D-77Xのアコースティック・スタビライザー装着の重量級ウーファーとAU-α707MRの大電流供給が生み出す低域の躍動感は、国産ヴィンテージシステムの豊かさを体感させてくれます。
SANSUI AU-α707MRとTANNOY Stirlingとの組み合わせ
SANSUI AU-α707MRとTANNOY Stirlingとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:TANNOY Stirling(¥198,000/台、1983年頃)は公称インピーダンス8Ω・許容入力100W連続/250Wピークの2ウェイ特殊バスレフ型スピーカーです。AU-α707MRの130W定格出力は100W連続許容を超えますが、250Wピーク許容の余裕と実音楽再生での平均電力の低さにより、適度な音量管理のもとで優れた組み合わせとなります。
- 音質の向上:TANNOYのデュアルコンセントリック同軸ユニットが持つ点音源的な音像定位と中高域の豊かな倍音再現に対し、AU-α707MRのSN比120dB以上という静粛性と0.003%以下の低歪率が相乗効果を発揮します。バリアブル・ポートの3段階調整でStirlingの低域特性をリスニング環境に合わせて最適化でき、AU-α707MRのDF 150による精密な制動がその効果を最大化します。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシックの室内楽・チェンバロ・バロック音楽など、古楽器の倍音の豊かさと演奏空間の雰囲気再現が重要なジャンルに最適な組み合わせです。SANSUIのバランス設計が生む低ノイズとTANNOYのデュアルコンセントリックが融合し、時代を超えた音楽体験を提供します。
SANSUI AU-α707MRは、CMRRで理論値140dBを誇るNew Hyper α-Xバランス回路と純銅製アイソレーションパーツによる振動制御を搭載した1995年のヴィンテージ・プリメインアンプです。
比較3機種(LUXMAN L-580・Marantz PM-14・DENON PMA-2000)との検討を通じて明らかになったのは、SN比120dB以上・THD 0.003%以下・DF 150という1995年国産インテグレーテッドアンプとしての高水準スペックを¥185,000で実現したAU-α707MRのコストパフォーマンスの高さです。YAMAHA NS-1000M・ONKYO D-77X・TANNOY Stirlingのようなヴィンテージスピーカーとの組み合わせで、その実力をさらに発揮します。
最後まで読んでいただきありがとうございました
SANSUI AU-α707MRの詳細スペック一覧
| SANSUI AU-α707MRのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | インテグレーテッドアンプ |
| 実効出力(10Hz~20kHz、両ch同時動作) | 160W+160W(6Ω) / 130W+130W(8Ω) |
| 全高調波歪率(実効出力時) | 0.003%以下(8Ω) |
| 混変調歪率 | 0.003%以下(8Ω) |
| ダンピングファクター | 150(8Ω) |
| 周波数特性(1W) | DC~300kHz +0 -3dB |
| SN比(Aネットワーク、パワーアンプ部) | 120dB以上 |
| ダイナミックパワー | 405W(2Ω) / 320W(4Ω) / 210W(6Ω) |
| スルーレイト | 200V/μsec |
| ライズタイム | 0.5μsec |
| 入力感度/インピーダンス(パワーアンプ部) | 1V/5kΩ(1kHz) |
| 入力感度/インピーダンス(プリアンプ部) | Phono MM:2.5mV/47kΩ / Phono MC:300μV/100Ω / CD、Tuner、Line:150mV/20kΩ |
| SN比(プリアンプ部) | Phono MM:88dB以上 / Phono MC:70dB以上 / CD、Tuner、Line:110dB以上 |
| トーンコントロール | Bass:最大±6dB(50Hz) / Treble:最大±6dB(15kHz) |
| 定格消費電力 | 330W |
| 外形寸法 | 幅471×高さ162×奥行452mm |
| 重量 | 23.5kg |
