この記事の概要
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SANSUI AU-607は、1976年発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI AU-607の概要と特徴

| SANSUI AU-607のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1976年 |
| 定価 | 69,800円 |
| 型式 | DCプリメインアンプ |
| 実効出力 | 65W+65W(8Ω、20Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 60(8Ω) |
| 重量 | 15.3kg |
SANSUI AU-607は、オーディオ信号の過渡応答とワイドレンジ再生を重視して開発されたプリメインアンプです。DCアンプ構成、デュアルFET、ツイントランス電源を採用し、1970年代のサンスイらしい力感と緻密さを両立しています。
特徴①|TIM歪を抑えるワイドレンジ設計
AU-607は、過渡混変調歪を抑えるために裸特性を重視した設計を採用しています。
多量のNFBだけに頼らず、周波数特性や位相特性を整えたうえで必要最小限のNFBをかける考え方です。これにより、パルシブな音楽信号への追従性を高めています。

TIM歪って何ですか?
過渡混変調歪は、急激な音楽信号にアンプが追従しきれないときに生じる歪です。AU-607では、高域まで位相特性を整える設計でこの問題に取り組んでいます。
特徴②|DCアンプ構成とデュアルFET
パワーアンプ部にはDCアンプ構成を採用し、初段には新開発のデュアルFETを搭載しています。従来のFETより大きな電流を流せる素子を使うことで、スルーレートの向上やサミングポイントでの動作安定を狙っています。
実効出力は65W+65W(8Ω)で、ダンピングファクターは60(8Ω)です。大出力を誇示するタイプではありませんが、中型スピーカーをしっかり鳴らすには十分な実力を持っています。
- DCアンプ構成で低域から高域までの見通しを狙っています。
- デュアルFETにより入力段の安定性を高めています。
- ダンピングファクター60により低域制動も期待できます。
特徴③|左右独立ツイントランス電源
電源部にはパワートランスを2個採用し、左右チャンネルを独立させた構成です。これにより、片チャンネルの大きな信号がもう片側へ与える影響を抑え、クロストークや電源変動への対策を行っています。
電源用コンデンサーは12,000μF×4で、定電圧電源回路やメタライズドフィルムコンデンサーも採用されています。低音域の歯切れと中高域の厚みを支える、AU-607らしい物量投入です。
SANSUI AU-607と他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-607と他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-607 | SANSUI AU-707 | VICTOR JA-S41 | TRIO KA-7300 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 65W+65W(8Ω) | 85W+85W(8Ω) | 65W+65W(8Ω) | 65W+65W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.03%以下 | 0.03%以下 | 0.02%(1kHz、65W) | 0.1%(定格出力時) |
| ダンピングファクター | 60(8Ω) | 60(8Ω) | ― | 30 |
| 重量 | 15.3kg | 16.8kg | 10.2kg | 14kg |
| 消費電力 | 185W | 225W | 160W | 170W |
| サウンドキャラクター | DC構成の反応と厚み | 上位機らしい余裕と重心 | 独立電源の安定感 | 左右独立電源の明快さ |
SANSUI AU-607とSANSUI AU-707との比較
SANSUI AU-607とSANSUI AU-707との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-607は65W+65W、AU-707は85W+85Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-707が優れています。
- ダンピングファクター:どちらも60(8Ω)です。低域制動の数値では両機は同等です。
- 重量:AU-607は15.3kg、AU-707は16.8kgです。物量感ではSANSUI AU-707が上回ります。
- 音の方向性:AU-707はより余裕のある上位機、AU-607は扱いやすさと本格設計のバランスが魅力です。設置性と音質の両立ではSANSUI AU-607が選びやすいです。
SANSUI AU-607とVICTOR JA-S41との比較
SANSUI AU-607とVICTOR JA-S41との比較は以下の通りです。
- 実効出力:どちらも65W+65W(8Ω)です。出力では同等です。
- 高調波歪率:AU-607は0.03%以下、JA-S41は0.02%(1kHz、65W)です。数値上の低歪率ではVICTOR JA-S41が有利です。
- 重量:AU-607は15.3kg、JA-S41は10.2kgです。物量感ではSANSUI AU-607が上回ります。
- 音の方向性:JA-S41は独立電源の安定感、AU-607はDC構成とツイントランスによる厚みが魅力です。中低域の力感まで求めるならSANSUI AU-607が合いやすいです。
SANSUI AU-607とTRIO KA-7300との比較
SANSUI AU-607とTRIO KA-7300との比較は以下の通りです。
- 実効出力:どちらも65W+65W(8Ω、20Hz~20kHz)です。出力では同等です。
- ダンピングファクター:AU-607は60、KA-7300は30です。低域制動の数値ではSANSUI AU-607が優れています。
- 重量:AU-607は15.3kg、KA-7300は14kgです。筐体重量ではSANSUI AU-607がわずかに上回ります。
- 音の方向性:KA-7300は左右独立セパレート電源の明快さ、AU-607はDC構成の反応と低域制動が魅力です。低域の締まりを重視するならSANSUI AU-607が選びやすいです。
SANSUI AU-607とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-607は、8Ωで65W+65Wの実効出力とダンピングファクター60を持つDCプリメインアンプです。強力すぎる大出力機ではありませんが、8Ωで許容入力60W前後から100W級のヴィンテージスピーカーと合わせると、過渡応答の良さと低域の制動感を活かしやすいです。
ここではAudio Heritageで定格を確認できるスピーカーから、同時代のPioneer密閉型、TANNOYの同軸フロア型、JBLのバスレフ型モニターを選び、AU-607との相性を解説します。
SANSUI AU-607とPioneer CS-700との組み合わせ
SANSUI AU-607とPioneer CS-700との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:CS-700は8Ω、最大入力60W、出力音圧レベル95dB/Wの3ウェイ密閉型ブックシェルフです。AU-607の8Ω時65W+65Wは最大入力60Wに近いため、大音量で長時間鳴らすよりも音量に余裕を残した使い方が向いています。95dB/Wの高能率を活かせるので、アンプ出力を使い切らずに十分な音量を得やすい組み合わせです。
- 音質の向上:CS-700は30cmコーン型ウーファー、12cmコーン型ミッドレンジ、ホーン型トゥイーターを搭載し、35Hz〜20kHzを再生します。密閉方式の締まりにAU-607のダンピングファクター60が合わさることで、30cmウーファーの量感を保ちながら低域を引き締めやすい音になります。通常時のクロスオーバーは500Hz、5kHzで、中域の厚みと高域の抜けも作りやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:昭和歌謡、70年代ロック、ジャズ、フォークに向いています。同時代の国産ヴィンテージらしい押し出しと扱いやすさを重視するなら、日常音量で明るく厚みのある音を楽しみたい人に合う組み合わせです。
SANSUI AU-607とTANNOY Cheviotとの組み合わせ
SANSUI AU-607とTANNOY Cheviotとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:Cheviotは8Ω、許容入力60W、出力音圧レベル89dB/Wの2ウェイ・バスレフ方式フロア型です。AU-607の8Ω時65W+65Wは許容入力60Wに近いため、ボリュームを上げすぎない音量管理が大切です。31.5cm同軸ユニットを無理なく鳴らすなら、中音量で余裕を残して使うと安心な組み合わせです。
- 音質の向上:Cheviotは31.5cm同軸型HPD315Aを搭載し、40Hz〜20kHzを再生します。1kHzクロスオーバーのデュアル・コンセントリック構成にAU-607のDCアンプらしいワイドレンジ感を合わせることで、声の定位と自然な音場を出しやすい音になります。バスレフ方式のため、背面や側面の壁との距離を調整すると低域の量感を整えやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ジャズボーカル、クラシック、室内楽、アコースティックに向いています。AU-607の過渡応答とTANNOYの同軸表現を合わせることで、声や弦のまとまりをゆったり聴きたい人に合う組み合わせです。
SANSUI AU-607とJBL 4312Aとの組み合わせ
SANSUI AU-607とJBL 4312Aとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:4312Aは8Ω、許容入力100W、出力音圧レベル93dB/W/mの3ウェイ・バスレフ型ブックシェルフです。AU-607の8Ω時65W+65Wに対して入力余裕があり、93dB/W/mの能率もあるため、家庭内の音量では扱いやすいです。AU-607の出力を無理に使い切らず、JBLらしい30cmウーファーの反応を引き出しやすい組み合わせです。
- 音質の向上:4312Aは30cmコーン型ウーファー、13cmコーン型ミッドレンジ、ドーム型トゥイーターを搭載し、45Hz〜20kHzを再生します。1.1kHz、4.2kHzのクロスオーバーを持つ3ウェイ構成にAU-607の低歪なDCアンプ構成を合わせることで、リズムの立ち上がりと中域の厚みを出しやすい音になります。エンクロージャー容積は40Lで、設置により低域の押し出しを調整しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、ファンク、フュージョン、ライブ音源に向いています。AU-607の力強さをJBLのバスレフ型モニターに合わせることで、ドラムやベースの勢いをヴィンテージらしく楽しみたい人に合う組み合わせです。
SANSUI AU-607は、1970年代のサンスイが過渡応答と物理特性を丁寧に追い込んだDCプリメインアンプです。
DCアンプ構成、デュアルFET、左右独立ツイントランス電源、12,000μF×4の電源コンデンサーにより、力感と見通しを両立しています。出力だけでなく、音の立ち上がりや低域制動まで含めて楽しみたい人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-607の詳細スペック一覧
| SANSUI AU-607のスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | DCプリメインアンプ |
| <パワーアンプ部> | |
| 実効出力(両ch動作) | 65W+65W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.03%)、65W+65W(8Ω、1kHz、THD 0.003%) |
| 全高調波歪率 | 0.03%以下(20Hz~20kHz、実効出力時) |
| 混変調歪率 | 0.03%以下(70Hz:7kHz=4:1) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~50kHz(8Ω) |
| ダンピングファクター | 60(8Ω) |
| 周波数特性(1W) | DC~200kHz +0 -3dB |
| 入力感度/インピーダンス | 1V/47kΩ |
| SN比 | 115dB以上 |
| チャンネルセパレーション | 75dB以上(1kHz、入力ショート) |
| <プリアンプ部> | |
| 入力感度/インピーダンス | Phono1、2:2.5mV/47kΩ、Aux、Tuner、Tape play1、2:150mV/47kΩ |
| Phono最大許容入力 | 300mV(1kHz、THD 0.01%) |
| 出力レベル | Tape rec1、2:150mV/47kΩ、Pre out:1V/47kΩ、Max Pre out:10V/47kΩ |
| 出力インピーダンス | Tape rec1、2:600Ω以下、Pre out:75Ω以下 |
| 全高調波歪率 | 0.01%以下(1V出力時)、0.1%以下(10V出力時) |
| 周波数特性 | 5Hz~50kHz +0 -1dB |
| RIAA偏差 | ±0.2dB(20Hz~20kHz) |
| SN比 | Phono1、2:77dB以上、Aux、Tuner、Tape play1、2:100dB以上 |
| トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz)、Treble:±10dB(15kHz) |
| サブソニックフィルター | 16Hz(-3dB、6dB/oct) |
| ラウドネス | +10dB(50Hz)、+7dB(10kHz)(Volume -30dB) |
| <総合> | |
| ACコンセント | 電源スイッチ連動:1系統(100W)、電源スイッチ非連動:2系統(250W) |
| 定格消費電力 | 185W |
| 外形寸法 | 幅430x高さ168x奥行389mm、幅482x高さ168x奥行418mm(ラックマウントアダプター装着時) |
| 重量 | 15.3kg |
| 別売 | ラックマウントアダプターBX-7(3,000円) |
