SANSUI(サンスイ)AU-α607DRを徹底解説!【他のアンプとの比較】

SANSUI(サンスイ)AU-α607DRを徹底解説!【他のアンプとの比較】

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SANSUI AU-α607DRはヴィンテージなプリメインアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

SANSUI(サンスイ)AU-α607DRの概要と特徴

SANSUI(サンスイ)AU-α607DRのスペック
<パワーアンプ部>
実効出力
(10Hz~20kHz、両ch同時作動)
6Ω:105W+105W
8Ω:90W+90W
全高調波歪率(実効出力時)0.003%以下(8Ω)
ダンピングファクター150(8Ω)
入力感度/インピーダンス(1kHz)1V/5kΩ
ダイナミックパワー2Ω:280W
4Ω:220W
6Ω:155W
<プリアンプ部>
入力感度/インピーダンス(1kHz)Phono MM:2.5mV/47kΩ
Phono MC:300μV/100Ω
CD、Tuner、Line、Tape/DAT1・2・3:150mV/20kΩ
Phono最大許容入力MM(THD 0.01%):210mV
MC(THD 0.1%):21mV
SN比(Aネットワーク)Phono MM:88dB以上
Phono MC:70dB以上
CD、Tuner、Line、Tape/DAT-1・2・3:110dB以上
<総合>
定格消費電力250W
外形寸法幅430x高さ159x奥行446mm
重量18kg

SANSUI AU-α607DRは1991年に発売したプリメインアンプです。

音楽信号が直接通過する部分をはじめ振動分散・非共振設計のインシュレーターなど、各パーツのクオリティも徹底的に追求しています。

では、以下からSANSUI AU-α607DRの特徴を解説します。

①:アンプの増幅回路をアース回路から独立

SANSUI AU-α607DRのアンプ増幅回路はアース回路から独立されています。

この設計手法は一般的に「浮遊式回路」とも呼ばれ、特に高級オーディオ機器でよく見られます。

独立しているとなんか良いことがあるの?

あります。

通常、電子回路には「グラウンド」または「アース」と呼ばれる共通の電位が存在します。

しかし、この共通の電位にはノイズが混入する可能性があり、それが信号に影響を与えることがあります。

浮遊式回路では、増幅回路のアースと電源のアースを物理的に分離することで、このような問題を解消します。

以下はアンプの増幅回路をアース回路から独立する利点です。

  • ノイズ低減:アース回路から独立させることで、外部からのノイズや内部のノイズが増幅回路に影響を与えにくくなります。
  • 信号品質の向上:アース回路の影響を受けにくい設計となるため、信号の純度が高まり、よりクリアな音質を実現します。
  • 安定した動作:電源ノイズや他の回路からの影響を受けにくいため、アンプ自体の動作が安定します。
  • 高い分解能:ノイズが少ないと、音の細部までしっかりと再生されるため、高い分解能の音楽再生が可能になります。
  • 相互干渉の低減:複数の回路が同じアースを共有すると、相互に干渉し合う可能性がありますが、この設計手法によってそのリスクが低減します。

②:アイソレーテッド・メカニカル・フィードバックを導入

SANSUI AU-α607DRの振動を伝達する経路には、アイソレーテッド・メカニカル・フィードバックが導入されています。

アイソレーテッド・メカニカル・フィードバックは、振動や外部からの衝撃が音質に悪影響を与えるのを防ぐための特別な設計手法です。

以下は、アイソレーテッド・メカニカル・フィードバックが導入される流れです。

STEP
振動源の特定

まず、アンプ内部や外部から発生する可能性のある振動源を特定します。これには、トランス、コンデンサ、抵抗などの電子部品、または機器を設置する場所から発生する振動などが考慮されます。

STEP
振動の伝達経路の解析

次に、振動がどのようにしてアンプ内部の重要な部分に伝わるのかを解析します。これは、振動が音質に与える影響を正確に評価し、効果的な対策を講じるために不可欠です。

STEP
アイソレーション素材と構造の選定

振動の伝達経路が明らかになったら、次はそれを遮断するための素材と構造を選定します。特殊なゴム、金属、または合成樹脂などが用いられることが多いです。

STEP
メカニカル・フィードバックの導入

選定された素材と構造を用いて、アイソレーテッド・メカニカル・フィードバックを実装します。これは、振動が発生した場合にそれを感知し、逆の振動を生成して打ち消すような仕組みも含まれる場合があります。

STEP
テストと調整

最後に、実装した手法が効果的に振動を抑制しているかをテストします。必要に応じて、素材や構造、フィードバックのパラメータを調整して、最適な性能を実現します。

上記のようにして、振動からくる音質の劣化を最小限に抑えます。

③:NM-LAPTを搭載したアドバンスドα-Xバランス回路を採用

SANSUI AU-α607DRには、NM-LAPTを搭載したアドバンスドα-Xバランス回路が採用されています。

NM-LAPTを搭載したアドバンスドα-Xバランス回路ってなに?

一言で解説するのは難しいので、言葉を分解しながら解説します。

まず、NM-LAPTは新しい多層非対称パワートランジスタのことです。

このトランジスタは、高い電流容量と高速のスイッチング能力を持っています。

これにより、アンプはより広い帯域で効率的に動作し、音質が向上します。

そして、α-Xバランス回路はアンプの入力から出力までの信号経路を最適化する設計手法です。

この「アドバンスド」バージョンでは、さらに高度な調整と最適化が行われています。

結果として、ノイズが極端に低減し、音質が高まります。

NM-LAPTとアドバンスドα-Xバランス回路は、単独で使用するよりも一緒に使用することで、その性能を最大限に引き出します。

NM-LAPTの高い電流容量と速度は、α-Xバランス回路の精度を高め、全体として非常に高いパフォーマンスを実現します。

SANSUI AU-α607DRと他のヴィンテージアンプとの比較

SANSUI AU-α607DRと他のヴィンテージアンプとの比較

当然ですが、ヴィンテージアンプはSANSUI AU-α607DRだけではありません。

以下では

  • YAMAHA AX-500
  • OPTONICA SM-4000
  • DENON PMA-700V

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

SANSUI AU-α607DRとYAMAHA AX-500との比較

SANSUI AU-α607DRとYAMAHA AX-500との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:SANSUI AU-α607DRは6Ωで105W+105W、8Ωで90W+90Wの出力があります。一方、YAMAHA AX-500は6Ωで100W+100W、8Ωで85W+85Wです。SANSUIの方がわずかに高出力です。
  • 入力感度/インピーダンス:SANSUIは1V/5kΩ、YAMAHAはAUX他で150mV/47kΩとなっています。これは用途や接続する機器によって評価が分かれるため、一概に良し悪しは言えません。
  • 負荷インピーダンス:両者ともに6Ωと8Ωのスピーカーに対応しています。
  • SN比:SANSUIは120dB以上、YAMAHAはMMで84dBとなっています。この点では、SANSUIが優れています。
  • 消費電力:SANSUIは250W、YAMAHAは170Wとなっています。消費電力が少ないYAMAHAがエコノミーであると評価できます。
  • 重量:SANSUIは18.0kg、YAMAHAは7.8kgと、SANSUIの方が重いです。
  • 音質:SANSUIはNM-LAPTを搭載の画期的なアドバンスドα-Xバランス回路を採用しています。YAMAHAはALA回路を搭載しています。

SANSUI AU-α607DRとOPTONICA SM-4000との比較

SANSUI AU-α607DRとOPTONICA SM-4000との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:SANSUIは6Ωで105W+105W、8Ωで90W+90Wです。一方、OPTONICAは8Ωで70W+70Wです。出力面ではSANSUIが優れています。
  • 混変調歪率:SANSUIは0.003%以下、OPTONICAは0.1%(実効出力時)です。この点でもSANSUIが優れています。
  • 入力感度/インピーダンス:SANSUIは1V/5kΩ、OPTONICAはPower inで800mV/50kΩです。こちらは用途によって評価が分かれる可能性がありますが、一般的にはSANSUIがより高い感度を持っています。
  • ダンピングファクター:SANSUIは150(8Ω)、OPTONICAは60以上(1kHz、8Ω)です。SANSUIがより制御性が高いと言えます。
  • SN比:SANSUIは120dB以上、OPTONICAは100dB以上です。この点でもSANSUIが優れています。
  • 消費電力:SANSUIは250W、OPTONICAは160Wです。消費電力が少ないOPTONICAがエコフレンドリーです。
  • 重量:SANSUIは18.0kg、OPTONICAは16kgです。若干ですが、OPTONICAの方が軽いです。
  • 音質:SANSUIはアドバンスドα-Xバランス回路やNM-LAPTを搭載しており、非常に高い音質が期待できます。OPTONICAも低歪率化を図るSLADサーキットを採用していますが、全体的に見てSANSUIが優れていると言えます。

SANSUI AU-α607DRとDENON PMA-700Vとの比較

SANSUI AU-α607DRとDENON PMA-700Vとの比較は以下の通りです。

  • 実効出力:SANSUIの方が6Ωで105W+105W、8Ωで90W+90Wとなっています。一方、DENONは8Ωで105W+105W、6Ωで125W+125Wです。DENONの方が出力が高く、より大きなスピーカーを駆動できる可能性があります。
  • 混変調歪率:両者ともに非常に低い混変調歪率を持っており、SANSUIは0.003%以下、DENONも0.003%です。
  • 入力感度/インピーダンス:SANSUIは1V/5kΩ、DENONは150mV/30kΩとなっています。SANSUIの方が入力感度が高く、より多くのオーディオソースに対応しています。
  • SN比:SANSUIは120dB以上、DENONはラインで107dBです。SANSUIの方がノイズが少なく、クリアな音質を楽しめます。
  • 消費電力:SANSUIは250W、DENONは205Wとなっています。消費電力が少ないDENONの方がエコです。
  • 重量:SANSUIは18.0kg、DENONは12.0kgとなっています。設置や移動を考慮すると、DENONの方が便利です。
  • 音質:SANSUIはアドバンスドα-Xバランス回路、DENONはデュアル・スーパー無帰還パワーアンプを採用しています。どちらも高品質な音を提供する設計ですが、好みの問題もあるため一概には言えません。

SANSUI AU-α607DRとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

SANSUI AU-α607DRとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

以下では、SANSUI AU-α607DRとヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。

SANSUI AU-α607DRと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、

  • AAD Q-50
  • JBL A660
  • YAMAHA NS-200Ma

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

SANSUI AU-α607DRとAAD Q-50の組み合わせ

SANSUI AU-α607DRとAAD Q-50の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:SANSUI AU-α607DRは、6Ωで105W+105W、8Ωで90W+90Wの出力を持っています。一方で、AAD Q-50は6Ωのインピーダンスと10W~500Wの推奨パワーを持っています。このスペックを見る限り、両者は非常に良い互換性を持っていると言えます。特に、6Ωのインピーダンスでのマッチングが非常に良く、高い出力でも安定したパフォーマンスを発揮できます。
  • 音質の向上:SANSUI AU-α607DRは、高度なα-Xバランス回路とNM-LAPTを搭載しており、ダイナミックな周波数特性と低歪みを実現しています。一方、AAD Q-50は、低域から高域までバランスの取れたスピーカーユニットを搭載しています。これらを組み合わせることで、低域の力強さと高域のクリアさが一層引き立ち、非常に高いレベルの音質を実現できます。
  • 機能の拡張:SANSUI AU-α607DRには、パワー・アンプダイレクト機能が搭載されており、オーディオ信号を直接パワーアンプ部へ入力することができます。一方、AAD Q-50は、シングル/バイワイヤ/トライワイヤ接続に対応しています。この機能の組み合わせにより、より高度なオーディオ設定が可能となり、自分好みのサウンドを追求する余地が広がります。

SANSUI AU-α607DRとJBL A660の組み合わせ

SANSUI AU-α607DRとJBL A660の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:SANSUI AU-α607DRの実効出力は6Ωで105W、8Ωで90Wとなっています。一方で、JBL A660はインピーダンスが6Ω、許容入力が150Wです。この数値を見る限り、両者は非常によくマッチしています。特に、インピーダンスが6Ωで一致している点は、アンプとスピーカーが効率よく動作する証拠です。
  • 音質の向上:SANSUI AU-α607DRは、高度なα-Xバランス回路とNM-LAPTを搭載しており、非常に広い周波数特性と低い歪みを実現しています。一方のJBL A660も、新設計のウーファーとリング型ツィーターで高い音質を誇っています。この組み合わせによって、低域から高域まで非常にバランスの取れたサウンドを楽しむことができます。特に、SANSUI AU-α607DRの広い周波数特性がJBL A660の45Hz~45kHzの周波数帯域をしっかりとサポートしています。
  • 機能の拡張:SANSUI AU-α607DRは、多くの入力端子とパワー・アンプダイレクト機能を備えています。これにより、CDプレイヤーや他のオーディオ機器とも簡単に接続でき、多様な音源を高品質で再生することができます。JBL A660はバイワイヤ接続に対応しており、より高度な音質調整が可能です。

SANSUI AU-α607DRとYAMAHA NS-200Maの組み合わせ

SANSUI AU-α607DRとYAMAHA NS-200Maの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:SANSUI AU-α607DRは、6Ωで105W+105W、8Ωで90W+90Wの出力があります。一方で、YAMAHA NS-200Maは6Ωのインピーダンスを持ち、許容入力が100Wです。このことから、両者は非常によくマッチしていると言えます。特に、ダンピングファクターが150(8Ω)と高いSANSUI AU-α607DRは、低域のコントロールが優れているため、低域用25cmコーン型ユニットを持つYAMAHA NS-200Maとの相性は抜群です。
  • 音質の向上:SANSUI AU-α607DRは、NM-LAPTを搭載したアドバンスドα-Xバランス回路を採用しており、外来ノイズや同相歪を受けにくい設計となっています。これが、YAMAHA NS-200Maの3ウェイスピーカーシステムと組み合わせることで、各音域で非常にクリアな音質を実現します。特に、中域と高域での解像度が高く、音楽の細部までしっかりと再現されます。
  • 機能の拡張:SANSUI AU-α607DRは、パワー・アンプダイレクト機能を搭載しています。これにより、CDプレイヤーなどをダイレクトに接続することが可能です。また、6連ディテントボリューム、金メッキ入力端子、大型スピーカーターミナルなど、多くの高機能を備えています。

SANSUI(サンスイ)AU-α607DRを徹底解説!【他のアンプとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました

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