この記事の概要
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SANSUI AU-D607F Extraは、1981年発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI AU-D607F Extraの概要と特徴

| SANSUI AU-D607F Extraのスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1981年 |
| 定価 | 78,000円 |
| 型式 | インテグレーテッドDCアンプ |
| 実効出力 | 80W+80W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、20Hz~20kHz) |
| 重量 | 13.2kg |
AU-D607Fを土台に、さらに1ランク上の完成度を目指して改良されたのがSANSUI AU-D607F Extraです。80W+80W、THD 0.003%という数値に加え、NM-LAPTやHi-Precision MC/MMイコライザーを備えた、密度の高いプリメインアンプとなっています。
ここからは、SANSUI AU-D607F Extraの魅力を5つの視点から掘り下げていきます。
Point①|Super Feedforward & DD/DC方式の低歪設計
AU-D607F Extraのパワーアンプ部には、Super Feedforward & DD/DC方式が採用されています。実効出力は80W+80Wで、全高調波歪率と混変調歪率はいずれも0.003%以下です。
ベース機のAU-D607Fが0.005%以下だったことを考えると、Extraでは低歪率の数値がさらに詰められています。力強さだけでなく、音の輪郭を曇らせにくい方向へ磨かれたモデルです。

Super Feedforwardとは何ですか?
Super Feedforwardは、NFBだけでは取り切れない歪を打ち消すために、フィードフォワードの考え方を組み合わせたサンスイの低歪回路です。AU-D607F ExtraではTIM歪とエンベロープ歪を測定限界以下に抑える設計にもつながっています。
- 実効出力は80W+80W(8Ω、10Hz~20kHz)です。
- 全高調波歪率は0.003%以下です。
- 出力帯域幅は5Hz~70kHzです。
Point②|NM-LAPTとダイアモンド差動回路
AU-D607F Extraでは、初段にローノイズで大電流を流せるデュアルFETを採用し、2段目にはデュアルコンプリメンタリーによるダイアモンド差動回路を搭載しています。動特性の改善を狙った構成です。
出力トランジスタには高速素子であるNM-LAPTが採用されています。小音量でも反応が鈍りにくく、音の立ち上がりを明瞭に出したい場面でサンスイらしい芯のある鳴り方を支えます。



ダイアモンド差動回路とは何ですか?
ダイアモンド差動回路は、音楽信号の細かな変化に追従しやすくするための差動増幅回路です。AU-D607F Extraでは過渡的なピーク入力への追従性を高める役割を担っています。
Point③|左右独立2電源と32,800μFコンデンサー
AU-D607F Extraの電源部は左右独立2電源方式です。大型トランスとトータル32,800μFのコンデンサーを組み合わせ、左右チャンネルの干渉を抑えながら安定した電源供給を狙っています。
出力だけを大きく見せるのではなく、電源の余裕で音の腰を支える設計です。低域の押し出しと中域の密度を両立したい場合に、AU-D607F Extraの電源構成は大きな意味を持ちます。
消費電力は200Wで、重量は13.2kgです。扱いやすいサイズ感を保ちながら、F Extra系らしいしっかりした駆動力を持っています。
Point④|Hi-Precision MC/MMコンパチブル方式イコライザー
AU-D607F Extraは、フォノ部にも力が入っています。イコライザーアンプ部にはHi-Precision MC/MMコンパチブル方式を採用し、RIAA偏差は20Hz~300kHz ±0.2dBです。
Phono入力はMMが2.5mV/47kΩ、MCが250μV/100Ωです。入力からスピーカーアウトまで信号系のコンデンサーを排除しており、レコード再生でも情報量を損ないにくい構成になっています。
- Phono MMのSN比は88dB以上です。
- Phono MCのSN比は70dB以上です。
- MC最大許容入力は20mVです。
Point⑤|シンプル&ストレート化と実用装備
ヒートパイプと立体配線により、AU-D607F Extraは信号経路のシンプル&ストレート化を図っています。スピーカーA/B端子にはリレーを使い、出力の引き回しを抑えたリモートコントロール式の構成です。
音を汚すマグネティック・ディストーションを抑えるため、NMトランジスタやNM抵抗も採用されています。さらに大型スピーカー端子、ディテント式ボリューム、-20dBミューティング、2回路テープモニターなど、日常使用に便利な装備も揃っています。
- Lowフィルターは16Hz(-3dB、6dB/oct)です。
- 2種類のソースが独立したレコーディングセレクターを備えています。
- リアルウッドのサイドパネルとトップパネルを採用しています。
SANSUI AU-D607F Extraと他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-D607F Extraと他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-D607F Extra | SANSUI AU-D607F | SANSUI AU-D707F | Lo-D HA-5700 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 80W+80W(8Ω) | 75W+75W(8Ω) | 95W+95W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.003%以下 | 0.005%以下 | 0.005%以下 | 0.02% |
| ダンピングファクター | 100(8Ω) | 100(8Ω) | 100(8Ω) | ― |
| 重量 | 13.2kg | 12.4kg | 14.0kg | 10.8kg |
| 消費電力 | 200W | 200W | 250W | 140W |
| サウンドキャラクター | 低歪で締まりのあるExtra世代の明瞭さ | Fシリーズらしい軽快な低歪感 | 出力余裕と厚みのある上位感 | MOS FETらしい滑らかさ |
SANSUI AU-D607F ExtraとSANSUI AU-D607Fとの比較
SANSUI AU-D607F ExtraとSANSUI AU-D607Fとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607F Extraは80W+80W、AU-D607Fは75W+75Wです。出力ではSANSUI AU-D607F Extraがわずかに優れています。
- 高調波歪率:AU-D607F Extraは0.003%以下、AU-D607Fは0.005%以下です。低歪率ではSANSUI AU-D607F Extraが有利です。
- フォノ部:AU-D607F ExtraはRIAA偏差20Hz~300kHz ±0.2dBのHi-Precision MC/MMイコライザーを備えています。アナログ再生の精度ではSANSUI AU-D607F Extraが優れています。
- 扱いやすさ:重量はAU-D607F Extraが13.2kg、AU-D607Fが12.4kgです。軽さではAU-D607F、完成度ではSANSUI AU-D607F Extraが選びやすいです。
SANSUI AU-D607F ExtraとSANSUI AU-D707Fとの比較
SANSUI AU-D607F ExtraとSANSUI AU-D707Fとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607F Extraは80W+80W、AU-D707Fは95W+95Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D707Fが優れています。
- 高調波歪率:AU-D607F Extraは0.003%以下、AU-D707Fは0.005%以下です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607F Extraが有利です。
- 重量:AU-D607F Extraは13.2kg、AU-D707Fは14.0kgです。取り回しではAU-D607F Extra、上位機らしい余裕ではSANSUI AU-D707Fが優れています。
- 音の方向性:AU-D607F Extraは締まりと明瞭さ、AU-D707Fは出力余裕と厚みが魅力です。低歪で軽快に聴くならSANSUI AU-D607F Extraが向いています。
SANSUI AU-D607F ExtraとLo-D HA-5700との比較
SANSUI AU-D607F ExtraとLo-D HA-5700との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607F Extraは80W+80W、HA-5700は50W+50Wです。駆動力ではSANSUI AU-D607F Extraが優れています。
- 高調波歪率:AU-D607F Extraは0.003%以下、HA-5700は0.02%です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607F Extraが上回ります。
- 消費電力:AU-D607F Extraは200W、HA-5700は140Wです。省電力性ではHA-5700、電源と出力の余裕ではSANSUI AU-D607F Extraが有利です。
- 音の方向性:HA-5700はパワーMOS FETの滑らかさが魅力です。締まりのあるサンスイらしい低歪サウンドを求めるならSANSUI AU-D607F Extraが選びやすいです。
SANSUI AU-D607F Extraとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-D607F Extraは8Ωで80W+80W、ダンピングファクター100のプリメインアンプです。締まりと見通しを活かすなら、中型ブックシェルフを余裕を持って鳴らす組み合わせが向いています。
SANSUI AU-D607F Extraと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、以下の3機種です。
- ONKYO D-77XD
- VICTOR SX-500Spirit
- Pioneer S-55twin
以下では、互換性・音質・おすすめジャンルに分けて解説します。
SANSUI AU-D607F ExtraとONKYO D-77XDとの組み合わせ
SANSUI AU-D607F ExtraとONKYO D-77XDとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:D-77XDは6Ω、最大入力230W(EIAJ)、出力音圧レベル91dB/W/mです。AU-D607F Extraの80W+80Wと合わせると、余裕を残して鳴らしやすい組み合わせです。
- 音質の向上:D-77XDは28cmウーファー、8cmチタンドーム型ミッドレンジ、2.5cmチタンドーム型トゥイーターを備えたバスレフ型で、クロスオーバーは400Hz、3kHzです。AU-D607F Extraにより、25Hz〜45kHzの広帯域と低域の制動感を出しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:フュージョン、シティポップ、ロック、女性ボーカルに向いています。低域の量感と見通しを両立したい人に合います。
SANSUI AU-D607F ExtraとVICTOR SX-500Spiritとの組み合わせ
SANSUI AU-D607F ExtraとVICTOR SX-500Spiritとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:SX-500Spiritは6Ω、定格入力45W、最大入力180W(EIAJ)、出力音圧レベル90dB/W/mです。AU-D607F Extraでは、中音量までを中心に音量を整えて鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:SX-500Spiritは20cmウーファーと3.5cmドーム型トゥイーターを備えた密閉型で、クロスオーバーは3kHzです。AU-D607F Extraの低歪感により、40Hz〜30kHzの自然な質感と定位感を整えやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ピアノ、ジャズボーカル、アコースティックに向いています。柔らかい音色と音像のまとまりを楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D607F ExtraとPioneer S-55twinとの組み合わせ
SANSUI AU-D607F ExtraとPioneer S-55twinとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:S-55twinは6Ω、最大入力120W(EIAJ)、出力音圧レベル91dB/W/mです。AU-D607F Extraの80W+80Wと合わせると、音量に余裕を残して軽快に鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:S-55twinは14cmウーファーを2基と2.5cmドーム型トゥイーターを備えた2ウェイ・バスレフ型で、クロスオーバーは3.5kHzです。AU-D607F Extraにより、45Hz〜40kHzの抜けの良さと低域のまとまりを楽しみやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ポップス、ロック、フュージョン、ライブ音源に向いています。小気味よいリズムと明るい中高域を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D607F Extraは、AU-D607Fをベースに低歪率、出力段、フォノ部、レイアウトを磨き込んだインテグレーテッドDCアンプです。
Super Feedforward & DD/DC方式、NM-LAPT、32,800μF電源、Hi-Precision MC/MMイコライザー、ヒートパイプ構成など、78,000円クラスながら内容は濃密です。サンスイらしい厚みを保ちつつ、より締まりと見通しの良い音を楽しみたい人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-D607F Extraの詳細スペック一覧
| SANSUI AU-D607F Extraのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | インテグレーテッドDCアンプ |
| パワーアンプ方式 | Super Feedforward & DD/DC方式 |
| 実効出力 | 80W+80W(8Ω、10Hz~20kHz、THD 0.003%)、80W+80W(8Ω、1kHz、THD 0.002%) |
| 全高調波歪率 | 0.003%以下(8Ω、10Hz~20kHz、実効出力時) |
| 混変調歪率 | 0.003%以下(8Ω、60Hz:7kHz=4:1、SMPTE) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~70kHz(8Ω、IHF、両ch動作、THD 0.02%) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、新IHF、20Hz~20kHz) |
| 周波数特性 | DC~300kHz +0 -3dB(1W) |
| エンベロープ歪 | 測定限界以下 |
| TIM歪 | 測定限界以下(Sawtooth法) |
| スルーレイト | ±180V/μsec(8Ω) |
| ライズタイム | 0.8μsec |
| イコライザーアンプ方式 | Hi-Precision DCサーボイコライザー |
| 入力感度/入力インピーダンス | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ、Phono1、2 MC:250μV/100Ω、Tuner、Aux、Tape play1、2:250mV/27kΩ |
| Phono最大許容入力 | MM:200mV、MC:20mV(1kHz、THD 0.01%) |
| 出力レベル/インピーダンス | Tape rec(PIN):250mV(47kΩ)/600Ω(1kHz) |
| 全高調波歪率(イコライザー部) | Phono1、2 MM:0.005%以下、Phono1、2 MC:0.006%以下(20Hz~20kHz、5V出力時) |
| RIAA偏差 | 20Hz~300kHz ±0.2dB(MM、Rec out) |
| SN比 | Phono1、2 MM:88dB以上、Phono1、2 MC:70dB以上、Tuner、Aux、Tape play1、2:110dB以上(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| Phono入力換算雑音 | Phono1、2 MM:-140dBV、Phono1、2 MC:-142dBV(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| チャンネルセパレーション | Phono1、2 MM:60dB以上、Phono1、2 MC:50dB以上、Tuner、Aux、Tape play:80dB以上(1kHz) |
| トーンコントロール | Bass:±6dB(50Hz)、Treble:±6dB(10kHz) |
| フィルター | Low:16Hz(-3dB、6dB/oct) |
| オーディオミューティング | -20dB |
| 定格消費電力 | 200W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅460x高さ160x奥行404mm |
| 重量 | 13.2kg |
