この記事の概要
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SANSUI AU-D607Fは、1980年発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI AU-D607Fの概要と特徴

| SANSUI AU-D607Fのスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1980年 |
| 定価 | 76,000円 |
| 型式 | インテグレーテッドアンプ |
| 実効出力 | 75W+75W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、20Hz~20kHz) |
| 重量 | 12.4kg |
SANSUI AU-D607Fは、NFBだけでは届きにくい歪低減を狙い、スーパー・フィードフォワード・システムを搭載したプリメインアンプです。TIM歪とエンベロープ歪を測定限界以下とするなど、1980年のサンスイが動的歪へ踏み込んだモデルです。
以下では、SANSUI AU-D607Fの主要な特徴を一つずつ解説していきます。
特徴①|スーパー・フィードフォワード・システム
SANSUI AU-D607F最大の特徴は、スーパー・フィードフォワード・システムを搭載している点です。
この方式は、NFBとフィードフォワードの長所を組み合わせ、歪成分を逆位相で打ち消す考え方です。NFB量を抑えながら広帯域で歪を減らすため、安定度と低歪再生の両立を狙っています。

フィードフォワードとは何ですか?
フィードフォワードは、発生した歪成分を検出し、逆向きの信号として加えて打ち消す考え方です。AU-D607FではNFBと組み合わせることで、TIM歪をほぼゼロに近づけることを狙っています。
特徴②|ヒートパイプと最短信号経路
AU-D607Fでは、シンプル&ストレート化を徹底しています。信号の流れを短くしながら3次元的な立体配線を行い、入力から出力までの経路をできるだけ短くしています。
放熱にはヒートパイプを採用しています。これにより、従来の大型ヒートシンクでは難しかったパワー段とドライバー段の近接配置が可能となり、大電流ラインの引き回しを抑える設計が実現しています。
- ヒートパイプによりパワー段とドライバー段を近づけています。
- ツインリレースピーカースイッチで出力ラインの引き回しを抑えています。
- 青銅メッキビスやNM素子など、磁気歪対策も投入されています。
特徴③|2アンプ構成とMC対応イコライザー
AU-D607Fは、トーンアンプを省き、ハイゲインイコライザーアンプとパワーアンプによる2アンプ構成としています。入力からスピーカーアウトまで、信号系のコンデンサーをすべて排除している点も重要です。
イコライザー部にはDCサーボを採用し、専用電源にはリニアサーボレギュレーターを搭載しています。MM/MC切替はフロントパネルから行え、MCカートリッジ使用時もICL/OCL構成となっています。



リニアサーボレギュレーターとは何ですか?
リニアサーボレギュレーターは、回路に安定した電源を供給するための安定化電源です。AU-D607Fではイコライザー専用電源として使われ、過渡的な負荷変化にも安定して応答することを狙っています。
SANSUI AU-D607Fと他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-D607Fと他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-D607F | SANSUI AU-D607 | SANSUI AU-D707 | Lo-D HA-5700 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 75W+75W(8Ω) | 70W+70W(8Ω) | 90W+90W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.005%以下 | 0.008%以下 | 0.008%以下 | 0.02% |
| ダンピングファクター | 100(8Ω) | 100(8Ω) | 100(8Ω) | ― |
| 重量 | 12.4kg | 15.5kg | 20.1kg | 10.8kg |
| 消費電力 | 200W | 195W | 230W | 140W |
| サウンドキャラクター | スーパー・フィードフォワードの低歪で明快な音 | ダイアモンド差動回路の厚い高純度感 | 同系統でさらに余裕ある力感 | MOS FETの滑らかで軽い音 |
SANSUI AU-D607FとSANSUI AU-D607との比較
SANSUI AU-D607FとSANSUI AU-D607との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607Fは75W+75W、AU-D607は70W+70Wです。出力ではSANSUI AU-D607Fがわずかに優れています。
- 高調波歪率:AU-D607Fは0.005%以下、AU-D607は0.008%以下です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607Fが有利です。
- 重量:AU-D607Fは12.4kg、AU-D607は15.5kgです。扱いやすさではSANSUI AU-D607Fが優れています。
- 設計思想:AU-D607はダイアモンド差動回路、AU-D607Fはスーパー・フィードフォワードが軸です。動的歪の抑制を強く意識するならSANSUI AU-D607Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D607FとSANSUI AU-D707との比較
SANSUI AU-D607FとSANSUI AU-D707との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607Fは75W+75W、AU-D707は90W+90Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D707が優れています。
- 高調波歪率:AU-D607Fは0.005%以下、AU-D707は0.008%以下です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607Fが有利です。
- 重量:AU-D607Fは12.4kg、AU-D707は20.1kgです。物量感ではAU-D707、設置のしやすさではSANSUI AU-D607Fが優れています。
- 音の方向性:AU-D707は濃く力強いDシリーズサウンド、AU-D607Fは歪の少なさと明快さが魅力です。軽快に聴くならSANSUI AU-D607Fが扱いやすいです。
SANSUI AU-D607FとLo-D HA-5700との比較
SANSUI AU-D607FとLo-D HA-5700との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D607Fは75W+75W、HA-5700は50W+50Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D607Fが優れています。
- 高調波歪率:AU-D607Fは0.005%以下、HA-5700は0.02%です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D607Fが上回ります。
- 重量:AU-D607Fは12.4kg、HA-5700は10.8kgです。軽さではHA-5700、電源や筐体の余裕ではSANSUI AU-D607Fが有利です。
- 音の方向性:HA-5700はMOS FETの滑らかさ、AU-D607Fはフィードフォワードの低歪感が特徴です。明瞭さを重視するならSANSUI AU-D607Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D607Fとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-D607Fは8Ωで75W+75W、ダンピングファクター100のプリメインアンプです。低歪で明快な鳴りを活かすなら、中型ブックシェルフを無理なく鳴らす組み合わせが向いています。
SANSUI AU-D607Fと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、以下の3機種です。
- DIATONE DS-77EX
- VICTOR SX-3
- TRIO LS-100
以下では、互換性・音質・おすすめジャンルに分けて解説します。
SANSUI AU-D607FとDIATONE DS-77EXとの組み合わせ
SANSUI AU-D607FとDIATONE DS-77EXとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:DS-77EXは6Ω、最大許容入力230W(EIAJ)、出力音圧レベル91dB/W/mです。AU-D607Fの75W+75Wと合わせると、余裕を残して鳴らしやすい組み合わせです。
- 音質の向上:DS-77EXは32cmウーファー、10cmミッドレンジ、2.5cmドーム型トゥイーターを備えた密閉型で、クロスオーバーは600Hz、5kHzです。AU-D607Fにより、35Hz〜30kHzの広帯域と締まった低域を出しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:フュージョン、ジャズ、シティポップ、女性ボーカルに向いています。解像感と厚みを両立したい人に合います。
SANSUI AU-D607FとVICTOR SX-3との組み合わせ
SANSUI AU-D607FとVICTOR SX-3との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:SX-3は8Ω、最大入力50W、出力音圧レベル88dB/W/mです。AU-D607Fでは、小音量〜中音量を中心に丁寧に鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:SX-3は25cmウーファーと5cmソフトドーム型トゥイーターを備えた密閉型で、クロスオーバーは2kHzです。AU-D607Fの制動力により、35Hz〜20kHzの自然な中低域を整えやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ピアノ、ジャズボーカル、アコースティックに向いています。柔らかい質感を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D607FとTRIO LS-100との組み合わせ
SANSUI AU-D607FとTRIO LS-100との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:LS-100は8Ω、最大入力90W、定格入力60W、出力音圧レベル89dB/W/mです。AU-D607Fの75W+75Wと合わせると、音量を欲張らずにバランス良く鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:LS-100は25cmウーファーと4cm平面型トゥイーターを備えたバスレフ型で、クロスオーバーは2kHzです。AU-D607Fにより、35Hz〜20kHzの素直なレンジと軽快な立ち上がりを楽しみやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、ポップス、フュージョン、ライブ音源に向いています。歯切れの良い中高域を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D607Fは、スーパー・フィードフォワード・システムによって、NFBだけに頼らない歪低減を目指したインテグレーテッドアンプです。
スーパー・フィードフォワード、ヒートパイプ、2アンプ構成、リニアサーボレギュレーター、信号系コンデンサー排除など、Fシリーズならではの設計が詰まっています。サンスイらしい厚みを残しつつ、歪の少ない明快な音を楽しみたい人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-D607Fの詳細スペック一覧
| SANSUI AU-D607Fのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | インテグレーテッドアンプ |
| 実効出力 | 75W+75W(8Ω、10Hz~20kHz、THD 0.005%)、75W+75W(8Ω、1kHz、THD 0.003%) |
| 全高調波歪率 | 0.005%以下(10Hz~20kHz、実効出力時) |
| 混変調歪率 | 0.008%以下(60Hz:7kHz=4:1、SMPTE)、0.005%以下(8Ω、別カタログ記載) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~70kHz(IHF、両ch動作、THD 0.02%) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、新IHF、20Hz~20kHz) |
| 周波数特性 | DC~300kHz +0 -3dB(1W) |
| エンベロープ歪 | 測定限界以下 |
| TIM歪 | 測定限界以下(Sawtooth法) |
| スルーレイト | ±180V/μsec(8Ω) |
| インサイド・スルーレイト | ±300V/μsec(8Ω) |
| ライズタイム | 0.8μsec |
| 入力感度/入力インピーダンス | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ、Phono1 MC:250μV/100Ω、Tuner、AUX、Tape play1、2:250mV/27kΩ |
| Phono最大許容入力 | MM:200mV、MC:20mV(1kHz、THD 0.01%) |
| 出力レベル/インピーダンス | Tape Rec:250mV(47kΩ)/600Ω |
| 全高調波歪率(プリアンプ部) | Phono1、2 MM:0.005%以下(20Hz~20kHz、5V出力時)、Phono1、2 MC:0.006%以下(20Hz~20kHz、5V出力時) |
| RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.2dB(MM) |
| SN比 | Phono1、2 MM:88dB以上、Phono1 MC:70dB以上、Tuner、Aux、Tape play1、2:110dB以上 |
| Phono入力換算雑音 | Phono1、2 MM:-140dBV、Phono1 MC:-142dBV(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| チャンネルセパレーション | Phono1、2 MM:60dB以上、Phono1 MC:50dB以上、Tuner、AUX、Tape play:80dB以上 |
| トーンコントロール | Bass:+6~-8dB(50Hz)、Treble:±6dB(10kHz) |
| フィルター | Low:16Hz(-3dB、6dB/oct) |
| オーディオミューティング | -20dB |
| 定格消費電力 | 200W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅445x高さ163x奥行403mm |
| 重量 | 12.4kg |
