この記事の概要
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SANSUI AU-D907Fは、1980年頃発売のヴィンテージなアンプです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI AU-D907Fの概要と特徴

| SANSUI AU-D907Fのスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1980年頃 |
| 定価 | 168,000円 |
| 型式 | スーパー・フィードフォワード&DD/DCアンプ |
| 実効出力 | 120W+120W(8Ω、10Hz~20kHz) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、20Hz~20kHz) |
| 重量 | 17.5kg |
定価168,000円という上級価格帯にありながら、スーパー・フィードフォワード、NM-LAPT、大型CIコア電源まで投入した意欲作。それがSANSUI AU-D907Fです。120W+120Wの実効出力を備え、Fシリーズの中でも力強さと低歪志向が濃く出たプリメインアンプとなっています。
SANSUI AU-D907Fがなぜ評価されているのか、5つの観点から紐解いていきます。
特徴①|120W+120Wを支えるスーパー・フィードフォワード
AU-D907Fは、8Ωで120W+120Wという実効出力を持ち、全高調波歪率は実効出力時で0.005%以下です。さらにTIM歪とエンベロープ歪は測定限界以下とされ、単なる大出力ではなく歪の抑制まで重視されています。
この低歪設計の核になっているのが、NFBとフィードフォワードを組み合わせたスーパー・フィードフォワード・システムです。パワー段で発生する歪を打ち消す発想により、厚みのあるサンスイトーンに透明感を加えています。

スーパー・フィードフォワードとは何ですか?
スーパー・フィードフォワードは、NFBで歪を抑えながら、フィードフォワードで歪打消し信号を加えるサンスイの低歪回路です。AU-D907FではTIM歪やエンベロープ歪の低減にもつながる重要技術です。
数値だけを見るとAU-D707Fと近い部分もありますが、AU-D907Fは出力と電源規模に余裕があります。大型スピーカーをしっかり鳴らしたい場合には、AU-D907Fの駆動力が大きな魅力になります。
- 実効出力は120W+120W(8Ω、10Hz~20kHz)です。
- 全高調波歪率は0.005%以下です。
- TIM歪とエンベロープ歪は測定限界以下です。
特徴②|NM-LAPTと大型CIコア電源による余裕
AU-D907Fの力強さは、どこから来ているのでしょうか。出力段には新開発のNM-LAPTを採用し、電源部にはレギュレーションに優れたCIコアによるバランス巻線の大型トランスを搭載しています。
さらに、低インピーダンスのカスタムコンデンサーとファーストリカバリーダイオードを組み合わせ、立ち上がりの良い電源部を構成しています。トータル5電源構成でステージ間の干渉を抑えている点も、上位機らしい設計です。



NM-LAPTとは何ですか?
NM-LAPTは、ノン・マグネティック・リニアパワートランジスタの略です。AU-D907Fでは出力段に採用され、磁気歪を抑えながらリニアな増幅を狙うための重要パーツです。
電源と出力素子の物量があるため、音の印象は軽快さよりも安定感が前に出ます。低域を締めながら中域に厚みを残したい人にとって、AU-D907Fは頼れる選択肢です。
特徴③|MC High/Low対応の本格フォノ部
AU-D907Fは、アナログ再生を重視するユーザーにも向いたアンプです。MCヘッドアンプにはプッシュプル入力・出力回路によるシンメトリカルサーキットを改良して採用し、High/Low切替で幅広いMCカートリッジに対応します。
イコライザー回路はダイレクトカップル方式のDCアンプ構成で、ダイアモンド差動回路も組み込まれています。Phono MMのSN比は90dB以上、MCは74dB以上で、フォノ入力の数値も上級機らしい内容です。
- MC入力は100μV(high)と250μV(low)に対応しています。
- Phono MMのSN比は90dB以上です。
- Phono MCのSN比は74dB以上です。
特徴④|ヒートループとシンプル&ストレート構成
内部レイアウトはシンプル&ストレートを追求し、信号経路をできるだけ短くまとめています。放熱器にはヒートループを使った新しい放熱システムを採用し、従来のヒートシンクでは難しかった電源部とパワー段の近接配置を実現しています。
大電流が流れる出力トランジスタ付近の線材を減らし、電磁波フラックスがプリアンプ部へ飛ぶのを防ぐ思想も取り入れています。音の濁りを抑え、厚みの中に見通しを残すための設計です。
特徴⑤|磁気歪対策と実用機能の充実
AU-D907Fは、磁界による信号波形の変調作用であるマグネティックディストーションにも配慮しています。サブシャーシへの銅メッキ、ウッドボンネット、NM素子などを採用し、磁気歪の影響を抑える方向で仕上げられています。
実用面では、16Hzのサブソニックフィルター、20kHzのスーパーソニックフィルター、ターンオーバー周波数切換付きトーンコントロール、2回路テープモニター、レコーディングセレクター/コピー機能を備えています。
- Lowフィルターは16Hz(-3dB、6dB/oct)です。
- Highフィルターは20kHz(-3dB、6dB/oct)です。
- BassとTrebleのターンオーバー周波数を切り替えられます。
- フォノ入力端子には金メッキ端子を採用しています。
SANSUI AU-D907Fと他のヴィンテージアンプとの比較


SANSUI AU-D907Fと他のヴィンテージアンプとの比較は以下の通りです。
| 項目 | SANSUI AU-D907F | SANSUI AU-D707F | Lo-D HA-5700 | TRIO KA-990 |
|---|---|---|---|---|
| 実効出力 | 120W+120W(8Ω) | 95W+95W(8Ω) | 50W+50W(8Ω) | 105W+105W(8Ω) |
| 高調波歪率 | 0.005%以下(8Ω) | 0.005%以下 | 0.02% | 0.005%(Tuner/AUX/Tape→SP端子) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω) | 100(8Ω) | ― | 1000(100Hz) |
| 重量 | 17.5kg | 14.0kg | 10.8kg | 10.7kg |
| 消費電力 | 320W | 250W | 140W | 260W |
| サウンドキャラクター | 上位Fシリーズらしい低歪で力強い厚み | 低歪感と扱いやすさのバランス | MOS FETらしい滑らかさ | DLDとΣドライブの制動感 |
SANSUI AU-D907FとSANSUI AU-D707Fとの比較
SANSUI AU-D907FとSANSUI AU-D707Fとの比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D907Fは120W+120W、AU-D707Fは95W+95Wです。出力の余裕ではSANSUI AU-D907Fが優れています。
- 高調波歪率:どちらも0.005%以下です。数値上の低歪率では同等です。
- 重量:AU-D907Fは17.5kg、AU-D707Fは14.0kgです。取り回しではAU-D707F、物量と安定感ではSANSUI AU-D907Fが有利です。
- 音の方向性:AU-D707Fはバランス型、AU-D907Fはより骨太で余裕のある鳴り方です。大型スピーカーを鳴らすならSANSUI AU-D907Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D907FとLo-D HA-5700との比較
SANSUI AU-D907FとLo-D HA-5700との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D907Fは120W+120W、HA-5700は50W+50Wです。駆動力ではSANSUI AU-D907Fが大きく上回ります。
- 高調波歪率:AU-D907Fは0.005%以下、HA-5700は0.02%です。数値上の低歪率ではSANSUI AU-D907Fが優れています。
- 消費電力:AU-D907Fは320W、HA-5700は140Wです。省電力性ではHA-5700、電源余裕ではSANSUI AU-D907Fが有利です。
- 音の方向性:HA-5700はパワーMOS FETの滑らかさが魅力です。力強さと低歪感を重視するならSANSUI AU-D907Fが選びやすいです。
SANSUI AU-D907FとTRIO KA-990との比較
SANSUI AU-D907FとTRIO KA-990との比較は以下の通りです。
- 実効出力:AU-D907Fは120W+120W、KA-990は105W+105Wです。出力ではSANSUI AU-D907Fが優れています。
- ダンピングファクター:AU-D907Fは100、KA-990は1000です。制動力の数値ではTRIO KA-990が優れています。
- 重量:AU-D907Fは17.5kg、KA-990は10.7kgです。設置のしやすさではKA-990、筐体の物量感ではSANSUI AU-D907Fが上回ります。
- 音の方向性:KA-990はDLDとΣドライブによる制動感、AU-D907Fは厚みと低歪感の両立が魅力です。サンスイらしい濃さを求めるならSANSUI AU-D907Fが向いています。
SANSUI AU-D907Fとヴィンテージスピーカーとの組み合わせ


SANSUI AU-D907Fは8Ωで120W+120W、ダンピングファクター100のプリメインアンプです。上位機らしい駆動力を活かすなら、大型ブックシェルフを余裕を持って鳴らす組み合わせが向いています。
SANSUI AU-D907Fと組み合わせるヴィンテージスピーカーは、以下の3機種です。
- DIATONE DS-V3000
- JBL 4333A
- Pioneer S-955
以下では、互換性・音質・おすすめジャンルに分けて解説します。
SANSUI AU-D907FとDIATONE DS-V3000との組み合わせ
SANSUI AU-D907FとDIATONE DS-V3000との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:DS-V3000は6Ω、最大入力180W(EIAJ)、出力音圧レベル90dB/W/mです。AU-D907Fの120W+120Wと合わせると、余裕を残して大型密閉型を鳴らしやすい組み合わせです。
- 音質の向上:DS-V3000は30cmウーファー、7.5cmドーム型ミッドレンジ、2.3cmドーム型トゥイーターを備えた密閉型で、クロスオーバーは400Hz、4.5kHzです。AU-D907Fにより、23Hz〜80kHzの広帯域と締まった低域を出しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ジャズ、フュージョン、女性ボーカルに向いています。低域の安定感と中高域の情報量を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D907FとJBL 4333Aとの組み合わせ
SANSUI AU-D907FとJBL 4333Aとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:4333Aは8Ω、許容入力75W(RMS)、出力音圧レベル93dB(新JIS)です。AU-D907Fでは、小音量〜中音量を中心に音量管理して鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:4333Aは38cmウーファー、ホーン型中域、ホーン型高域を備えた3ウェイ・バスレフ型で、クロスオーバーは800Hz、8.5kHzです。AU-D907Fの厚みにより、35Hz〜20kHzの力強い低域とホーンの明瞭さを楽しみやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:ロック、ファンク、ソウル、ジャズライブに向いています。音の押し出しとライブ感を楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D907FとPioneer S-955との組み合わせ
SANSUI AU-D907FとPioneer S-955との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:S-955は8Ω、最大入力100W、出力音圧レベル91dB/W/mです。AU-D907Fでは、中音量までを中心に余裕を見ながら鳴らす組み合わせです。
- 音質の向上:S-955は36cmウーファー、6.5cmドーム型ミッドレンジ、リボン型高域を備えた3ウェイ・バスレフ型で、クロスオーバーは950Hz、8kHzです。AU-D907Fにより、28Hz〜120kHzの広がりと厚みある中低域を引き出しやすいです。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック、ジャズ、AOR、ロックに向いています。低域のスケールと高域の伸びを楽しみたい人に合います。
SANSUI AU-D907Fは、スーパー・フィードフォワード・システムを核に、120W+120Wの出力、NM-LAPT、大型CIコア電源、MC High/Low対応フォノ部を備えた上級プリメインアンプです。
低歪感、厚み、駆動力、アナログ再生への対応力をまとめて楽しめる点がAU-D907Fの魅力です。Fシリーズらしい明快さに、上位機ならではの物量感を求める人に向いたヴィンテージアンプです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
SANSUI AU-D907Fの詳細スペック一覧
| SANSUI AU-D907Fのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | スーパー・フィードフォワード&DD/DCアンプ |
| 実効出力 | 120W+120W(8Ω、10Hz~20kHz、THD 0.005%)、120W+120W(8Ω、1kHz、THD 0.003%) |
| 全高調波歪率 | 0.005%以下(8Ω、10Hz~20kHz、実効出力時) |
| 混変調歪率 | 0.005%以下(8Ω、60Hz:7kHz=4:1、SMPTE) |
| 出力帯域幅 | 5Hz~80kHz(8Ω、IHF、両ch動作、THD 0.02%) |
| ダンピングファクター | 100(8Ω、新IHF、20Hz~20kHz) |
| 周波数特性 | DC~300kHz +0 -3dB(1W) |
| エンベロープ歪 | 測定限界以下 |
| TIM歪 | 測定限界以下(Sawtooth法) |
| スルーレイト | ±250V/μsec(8Ω) |
| インサイド・スルーレイト | ±350V/μsec(8Ω) |
| ライズタイム | 0.8μsec |
| 入力感度/入力インピーダンス | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ、Phono1、2 MC:100μV(high)、250μV(low)/100Ω、Tuner、Aux、Tape play1、2:250mV/27kΩ |
| Phono最大許容入力 | MM:200mV、MC:26mV(Low)(1kHz、THD 0.01%) |
| 出力レベル/インピーダンス | Tape Rec:250mV(47kΩ)/600Ω |
| 全高調波歪率(プリアンプ部) | Phono1、2 MM:0.005%以下、Phono1、2 MC:0.005%以下(20Hz~20kHz、5V出力時) |
| RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.2dB(MM、Rec out) |
| S/N比 | Phono1、2 MM:90dB以上、Phono1、2 MC:74dB以上(Low)、Tuner、Aux、Tape play1、2:110dB以上(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| Phono入力換算雑音 | Phono1、2 MM:-142dBV、Phono1、2 MC:-154dBV(Aネットワーク、ショートサーキット) |
| チャンネルセパレーション | Phono1、2 MM:60dB以上、Phono1、2 MC:50dB以上、Tuner、AUX、Tape Play:80dB以上(1kHz) |
| トーンコントロール | Bass:±8dB(50Hz)、Treble:±8dB(15kHz) |
| トーンセレクター | Bass:150Hz、300Hz、Treble:3kHz、6kHz |
| フィルター | Low:16Hz(-3dB、6dB/oct)、High:20kHz(-3dB、6dB/oct) |
| オーディオミューティング | -20dB |
| 定格消費電力 | 320W(電気用品取締法) |
| 外形寸法 | 幅445x高さ163x奥行443mm |
| 重量 | 17.5kg |
