この記事の概要
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TANNOY Autographは、日本国内発売時期不明のヴィンテージなスピーカーです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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TANNOY Autographの概要と特徴

| TANNOY Autographのスペック | |
|---|---|
| 発売時期 | 日本国内発売時期不明 |
| 定価 | 425,000円(1台、1968年頃)、442,000円(1台、1970年頃) |
| 型式 | 2ウェイ・1スピーカー・オールホーン方式・コーナー型 |
| 使用ユニット | 15inch同軸2ウェイ |
| 周波数特性 | 30Hz~20kHz |
| インピーダンス | 8Ω |
ヴィンテージスピーカーの中でも、なぜTANNOY Autographが今なお特別視されるのか。
1953年にガイ・R・ファウンテン氏が設計したコーナー型バックロードホーンシステムであり、15inch同軸2ウェイユニットと複雑なホーン構造によって、家庭用スピーカーの枠を超えたスケール感を目指したモデルです。
TANNOY Autographを語るうえで欠かせない3つのポイントを順番に見ていきましょう。
特徴①|15inch同軸2ウェイが生む一体感
TANNOY Autographの核となるのは、15inch同軸2ウェイユニットです。
初期にはMonitor Silverが使われ、その後Monitor 15″(Monitor Red)、15″ Monitor Goldへと搭載ユニットが変化しています。どの世代でも、タンノイらしい同軸ユニットによる音像のまとまりが大きな魅力です。

同軸2ウェイって何ですか?
同軸2ウェイは、低音用ユニットと高音用ユニットを同じ軸上に配置する方式です。音の出どころがまとまりやすく、ボーカルや楽器の定位を自然に感じやすい点が特徴です。
クラシックの声楽やジャズボーカルでは、音がバラバラに分離するよりも、ひとつの音楽として立ち上がる感覚が重要になります。Autographはその方向に強い個性を持つスピーカーです。
- 15inchユニットによる余裕あるスケール感を楽しめます。
- 同軸構成により、音像のまとまりを得やすいです。
- ボーカルや管弦楽の中心像を自然に描きやすいです。
特徴②|30Hzまで受け持つ折畳ホーン構造
TANNOY Autographのエンクロージャーは、単なる大型箱ではありません。背面の折畳ホーン、正面のショートホーン、ホーントゥイーターが役割を分担する3つのホーン構造で成り立っています。
Audio Heritageの解説では、350Hz以下30Hzまでを背面の折畳ホーン、350Hzから1kHzまでを正面のショートホーン、1kHz以上をホーントゥイーターが受け持つ構造とされています。音量を上げなくても空気がふわっと押し出されるような感覚は、この設計思想と関係が深いです。



バックロードホーンって何ですか?
バックロードホーンは、ユニットの背面から出る音をホーン状の通路で増幅して低域再生に活かす方式です。能率の高さや音の伸びやかさを得やすい一方で、設計と設置の難しさもあります。
低音の量感だけでなく、ホールの空間や楽器の胴鳴りを大きく描くところにAutographの魅力があります。
特徴③|量産困難なコーナー型キャビネット
幅1090x高さ1490x奥行675mmという外形寸法からも、Autographが一般的なフロア型とは別格の存在であることがわかります。
コーナー設置を前提としたキャビネットは、部屋そのものを音響空間として使う設計です。そのため、スピーカー単体の性能だけでなく、部屋の広さ、壁の強度、設置位置によって鳴り方が大きく変化します。
Audio Heritageでは、複雑なホーン構造のため量産が不可能に近く、月産2~3セットしか生産されなかったと紹介されています。ヴィンテージ市場で特別視される理由は、音だけでなく工芸品に近い希少性にもあります。
- 大型の部屋や強固な壁面と相性が良いです。
- 設置が決まると、スピーカーの存在感を超えた広がりを狙えます。
- 小型スピーカーのように気軽に移動して調整する機種ではありません。
TANNOY Autographと他のヴィンテージスピーカーとの比較


TANNOY Autographと他のヴィンテージスピーカーとの比較は以下の通りです。
| 項目 | TANNOY Autograph | Klipsch Klipschorn | Celestion Ditton66 | SPENDOR BC-III |
|---|---|---|---|---|
| 使用ユニット | 15inch同軸2ウェイ | 低域用:ホーン型、中域用:ホーン型、高域用:ホーン型 | 30cmコーン型、5cmドーム型、2.5cmドーム型、30cmABR | 30cmコーン型、20cmコーン型、3.8cmドーム型、ドーム型 |
| 再生周波数帯域 | 30Hz~20kHz | 33Hz~17kHz ±3dB | 16Hz~40kHz | 30Hz~20kHz |
| インピーダンス | 8Ω | 8Ω | 4Ω~8Ω | 8Ω |
| 最大入力 | 50W | 100W | 80W(DIN) | 70W |
| 外形寸法 | 幅1090x高さ1490x奥行675mm | 幅794x高さ1324x奥行724mm | 幅380x高さ1,000x奥行290mm | 幅393x高さ800x奥行393mm |
| 重量 | ― | 75.8kg | 30kg | 34kg |
| 音質 | 同軸ホーンの一体感と大きな音場 | 高能率ホーンの瞬発力と迫力 | 広帯域で量感のある英国サウンド | BBC系の自然な中域と落ち着き |
TANNOY AutographとKlipsch Klipschornとの比較
TANNOY AutographとKlipsch Klipschornとの比較は以下の通りです。
- 方式:Autographは2ウェイ・1スピーカー・オールホーン方式、Klipschornは3ウェイ・3スピーカー・オールホーン方式です。帯域分担の明確さではKlipsch Klipschornが優れています。
- 周波数特性:Autographは30Hz~20kHz、Klipschornは33Hz~17kHz ±3dBです。高域までの表記上の広さではTANNOY Autographが優れています。
- 最大入力:Autographは50W、Klipschornは100Wです。大入力への余裕ではKlipsch Klipschornが有利です。
- 音の方向性:Autographは同軸ユニットのまとまり、Klipschornは104dB/2.83V/mの高能率が生む瞬発力が魅力です。声や弦の一体感ではTANNOY Autographが選びやすいです。
TANNOY AutographとCelestion Ditton66との比較
TANNOY AutographとCelestion Ditton66との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:Autographは15inch同軸2ウェイ、Ditton66は30cmウーファー、ドーム型中高域、ABRを組み合わせた3ウェイです。構成の扱いやすさではCelestion Ditton66が優れています。
- 周波数特性:Autographは30Hz~20kHz、Ditton66は16Hz~40kHzです。スペック上の広帯域ではCelestion Ditton66が大きく上回ります。
- 設置性:Autographは幅1090mm・高さ1490mmのコーナー型、Ditton66は幅380mm・高さ1,000mmのフロア型です。部屋への導入しやすさではCelestion Ditton66が有利です。
- 音の方向性:Ditton66は広帯域と低域の量感、Autographはホーンと同軸による大きな音場が魅力です。音楽の気配やホール感ではTANNOY Autographが優れています。
TANNOY AutographとSPENDOR BC-IIIとの比較
TANNOY AutographとSPENDOR BC-IIIとの比較は以下の通りです。
- 方式:Autographはオールホーン方式、BC-IIIは4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式です。自然な中域の整理ではSPENDOR BC-IIIが扱いやすいです。
- 周波数特性:両機とも30Hz~20kHzの表記です。数値上は同等ですが、ホーンによる音の飛びとスケールではTANNOY Autographが優れています。
- 最大入力:Autographは50W、BC-IIIは70Wです。入力余裕ではSPENDOR BC-IIIが有利です。
- 音の方向性:BC-IIIはBBC系の落ち着いたバランス、Autographは部屋全体を鳴らすようなスケールが魅力です。小音量で音楽の陰影を楽しむならTANNOY Autographが魅力的です。
TANNOY Autographとヴィンテージアンプとの組み合わせ


TANNOY Autographは8Ω・最大入力50Wのスピーカーです。大出力で押し切るより、音量調整のしやすさと質感を重視したアンプ選びが向いています。
TANNOY AutographとLUXMAN SQ38FDとの組み合わせ
TANNOY AutographとLUXMAN SQ38FDとの組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:SQ38FDは30W+30W(4Ω、8Ω、16Ω)の管球式プリメインアンプです。Autographの8Ω・最大入力50Wに対して出力が過大になりにくく、互換性ではLUXMAN SQ38FDとの組み合わせが優れています。
- 音質の向上:SQ38FDは真空管らしい厚みと柔らかさを持ち、Autographの同軸ホーンの中域をふくよかに聴かせます。声の質感ではこの組み合わせが特に魅力的です。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシック声楽、弦楽、ジャズボーカルに向いています。音の迫力より余韻の美しさを重視するならLUXMAN SQ38FDが優れています。
TANNOY AutographとQUAD 303との組み合わせ
TANNOY AutographとQUAD 303との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:QUAD 303は45W+45W(8Ω)のステレオパワーアンプです。Autographの最大入力50Wに近いため音量管理は必要ですが、出力の整合性ではQUAD 303が扱いやすいです。
- 音質の向上:QUAD 303は30Hz~35kHz -1dBの周波数特性と、安定したトランジスタアンプらしい見通しを持ちます。Autographの低域を膨らませすぎず整理する点ではQUAD 303が優れています。
- おすすめの音楽ジャンル:室内楽、ピアノ、古いジャズ録音に向いています。真空管の色づけより端正なバランスを求めるならQUAD 303との組み合わせが有利です。
TANNOY AutographとUnison Research TRIODE20との組み合わせ
TANNOY AutographとUnison Research TRIODE20との組み合わせは以下の通りです。
- 互換性:TRIODE20はペントード30W+30W、トライオード18W+18Wで、4Ω/8Ω端子を備えています。Autographの8Ωと合わせやすく、出力の安心感ではUnison Research TRIODE20が優れています。
- 音質の向上:トライオード接続に切り替えられるため、Autographの中域をしっとり聴かせたいときに相性が良いです。表現の濃さではTRIODE20との組み合わせが魅力的です。
- おすすめの音楽ジャンル:ブルース、ボーカル、バロック音楽に向いています。小音量でも音楽の熱気を出しやすい点ではUnison Research TRIODE20が優れています。
TANNOY Autographは、一般的なスピーカーのようにスペックだけで優劣を決めにくい存在です。15inch同軸2ウェイ、コーナー型バックロードホーン、30Hz~20kHzの周波数特性が組み合わさり、部屋全体を音楽空間に変えるような魅力を持っています。
設置条件は厳しいですが、クラシックやジャズを大きな音像で楽しみたい人にとって、Autographは今も特別なヴィンテージスピーカーです。アンプは高出力一辺倒ではなく、LUXMAN SQ38FDやQUAD 303、Unison Research TRIODE20のように質感と音量調整のしやすさを重視したモデルを選ぶと魅力を引き出しやすいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
TANNOY Autographの詳細スペック一覧
| TANNOY Autographのスペック詳細 | |
|---|---|
| 型式 | 2ウェイ・1スピーカー・オールホーン方式・コーナー型 |
| 使用ユニット | 15inch同軸2ウェイ |
| 周波数特性 | 30Hz~20kHz |
| クロスオーバー周波数 | 1kHz |
| 最大入力 | 50W |
| インピーダンス | 8Ω |
| 外形寸法 | 幅1090x高さ1490x奥行675mm |
| 価格 | 425,000円(1台、1968年頃)、442,000円(1台、1970年頃) |
| 国内発売時期 | 日本国内発売時期不明 |
