Aurex PC-X88ADを徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】

Aurex PC-X88ADを徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】

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Aurex PC-X88ADは完全ヴィンテージなカセットデッキです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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Aurex PC-X88ADの概要と特徴

Aurex PC-X88ADの概要と特徴
Aurex PC-X88ADのスペック
ヘッド録再:スーパーAPコンビネーションヘッド
消去:AFヘッド
モーターキャプスタンモーター
リールモーター
ワウ・フラッター0.035%(WRMS)
周波数特性20Hz~20kHz
SN比(アドレス in、AX)88dB
外形寸法幅420x高さ110x奥行280mm
重量4.8kg

Aurex PC-X88ADは、アドレスユニットとしても使用できるアドレス搭載3ヘッドカセットデッキです。

さらに、バイアス値を微妙に変化できるバイアス・ファイン・アジャスト機能を搭載しています。

以下から、Aurex PC-X88ADの特徴について詳しく解説します。

①:ヘッド部は新形状のコンビネーションヘッドを採用

Aurex PC-X88ADのヘッド部は、新形状のコンビネーションヘッドを採用しています。

どんなヘッドを採用しているの?

以下で、具体的に解説します。

まず、録音ヘッドが大きく設計されていて、これによりバイアス信号が効率よくテープに供給されるため、録音時のバイアス特性が向上します。

また、ヘッドの形状はテープとの接触面積(コンタクトエリア)を最適化し、レベル変動を抑制しています。

これにより、録音時の一貫性と再生時の信頼性が高まります。

さらに、Aurex PC-X88ADはテープパッドとの接触を確実にする設計が施されています。

これは、録音ヘッドがテープに均一に圧力をかけることを保証し、録音中の信号の損失を最小限に抑えることを意味します。

一方で、消去ヘッドに付加されたテンション機構はテープに適度な張力を与えることで、消去時の均一な磁気消去を促し、次の録音のためにテープの表面を最適な状態に保ちます。

そして、Aurex PC-X88ADのヘッド素材には「スーパーAP」が採用されています。

スーパーAPは、バイアス効率と周波数特性に優れていて、高い音質が実現可能です。

さらに、この素材は音質に対する負の影響を抑えつつ、バイアス信号を効率的にテープに伝える能力があります。

全体として、Aurex PC-X88ADのヘッド技術は、録音時の高い解像度と再生時の明瞭な音質を実現するための基礎を形成しています。

②:2モーターICロジック・ニューシンプルメカニズムを採用

Aurex PC-X88ADのメカニズム部には、2モーターICロジック・ニューシンプルメカニズムを採用しています。

以下は、Aurex PC-X88ADに採用されている、2モーターICロジック・ニューシンプルメカニズムの特徴です。

  1. 2モーター方式:キャプスタン(テープを引っ張る軸)とリール台(テープを巻き取る部分)がそれぞれ独立したモーターによって駆動されています。これにより、駆動系がシンプルになり、動作の信頼性が向上します。
  2. コッキングの少ないリール台用モーター:リール台を駆動するモーターには、コッキング(動きのずれやぶれ)が少ないものを使用し、テープのトルクむら(回転の不均一)を改善しています。これによりテープ走行が安定し、音質の向上に寄与します。
  3. 自動反転巻取り機構:モーターの回転方向を変えることでテープの巻取り方向を変える自動反転機構には、従来のアイドラ(中間車)方式ではなく、首振り式ギアドライブ機構を採用しています。これはより静かで精密な制御が可能で、テープの安定した巻取りに貢献します。
  4. 精度の高い回転系:主要な回転軸を同一のシャーシ上に配置し、回転系の精度を向上させています。これにより、テープ走行時の振動やノイズが減少し、録音・再生の品質が向上します。
  5. 独立したバックテンション:定速走行と高速走行時にそれぞれ適切なテンション(テープの張り)を設定することができるため、テープのたるみを防ぎ、走行の安定性が向上します。また、停止時にはこのテンションがブレーキングとして機能し、テープのスムーズな停止を可能にします。

このように、Aurex PC-X88ADのメカニズムは操作性・静粛性・走行安定性および音質の向上を目指した設計がされています。

③:Aurex PC-X88ADはアドレスレコードの再生が可能

Aurex PC-X88ADはアドレスレコードの再生が可能です。

そもそもアドレスレコードってなに?

カセットデッキにおける「アドレスレコードの再生が可能」とは、カセットデッキが特定の音声信号(アドレス)を含む録音を識別し、再生する機能のことを指します。

この技術は、録音された音声に「アドレス」としての情報が含まれている場合、それを検出して特定の操作を行うことができます。

いや、まだよく分からないんだけど…。

もっと噛み砕いて説明すると、「アドレスレコードの再生」というのは、カセットテープの特定の場所を見つけやすくするために、その場所に目印となる特別な音(信号)を入れておくことです。

例えば、カセットテープにはたくさんの曲が入っているとします。

普通は好きな曲を聴くためには早送りや巻き戻しをして、その曲を探さなければいけません。

しかし「アドレスレコードの再生」ができるカセットデッキがあれば、その目印の音をデッキが感知して、すぐにその曲を再生してくれます。

Aurex PC-X88ADと他のヴィンテージカセットデッキとの比較

Aurex PC-X88ADと他のヴィンテージカセットデッキとの比較

当然ですが、ヴィンテージカセットデッキはAurex PC-X88ADだけではありません。

以下では

  • DENON DRS-610
  • Lo-D D-560
  • Panasonic RS-B965

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

Aurex PC-X88ADとDENON DRS-610との比較

Aurex PC-X88ADとDENON DRS-610との比較は以下の通りです。

  • ヘッド: Aurex PC-X88ADは新形状のスーパーAPコンビネーションヘッドを使用しており、録音と再生のレベル変動を抑える設計がされています。DENON DRS-610はコンビネーションヘッドとダブルギャップフェライトヘッドを採用しており、安定した性能を提供します。両者ともに高い音質を実現するための工夫がなされていますが、Aurexはバイアス特性の向上に注力しており、DENONは耐久性と安定性に焦点を当てています。
  • モーター: Aurexはキャプスタンとリールモーターが独立しており、トルクむらを改善する設計です。DENON DRS-610はキャプスタン用に電子制御DCモーター、リール用には別のDCモーターを使用しており、テープの安定した走行を実現しています。Aurexは精度の高さで、DENONは滑らかな操作感でそれぞれの良さがあります。
  • ワウフラッター: Aurexのワウ・フラッターは0.035%と非常に低く、高精度な再生が可能です。DENON DRS-610では0.055%WRMSとなっており、これも高品質な再生を実現していますが、数値上はAurexの方が優れています。
  • 周波数特性: Aurexは20Hz~20kHzの範囲をカバーしており、広い周波数帯での再生が可能です。DENON DRS-610は20Hz~19kHzとなっており、若干狭いですが、日常使用においてはほとんど差を感じない範囲です。Aurexがより広い範囲をカバーしています。
  • SN比: Aurexは88dBのSN比を実現しており、非常にクリアな音質を提供します。DENONは74dBとなっており、こちらもドルビーCノイズリダクションを使用することで良好な音質を保てますが、数値上はAurexの方が高いSN比を示しています。
  • 重量: Aurexの重量は4.8kg、DENON DRS-610は4.4kgとなっており、DENONの方が若干軽量です。
  • 音質: 音質に関しては、Aurexはノイズリダクションシステムとしてアドレスを搭載し、高いSN比を実現しています。DENONもドルビーB/CタイプのノイズリダクションとドルビーHXプロを搭載しており、優れた音質調整機能を有しています。音質は個人の好みにも依存しますが、Aurexは数値上の優位性があります。

Aurex PC-X88ADとLo-D D-560との比較

Aurex PC-X88ADとLo-D D-560との比較は以下の通りです。

  • ヘッド: Aurex PC-X88ADは高品質な録音を実現するスーパーAPコンビネーションヘッドを採用しており、Lo-D D-560は耐久性に優れたS.L.ヘッドを使用しています。Aurexは音質の精度に、Lo-Dは耐久性に重きを置いているようです。
  • モーター: Aurexはキャプスタンとリールの独立したモーターを採用しており、精度の高いテープ制御が可能です。一方、Lo-D D-560は単一のDCサーボモーターを採用しており、シンプルな構造で安定した動作を提供しますが、Aurexの方がトルクむらの改善に優れています。
  • ワウフラッター: Aurexは0.035%という低いワウフラッターを実現しており、Lo-D D-560の0.05%に比べてより安定した再生が期待できます。Aurexの方が優れた性能を持っていると言えます。
  • 周波数特性: Aurexは20Hz~20kHzという広範囲の音を再生できますが、Lo-D D-560はテープの種類によって異なり、クロムテープで20Hz~18kHzとなります。これによりAurexの方が広い周波数範囲をカバーしています。
  • SN比: AurexのSN比は88dBと非常に高く、Lo-D D-560の66dB(ドルビーNRオン時)と比較すると、Aurexの方がクリアな音質を提供すると評価できます。
  • 重量: Aurexが4.8kgであり、Lo-D D-560は6.6kgとなっており、Lo-Dの方がかなり重いです。設置の容易さではAurexが優れています。
  • 音質: Aurexはアドレスレコードの再生が可能であり、SN比も高く、音質面で優れています。Lo-D D-560もドルビーNRシステムを搭載していますが、総合的な音質ではAurexが上をいっていると考えられます。

Aurex PC-X88ADとPanasonic RS-B965との比較

Aurex PC-X88ADとPanasonic RS-B965との比較は以下の通りです。

  • ヘッド: Aurex PC-X88ADはスーパーAPコンビネーションヘッドを使用し、バイアス特性と周波数応答を最適化しています。Panasonic RS-B965はアモルファスコンビネーションヘッドを採用し、磁性材料の利点を活かした高品質な録音と再生を実現しています。両者は異なるアプローチで優れた音質を追求しています。
  • モーター: Aurexは2モーター方式で、精密なテープ制御が可能です。PanasonicはデジタルサーボDDモーターを採用し、クォーツクロックに同期させることで高精度な回転数制御を実現しています。これにより、PanasonicはAurexに比べて更に精度の高いテープスピードを保てる可能性があります。
  • ワウフラッター: Aurexのワウフラッターは0.035%と低く、これに対しPanasonic RS-B965は0.03%と更に低い値を実現しています。この結果、Panasonicはテープ走行の安定性でわずかにAurexを上回っています。
  • 周波数特性: Aurexの周波数範囲は20Hz~20kHzであり、Panasonic RS-B965もクロムテープ使用時に20Hz~20kHzの範囲を持っていますが、メタルテープで21kHzまで再生可能です。この点では、Panasonicがより広い周波数帯での再生が可能となっています。
  • SN比: Aurexは88dBのSN比を有し、Panasonic RS-B965はドルビーC NR使用時で74dBです。Aurexの方が数値上は優れたSN比を示しており、理論的にはクリーナーなサウンドを提供する可能性があります。
  • 重量: Aurexは4.8kg、Panasonicは6.4kgとなっており、Panasonicの方がやや重いです。
  • 音質: Aurexはアドレスレコードの再生機能と高SN比を備えており、PanasonicはアモルファスヘッドとDDモーター、そして広い周波数範囲での再生能力により高音質を追求しています。Aurexはノイズの少ないクリアな音を、Panasonicは幅広い周波数帯での忠実な音の再現をそれぞれの強みとしています。

Aurex PC-X88ADとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

Aurex PC-X88ADとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

Aurex PC-X88ADのようなカセットデッキは、基本的にプリメインアンプに接続して使用するはずです。

その為、以下ではAurex PC-X88ADとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを解説します。

Aurex PC-X88ADと組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • SONY TA-F5000
  • OPTONICA SM-4000
  • Technics SU-8080

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

Aurex PC-X88ADとSONY TA-F5000の組み合わせ

Aurex PC-X88ADとSONY TA-F5000の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性: Aurex PC-X88ADの高い音質と多様な機能は、SONY TA-F5000のステレオプリメインアンプと組み合わせることで、オーディオシステム全体の互換性を高めます。TA-F5000の幅広い周波数応答と安定したパワーアウトプットは、PC-X88ADの高解像度の録音を正確に再現するのに適しており、高いシナジー効果が期待できます。
  • 音質の向上: PC-X88ADの高SN比と優れたワウフラッター特性は、TA-F5000の低歪率と高いダイナミックレンジと組み合わせることで、さらなる音質の向上が見込めます。TA-F5000の精緻なトーンコントロールとバランス調整能力は、PC-X88ADからの出力を微細に調整し、細部にわたる音の再現を実現します。
  • 機能の拡張: PC-X88ADのアドレスレコード再生能力とドルビーNRシステムは、TA-F5000のMOS-FETアンプ回路、多機能トーンコントロールと組み合わせることで、ユーザーにとってより拡張性の高いオーディオ体験を提供します。さらに、TA-F5000の入力セレクターやプリアウト出力は、PC-X88ADの録音・再生機能とシームレスに連携し、使い勝手を向上させます。

Aurex PC-X88ADとOPTONICA SM-4000の組み合わせ

Aurex PC-X88ADとOPTONICA SM-4000の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性: Aurex PC-X88ADカセットデッキとOPTONICA SM-4000プリメインアンプの組み合わせは、高度な互換性を提供します。SM-4000の幅広い周波数応答と大出力は、PC-X88ADの優れた録音品質とシームレスに組み合わせられ、どちらの機器もその性能を最大限に発揮することができます。
  • 音質の向上: PC-X88ADの88dBのSN比と優れたダイナミックレンジは、SM-4000の低歪率と高SN比によるパワフルでクリアなアンプ出力と組み合わせることで、音質の向上が期待されます。特に、SM-4000の純コンプリメンタリー回路とSLADサーキットによる低歪み設計は、PC-X88ADからの高品質な音源を忠実に増幅し、豊かでバランスの取れたオーディオ体験を提供します。
  • 機能の拡張: PC-X88ADの多機能性とSM-4000の豊富な接続オプションとの組み合わせにより、オーディオシステムの機能が拡張されます。SM-4000の複数の入力選択肢、3系統のスピーカー出力、高品質なトーンコントロールは、PC-X88ADのアドレス録音機能やドルビーNRシステムと合わせて、より多様なリスニング環境を実現ししています。

Aurex PC-X88ADとTechnics SU-8080の組み合わせ

Aurex PC-X88ADとTechnics SU-8080の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性: Aurex PC-X88ADカセットデッキとTechnics SU-8080プリメインアンプの組み合わせは、高度な互換性を持っています。SU-8080の幅広い周波数応答と高いSN比は、PC-X88ADの優れた録音品質を余すところなく再現し、互いの機器が持つポテンシャルを最大限に引き出します。
  • 音質の向上: PC-X88ADの88dBのSN比と優れたダイナミックレンジは、SU-8080の細部にわたる低歪み設計と組み合わせることで、音質のさらなる向上を実現します。SU-8080のクリーンでパワフルなアンプ出力は、PC-X88ADからのデリケートな音源を精緻に増幅し、リッチで詳細なサウンドステージを提供します。
  • 機能の拡張: PC-X88ADのドルビーNR機能やアドレス録音機能とSU-8080のトーンコントロールやフィルタリングオプションを組み合わせることで、機能的にも拡張されたオーディオシステムを構築することが可能です。SU-8080の細やかな入力感度調整と豊富な接続性は、PC-X88ADの性能をフルに活用し、ユーザーが求める多様なオーディオ環境を実現します。

Aurex PC-X88ADを徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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