Panasonic RS-B965を徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】

Panasonic RS-B965を徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】

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Panasonic RS-B965は完全ヴィンテージなカセットデッキです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

Panasonic RS-B965の概要と特徴

Panasonic RS-B965の概要と特徴
Panasonic RS-B965のスペック
ヘッド録音/再生:アモルファスコンビネーションヘッドx1
消去:センダストガード付フェライトヘッドx1
ワウ・フラッター0.03%(W.R.M.S)
±0.05%(Wpeak、EIAJ)
周波数特性CrO2:20Hz~20kHz±3dB(EIAJ)
メタル:20Hz~21kHz±3dB(EIAJ)
SN比(クロムテープ)NR off:57dB(WTD、1kHz、3%3次歪率)
Dolby B NR in:66dB(CCIR)
Dolby C NR in:74dB(CCIR)
外形寸法幅430x高さ135x奥行290mm
重量6.4kg

Panasonic RS-B965は3ヘッドカセットデッキです。

録音アンプにはリニアマグネフィールドクラスAAを採用しています。

以下から、Panasonic RS-B965の特徴について詳しく解説します。

①:テープ走行メカニズムにはクローズドループデュアルキャプスタン方式を採用

Panasonic RS-B965のテープ走行メカニズムには、クローズドループデュアルキャプスタン方式が採用されています。

クローズドループデュアルキャプスタン方式ってなに?

クローズドループデュアルキャプスタン方式は、音質の向上とテープ走行の安定化を目的として設計された、テープ走行メカニズムの一種です。

このシステムでは、テープの両側にキャプスタン(テープを引っ張るための回転軸)とピンチローラー(キャプスタンにテープを押し付ける小さな転がり部品)があります。

キャプスタン間の距離は「閉じて」いて、つまりテープはこの二つのキャプスタンに挟まれて運ばれるため、テープが伸びたり縮んだりすることなく、一定のテンション(張力)を保つことができます。

この結果、テープ走行時の変調ノイズ(テープが動くことによって生じる不要なノイズ)が大幅に減少し、音質が向上します。

また、テープが安定して走行するため、記録された音楽や音声の再生がより安定します。

②:Panasonic RS-B965のキャプスタンにはデジタルサーボDDモーターを採用

Panasonic RS-B965のキャプスタンには、デジタルサーボDDモーターが採用されています。

キャプスタンにデジタルサーボDDモーターを採用するということは、テープの運動を正確に制御するための高度なモーター技術の使用を指します。

まず、DDモーターは「ダイレクトドライブモーター」の略で、ベルトやギアなどの間接的な伝達機構を使わずに、モーターの回転を直接キャプスタンに伝える方式です。

デジタルサーボシステムを備えているため、モーターの回転速度はデジタル信号によって細かく制御されます。

DDモーターは、モーター回路が生成するフィードバック信号(FGパルス)とクォーツ発振器が生成する正確な基準クロックとを直接比較し、それに同期させることで非常に正確な回転速度を実現しています。

つまり、クォーツ時計のような精度でキャプスタンの回転速度をコントロールできます。

この結果、テープのスピードが非常に安定し、音質が大幅に向上します。

以下はキャプスタンにデジタルサーボDDモーターを採用する具体的なメリットです。

  • 精密な回転速度制御: クォーツ発振による基準クロックに同期することで、非常に正確な回転速度が保たれます。
  • 高いトルク: より高いトルクを提供することで、テープの起動と停止が迅速かつ正確に行われます。
  • 安定したテープ走行: トルクの変動が少なく、テープが一定の速度でスムーズに走行します。

そもそもキャプスタンってなに?

カセットデッキにおけるキャプスタンは、テープの運動を制御するための重要な部品です。

キャプスタンは小さな金属製の棒または軸で、テープが巻かれたリールから引き出されるとき、またはリールに巻き戻されるときに、テープを一定の速度で動かすために使用されます。

③:Panasonic RS-B965にはパワーアシストカセットローディングを採用

Panasonic RS-B965にはパワーアシストカセットローディングが採用されています。

「パワーアシストカセットローディング」とは、カセットデッキでカセットテープを挿入・取り出しする際に使用されるメカニズムです。

このシステムでは、カセットをデッキ内に挿入するときに、専用のモーターがカム(特定のパスをトレースするために設計された部品)を動かし、カセットホルダを正確な位置に安定して固定します。

これによりテープの読み取りや録音時にカセットがずれることなく、一貫した動作が保証されます。

また、カセットハーフスタビライザも搭載されていて、これはカセットテープを構成する二つの半分(ハーフ)の一方を上から押さえつける機能を持ちます。

これはテープが走行する際にカセット内で発生する振動を最小限に抑えるためにあり、結果としてテープの動きが安定し、音質が向上します。

このメカニズムにより、テープの読み取り精度が向上し、音響性能が高まるとともに、テープの摩耗やデッキへの損傷リスクが低減されます。

Panasonic RS-B965と他のヴィンテージカセットデッキとの比較

Panasonic RS-B965と他のヴィンテージカセットデッキとの比較

当然ですが、ヴィンテージカセットデッキはPanasonic RS-B965だけではありません。

以下では

  • Pioneer CT-570
  • VICTOR KD-55SA
  • ONKYO TA-9X

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

Panasonic RS-B965とPioneer CT-570との比較

Panasonic RS-B965とPioneer CT-570との比較は以下の通りです。

  • ヘッド: Panasonic RS-B965はアモルファスコンビネーションヘッドを使用しており、音質の再現性と耐久性に優れています。一方でPioneer CT-570はセンダストヘッドを採用しており、高域の再現に優れるが、アモルファスヘッドに比べてやや劣る可能性があります。
  • モーター: RS-B965では精密な速度制御が可能なデジタルサーボDDモーターをキャプスタンに採用しています。CT-570ではキャプスタン用にDCサーボモーターを使用しており、これも安定したテープ速度を提供しますが、DDモーターの精度には若干劣るかもしれません。
  • ワウフラッター: RS-B965のワウフラッターは0.03%(W.R.M.S)と非常に低く、優れた安定性を提供します。CT-570のワウフラッターは0.04%(WRMS)とやや高く、この点でRS-B965に劣ります。
  • SN比: RS-B965のSN比はDolby C NRを使用時に74dBと非常に高く、ノイズが少なくクリアな音質を提供します。CT-570はドルビーONで70dB以上と少し低いですが、これも良好なノイズレベルです。
  • 重量: RS-B965は6.4kgとCT-570の8.0kgに比べて軽量です。
  • 音質: RS-B965はハイエンドな機能を多数搭載し、音質面でも優れていることが期待されます。CT-570も高品質な音質を提供する機能がありますが、比較するとRS-B965の方が若干上位の性能を持つと考えられます。

Panasonic RS-B965とVICTOR KD-55SAとの比較

Panasonic RS-B965とVICTOR KD-55SAとの比較は以下の通りです。

  • ヘッド:Panasonic RS-B965ではアモルファスコンビネーションヘッドとセンダストガード付フェライトヘッドが採用されており、高い周波数特性と耐久性が特徴です。一方、VICTOR KD-55SAはSAヘッドを採用しており、最大磁束密度と安定した温度特性が強みですが、パーマロイより高域特性が劣る可能性があります。
  • ワウフラッター:RS-B965のワウフラッターは0.03%(W.R.M.S)と非常に低く、テープの安定走行を支えています。KD-55SAのワウフラッターは0.06%(WRMS)であり、RS-B965に比べるとやや大きい値です。
  • 周波数特性:RS-B965はメタルテープで20Hz~21kHz±3dBの特性を持ち、高域までの再生能力が高いです。KD-55SAはVX/クロームテープで20Hz~18kHzとなっており、メタルテープには対応していないようです。
  • SN比:RS-B965はDolby C NRを含む複数のノイズリダクションを搭載し、74dB(CCIR)という高いSN比を達成しています。KD-55SAはANRS onで1kHzで5dB、5kHz以上で10dBの改善が見込めますが、Dolby C NRには劣る可能性があります。
  • 重量:RS-B965は6.4kgであり、KD-55SAは5.6kgとなっており、ほぼ同等の重さです。
  • 音質:RS-B965はアモルファスヘッドとデジタルサーボDDモーター、さらに高度なノイズリダクションシステムによって高品質な音質を実現しています。一方、KD-55SAはスーパーANRSを搭載しており、高域のダイナミックレンジを拡大していますが、RS-B965に比べると全体の音質は劣る可能性があります。

Panasonic RS-B965とONKYO TA-9Xとの比較

Panasonic RS-B965とONKYO TA-9Xとの比較は以下の通りです。

  • ヘッド:Panasonic RS-B965のアモルファスコンビネーションヘッドは高い解像度と耐久性を提供し、ONKYO TA-9XのS&Sセンダスト録再コンビヘッドも高品質な録再能力を持つが、アモルファスの方がテクノロジー的に進んでいる可能性があります。
  • モーター:RS-B965のデジタルサーボDDモーターは精密な制御と高トルクを誇る。TA-9XのDCサーボモーターも優れた性能を提供するが、DDモーターの技術的な優位性があるかもしれません。
  • ワウフラッター:RS-B965は0.03%(W.R.M.S)のワウフラッターを実現しており、TA-9Xの0.019%(WRMS)と比較して若干大きいが、どちらも優れたテープ安定性を持つ。
  • 周波数特性:RS-B965はメタルテープ使用時に20Hz~21kHz±3dBの範囲をカバーし、TA-9XはMetalテープで20Hz~20kHzとほぼ匹敵するが、高域の伸びでRS-B965が優れる可能性があります。
  • SN比:RS-B965のDolby C NRを使用したSN比は74dB(CCIR)と高く、TA-9XのDolby C NRを使用したSN比改善量は20dB(5kHz)であり、Dolby C NRの効果においてはRS-B965が優れる可能性があります。
  • 重量:RS-B965は6.4kgで、TA-9Xは9.5kgと、ONKYOのモデルの方がかなり重いです。
  • 音質:RS-B965はアモルファスヘッドや高度なノイズリダクションシステムを搭載しており、音質において高評価が期待できます。TA-9Xもオートアキュバイアスやリアルタイムカウンターなどの機能を搭載しているため、録音時の便利さと高音質が保証されているが、純粋な音質面での比較ではRS-B965が優位かもしれません。

Panasonic RS-B965とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

Panasonic RS-B965とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

Panasonic RS-B965のようなカセットデッキは、基本的にプリメインアンプに接続して使用するはずです。

その為、以下ではPanasonic RS-B965とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを解説します。

Panasonic RS-B965と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • ONKYO Integra A-808
  • LUXMAN L-501s
  • OTTO/SANYO DCA-1300

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

Panasonic RS-B965とONKYO Integra A-808の組み合わせ

Panasonic RS-B965とONKYO Integra A-808の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Panasonic RS-B965カセットデッキとONKYO Integra A-808アンプの互換性は、一般的なオーディオインターフェースを介して接続可能です。RS-B965の高品質な録音出力はA-808の入力セクションに適切にフィードされ、A-808の広範な入力セレクタとレコーディングセレクタは、RS-B965からの信号をスムーズに受け入れることができます。
  • 音質の向上:A-808のスーパーサーボ方式プリメインアンプは、RS-B965のリニアマグネフィールドクラスAA録音アンプと組み合わせることで、特に低域の歪みを減少させ、全体的な音質を向上させます。また、A-808のダイレクトトーンコントロール方式は、シグナルパスを簡素化し、よりクリアな音質を提供します。
  • 機能の拡張:A-808の多様な機能とRS-B965の先進的なテープ録音技術は相互に補完し合い、機能の拡張を実現します。A-808の高度なトーンコントロールと保護回路により、RS-B965からの録音や再生時の精度と安全性がさらに高まります。

Panasonic RS-B965とLUXMAN L-501sの組み合わせ

Panasonic RS-B965とLUXMAN L-501sの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Panasonic RS-B965のアモルファスコンビネーションヘッドとLUXMAN L-501sの高品質な入力ステージは、アナログオーディオ信号の正確な伝送に優れており、互換性は非常に高いです。RS-B965のリッチなアナログ出力は、L-501sのフォノ入力またはライン入力を介して簡単に統合できます。
  • 音質の向上:L-501sのハイスルーレートCSSC超広帯域増幅回路とRS-B965のリニアマグネフィールドクラスAA録音アンプを組み合わせると、音質が顕著に向上します。特に、レコードの録音および再生時における微妙なニュアンスとダイナミックレンジが明確に再現されます。
  • 機能の拡張:L-501sの多様なトーン調整機能とRS-B965の高度な録音機能は、ユーザーに幅広いカスタマイズオプションを提供します。例えば、RS-B965で録音したテープをL-501sのトーンコントロールを調整しながら再生することで、リスニング環境に最適な音質を得ることができます。

Panasonic RS-B965とOTTO/SANYO DCA-1300の組み合わせ

Panasonic RS-B965とOTTO/SANYO DCA-1300の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Panasonic RS-B965とOTTO/SANYO DCA-1300は、入出力のレベルが一致しているため、接続における互換性は良好です。RS-B965の高品質なアナログ出力は、DCA-1300の入力セクションで適切に処理され、無駄なく伝送されます。
  • 音質の向上:OTTO/SANYO DCA-1300のピュアコンプリメンタリー出力段とRS-B965の精密な録音・再生能力は、音質を大幅に向上させます。特に、DCA-1300の直結回路により、RS-B965で録音された音楽の細部まで正確に再生されることが期待できます。
  • 機能の拡張:DCA-1300のトーンコントロールやラウドネス機能をRS-B965と組み合わせることで、より広範な音質調整が可能になります。これにより、録音や再生時にリスナーの好みに合わせた細やかな音質カスタマイズが実現します。

>> OTTO/SANYO DCA-1300を徹底解説!【他のアンプとの比較】

Panasonic RS-B965を徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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