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SONY TC-K555ESXは完全ヴィンテージなカセットデッキです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
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SONY(ソニー)TC-K555ESXの概要と特徴
SONY(ソニー)TC-K555ESXのスペック | |
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ヘッド | 再生ヘッドx1 録音ヘッドx1 消去ヘッドx1 |
モーター | リニアトルクBSLD.D.モーター DCモーター |
ワウ・フラッター(EIAJ) | ±0.04%Wpeak 0.025%WRMS |
周波数特性 | 20Hz~20kHz ±3dB(EIAJ、メタルテープ) |
SN比 | 56dB(EIAJ) 60dB(Dolby off、ピークレベル、メタルテープ) 73dB(Dolby NR C) |
外形寸法 | 幅430x高さ125x奥行350mm |
重量 | 8.9kg |
TC-K555ESXはステレオカセットデッキです。
オートスペース付きRec Mute機能を搭載しています。
以下から、TC-K555ESXの特徴について詳しく解説します。
①:SONY TC-K555ESXにはミッドシップドライブ・システムを採用
SONY TC-K555ESXには、ミッドシップドライブ・システムが採用されています。
ミッドシップドライブ・システムってなに?
ミッドシップドライブ・システムとは、メカデッキ(カセットデッキの機械部分)及び電源部を装置の中央に配置する設計を指します。
ミッドシップドライブ・システムの配置により、装置の4個の脚部に重量が均等に分散されます。
これによって理想的なウェイトバランスが達成され、装置全体の安定性が向上します。
特に、精密な機械操作を行うカセットデッキでは、このような安定性が非常に重要です。
次に、内部構造についてですが、シャーシ内部はメカデッキと電源部が取り付けられたU字型のインナーシャーシによってほぼ3等分されています。
この分割により、トータルな剛性が向上します。
剛性の向上は、装置が外部からの振動や衝撃に対してより耐性を持つことを意味します。
その結果として音質の向上や、長期間にわたる信頼性の保持に繋がります。
さらに、ミッドシップドライブ・システムでは各回路のプリント基板の取り付けスパンを短くすることが可能です。
これにより信号の伝達効率が向上し、電子ノイズの低減が期待できます。
総じて、ミッドシップドライブ・システムの採用は
- カセットデッキの安定性
- カセットデッキの剛性
- カセットデッキの電子回路の効率を高める
など、全体的な性能向上に貢献しています。
②:多機能ピークプログラムメーターを搭載
SONY TC-K555ESXには、ピークホールドとリアルタイムのピーク値を同時表示する多機能ピークプログラムメーターが搭載されています。
まず、ピークプログラムメーターってなに?
このメーターは、録音または再生中のオーディオ信号のレベルを視覚的に表示する装置です。
さらに、SONY TC-K555ESXの多機能ピークプログラムメーターは、-40~+8dBのレンジで、ピークホールドとリアルタイムのピーク値を同時表示できます。
これらの利点は以下です。
- -40~+8dBのレンジ:この数値はメーターが表示できるデシベル(dB)範囲を示しています。-40dBは非常に弱い信号レベルを、+8dBは標準以上の強い信号レベルを意味します。この広い範囲により、非常に微細な音量レベルの変化から、大きな音量レベルの変化まで精密に監視できます。
- ピークホールド機能:ピークホールドは、オーディオ信号が到達した最大レベルを一定時間保持し表示する機能です。これにより、信号がどの程度の音量レベルに達したかを簡単に確認できます。特に、過大な信号レベルによる歪みを防ぐために役立ちます。
- リアルタイムのピーク値の同時表示:リアルタイムでのピーク値表示は、現在の信号レベルがどの程度であるかを即座に示します。ピークホールド機能と組み合わせることで、過去の最大レベルと現在のレベルを同時に把握でき、より効果的なレベル管理が可能になります。
このように多機能ピークプログラムメーターは、カセットデッキの使用者がオーディオ信号のレベルを正確に監視し、最適な録音または再生レベルを選択するのに役立ちます。
③:TypeI/II/IV対応のオートテープセレクターを搭載
SONY TC-K555ESXには、TypeI/II/IV対応のオートテープセレクターが搭載されています。
これは、デッキが異なるタイプのカセットテープを自動的に識別し、それぞれに最適化された再生や録音設定を自動で選択する機能を備えていることを意味します。
各タイプとその特徴は以下です。
- Type I (ノーマルポジション) テープ: これらは酸化鉄(Fe2O3)を磁性材料として使用する最も一般的なカセットテープです。一般的な録音と再生に適しており、広範囲のデバイスで使用されています。
- Type II (ハイポジション) テープ:これらはクロムダイオキサイド(CrO2)または類似の化合物を使用し、Type I テープよりも高い音質を提供します。高いダイナミックレンジと優れた高域応答の特性を持ちます。
- Type IV (メタルポジション) テープ:メタルテープは、純粋な金属粒子(通常はコバルトをベースにしたもの)を使用し、さらに高い音質を実現します。
つまり、オートテープセレクター機能を持つカセットデッキは、これらのテープタイプを自動的に識別し、それぞれのタイプに最適化された録音バイアス・イコライゼーションおよび他の設定を自動的に調整します。
これにより、ユーザーはテープのタイプを手動で選択する必要がありません。
SONY TC-K555ESXと他のヴィンテージカセットデッキとの比較
当然ですが、ヴィンテージカセットデッキはSONY TC-K555ESXだけではありません。
以下では
- AIWA AD-L35
- Lo-D D-707
- Technics RS-678U
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
SONY TC-K555ESXとAIWA AD-L35との比較
SONY TC-K555ESXとAIWA AD-L35との比較は以下の通りです。
- ヘッド:SONY TC-K555ESXは独立懸架3ヘッド方式を採用し、LC-OFC巻線レーザーアモルファスヘッドを使用しています。これにより高いアジマス精度と均一のヘッドタッチが実現され、音質向上に貢献します。一方、AIWA AD-L35は超硬質SHヘッドとフェライトヘッドを使用しており、これも優れた録音・再生品質を提供しますが、SONYのモデルに比べると技術的にはやや劣る可能性があります。
- モーター:SONY TC-K555ESXはリニアトルクBSLD.D.モーターとDCモーターを採用しており、安定したテープ走行と高い信頼性を提供します。AIWA AD-L35はDCサーボモーターを採用し、これも安定したパフォーマンスを提供しますが、SONYのモデルが採用する新方式3相リニアトルクBSLモーターの方がより先進的です。
- ワウフラッター:SONY TC-K555ESXのワウフラッターは±0.04%Wpeak、0.025%WRMSであり、これは極めて低い水準です。一方、AIWA AD-L35は0.06%(WRMS)となっており、SONYのモデルに比べると若干高い値です。より低いワウフラッターはよりクリアな音質を意味するため、この点ではSONYのモデルが優れています。
- 周波数特性:SONY TC-K555ESXの周波数特性は20Hz~20kHz ±3dBで、非常にバランスが取れています。AIWA AD-L35の場合は、LHで25Hz~14kHz、CrO2およびMetalで25Hz~16kHzとなっており、特に高周波数での応答がSONYのモデルに比べて劣ります。
- SN比:SONY TC-K555ESXのSN比は、Dolby NR C使用時で73dBに達し、非常に高いレベルです。AIWA AD-L35のSN比は63dBとなっており、この点でもSONYのモデルの方が優れています。
- 重量:SONY TC-K555ESXは重量が8.9kgでAIWA AD-L35は2.5kgと軽量です。
- 音質:総合的に、SONY TC-K555ESXはミッドシップドライブ・システム、独立懸架3ヘッド方式、先進的なモーター技術など、音質向上のための数々の先進技術を採用しています。これにより、非常に高品質な音を提供すると考えられます。一方、AIWA AD-L35も優れたパフォーマンスを提供しますが、SONYのモデルに比べると若干劣る可能性があります。
SONY TC-K555ESXとLo-D D-707との比較
SONY TC-K555ESXとLo-D D-707との比較は以下の通りです。
- ヘッド:SONY TC-K555ESXはLC-OFC巻線レーザーアモルファスヘッドを採用し、高い音質を提供しますが、Lo-D D-707は新形状チタン溶射R&Pコンビネーションヘッドを使用しており、これも高品質な録音・再生能力を持っています。両者は異なる技術を採用しており、どちらも優れた性能を持つと評価できます。
- モーター:SONY TC-K555ESXはリニアトルクBSLD.D.モーターとDCモーターを採用し、安定したテープ走行と高い信頼性を提供します。Lo-D D-707も電子制御DCモーターを使用し、安定した性能を持っていますが、SONYのモデルが採用するリニアトルクモーターはより先進的です。
- ワウフラッター:SONY TC-K555ESXのワウフラッターは±0.04%Wpeak、0.025%WRMSで、非常に低いです。Lo-D D-707は0.034%(WRMS)とやや高く、SONYのモデルの方がワウフラッターが低く、より安定したテープ走行を実現します。
- 周波数特性:SONY TC-K555ESXは20Hz~20kHz ±3dBの周波数特性を持ち、バランスが良好です。Lo-D D-707は30Hz~19kHz ±3dBとなっており、特に高域での応答がSONYに比べて劣ります。
- SN比:SONY TC-K555ESXのSN比は、Dolby NR C使用時で73dBに達し、非常に高いです。Lo-D D-707も74dB(Dolby C NR on)と高いSN比を持っていますが、Dolby NR offの場合は56dBとなり、この点でSONYのモデルが優れています。
- 重量:SONY TC-K555ESXは8.9kgと重いですが、これは構造の剛性と安定性を意味します。Lo-D D-707は5.5kgと軽量で、携帯性に優れていますが、剛性や安定性ではSONYのモデルに劣る可能性があります。
- 音質:SONY TC-K555ESXはミッドシップドライブ・システム、先進的なモーター技術、高品質なヘッドなど、音質向上のための多くの特徴を備えています。Lo-D D-707も高品質なヘッドと安定したテープ走行を提供しますが、全体的な音質ではSONYのモデルが優れていると考えられます。
SONY TC-K555ESXとTechnics RS-678Uとの比較
SONY TC-K555ESXとTechnics RS-678Uとの比較は以下の通りです。
- ヘッド:SONY TC-K555ESXはLC-OFC巻線レーザーアモルファスヘッドを採用し、高精度な録音・再生能力を提供します。一方、Technics RS-678UはHPFヘッドを採用しており、これも良好な性能を持っていますが、SONYのモデルがより先進的な技術を採用しているため、音質面での優位性があると考えられます。
- モーター:SONY TC-K555ESXのリニアトルクBSLD.D.モーターは高い信頼性と安定したテープ走行を提供します。Technics RS-678UはFGサーボDCモーターを使用し、これも安定した性能を持っていますが、SONYのモデルの方がテープ走行の精度や安定性で優れていると評価できます。
- ワウフラッター:SONY TC-K555ESXのワウフラッターは±0.04%Wpeak、0.025%WRMSと極めて低いです。Technics RS-678Uのワウフラッターも0.06%(WRMS)と低いですが、SONYのモデルがより優れた性能を提供すると言えます。
- 周波数特性:SONY TC-K555ESXは20Hz~20kHz ±3dBという広範囲の周波数特性を持ちます。Technics RS-678UはNormalで20Hz~15kHz、CrO2で20Hz~17kHzとなっており、特に高域での応答がSONYのモデルに比べて劣ります。
- SN比:SONY TC-K555ESXのSN比は、Dolby NR C使用時で73dBと非常に高いです。Technics RS-678UのSN比はDolby C NR onで最大74dBとされていますが、Dolby NR offの場合は52dBとなるため、全体的なノイズパフォーマンスではSONYのモデルが優れています。
- 重量:SONY TC-K555ESXの重量は8.9kgで、Technics RS-678Uは約10.0kgです。
- 音質:SONY TC-K555ESXはミッドシップドライブ・システムや先進的なモーター技術、高品質なヘッドなどを採用し、高品質な音を提供します。Technics RS-678Uも良好な音質を提供しますが、全体的な音質の優位性はSONYのモデルにあると考えられます。
SONY TC-K555ESXとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ
SONY TC-K555ESXのようなカセットデッキは、基本的にプリメインアンプに接続して使用するはずです。
その為、以下ではSONY TC-K555ESXとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを解説します。
SONY TC-K555ESXと組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、
- McIntosh MA6900
- LUXMAN L-507sII
- KENWOOD KAF-5002
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
SONY TC-K555ESXとMcIntosh MA6900の組み合わせ
SONY TC-K555ESXとMcIntosh MA6900の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:SONY TC-K555ESXカセットデッキは、20Hz~20kHzの広範囲な周波数特性と高SN比(最大73dB)を持っています。一方、McIntosh MA6900インテグレーテッドアンプは、同じく20Hz~20kHzの周波数帯域幅と0.005%以下の全高調波歪率を備えています。これらのスペックは、デッキの出力がアンプで忠実に再現され、高品質なオーディオ信号が保持されることを意味し、互換性が高いと言えます。
- 音質の向上:McIntosh MA6900の最大200Wの出力能力は、SONY TC-K555ESXの優れたダイナミックレンジと相まって、音質の向上に寄与します。特に、SONYデッキのリニアトルクBSLD.D.モーターとクローズドループ・デュアルキャプスタン方式による安定したテープ走行と、McIntoshの高いダイナミックヘッドルームとダンピングファクターにより、細部にわたる音のニュアンスまで正確に再現することが可能です。
- 機能の拡張:SONY TC-K555ESXはバイアスキャリブレーション機能や録音レベルキャリブレーション機能を備え、録音時の細かな調整が可能です。McIntosh MA6900には5バンドイコライザーやフォノ入力などがあり、これらの機能はSONYデッキからの音源をさらに洗練させることができます。また、McIntoshの高SN比と低歪率は、SONYデッキからの録音や再生時のノイズや歪みを最小限に抑え、よりクリーンでダイナミックなサウンドを実現します。
SONY TC-K555ESXとLUXMAN L-507sIIの組み合わせ
SONY TC-K555ESXとLUXMAN L-507sIIの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:SONY TC-K555ESXカセットデッキの20Hz~20kHzの周波数特性と高SN比は、LUXMAN L-507sIIインテグレーテッドアンプの20Hz~100kHzの周波数帯域幅と高SN比(CD: 107dB以上)と非常に互換性が高いです。これにより、SONYデッキからの信号はLUXMANアンプによって忠実に再現され、オーディオ信号の細部まで精密に処理されます。
- 音質の向上:LUXMAN L-507sIIの低歪率(0.005%以下)と広帯域特性は、SONY TC-K555ESXのリニアトルクモーターとクローズドループ・デュアルキャプスタン方式による安定したテープ走行と相まって、音質の向上に寄与します。この組み合わせにより、カセットテープからのアナログ音源が高解像度で再生され、より豊かでダイナミックな音響体験が実現されます。
- 機能の拡張:LUXMAN L-507sIIの豊富な入力オプションと調整機能は、SONY TC-K555ESXの録音・再生能力をさらに拡張します。特に、LUXMANのトーンコントロール、ラウドネス機能、バランスコントロールは、SONYデッキからの音源を細かく調整し、好みに合わせた音質へのカスタマイズを可能にします。また、LUXMANのフォノ入力はSONYデッキのアナログ出力に完璧にマッチし、高品質なアナログ音響体験を提供します。
SONY TC-K555ESXとKENWOOD KAF-5002の組み合わせ
SONY TC-K555ESXとKENWOOD KAF-5002の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:SONY TC-K555ESXカセットデッキとKENWOOD KAF-5002アンプの組み合わせは良好な互換性を持ちます。SONYデッキの20Hz~20kHzの周波数特性と最大73dBのSN比は、KENWOODアンプの40W+40Wの定格出力と0.009%の低歪率と一致し、オーディオ信号が適切に処理されます。KENWOODアンプの広いダイナミックレンジと高いSN比(Line(CD):100dB)は、SONYデッキからの信号を効果的に再生し、高品質なオーディオ体験を提供します。
- 音質の向上:KENWOOD KAF-5002の新開発のTRAITRトランジスタとリングコア・トロイダルトランスは、SONY TC-K555ESXの精密な録音・再生能力をさらに向上させます。特に、KENWOODアンプの低歪率と広いダイナミックレンジは、SONYデッキのリニアトルクモーターとデュアルキャプスタン方式による安定したテープ走行を補完し、クリアで豊かな音質を実現します。
- 機能の拡張:この組み合わせにより、機能面での拡張も期待できます。KENWOOD KAF-5002アンプの多様な入力選択と調整機能は、SONY TC-K555ESXの録音・再生機能を補完し、ユーザーにより多彩なオーディオ体験を提供します。特に、KENWOODアンプの金メッキピンジャックと静電結合防止構造は、SONYデッキからのアナログ信号の品質を維持し、安定した接続を実現します。
SONY TC-K555ESXを徹底解説!【他のカセットデッキとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。