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ALTEC LANSING Model 511は、1990年頃発売のヴィンテージなスピーカーシステムです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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ALTEC LANSING Model 511の概要と特徴

| ALTEC LANSING Model 511のスペック | |
|---|---|
| 発売年 | 1990年頃 |
| 定価 | ¥540,000(1台) |
| 方式 | 4ウェイ・5スピーカー・密閉方式・トールボーイ型 |
| インピーダンス | 4Ω |
| 定格入力/最大入力 | 150W/300W |
| 出力音圧レベル | 92dB/W/m |
| 重量 | 49.9kg(1台) |
ALTEC LANSING Model 511は1990年頃に発売されたトールボーイ型スピーカーシステムです。
4ウェイ・5スピーカーという贅沢な構成に、カーボン・ファイバー振動板とダイヤモンドコーティング・ポリイミド樹脂振動板を組み合わせたALTECの技術の粋を結集したフラッグシップ・トールボーイです。
では、以下からALTEC LANSING Model 511の特徴を解説します。
①:4ウェイ5スピーカー密閉型トールボーイの充実したユニット構成
ALTEC LANSING Model 511の最大の特徴は、25cmコーン型ウーファー×2・16cmコーン型ミッドロー・5cmドーム型スコーカー・2.5cmドーム型ツイーターという4ウェイ5スピーカーの充実した構成にあります。

4ウェイ5スピーカーって何が優れているんですか?
音域を4つの帯域(低域・中低域・中高域・高域)に分割し、それぞれを専用のユニットで再生する方式です。各ユニットが担当帯域を絞り込んで再生するため、歪みが少なく各帯域のディテールを緻密に再現できます。特に低域と高域の両立が難しいフルレンジや2ウェイと比べて、より精密な周波数分割が可能です。
低域を25cmウーファー2本で担当する構成は、ウーファー1本では得られない量感のある豊かな低域を実現します。クロスオーバー周波数は180Hz・1.5kHz・3.5kHzと精密に設定され、各帯域のつながりがスムーズです。
エンクロージャーは密閉方式を採用しており、バスレフ型に比べて低域の位相特性が整い、タイトで締まった低音が得られます。高さ1,450mmのトールボーイ型により、ツイーターが耳の高さに配置される優れた定位感も特徴です。
以下は、Model 511のユニット構成と筐体の主な特徴です。
- 25cmウーファー×2による量感豊かでタイトな低域再生
- 4ウェイ構成で各帯域を専用ユニットが精密に分担
- 密閉方式トールボーイで低域の位相特性と定位感を両立
②:カーボン・ファイバーとダイヤモンドコーティング振動板が生む高解像度サウンド
低域・中低域ユニットにはカーボン・ファイバー振動板、中高域・高域ユニットにはダイヤモンドコーティングされたポリイミド樹脂振動板が採用されており、各帯域で最適な素材を使い分けた高度な音質設計が施されています。



カーボン・ファイバー振動板って何が優れているんですか?
炭素繊維を素材とした振動板で、軽量ながら非常に剛性が高く、不要な共振を抑えることができるのが特徴です。軽さと硬さの両立により、過渡応答(音の立ち上がり・消え際)が優れており、低域から中低域の音を正確かつ力強く再生します。
中高域・高域に用いられるダイヤモンドコーティング・ポリイミド樹脂振動板は、ポリイミドフィルムの優れた内部損失特性をダイヤモンドコーティングの高剛性で補強した素材です。高域での分割振動を抑制し、クリアでディテールの明瞭な高音域再生を実現します。
出力音圧レベルは92dB/W/mと能率が高く、少ないアンプ出力でも十分な音圧と力強いサウンドが得られます。大型アンプがなくても素材の持つ鮮明な音質を存分に引き出せる点も魅力です。
以下は、Model 511の振動板素材と音質上の主な特徴です。
- カーボン・ファイバー振動板で軽量・高剛性の低中低域再生を実現
- ダイヤモンドコーティング・ポリイミド振動板で分割振動を抑えた透明な高域表現
- 92dB/W/mの高能率で少ない出力でも力強いサウンドを発揮
③:マルチアンプ対応コネクターと各ユニット用アッテネーターによる柔軟なシステム構築
Model 511はマルチアンプやマルチワイヤリングに対応した金メッキ大型コネクターを搭載しており、さらにエンクロージャー上部に各ユニット用のアッテネーターを備えた、高い拡張性と調整自由度を持つスピーカーシステムです。



マルチアンプ接続って何ですか?
スピーカー内部のパッシブネットワーク(クロスオーバー)を使わず、帯域ごとに外部チャンネルデバイダーで帯域を分割し、各ウーファー・ミッドレンジ・ツイーターに独立したアンプを接続する方式です。パッシブネットワークのロスがなくなり、各ユニットをアンプが直接制御するため、解像度・過渡応答・分離感が大幅に向上します。
エンクロージャー上部に搭載されたアッテネーターにより、設置環境や部屋の音響特性に合わせて各帯域の音量バランスを細かく調整できます。同一モデルでも、アッテネーターの設定次第で音調をクールに整えたり、中高域を前に出した活気あるサウンドに変えたりと自由自在です。
エンクロージャーのウォールナット自然木仕上げはインテリアとしての存在感も高く、音楽を聴かないときもリビングを格調高く演出します。金メッキ大型コネクターはケーブルの接触抵抗を最小化し、信号ロスのない伝達を実現します。
以下は、Model 511の接続性と設置上の主な特徴です。
- 金メッキ大型コネクターでマルチアンプ・マルチワイヤリングに対応
- 各ユニット用アッテネーターで部屋の音響に合わせた帯域バランスの調整が可能
- ウォールナット自然木仕上げで音質とインテリア性を高い次元で両立
ALTEC LANSING Model 511と他のヴィンテージスピーカーとの比較


当然ですが、ヴィンテージスピーカーはALTEC LANSING Model 511だけではありません。
以下では
- TANNOY(タンノイ)Edinburgh(エジンバラ)
- Celestion(セレッション)SL-600
- Rogers(ロジャース)PM510
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
| 項目 | ALTEC LANSING Model 511 | TANNOY Edinburgh | Celestion SL-600 | Rogers PM510 |
|---|---|---|---|---|
| 使用ユニット | 4ウェイ・5スピーカー(25cm×2+16cm+5cm+2.5cm) | 2ウェイ・1スピーカー(30cm同軸型) | 2ウェイ・2スピーカー(15cm+3.5cmドーム) | 2ウェイ・2スピーカー(30.5cm+3.4cmドーム) |
| インピーダンス | 4Ω | 8Ω | 8Ω | 8Ω |
| 最大入力 | 300W | 350Wピーク | 200W | 350W |
| 出力音圧レベル | 92dB/W/m | 92dB/W/m | 82dB/W/m | 94dB/W/m |
| 外形寸法(高さ) | 1,450mm(トールボーイ) | 1,020mm(フロア型) | 370mm(ブックシェルフ型) | 760mm(フロア型) |
| 重量 | 49.9kg | 44.0kg | 5.1kg | 32.0kg |
| 音質 | 広大な音場・躍動的な低域・透明な高域 | 同軸ユニットによる優れた定位感・英国的な気品 | アルミハニカムによる高解像度・モニターサウンド | BBCモニター譲りの正確さ・滑らかな中域 |
ALTEC LANSING Model 511とTANNOY(タンノイ)Edinburgh(エジンバラ)との比較
ALTEC LANSING Model 511とTANNOY Edinburghとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:Model 511は4ウェイ5スピーカー構成、Edinburghは30cm同軸型1発のみのシンプルな構成です。帯域分割の精密さと低域の量感ではModel 511が優れ、ユニット間位相の揃いと定位の正確さではEdinburghが優れています。
- インピーダンス:Edinburghが8ΩでModel 511の4Ωより高く、アンプを選ばない扱いやすさではEdinburghが優れています。
- 最大入力:Model 511が300WでEdinburghの350Wピークに近い水準です。耐入力ではほぼ同等ですが、定格入力100W連続のEdinburghに対しModel 511は150Wとやや優位です。
- 出力音圧レベル:両機とも92dB/W/mで同等です。能率面では差はありません。
- 重量:Model 511が49.9kgに対しEdinburghは44.0kgです。筐体物量ではModel 511、取り扱いやすさではEdinburghがそれぞれ優れています。
- 音質:Model 511は躍動的で広大な音場とALTECらしい開放感、Edinburghはデュアル・コンセントリックによる優れた定位感と英国的な気品のある音調が特徴です。アメリカ的なダイナミズムを求めるならModel 511、英国的な端正さと音像の精確さを求めるならEdinburghが優れています。
ALTEC LANSING Model 511とCelestion(セレッション)SL-600との比較
ALTEC LANSING Model 511とCelestion SL-600との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:Model 511は4ウェイ5スピーカーの贅沢な構成に対し、SL-600は15cm+3.5cmドームの2ウェイ構成です。低域の量感と帯域分割の精密さではModel 511が大きく優れています。
- インピーダンス:SL-600が8ΩでModel 511の4Ωより高く、アンプを選ばない扱いやすさではSL-600が優れています。
- 最大入力:Model 511が300W、SL-600が200Wと近い水準です。大出力への対応力ではModel 511がわずかに優れています。
- 出力音圧レベル:Model 511が92dBに対しSL-600は82dBと10dB低く、鳴らしやすさではModel 511が大きく優れています。SL-600は大出力アンプを必要とします。
- 重量:SL-600は5.1kgと極めて軽量で、Model 511の49.9kgと対照的です。設置自由度と取り扱いやすさではSL-600が大きく優れています。
- 音質:Model 511は躍動的で広がりのあるALTECサウンド、SL-600はアルミハニカムエンクロージャーによる共振の少ない高解像度モニターサウンドが特徴です。音楽の躍動感とスケール感ではModel 511、精密でモニター的な音像を求めるならSL-600が優れています。
ALTEC LANSING Model 511とRogers(ロジャース)PM510との比較
ALTEC LANSING Model 511とRogers PM510との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:Model 511は4ウェイ5スピーカーに対し、PM510は30.5cm+3.4cmドームの2ウェイ構成です。帯域分割の精密さではModel 511、BBCモニターLS5/8譲りのシンプルな信号経路ではPM510が優れています。
- インピーダンス:PM510が8ΩでModel 511の4Ωより高く、アンプを選ばない扱いやすさではPM510が優れています。
- 最大入力:PM510が350WでModel 511の300Wを上回ります。大出力アンプとの組み合わせではPM510がわずかに優れています。
- 出力音圧レベル:PM510が94dBでModel 511の92dBより高く、能率の高さではPM510が優れています。
- 重量:PM510が32.0kgに対しModel 511は49.9kgです。筐体物量の豊富さではModel 511、取り扱いやすさではPM510が優れています。
- 音質:Model 511は躍動的で開放的なALTECサウンド、PM510はBBCモニターLS5/8をベースにした正確で滑らかな中域再生が特徴です。ポピュラーミュージックやジャズをダイナミックに楽しむならModel 511、クラシックやボーカルの自然さを重視するならPM510が優れています。
ALTEC LANSING Model 511とヴィンテージアンプとの組み合わせ


以下では、ALTEC LANSING Model 511とヴィンテージアンプとの組み合わせを一部解説します。
ALTEC LANSING Model 511と組み合わせるヴィンテージアンプは、
- AIR TIGHT(エアータイト)ATM-1
- TRIODE(トライオード)VP-Mini88 Revolution
- QUAD(クォード)405-2
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
ALTEC LANSING Model 511とAIR TIGHT(エアータイト)ATM-1の組み合わせ
ALTEC LANSING Model 511とAIR TIGHT ATM-1の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:AIR TIGHT ATM-1は6CA7を4本搭載した36W+36Wの管球式ステレオパワーアンプで、負荷インピーダンスは4Ω/8Ωに対応します。4Ωタップを持つ管球アンプとModel 511の92dB高能率の組み合わせは、36Wの出力でも十分に大音量再生が可能で、相性は極めて良好です。
- 音質の向上:ATM-1のムラード型位相反転+UL接続による豊かな倍音と滑らかな音の溶け合いが、Model 511のダイヤモンドコーティング振動板の透明な高域と絶妙にマッチし、ヴィンテージオーディオらしい温かみと解像度を両立した再生音が得られます。
- おすすめの音楽ジャンル:ジャズ・クラシック室内楽・ボーカルとの相性が特に優れています。6CA7管の中域の厚みとALTECの開放的な音場が組み合わさると、楽器の佇まいや歌手の息づかいまで生々しく再現されます。
ALTEC LANSING Model 511とTRIODE(トライオード)VP-Mini88 Revolutionの組み合わせ
ALTEC LANSING Model 511とTRIODE VP-Mini88 Revolutionの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:TRIODE VP-Mini88 RevolutionはKT88出力管を用いた10W+10Wの管球式プリメインアンプで、4Ω/8Ωの出力端子を備えます。Model 511の92dB高能率は、わずか10WのシングルエンドKT88でも十分な音圧が得られる組み合わせで、小出力管球アンプでも破綻なく鳴らせます。
- 音質の向上:VP-Mini88 RevolutionのKT88特有の艶やかな中域と初段直結回路による純度の高い信号経路が、Model 511のカーボン・ファイバー振動板の過渡応答と組み合わさり、小音量でも音楽情報の豊かな繊細なサウンドが実現します。
- おすすめの音楽ジャンル:女性ボーカル・アコースティック系・ジャズトリオとの相性が特に優れています。KT88の倍音とModel 511の開放的な鳴り方は、ニアフィールドでの小音量リスニングでも音楽の情感を豊かに伝えます。
ALTEC LANSING Model 511とQUAD(クォード)405-2の組み合わせ
ALTEC LANSING Model 511とQUAD 405-2の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:QUAD 405-2はカレントダンピング回路を搭載した100W+100W(8Ω)のステレオパワーアンプです。フィードフォワード理論による極めて低い0.01%の歪率とModel 511の150W定格入力の組み合わせは、純度の高い信号を十分な出力でModel 511に送り込める理想的な組み合わせです。
- 音質の向上:405-2のカレントダンピング回路による英国的な端正で澄みきった再生音が、Model 511のALTECらしい躍動感と融合し、アメリカ的ダイナミズムと英国的な気品を両立した独自のサウンドが得られます。
- おすすめの音楽ジャンル:クラシックオーケストラ・ロック・フュージョンとの相性が特に優れています。405-2の高解像度でクリアな音調とModel 511の広大な音場が組み合わさり、オーケストラの広がりやバンド全体の定位まで克明に再現されます。
ALTEC LANSING Model 511を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました
ALTEC LANSING Model 511の詳細スペック一覧
| ALTEC LANSING Model 511 スペック詳細 | |
|---|---|
| 方式 | 4ウェイ・5スピーカー・密閉方式・トールボーイ型 |
| 使用ユニット | 低域用:25cmコーン型×2/中低域用:16cmコーン型/中高域用:5cmドーム型/高域用:2.5cmドーム型 |
| 振動板素材 | 低域・中低域:カーボン・ファイバー/中高域・高域:ダイヤモンドコーティング・ポリイミド樹脂 |
| インピーダンス | 4Ω |
| 定格入力 | 150W |
| 最大入力 | 300W |
| 出力音圧レベル | 92dB/W/m |
| クロスオーバー周波数 | 180Hz、1.5kHz、3.5kHz |
| 外形寸法 | 幅330×高さ1,450×奥行343mm |
| 重量 | 49.9kg(1台) |
