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JBL 4312はヴィンテージなスピーカーです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
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JBL 4312の概要と特徴
JBL 4312のスペック | |
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方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:30cmコーン型(2213H) 中域用:13cmコーン型(LE5-12) 高域用:3.6cmコーン型(LE25-2) |
許容入力 | 80W(連続プログラム) |
インピーダンス | 8Ω |
重量 | 20kg |
外形寸法 | 幅362x高さ597x奥行302mm |
JBL 4312は1982年ごろに発売したスピーカーシステムです。
そして、JBL 4312は4311Bの後継機にあたるスピーカーシステムです。
では、以下からJBL 4312の特徴を解説します。
①:低域に搭載された30cmコーン型ウーファー2213H
JBL 4312の低域には30cmコーン型ウーファー2213Hが使用されています。
30cmコーン型ウーファー2213Hってどんな特徴?
2213Hの大きな特徴としては、SFG磁気回路とランサプラスコーティングされたコーン紙を採用している点です。
まず、SFG磁気回路というのは、磁束のむらを極力減少させること寄与していて、結果として歪みの少ないクリアな低音を実現しています。
さらに、ランサプラスコーティングはコーン紙の剛性を高め、純粋な振動を可能にすることで音の純度を向上させています。
そして、リブ付きのアルミダイキャストフレームを使用することで、ウーファー自体の耐久性も高く、長期にわたる使用においても性能の劣化が少ないというメリットがあります。
これはプロのスタジオ用途はもちろん、日常的な使用においても信頼性が高いことを意味します。
②:JBL 4312は中域用レベルコントロールが搭載
JBL 4312は中域用のレベルコントロールが搭載されています。
中域のレベルコントロールができると、どんな利点があるの?
中域のレベルコントロールは、タンブルバランス(音の明るさや暗さのバランス)の最適化に寄与します。
特定の楽器やボーカルのプレゼンスを際立たせたい場合や、逆に過度に前面に出過ぎる音を抑えたい場合に調整を行うことで、全体としてのハーモニックバランスを整えることができます。
これは、音楽制作において特に重要な技術であり、ミキシングプロセスでよく用いられる手法です。
さらに、グリルを装着した状態でもレベル調整が可能であるため、オーディオシステムの見た目を損なうことなく、リアルタイムでのサウンドチューニングが行えます。
③:ミラー・イメージペアの採用と音像定位の改善
JBL 4312のユニットレイアウトにはミラー・イメージペア構成が採用されています。
ミラー・イメージペア構成ってなに?
ミラー・イメージペア構成とは、左右のスピーカーが鏡像のように配置される設計のことを指します。
この設計の最大のメリットは、ステレオイメージングの向上です。
音像定位がシャープになることで、演奏者が実際に部屋の中にいるかのようなリアルな音場を作り出すことができます。
これは、特にクラシック音楽やジャズライブの録音を聴く際に、その場にいるかのような臨場感が得られます。
また、この配置は反響や他の音響効果による不自然な音のずれを最小限に抑えるため、より自然でバランスの取れた聴感を得ることが可能です。
JBL 4312と他のヴィンテージスピーカーとの比較
当然ですが、ヴィンテージスピーカーはJBL 4312だけではありません。
以下では
- Lo-D HS-303
- SANSUI SP-707J
- OTTO SX-1166
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
JBL 4312とLo-D HS-303との比較
JBL 4312とLo-D HS-303との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL 4312は、低域に20cmコーン型x2、中域にホーン型、高域に1.9cmリング型を使用していますが、Lo-D HS-303は低域に20cmコーン型x1、高域に6.5cmコーン型を使用しています。中域のホーン型スピーカーがJBL 4312の方が音の定位と分離に優れ、高解像度なサウンドステージを提供すると評価されます。
- 再生周波数帯域:JBL 4312は35Hz~40kHzの周波数特性を持ち、Lo-D HS-303は50Hz~17kHzです。JBL 4312の方が広い帯域をカバーしており、低域から超高域まで再生能力に優れる点が高く評価されます。
- 外形寸法:JBL 4312の外形寸法は幅259x高さ1,104x奥行418mm、Lo-D HS-303は幅292x高さ680x奥行270mmです。JBL 4312はより大型であり、その分、音の拡がりと深みが期待できる一方で、設置スペースを選びます。
- 重量:JBL 4312は35.6kgとLo-D HS-303の13kgに比べて重く、重量が音の安定感と直接関係するため、JBL 4312はより堅牢で安定したパフォーマンスを提供します。
- 音質:JBL 4312は中域のホーン型と高域のリング型が高い解像度とダイナミックレンジを実現しています。対照的にLo-D HS-303は2ウェイシステムでシンプルながらも効果的な音響レンズを用いていますが、JBL 4312の方が幅広いジャンルの音楽に対して優れた表現力を持つと評価されます。
JBL 4312とSANSUI SP-707Jとの比較
JBL 4312とSANSUI SP-707Jとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL 4312は3ウェイシステムで低域に20cmコーン型x2、中域にホーン型、高域に1.9cmリング型を採用しています。一方、SANSUI SP-707Jは全帯域用として38cmコーン型を使用する1ウェイシステムです。JBL 4312の方が複雑な周波数帯に対応しており、より精緻な音質を提供しますが、SP-707Jの大口径ユニットは迫力のあるサウンドが特徴です。
- 再生周波数帯域:JBL 4312の周波数特性は35Hz~40kHzと非常に広範囲ですが、SANSUI SP-707Jの周波数帯域は明記されていません。ただし、一般的に1ウェイの大口径スピーカーは低音の再生には優れていますが、高周波数の再現は限定的であるため、JBL 4312が高い周波数までカバーしている点は優れています。
- インピーダンス:JBL 4312は6Ω、SANSUI SP-707Jは8Ωです。一般的な家庭用アンプにはSANSUI SP-707Jの8Ωの方が適合しやすく、より一般的な使用に向いていると言えます。一方でJBL 4312の低いインピーダンスは、適応するアンプを選ぶ可能性がありますが、大きな出力を得やすいです。
- 最大入力:JBL 4312の許容入力は200Wに対し、SANSUI SP-707Jは50Wです。JBL 4312は大音量での使用に耐えうる能力があり、大規模な音響設備に適しています。一方、SP-707Jはより控えめな入力での使用が推奨され、小規模な部屋での使用に適していると言えます。
- 外形寸法:JBL 4312は幅259x高さ1,104x奥行418mm、SANSUI SP-707Jは幅614x高さ1034x奥行520mmです。SP-707Jの方が全体的に大きく、特に幅と奥行きが大きいため、より大きなスペースが必要です。これはSP-707Jのバックロードホーン方式が大きなエンクロージャーを要するためです。
- 重量:JBL 4312の重量は35.6kgに対して、SANSUI SP-707Jは66kgと非常に重いです。この重さはSP-707Jの堅牢な造りと大口径ユニットの使用によるもので、安定した低音の再生が可能ですが、設置にはそれなりの労力が必要です。
- 音質:JBL 4312は複数の専用ユニットを使用することで、高域から低域まで均等にカバーし、クリアで精緻な音質を提供します。一方のSANSUI SP-707Jは全帯域用の大口径ユニットにより、力強い低音とその豊かな響きが特徴ですが、高域の解像度では劣る可能性があります。
JBL 4312とOTTO SX-1166との比較
JBL 4312とOTTO SX-1166との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL 4312は低域用に20cmコーン型x2、中域用にホーン型、高域用に1.9cmリング型を使用しており、OTTO SX-1166は低域用に30cmコーン型、中域用に10cmコーン型、高域用にホーン型を採用しています。JBL 4312のほうが複数の低域ユニットを使用しており、低域の再現に優れていますが、OTTO SX-1166の大型低域ユニットも力強い低音を提供します。
- 再生周波数帯域:JBL 4312は35Hzから40kHzの周波数範囲に対して、OTTO SX-1166は30Hzから40kHzと、さらに低い周波数からの再生が可能です。この点ではOTTO SX-1166のほうが若干広い周波数応答を持っており、低音の表現に優れる可能性があります。
- インピーダンス:JBL 4312のインピーダンスは6Ωで、OTTO SX-1166は8Ωです。一般的な家庭用アンプにはOTTO SX-1166の8Ωの方が一般的に合わせやすく、安定した運用が見込めます。
- 最大入力:JBL 4312の最大許容入力は200Wに対し、OTTO SX-1166は100Wです。JBL 4312はより高い入力に耐える設計となっており、大音量での利用が想定されていますが、OTTO SX-1166はより繊細な音質を重視した設計と言えます。
- 外形寸法:JBL 4312の外形寸法は幅259mm、高さ1104mm、奥行き418mmに対して、OTTO SX-1166は幅450mm、高さ815mm、奥行き380mmです。OTTO SX-1166の方が幅広でコンパクトな高さを持っているため、設置場所によってはOTTO SX-1166の方が都合が良い場合があります。
- 重量:JBL 4312は35.6kg、OTTO SX-1166は38kgとほぼ同等の重さですが、OTTO SX-1166の方が全体的にコンパクトな設計にもかかわらず重いため、より堅牢な構造を持っている可能性があります。
- 音質:JBL 4312は複数の専用ユニットと広い周波数応答により、詳細でバランスの取れた音質を提供します。OTTO SX-1166も広い周波数範囲をカバーしていますが、音質の特性はJBL 4312の方が高域と中域でよりクリアで、分解能の高い音を再現します。OTTO SX-1166は特に低域が強調された印象で、迫力のある音楽再生に向いています。
JBL 4312とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ
以下では、JBL 4312とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。
JBL 4312と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、
- OTTO/SANYO DCA-1201
- Marantz PM-17
- DENON PMA-390IV
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
JBL 4312とOTTO/SANYO DCA-1201の組み合わせ
JBL 4312とOTTO/SANYO DCA-1201の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:JBL LS80のインピーダンスは6Ωで、OTTO/SANYO DCA-1201の出力端子は4Ω~8Ω、または8Ω~16Ωと幅広い互換性を持っているため、このアンプはJBL LS80と技術的に互換性があります。OTTO/SANYO DCA-1201は、その柔軟な接続性により、JBL LS80のポテンシャルを引き出すための適切なパワーを供給できるでしょう。
- 音質の向上:OTTO/SANYO DCA-1201のプリメインアンプは、全高調波歪率が非常に低く(最大0.05%)、10Hzから40kHzの広範囲にわたる周波数応答を持っています。これにより、JBL LS80の広い周波数特性と高いダイナミックレンジを完全に活用し、特に低歪みでクリアなサウンドを提供することが可能です。この組み合わせは、細部まで丁寧に再現される洗練された音質を実現します。
- 機能の拡張:OTTO/SANYO DCA-1201は差動入力全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しており、高度なダンピングファクターとともに、スピーカーの制御能力を高め、JBL LS80の音質を最大限に引き出します。さらに、トーンコントロールのオプション(±10dBの調整範囲)により、ユーザーはJBL LS80から出力される音の質感を細かく調整することができ、多様な音楽ジャンルやリスニング環境に対応する柔軟性が拡張されます。
JBL 4312とMarantz PM-17の組み合わせ
JBL 4312とMarantz PM-17の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Marantz PM-17は定格出力が豊富で全高調波歪率が極めて低いため、JBL LS80のような大型で高性能なスピーカーと非常に良好な互換性を持ちます。JBL LS80が要求する高い入力と厳密な制御をMarantz PM-17は提供することができます。特に、PM-17のカレントフィードバック方式のパワーアンプは、LS80の低域用20cmコーン型ウーファーが真価を発揮するために必要な高速で正確な電流供給を確実に行います。これにより、スピーカーとアンプ間のシナジーが向上し、よりクリアでダイナミックな音響を生み出します。
- 音質の向上:Marantz PM-17のHDAMモジュールと純度の高いシグナルパスは、JBL LS80のバイラジアルホーンと高域リング型ツィーターからの詳細な音響情報を精密に再現します。これにより、中域と高域の一貫性が保たれ、音像の定位が鮮明になります。また、PM-17の広い周波数応答は、LS80の広範囲な再生能力をフルに活用し、35Hzから40kHzの広い帯域で自然でバランスの取れた音を出力します。
- 機能の拡張:Marantz PM-17には複数の入力端子とワイヤレスリモコンが備わっており、これによりJBL LS80との組み合わせではさまざまな音源や機器からの入力が可能となります。さらに、PM-17のアジャスタブルHDAMとアクティブフィルター式トーンコントロールを活用することで、リスニング環境に応じて音質を微調整することができ、使用者の好みに合わせたカスタマイズが可能です。
JBL 4312とKENWOOD KA-990Dの組み合わせ
JBL 4312とKENWOOD KA-990Dの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:KENWOOD KA-990Dは、100W+100W(4Ω)の定格出力を持つプリメインアンプで、JBL LS80の6Ωのインピーダンスと良好にマッチします。このアンプは、LS80が持つ大型ウーファーと高出力の要求に応じる十分なドライブ力を持っており、音響機器間での電力不足による性能低下のリスクを排除します。また、LS80の許容入力が200Wと高いことから、KA-990Dの提供するパワーはこれを安全に利用し切ることができ、高音質な音楽再生が期待できます。
- 音質の向上:KENWOOD KA-990Dのカレントフィードバック方式パワーアンプと広い周波数特性(5Hz~70kHz)は、JBL LS80の35Hz~40kHzの周波数特性と完璧に同調します。これにより、特に低域と高域の拡張が顕著に改善され、より広いダイナミックレンジと低歪みでクリアなサウンドを提供します。特に、LS80の複合的なドライバーシステムとKA-990Dの高SN比が組み合わさることで、細部にわたる音の解像度が向上し、リアリティのある音場が実現します。
- 機能の拡張:KENWOOD KA-990Dは多様な入出力端子を備えており、様々なソースからの入力が可能です。これにより、JBL LS80との組み合わせでは、アナログからデジタル、さまざまなメディアタイプに対応する柔軟性が得られます。加えて、KA-990DのアジャスタブルHDAMとNFB型トーンコントロールを利用すれば、リスナーの好みに応じた音質調整が可能となり、よりカスタマイズされた音楽体験を提供することができます。
JBL 4312の特徴や他のスピーカーとの比較:まとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。