JBL 4355を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】

JBL 4355を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】

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JBL 4355はヴィンテージなスピーカーです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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JBL 4355の概要と特徴

JBL 4355の概要と特徴
JBL 4355のスペック
方式4ウェイ・5スピーカー・バスレフ方式・フロア型
ユニット低域用:38cmコーン型(2235H)x2
中低域用:30cmコーン型(2202H)
中高域用:ホーン型(2441+2308+2311)
高域用:ホーン型(2405H)
周波数特性31.5Hz~18kHz ±3dB
28Hz~20kHz +3 -6dB
インピーダンス4Ω(290Hz以下)
8Ω(290Hz以上)
許容入力400W(290Hz以下)
200W(290Hz以上、アッテネーター0dB)
重量120kg
外形寸法幅1223x高さ901x奥行510mm

JBL 4355は1984年ごろに発売したスピーカーシステムです。

ミッドウーファー以上のレベルは5234Aで調整でき、ドライバーとトゥイーターは本体のアッテネーターでも個々に調整できます。

では、以下からJBL 4355の特徴を解説します。

①:低域にはコーン型ウーファーである2235Hを2個搭載

JBL 4355の低域には、コーン型ウーファーである2235Hを2個搭載しています。

2235Hウーファーの特性ってなに?

2235Hウーファーの特性は大きく分けて以下のような特徴があります。

  • 低歪率なSFG磁気回路
  • 振動系にマスコントロールリングを付加
  • ハイコンプライアンス・エッジの強靭なコーン
  • 巻き幅19mmのロングボイスコイル
  • 強化サスペンション

上記3つの項目について解説します。

まず、低歪率なSFG磁気回路とは、歪みを最小限に抑えるための特別な磁気回路の設計です。

通常の磁気回路と比較して、SFG磁気回路は磁場の偏りを減らし、より均一な磁場を生成します。

この結果、スピーカーの動作中に生じる歪みが減少します。

次に、2振動系にマスコントロールリングが付加という意味合いですが、これは特に低音域の性能向上を目的とした設計がされているということです。

マスコントロールリングとは?

マスコントロールリングは、スピーカーの振動系に追加される小さな金属製のリングです。このリングは、振動系の一部に取り付けられ、その質量と剛性を調整する役割を果たします。

そして、ハイコンプライアンス・エッジの強靭なコーンは、スピーカーのコーン(振動板)とその周辺のエッジ部分について特定の高性能な設計がされていることを示しています。

ハイコンプライアンス・エッジと強靭なコーンの組み合わせは、スピーカーに高い音質と耐久性を持たせます。

柔軟なエッジは、低音から高音まで幅広い周波数帯域で効率的な音の再生を可能にします。

一方で、強靭なコーンはスピーカーが高い音圧でも、安定した性能を維持することを可能にします。

②:高域にはホーン型トゥイーターである2405Hを搭載

JBL 4355の高域にはホーン型トゥイーターである、2405Hを搭載しています。

2405Hってなに?

2405Hは、JBLの伝統的な高能率・高耐入力特性を継承しつつ、21.5kHzに達するリニア・レスポンスと、水平140゜x垂直40゜(10kHz)の指向性を実現しています。

これは、非常に高い周波数まで忠実に音を再生でき、かつ広い範囲に音を拡散できるということです。

21.5kHzに達するリニア・レスポンスとは?

「21.5kHzに達するリニア・レスポンス」とは、このトゥイーターが21.5kHzまでの高周波数音を均一に、つまり「リニア」に再生できるという意味です。一般的に人間の可聴域は約20Hzから20kHzですが、このトゥイーターはそれを超える21.5kHzまでカバーしています。

水平140゜x垂直40゜(10kHz)の指向性とは?

「水平140゜x垂直40゜(10kHz)の指向性」は、このトゥイーターが10kHzの周波数で水平方向に140度、垂直方向に40度の範囲で音を拡散する能力を持っているという意味です。

③:バイアンプ駆動専用設計で、低域部と中低域以上が独立入力

JBL 4355はバイアンプ駆動専用設計で、低域部と中低域以上が独立入力となっています。

まず、バイアンプ(Bi-amp)駆動とはスピーカーの異なる周波数帯域(通常は低域と高域)を、別々のアンプで駆動する設計です。

この「専用設計」とは、スピーカーがバイアンプ駆動に特化して設計されているという意味です。

バイアンプ駆動の最大の利点は、各周波数帯域に専用のアンプを使用することで、より高い音質と効率を実現できる点です。

これにより、低域と高域それぞれで最適な駆動が可能となり、歪みの少ないクリアな音質を得られます。

さらに、低域部と中低域以上が独立した入力を持つことで、各帯域に対して独立した信号処理が可能となります。

これにより、例えば低域だけを強調したり、中低域以上に特定のエフェクトをかけたりするなど、より柔軟な音作りが可能となります。

JBL 4355と他のヴィンテージスピーカーとの比較

JBL 4355と他のヴィンテージスピーカーとの比較

当然ですが、ヴィンテージスピーカーはJBL 4355だけではありません。

以下では

  • ONKYO D-77
  • SANSUI SP-G300
  • KENWOOD LS-M5

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

JBL 4355とONKYO D-77との比較

JBL 4355とONKYO D-77との比較は以下の通りです。

  • 方式:JBL 4355は4ウェイ・5スピーカー・バスレフ方式・フロア型ですが、ONKYO D-77は3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型です。JBL 4355の方が多くのスピーカーユニットを使用しており、より広範な音域をカバーしています。
  • 使用ユニット:JBL 4355は低域から高域まで多様なユニットを使用しています。一方、ONKYO D-77はよりシンプルな構成です。特に低域用のユニットが2つある点で、JBL 4355が優れています。
  • 再生周波数帯域:JBL 4355は31.5Hz~18kHz、ONKYO D-77は28Hz~45000Hzとなっています。ONKYO D-77の方がより広い周波数帯域をカバーしています。
  • インピーダンス:JBL 4355は4Ω(290Hz以下)、8Ω(290Hz以上)で、ONKYO D-77は6Ωです。インピーダンスが低いと、より多くの電流が流れ易く、パワーアンプの選択肢が広がります。
  • 外形寸法:JBL 4355は非常に大きく、重いですが、ONKYO D-77はよりコンパクトです。設置場所や用途によっては、ONKYO D-77が便利です。
  • 重量:JBL 4355は120kgで非常に重いですが、ONKYO D-77は26.5kgと軽量です。
  • 最大入力:JBL 4355は400W(290Hz以下)、200W(290Hz以上)で、ONKYO D-77は200Wです。より大きな入力を許容するJBL 4355が優れています。
  • 音質:JBL 4355は高い音圧レベルと広いダイナミックレンジを持っています。一方、ONKYO D-77は高域共振解消技術や特別な振動板材料を使用しています。音質は主観的な要素も多いですが、多機能性と高性能を求めるならJBL 4355が優れています。

JBL 4355とSANSUI SP-G300との比較

JBL 4355とSANSUI SP-G300との比較は以下の通りです。

  • 方式:JBL 4355は4ウェイ・5スピーカー・バスレフ方式・フロア型ですが、SANSUI SP-G300は2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型です。JBL 4355の方が多くのウェイとスピーカーを持っており、より高度な音質を提供できます。
  • 使用ユニット:JBL 4355は低域、中低域、中高域、高域ともに専用のユニットを使用しています。一方、SANSUI SP-G300は低域と高域のみの専用ユニットです。JBL 4355の方が多様な音域に対応しています。
  • 再生周波数帯域:JBL 4355は31.5Hz~18kHz、SANSUI SP-G300は35Hz~20kHzです。SANSUI SP-G300の方が高周波数に対応していますが、低周波数はJBL 4355が優れています。
  • インピーダンス:JBL 4355は4Ω(290Hz以下)、8Ω(290Hz以上)、SANSUI SP-G300は8Ωです。JBL 4355は周波数によってインピーダンスが変わる設計です。JBL 4355がより高度な設計と言えます。
  • 外形寸法:JBL 4355は幅1223x高さ901x奥行510mm、SANSUI SP-G300は幅460x高さ910x奥行392mmです。JBL 4355の方が大きく、スペースが必要です。
  • 重量:JBL 4355は120kg、SANSUI SP-G300は43.3kgです。JBL 4355の方が重く、移動が困難です。
  • 最大入力:JBL 4355は400W(290Hz以下)、200W(290Hz以上)、SANSUI SP-G300は300Wです。JBL 4355の方が高い入力に対応しています。
  • 音質:JBL 4355は高い音圧レベルとダイナミックレンジを持ち、スタジオレベルの性能を持っています。SANSUI SP-G300も高能率と最大許容入力の改善を図っていますが、全体的にはJBL 4355が優れています。

JBL 4355とKENWOOD LS-M5との比較

JBL 4355とKENWOOD LS-M5との比較は以下の通りです。

  • 方式:JBL 4355は4ウェイ・5スピーカー・バスレフ方式・フロア型であり、KENWOOD LS-M5は3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型です。JBL 4355はより多くのウェイとスピーカーを持っており、大型スタジオなどでの使用に適しています。一方、KENWOOD LS-M5はブックシェルフ型であり、家庭用にも適しています。
  • 使用ユニット:JBL 4355は低域用に38cmコーン型を2個、中低域用に30cmコーン型、中高域と高域用にホーン型を使用しています。KENWOOD LS-M5は低域用に27cmコーン型、中域用に12cmコーン型、高域用に2.5cmドーム型を使用しています。JBL 4355はより多様な音域をカバーするためのユニットを多く搭載しています。
  • 再生周波数帯域:JBL 4355は31.5Hz~18kHz、KENWOOD LS-M5は32Hz~47kHzとなっています。KENWOOD LS-M5の方が高周波までカバーしているため、KENWOOD LS-M5のほうが優れています。
  • インピーダンス:JBL 4355は4Ω(290Hz以下)、8Ω(290Hz以上)で、KENWOOD LS-M5は6Ωです。インピーダンスはシステムとの相性に依存するため、評価は用途とシステムに依存します。
  • 外形寸法:JBL 4355は幅1223x高さ901x奥行510mm、KENWOOD LS-M5は幅324x高さ574x奥行352mmです。JBL 4355は大型であり、スペースが必要です。一方、KENWOOD LS-M5はコンパクトです。
  • 重量:JBL 4355は120kg、KENWOOD LS-M5は19kgです。JBL 4355は非常に重く、設置には注意が必要です。
  • 最大入力:JBL 4355は400W(290Hz以下)、200W(290Hz以上)で、KENWOOD LS-M5は150Wです。JBL 4355はより高いパワーに対応しています。
  • 音質:JBL 4355は高い音圧レベルと広い周波数レスポンスを持ち、プロフェッショナルな用途に適しています。KENWOOD LS-M5は高密度で開放感のある音を提供します。

JBL 4355とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

JBL 4355とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、JBL 4355とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

JBL 4355と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • SONY TA-F40
  • LUXMAN L-308
  • ONKYO Integra A-917

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

JBL 4355とSONY TA-F40の組み合わせ

JBL 4355とSONY TA-F40の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL 4355はインピーダンスが4Ω(290Hz以下)と8Ω(290Hz以上)であり、SONY TA-F40は8Ωのスピーカーに対応しています。この点から見ても、特に290Hz以上の周波数帯で非常に良い互換性が期待できます。また、JBL 4355はバイアンプ駆動専用設計であり、SONY TA-F40は高級アンプの技術を投入したプリメインアンプであるため、高いレベルでの音質が期待できます。
  • 音質の向上:JBL 4355は高い音圧レベルと広い周波数レスポンスを持っています。一方で、SONY TA-F40は高調波歪率が非常に低く、ダンピングファクターも50と優れています。これにより、低域から高域まで非常にクリアでダイナミックな音質を実現することができます。特に、JBL 4355の強力な低域とSONY TA-F40の高速応答特性が合わさることで、音楽のリズムとダイナミクスが高まります。
  • 機能の拡張:SONY TA-F40はMCカートリッジダイレクト入力が可能であり、セルフディフィート・トーンコントロールやラウドネススイッチも搭載しています。これにより、JBL 4355の持つ多様な音源に対応する能力がさらに高まります。また、JBL 4355には別売のチャンネルディバイダーがあり、これを使用することで更に高度な音質調整が可能です。

JBL 4355とLUXMAN L-308の組み合わせ

JBL 4355とLUXMAN L-308の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL 4355はインピーダンスが4Ω(290Hz以下)と8Ω(290Hz以上)であり、LUXMAN L-308は8Ωで55W+55Wの連続実効出力を持っています。この点から見ても、両者は十分に互換性があります。特に、JBL 4355の高い音圧レベルとLUXMAN L-308の低歪率が相互に補完し合い、高品質なサウンドを実現します。
  • 音質の向上:JBL 4355は、低域から高域まで広い周波数特性を持っています。特に、低域には38cmコーン型ウーファーである2235Hを2個搭載しており、低歪率・高耐入力特性を実現しています。一方で、LUXMAN L-308は全高調波歪率が0.03%以下と非常に低く、これがJBL 4355のパフォーマンスをさらに引き上げます。LUXMAN L-308の高いダンピングファクターも、JBL 4355の低域のコントロールを向上させ、よりクリアでダイナミックなサウンドを生み出します。
  • 機能の拡張:LUXMAN L-308は、可変式アッテネーター、スピーカー切換スイッチ、ヘッドホンジャック、ACアウトレットなど、多くの便利な機能を備えています。これらの機能は、JBL 4355と組み合わせることで、より多様な音源や設定での使用が可能になります。特に、JBL 4355がバイアンプ駆動専用設計である点を考慮すると、LUXMAN L-308の多機能性は、システム全体の柔軟性と拡張性を高める大きなメリットとなります。

JBL 4355とONKYO Integra A-917の組み合わせ

JBL 4355とONKYO Integra A-917の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL 4355はインピーダンスが4Ω(290Hz以下)と8Ω(290Hz以上)であり、ONKYO Integra A-917は6Ωと8Ωに対応しています。この点から見ても、両者は非常に良い互換性を持っています。特に、ONKYO Integra A-917の定格出力が100W+100W(6Ω)と80W+80W(8Ω)であり、JBL 4355の許容入力が400W(290Hz以下)と200W(290Hz以上)であるため、十分なパワーを確保できます。
  • 音質の向上:JBL 4355は高い音圧レベルと広い周波数レスポンスを持っています。一方で、ONKYO Integra A-917は非常に低い歪率と高いダイナミックパワーを持つため、これらを組み合わせることで、低域から高域まで非常にクリアで力強いサウンドを実現できます。特に、ONKYO Integra A-917の「スーパー・カレント・アンプ構造」は、JBL 4355の高い音圧レベルをしっかりとサポートし、よりリアルな音場を作り出します。
  • 機能の拡張:JBL 4355はバイアンプ駆動専用設計であり、ONKYO Integra A-917は多様な入力/出力オプションを持っています。これにより、より高度なオーディオセットアップが可能です。例えば、ONKYO Integra A-917のトーンコントロール機能を使用して、JBL 4355のサウンドを微調整することができます。また、ONKYO Integra A-917にはリモコンが付属しているため、リモートでの操作が可能です。

JBL 4355を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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