JBL LS80を徹底解説!【2006年発売のスピーカーシステム】

JBL LS80を徹底解説!【2006年発売のスピーカーシステム】

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JBL LS80はヴィンテージなスピーカーです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

JBL LS80の概要と特徴

JBL LS80の概要と特徴
JBL LS80のスペック
方式3ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型
ユニット低域用:20cmコーン型x2
中域用:ホーン型(バイラジアルホーン+176Nd)
高域用::1.9cmリング型(015M)+ショートホーン
許容入力200W
インピーダンス
重量35.6kg
外形寸法幅259x高さ1,104x奥行418mm

JBL LS80は2006年ごろに発売したスピーカーシステムです。

そして、JBL LS80はコンプレッションドライバーをベースに設計されています。

では、以下からJBL LS80の特徴を解説します。

①:JBL LSシリーズのバイラジアルホーン

JBL LSシリーズの最も顕著な特徴の一つは、中域に搭載されたバイラジアルホーンです。

このホーンは伝統的なバイラジアル設計を採用しており、音波の拡散角度を均一に保ちながらも広がりを持たせることが可能です。

音波の拡散角度とは

音波の拡散角度とは、スピーカーシステムにおいて音が放射される範囲を指します。

具体的には、スピーカーが音波をどれだけ広範囲に渡って均等に分散させるかを表す角度で、この角度が広いほど多くのリスナーがスピーカーから等しく良質な音を聞くことができます。

また、ダックビルと呼ばれる特殊な構造をホーンの開口部に装着することで、高域の音波が不規則に散乱することを防ぎ、音質の純度と精度を高めています。

②:JBL LS80には176Ndドライバーユニットが採用

JBL LS801中域のドライバーユニットに176Ndが採用されています。

176Ndはネオジウムマグネットを使用しており、これにより強力な磁気回路を形成し、高感度と高出力が可能になります。

ネオジウムマグネットってなに?

ネオジウムマグネットとは、希土類磁石の一種で、ネオジウム、鉄、ボロンを主成分とする合金から作られる強力な永久磁石です。これらは、現在利用可能な磁石の中で最も強い磁力を持つことで知られており、様々な先進的な技術や産業用途に不可欠です。

さらに、振動板には50mm径のピュアチタンダイアフラムを使用しています。

ピュアチタンダイアフラムってなに?

ピュアチタンダイアフラムとは、スピーカーのドライバーユニットにおいて振動板(ダイアフラム)として使用される素材で、純度の高いチタン(タイタニウム)から製造されます。この素材は、その優れた物理的特性により高品質なオーディオ機器に広く利用されています。

これらの技術によって

  1. 軽量で剛性が高い
  2. 応答性に優れている
  3. 音の歪みが大幅に減少

という様々なメリットが生まれます。

③:JBL LS80はダブルウーファー設計

低域再生において、JBL LS80は20cmコーン型のダブルウーファーを採用しています。

JBL LS80のダブルウーファーってどんな仕様?

このダブルウーファー配置は、一方が中低域、もう一方が低域を専門に担当することで、それぞれのドライバーの性能を最大限に引き出します。

特に、低域専用のウーファーは深いバスレスポンスを提供し、音楽や映画のサウンドトラックにおける迫力ある低音を再現します。

このダブルウーファー設計は、スリムなエンクロージャー内でも、広範囲にわたる低音の拡がりと正確で力強い低音を実現しています。

また、高耐熱カプトンボイスコイルボビンやセンターポールベント装備の磁気回路が連続的なハイパワー再生を可能にし、低歪みで安定したパフォーマンスを維持します。

カプトンボイスコイルボビンってなに?

カプトンボイスコイルボビンは、スピーカーのドライバーユニットにおける重要なコンポーネントの一つで、ボイスコイルという動力生成部の骨格を支える役割を担います。カプトンとは、ポリイミド系の高性能プラスチックで、非常に高い耐熱性と電気絶縁性を有する材料です。この特性により、スピーカーのドライバーで使用される際には多くの利点を提供します。

JBL LS80と他のヴィンテージスピーカーとの比較

JBL LS80と他のヴィンテージスピーカーとの比較

当然ですが、ヴィンテージスピーカーはJBL LS80だけではありません。

以下では

  • Technics SB-X3
  • YAMAHA NS-300
  • TANNOY Autograph(K3808)

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

JBL LS80とTechnics SB-X3との比較

JBL LS80とTechnics SB-X3との比較は以下の通りです。

  • 使用ユニット:JBL LS80は低域用に20cmコーン型x2、中域用にホーン型、高域用に1.9cmリング型を採用しており、対照的にTechnics SB-X3は低域用に20cmコーン型、中域用に9cmコーン型、高域用に2.5cmドーム型を使用しています。JBL LS80の方がより広範囲の周波数をカバーする大型ユニットを複数配しているため、音質の深みと広がりが優れていると評価されます。
  • 再生周波数帯域:JBL LS80の再生周波数帯域は35Hz~40kHzに対し、Technics SB-X3は42Hz~20kHzです。JBL LS80の方が低音から超高音までより広い範囲をカバーしており、再生周波数帯域において明らかに優れています。
  • インピーダンス:両モデルともにインピーダンスは6Ωと同じです。
  • 最大入力:JBL LS80の許容入力は200Wで、Technics SB-X3の70W(ピーク入力)と比較して大きく、より高い入力パワーに耐えられるため、大音量再生時の音質の安定感が高いです。
  • 外形寸法:JBL LS80は幅259mm x 高さ1,104mm x 奥行418mmと大型で、Technics SB-X3は幅280mm x 高さ537mm x 奥行256mmと比較的コンパクトです。設置場所の広さや形状によって適切なモデルが異なるため、一概にどちらが優れているとは言えませんが、JBL LS80はよりインパクトのある存在感を放っています。
  • 重量:JBL LS80は35.6kgでTechnics SB-X3は11.5kgです。スピーカーの堅牢な構造は音質の安定に寄与していることが多いです。
  • 音質:JBL LS80は高域から低域までスムーズにつながる音質を持ち、特に中高域の一体感が際立っています。Technics SB-X3もクリアで繊細な高域が魅力ですが、JBL LS80の方が全体的にバランスが取れた豊かな音場を提供すると評価されます。

JBL LS80とYAMAHA NS-300との比較

JBL LS80とYAMAHA NS-300との比較は以下の通りです。

  • 使用ユニット:JBL LS80は低域用に20cmコーン型x2、中域用にホーン型、高域用に1.9cmリング型を採用しています。一方、YAMAHA NS-300は低域用に16cmコーン型x2、高域用に3cmドーム型を使用しています。JBL LS80の方が中域のホーン型ドライバーにより中高域の明瞭さが増し、よりダイナミックな音場を提供しますが、YAMAHAのシンプルな2ウェイ設計もナチュラルな音質を好むユーザーには魅力的です。
  • 再生周波数帯域:JBL LS80の周波数特性は35Hz~40kHzで、YAMAHA NS-300は30Hz~35kHzです。JBL LS80の方が高域の拡張性が優れているため、細かい音のディテールをより良く捉えますが、YAMAHAは低域のレスポンスが若干広いため、深みのある低音が特徴です。
  • インピーダンス:両モデルともにインピーダンスは6Ωです。
  • 最大入力:JBL LS80は最大入力が200Wで、YAMAHA NS-300の最大入力は400Wです。YAMAHAの方が高出力に対応しており、大音量での使用に適していますが、日常的なリスニングレベルではJBLの音質のクオリティが高く評価される場面が多いでしょう。
  • 外形寸法:JBL LS80は幅259mm x 高さ1,104mm x 奥行418mm、YAMAHA NS-300は幅212mm x 高さ900mm x 奥行317mmとなっています。JBL LS80の方が全体的に大きく、存在感がありますが、スペースが限られている環境ではYAMAHA NS-300のコンパクトさが有利です。
  • 重量:JBL LS80は35.6kg、YAMAHA NS-300は19.0kgとなっています。
  • 音質:JBL LS80は中域のホーン型ドライバーと複合的なハイエンドユニットの使用により、豊かでダイナミックな音場が得られ、特に中高域の解像度が高いです。YAMAHA NS-300はよりフラットでナチュラルな音質が得られるため、ジャンルを選ばず幅広い音楽に対応しますが、JBLの方がより精密な音響再現が可能です。

JBL LS80とTANNOY Autograph(K3808)との比較

JBL LS80TANNOY Autograph(K3808)との比較は以下の通りです。

  • 使用ユニット:JBL LS80は低域用に20cmコーン型x2、中域用にホーン型、高域用に1.9cmリング型を採用しており、多元的な音響再生を実現しています。対して、TANNOY Autograph(K3808)は15インチ同軸2ウェイユニットを使用しており、同軸配置による一貫性のある音場表現が特徴です。JBLの方が多様な周波数帯を個別に扱うことができるのに対し、TANNOYはポイントソースの利点を活かした高い定位感と一体感を提供します。
  • 再生周波数帯域:JBL LS80の再生周波数帯域は35Hz~40kHzに対し、TANNOY Autographは50Hz~20kHzです。JBL LS80は特に高域でより広がりを持ち、細かなディテールの再現に優れていますが、TANNOYはより集中的な音域での精密な再生を得意としています。
  • インピーダンス:JBL LS80のインピーダンスは6Ωであり、TANNOY Autographは8Ω(最小5.5Ω)です。これにより、TANNOYは多少高いインピーダンスを持つため、一般的な家庭用アンプとのマッチングが異なりますが、適切なアンプを用いることで高品質な音響出力が可能です。
  • 最大入力:JBL LS80の許容入力は200Wに対して、TANNOY Autographは低域で120W、高域で60Wの連続入力が可能です。JBLの方が全体的に高い入力耐性を持っているため、大音量での使用に適していますが、TANNOYは特定の周波数帯での精緻な音響制御を可能にしています。
  • 外形寸法:JBL LS80の寸法は幅259mm x 高さ1,104mm x 奥行418mm、TANNOY Autographは幅1070mm x 高さ1525mm x 奥行730mmと非常に大きく、特異なデザインです。TANNOYの方が大幅に大きく重いため、設置には十分なスペースが必要ですが、その大きさが生み出す音響効果は非常に大きなものがあります。
  • 重量:JBL LS80は35.6kgで、TANNOY Autographは85kgと非常に重いです。この重量はTANNOYの堅牢な構造と密閉型の音響設計によるもので、音質の安定性と低域の効果的な再生を保証します。
  • 音質:JBL LS80は高域から低域まで均一にカバーし、ダイナミックな音場を提供します。一方、TANNOY Autographは同軸ユニットによる高い定位精度と音の一体感を実現しており、特にボーカルやアコースティックな楽曲の再生においてその真価を発揮します。

JBL LS80とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

JBL LS80とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、JBL LS80とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

JBL LS80と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • Audio Refinement Integre Complete
  • KENWOOD KA-1080
  • DENON PMA-390IV

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

JBL LS80とAudio Refinement Integre Completeの組み合わせ

JBL LS80とAudio Refinement Integre Completeの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL LS80のインピーダンスは6Ωであり、Audio Refinement Integre Completeのプリメインアンプはこれを十分にサポートします。定格出力50W+50WはLS80の許容入力200Wに比べて控えめですが、実用的なリスニングレベルでの使用では完全に適合し、安定した駆動を保証します。この組み合わせにより、アンプのハイファイ能力がスピーカーのポテンシャルを引き出すことが可能です。
  • 音質の向上:Audio Refinement Integre Completeは全高調波歪率が0.02%以下と非常に低く、これがJBL LS80のクリアでダイナミックなサウンド再生をさらに洗練されたものにします。アンプの広い再生周波数帯域(10Hz〜40kHz)は、スピーカーの周波数特性(35Hz〜40kHz)と良好にマッチし、特に高域の伸びや低域の深みを十分に生かすことができます。結果として、音質は明瞭でバランスが取れ、よりリッチなリスニング体験が得られます。
  • 機能の拡張:Integre Completeは、複数の入力ソースをサポートしており、CDやAuxだけでなく、ニッケルメッキと金メッキの端子を使用しています。これにより、異なるオーディオソースからの接続が容易で、高い伝導率を保ちながらも信号の品質を保つことが可能です。また、専用ワイヤレスリモコンによる遠隔操作が可能となり、利便性が向上しています。これにより、ユーザーは音量調整や入力切替を手元で簡単に行え、より快適なオーディオ体験が実現します。

JBL LS80とKENWOOD KA-1080の組み合わせ

JBL LS80とKENWOOD KA-1080の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL LS80のインピーダンスは6Ωで、KENWOOD KA-1080アンプは8Ωで最適なパフォーマンスを提供しますが、4Ωで105W+105Wと記載があり、6Ωにおいても十分な駆動力を提供できます。このアンプはLS80の許容入力200Wに比べると低い出力ですが、一般的なリスニングレベルでは充分な出力を提供し、JBL LS80を安定して駆動することができます。互換性は高く、家庭用オーディオシステムとしては適切な組み合わせです。
  • 音質の向上:KENWOOD KA-1080は全高調波歪率が非常に低く(0.06%以下)、これがJBL LS80のクリアでダイナミックなサウンド再生に貢献します。アンプの周波数特性(10Hz~60kHz)はスピーカーの周波数特性(35Hz~40kHz)を広くカバーしており、特に高域と低域の拡張が期待できます。このアンプにより、スピーカーのポテンシャルを最大限引き出し、よりリアルで生き生きとしたサウンドステージが提供されることでしょう。
  • 機能の拡張:KENWOOD KA-1080はトーンコントロール、ラウドネスコントロール、ソースダイレクト機能を備えています。これらの機能により、リスナーは音質の微調整を行うことができ、個々の聴取環境や音源に最適な音を容易に設定できます。また、MMフォノイコライザーの搭載により、ターンテーブルからの直接接続が可能で、アナログレコードの鑑賞も高音質で楽しめます。これにより、JBL LS80と組み合わせることで、その機能性と利便性が大きく向上します。

JBL LS80とDENON PMA-390IVの組み合わせ

JBL LS80とDENON PMA-390IVの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:JBL LS80のインピーダンスは6Ωで、DENON PMA-390IVはスピーカーAまたはBで4Ωから16Ω、A+Bで8Ωから16Ωをサポートします。LS80の許容入力200Wに対して、DENON PMA-390IVの定格出力は50W+50W(8Ω)と比較的低いですが、実用最大出力100W+100W(4Ω)においては十分に対応可能です。この組み合わせは適切なマッチングにより、安定したドライブと音質を提供します。
  • 音質の向上:DENON PMA-390IVの全高調波歪率0.01%という低歪みレートは、JBL LS80のダイナミックで詳細なサウンドキャプチャをさらにクリアに再現します。また、アンプの周波数特性(5Hz~100kHz)はスピーカーの特性(35Hz~40kHz)を広範囲にカバーし、特に超低域と超高域の拡張が顕著です。これにより、音楽のダイナミクスと細部の表現が向上し、よりリアルで生き生きとしたオーディオ体験が可能になります。
  • 機能の拡張:DENON PMA-390IVは多様な機能を提供します。ソースダイレクト機能により、余計な回路をバイパスしてピュアな音質を得ることができ、トーンコントロールとラウドネス機能によってリスニング環境に合わせた音質調整が可能です。加えて、リモコンによる操作で利便性が向上し、フォノ入力や複数のライン入力により多彩なオーディオソースの接続が容易になります。これにより、JBL LS80と組み合わせることで、使い勝手と音楽再生の質が大幅に拡張されます。

JBL LS80を徹底解説!まとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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