この記事の概要
※上記の青文字をタップすると該当箇所に飛びます。
JBL S143はヴィンテージなスピーカーです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
ten
JBL S143の概要と特徴
JBL S143のスペック | |
---|---|
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:35cmコーン型 高域用:ホーン型 超高域用:2.5cmリング型 |
許容入力 | 100W(RMS) |
インピーダンス | 6Ω |
重量 | GT:41.7kg MT:44.3kg |
外形寸法 | GT:幅450x高さ657x奥行395mm MT:幅450x高さ664x奥行395mm |
JBL S143は2001年ごろに発売したスピーカーシステムです。
さらに、エンクロージャーはMDF製で、ローズウッド調天然木にハイグロス仕上げを施したラウンドサイドパネルを採用しています。
では、以下からJBL S143の特徴を解説します。
①:LE14系35cmコーン型ウーファー
JBL S143の低域にはLE14系35cm(14インチ)コーン型ウーファーが採用されています。
そして、このウーファーには天然パルプ振動板が採用されています。
天然パルプ振動板ってなに?
天然パルプ振動板とは、スピーカーのコーン(振動板)に使用される素材の一種です。
そして、この天然パルプは、一般的に優れた音響特性を持つとされています。
天然パルプを使用する主な利点は、柔軟性と強度のバランスが適度に保たれることです。
これにより、スピーカーは自然で温かみのある音質を生み出すことができます。
また、このユニットのフレームにはアルミダイキャスト製のスクイアクルフレームが採用されています。
その独特な変四角形デザインは、ウーファー本体のねじれやたわみを抑制し、大音量時でも歪みの少ないクリアな音質を保持します
②:175Nd-1ネオジウムコンプレッションドライバー
JBL S143の高域には175Nd-1ネオジウムコンプレッションドライバーが搭載されています。
そして、このドライバーネオジウムコンプレッションドライバーは、軽量で強力なネオジウムマグネットを使用しています。
このマグネットの採用は、ドライバーの動作効率が向上し、明瞭で精細な高域の再生が可能になります。
スピーカーにおける「ドライバー」とは、スピーカーシステム内で音を生成するための主要な部品、つまり音響トランスデューサーのことです。ドライバーは、電気信号を音波に変換する役割を果たします。
ドライバーには以下ような基本的なタイプに分かれます。
- ウーファー:低音を担当するドライバーで、大きな振動板を持ち、低周波数の音波を効果的に再生します。
- ミッドレンジ:中音域を担当するドライバーで、人の声や楽器の多くがこの範囲に含まれます。
- トゥイーター:高音を担当するドライバーで、小さい振動板を使って高周波数の音を再生します。
- サブウーファー:非常に低い周波数を担当する特別なウーファーで、映画の効果音や電子音楽の低音拡張などに使用されます。
高域に採用されているホーン型トゥイーターのホーン部には、MDF製のフラットフロント・バイラジアルホーンを搭載。
これにより、音の拡散角を最適化し、より広いリスニングエリアで均一な音質を楽しめるように設計されています。
③:UT-405リング型スーパートゥイーター
JBL S143のスーパートゥイーターには、UT-405リング型スーパートゥイーターが搭載されています。
このUT-405リング型スーパートゥイーターは、70kHzを超える超高域の再生能力を持つことが大きな特長です。
人間の聴覚は通常20Hzから20kHzの範囲に限られていますが、70kHzという超高域は、この通常の範囲を大きく超えるものです。
このスーパートゥイーターにより、音の細部までクリアに再現することができ、高解像度オーディオの細かいニュアンスも逃さず捉えます。
さらに、このスーパートゥイーターには2.5cm径のテンパードチタン・ダイアフラムも搭載。
2.5cm径のテンパードチタン・ダイアフラムは、その軽量性と剛性から、速い応答性と精確な音の再現を実現しています。
さらに、スリット型ホーンギャップの採用により、より効率的な音の放射と指向性を向上させ、リスニングスペース全体に均等に音を広げることが可能です。
JBL S143と他のヴィンテージスピーカーとの比較
当然ですが、ヴィンテージスピーカーはJBL S143だけではありません。
以下では
- AIWA SX-11
- ALPINE/LUXMAN S-105
- YAMAHA NS-300X
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
JBL S143とAIWA SX-11との比較
JBL S143とAIWA SX-11との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL S143は低域に35cmコーン型、高域にホーン型、超高域に2.5cmリング型を採用しているのに対して、AIWA SX-11は低域に20cmコーン型、中域に7cmセミドーム型、高域に4cmコーン型を採用しています。JBLの方がより大型のドライバーを使用し、超高域までカバーしているため、より広範囲の周波数帯域での再生が可能です。
- 再生周波数帯域:JBL S143の再生周波数帯域は35Hz~70kHzに対し、AIWA SX-11は45Hz~22kHzです。JBL S143の方が低域も高域も広い範囲をカバーしており、音の細部まで忠実に再現することができます。
- インピーダンス: JBL S143は6Ω、AIWA SX-11は8Ωです。JBLの低いインピーダンスは、一般的にアンプへの負荷が少なく、より高い効率でドライブできる利点があります。
- 最大入力:両モデルともに最大入力は100Wですが、JBL S143はRMS(連続定格入力)で100W、AIWA SX-11はピーク(瞬間最大入力)で100Wです。JBL S143の方が連続して高出力を扱える設計となっているため、長時間の使用において安定したパフォーマンスを期待できます。
- 外形寸法:JBL S143は非常に大きく重い設計で、AIWA SX-11よりもかなり大きなエンクロージャーを使用しています。これにより、JBL S143はより深い低音を響かせることができる一方で、設置にはより多くのスペースが必要です。
- 重量:JBL S143の重量は44.3kgまたは41.7kgで、AIWA SX-11の7.5kgと比較して非常に重いです。これは、JBL S143がより大きなドライバーと厚いエンクロージャー材料を使用しているためであり、より安定した低音と振動の少ない再生が可能です。
- 音質:JBL S143はその広い再生周波数帯域と大型のウーファー、高性能なトゥイーターにより、よりリッチでダイナミックな音質を提供します。AIWA SX-11も良いパフォーマンスを提供しますが、特に超高域や極低域でJBL S143に及ばない場合があります。JBL S143の方が、オーディオ愛好家にとってはより魅力的な選択と言えるでしょう。
JBL S143とALPINE/LUXMAN S-105との比較
JBL S143とALPINE/LUXMAN S-105との比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL S143は低域用に35cmコーン型、高域用にホーン型、超高域用に2.5cmリング型を採用していますが、ALPINE/LUXMAN S-105は低域用に32cmコーン型、中域用に6.5cmドーム型、高域用に2.5cmドーム型を採用しています。JBL S143がより大きなウーファーとホーン型トゥイーターでダイナミックな音質を実現する一方で、ALPINE/LUXMANはドーム型トゥイーターで細かい音の再現に優れています。
- 再生周波数帯域:JBL S143は35Hz~70kHzの再生周波数帯域を持つのに対し、ALPINE/LUXMAN S-105は30Hz~30kHzの帯域を持っています。JBL S143はより広い周波数範囲をカバーしており、特に高域での拡張が顕著ですが、ALPINE/LUXMANはより低い周波数からの再生が可能で、豊かな低音が得られます。
- インピーダンス:両モデルともにインピーダンスは6Ωです。このため、どちらのスピーカーも同様に一般的な家庭用アンプと相性が良く、運用が容易です。
- 最大入力:両モデルの最大入力は100Wですが、JBL S143はRMS基準、ALPINE/LUXMAN S-105は最大入力としてこの数値が示されています。両スピーカーとも高出力に耐える設計となっており、大音量での使用に適しています。
- 外形寸法:JBL S143は幅450x高さ664x奥行395mmの寸法を持ち、ALPINE/LUXMAN S-105は幅380x高さ690x奥行320mmです。JBL S143はより幅広で深い設計がされており、それによりより大きな音響空間を必要としますが、その分、サウンドの拡がりや深みが期待できます。
- 重量:JBL S143の重量は41.7kgまたは44.3kgで、ALPINE/LUXMAN S-105の28.0kgよりも重いです。重量の増加はより大型のユニットとエンクロージャーの使用によるもので、安定した低音と共振の少ない再生を実現します。
- 音質:JBL S143はホーン型トゥイーターと大型ウーファーによりダイナミックでエネルギッシュな音質を提供します。一方でALPINE/LUXMAN S-105は密閉型エンクロージャーとドーム型トゥイーターにより、細やかで均衡の取れた音質が特徴です。JBLは迫力のある演奏に適しており、ALPINE/LUXMANは細部の表現に優れています。
JBL S143とYAMAHA NS-300Xとの比較
JBL S143とYAMAHA NS-300Xとの比較は以下の通りです。
- 使用ユニット:JBL S143は低域に35cmコーン型、高域にホーン型、超高域に2.5cmリング型を使用しているのに対し、YAMAHA NS-300Xは低域に27cmコーン型、中域に6cmドーム型、高域に3cmドーム型を使用しています。JBL S143のほうが大型のウーファーとホーン型のトゥイーターにより、より広範囲とダイナミックな音を提供します。
- 再生周波数帯域:JBL S143の再生周波数帯域は35Hz~70kHzに対して、YAMAHA NS-300Xは32Hz~30kHzです。JBL S143はより広い帯域をカバーし、特に超高域の再生能力が優れていますが、YAMAHAはより低い低音を再生することが可能です。
- インピーダンス:両モデルともインピーダンスは6Ωです。この類似性により、どちらのスピーカーも標準的なアンプで効率良く動作します。
- 最大入力:JBL S143は許容入力が100W(RMS)に対して、YAMAHA NS-300Xはミュージック許容入力200Wを持ちます。YAMAHAの方が高いピーク入力に対応しており、大音量での使用にも対応しやすいです。
- 外形寸法:JBL S143は幅450x高さ664x奥行395mm、YAMAHA NS-300Xは幅322x高さ583x奥行327mmと、JBL S143の方が全体的に大きく重いです。JBLの大きさは音の広がりに寄与していますが、設置スペースをより要求します。
- 重量:JBL S143の重量が41.7kgまたは44.3kgに対して、YAMAHA NS-300Xは18.0kgです。JBL S143の重い設計は、より安定した低音再生と振動の抑制に役立っていますが、設置と移動が困難になる可能性があります。
- 音質:JBL S143はホーン型トゥイーターと大型ウーファーにより、ダイナミックでパワフルなサウンドを提供します。対照的に、YAMAHA NS-300Xはピュアカーボンコーンと高品質のドーム型トゥイーターで、細やかな音の解像度と均衡の取れた音質が特長です。JBLはライブ感のある迫力の再現に優れ、YAMAHAは繊細でバランスの取れた音楽再生に適しています。
JBL S143とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ
以下では、JBL S143とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。
JBL S143と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、
- Audio Analogue PUCCINI
- SONY TA-2650
- YAMAHA AX-640
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
JBL S143とAudio Analogue PUCCINIの組み合わせ
JBL S143とAudio Analogue PUCCINIの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Audio Analogue PUCCINIはプリメインアンプであり、スピーカー出力端子が4Ωから16Ωまで対応しています。これはJBL S143の6Ωと互換性があり、問題なく接続が可能です。PUCCINIの定格出力は40W+40Wで、JBL S143の許容入力100W(RMS)には及ばないものの、この出力レベルでもJBL S143の出力音圧レベルが92dB/2.83V/mと高いため、効率的に大きな音量を出すことができます。ただし、アンプの最大出力に近い音量で使用する際には、アンプが過負荷にならないよう注意が必要です。
- 音質の向上:PUCCINIの全高調波歪率が0.1%以下と非常に低く、加えて周波数特性が20Hz~20kHzと広範囲であるため、歪みが少なくクリアな音質を提供します。JBL S143の周波数特性は35Hz~70kHzと非常に広く、特に超高域までカバーしている点が特徴です。これにより、PUCCINIの繊細でバランスの取れたアンプ出力とJBL S143のダイナミックレンジの広いスピーカー性能が合わさることで、非常にリッチで立体的な音場を作り出すことができます。
- 機能の拡張:PUCCINIには多彩な入力系統があり、Phono MM/MC入力にも対応しているため、ビニールレコードプレーヤーからのアナログ信号も高品質に増幅することが可能です。この機能は、JBL S143の優れたダイナミックレンジと組み合わせることで、アナログ音源の温かみと細やかさを際立たせます。また、CDやデジタル音源など、様々なメディアからの入力に対応しているため、JBL S143との組み合わせでは、あらゆる音源を最大限に活用し、多様なリスニング環境を提供することができます。
JBL S143とSONY TA-2650の組み合わせ
JBL S143とSONY TA-2650の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:SONY TA-2650のステレオプリメインアンプは、8Ωで実効出力が45W+45Wと設定されており、JBL S143の6Ωインピーダンスとも適合します。JBL S143の許容入力が100W(RMS)であるため、TA-2650からの供給されるパワーでは安全に動作することが期待できます。ただし、最大パワー出力での連続使用は避けることが望ましいです。
- 音質の向上:TA-2650はダイナミックパワーでIHF基準で150Wを発揮し、出力帯域特性が10Hz~40kHzと広範囲であるため、JBL S143の広大な周波数特性(35Hz~70kHz)とマッチして、低域から超高域までスムーズに駆動します。特に高調波歪率が非常に低い(0.2%以下)ため、クリアで純粋な音質が得られ、JBL S143の能力を最大限に引き出します。
- 機能の拡張:TA-2650はプレゼンスコントロールやラウドネスコントロールを含む豊富な音質調整機能を備えており、リスナーの好みや部屋の特性に応じて細かくサウンドをカスタマイズすることが可能です。また、2方向のテープコピー機能や複数の入力/出力オプションも提供し、多様なソース機器との接続が容易になっており、使用するオーディオシステムの機能を大幅に拡張します。
JBL S143とOPTONICA SM-3000の組み合わせ
JBL S143とOPTONICA SM-3000の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:OPTONICA SM-3000プリメインアンプは、スピーカー出力端子が4Ω~16Ωをサポートしており、JBL S143の6Ωインピーダンスと完全に互換性があります。実効出力は43W+43Wで、JBL S143の許容入力100W(RMS)に対して安全なマージンを持ちながら十分な駆動力を提供します。この組み合わせにより、アンプとスピーカー間の電気的マッチングが良好で、安定した運用が期待できます。
- 音質の向上:SM-3000は、非常に低い高調波歪率(0.05%)と広い出力帯域幅(5Hz~40kHz)を特徴としており、これがJBL S143の広範囲な周波数特性(35Hz~70kHz)と相まって、非常にクリアで広がりのある音場を実現します。また、優れたダンピングファクター(60以上)により、スピーカーのコントロールが向上し、特に低域のレスポンスがタイトで精密になります。全体的に、このアンプとスピーカーの組み合わせは、ダイナミックで詳細な音質を引き出します。
- 機能の拡張:SM-3000は多彩な入力感度調整オプション、広範囲なトーンコントロール機能、そしてマイク入力などの追加機能を提供します。これにより、ユーザーは様々な音源やマイクを接続して利用することができ、オーディオシステムの利用の幅が広がります。さらに、フィルターオプション(ハイカットとローカット)を用いることで、リスニング環境に合わせた音質の微調整が可能となり、よりカスタマイズされたオーディオ体験が実現できます。
JBL S143のスピーカーの特徴とは:まとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。