TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12を徹底解説!

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12を徹底解説!

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TANNOY Canterbury 12はヴィンテージなスピーカーです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12の概要と特徴

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12の概要と特徴
TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12のスペック
方式2ウェイ・1スピーカー・特殊バスレフ方式・フロア型
ユニット全帯域用:30cm同軸型
周波数特性33Hz~22kHz
公称インピーダンス8Ω(最小5.5Ω)
許容入力120W連続
350Wピーク
出力音圧レベル91dB/W/m
重量40kg
外形寸法幅605x高さ900x奥行430mm

TANNOY Canterbury 12は1988年ごろに発売したスピーカーシステムです。

トゥイーター部には、ロール状のエッジまで一体プレスした軽量マグネシウム合金の逆ドーム型ダイアフラムとアルミニウム線のボイスコイルを採用しています。

では、以下からTANNOY Canterbury 12の特徴を解説します。

①:低域にはアルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用したユニットを搭載

TANNOY Canterbury 12の低域には、アルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用したユニットが搭載されています。

アルニコマグネット(ALCOMAX-III)ってなに?

アルニコマグネット(ALCOMAX-III)は、アルミニウム(Al)・コバルト(Co)・ニッケル(Ni)を主成分とした永久磁石の一種です。

特にALCOMAX-IIIは、高い磁力を持つために低域の再生性能が非常に高いです。

高い磁力によって、スピーカーの振動板(通常はコーン形状をしています)がより大きな力で動き、低音が力強く再生されます。

以下は、アルニコマグネットを低域に採用する利点です。

  1. 低音の再生性能が高まる:高い磁力によって低音がより正確に、そして力強く再生されます。
  2. 音質の安定性:アルニコマグネットは高い耐熱性と機械的強度を持っているため、長時間の使用や高出力でも性能が低下しにくいです。
  3. 高い忠実度:磁力が高いと、より細かい音のニュアンスまでしっかりと再生することが可能です。これにより、音楽や映画のサウンドがよりリアルに感じられます。

ちなみに、低域とは音の周波数が低い領域を指します。

具体的には、人間が聞くことができる音の周波数は約20Hzから20,000Hzまでですが、低域はこのうちの低い周波数帯、特に20Hzから200Hz程度までの範囲を指します。

この低域がしっかりと再生されることで、音楽や映画のサウンドがより豊かで深みのあるものになります。

②:ウーファー部の振動板には独自のガードアコースティック・コーンを採用

TANNOY Canterbury 12のウーファー部の振動板には、独自のガードアコースティック・コーンが採用されています。

まず「ウーファー部の振動板」とは、スピーカー内部で低音を生成するための部品です。

この振動板が効率よく動くことで、低音が豊かに再生されます。

「独自のガードアコースティック・コーン」は、旧西ドイツのクルトミューラー社特製のハードコーンを基にしています。

このコーン紙には特殊な薬品がコーティングされており、これがタンノイ独自のものとなっています。

この特殊な薬品によって、振動板はより均一な振動をすることが可能となり、音質が向上します。

以下は、独自のガードアコースティック・コーンが採用される利点です。

  1. 高い低音品質:特殊な薬品のコーティングと高分子系の材料によって、低音がよりクリアで力強く再生されます。
  2. 音質の安定性:独自形状のエッジ部によって共振が抑制され、長時間の使用でも音質が低下しにくいです。
  3. 高い再現性振動板が均一に振動することで、音楽や映画のサウンドがより忠実に再生されます。

ちなみに、この振動板のエッジ部には「タノプラス・サラウンドエッジ」と呼ばれる特殊な高分子系の材料が採用されています。

この材料は独自形状に成型されており、振動板のエッジ部での共振を抑制します。

③:エンクロージャーはバリアブル・ディストリビューテッド・ポート・システムを用いた特殊バスレフ設計

TANNOY Canterbury 12のエンクロージャーは、バリアブル・ディストリビューテッド・ポート・システムを用いた特殊バスレフ設計です。

バリアブル・ディストリビューテッド・ポート・システムってなに?

バリアブル・ディストリビューテッド・ポート・システムは、エンクロージャー内部の空気の流れを最適化するためのものです。

通常のポート(穴)設計とは異なり、このシステムは複数のポートを用いて、それぞれのポートで空気の流れを調整します。

これにより低音がより均一に再生され、歪みも少なくなります。

ちなみに、バスレフ設計とはエンクロージャーに特定の形状と位置にポート(穴)を設けることで、低音の再生能力を高める設計です。

この「特殊バスレフ設計」では、通常のバスレフ設計をさらに進化させ、エンクロージャー内部での空気の流れを最適化しています。

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12と他のヴィンテージスピーカーとの比較

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12と他のヴィンテージスピーカーとの比較

当然ですが、ヴィンテージスピーカーはTANNOY Canterbury 12だけではありません。

以下では

  • JBL 4602
  • BOSE 314
  • ONKYO D-202ALTD

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

TANNOY Canterbury 12とJBL 4602との比較

TANNOY Canterbury 12とJBL 4602との比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Canterbury 12は2ウェイ・1スピーカー・特殊バスレフ方式・フロア型であり、JBL 4602も2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・フロア型です。両者はフロア型の2ウェイスピーカーでありますが、TANNOYは特殊バスレフ方式を採用しています。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用の30cm同軸型ユニットを使用しています。一方、JBL 4602は低域用に30cmコーン型(E120)、高域用にホーン型(2402)を使用しています。TANNOYの同軸型ユニットは音像の定位感に優れていますが、JBLの分離型ユニットは各帯域の特性を最大限に活かせます。
  • 再生周波数帯域:TANNOYは33Hz~22kHz、JBL 4602は50Hz~15kHzです。TANNOYがより広い周波数帯域をカバーしているので、音質の広がりと深みがあります。
  • インピーダンス:両者ともに8Ωのインピーダンスを持っています。
  • 外形寸法:TANNOYは幅605x高さ900x奥行430mm、JBL 4602は幅406x高さ508x奥行374mmです。TANNOYはより大きなサイズですが、それにより低域の再生能力が高まっています。
  • 重量:TANNOYは40kg、JBL 4602は25.9kgです。TANNOYがより重く、堅牢な作りとなっています。
  • 最大入力:TANNOYは120W連続、350Wピークです。JBL 4602は300W(連続プログラム)です。JBL 4602がより高いパワーを扱えます。
  • 音質:TANNOYは自然な音場と高い音像の定位感があります。JBL 4602はモニター用に開発され、高い音圧レベルを持っています。用途によって最適な選択が異なります。

TANNOY Canterbury 12とBOSE 314との比較

TANNOY Canterbury 12とBOSE 314との比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Canterbury 12は2ウェイ・1スピーカー・特殊バスレフ方式・フロア型ですが、BOSE 314は2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・セッティングフリー型です。TANNOYは特殊バスレフ方式で低域の補償が可能ですが、BOSEはセッティングフリー型で設置が容易です。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用に30cm同軸型ユニットを使用しています。BOSEは低域用に20cmコーン型、高域用に5.1cmと7.5cmコーン型を使用しています。TANNOYの同軸型ユニットは音像の定位感に優れていますが、BOSEは高域と低域で異なるユニットを使用しているため、音域ごとの特性が明確です。
  • インピーダンス:両者ともに8Ωのインピーダンスを持っていますが、TANNOYは最小で5.5Ωまで対応しています。
  • 外形寸法:TANNOYは幅605x高さ900x奥行430mm、BOSEは幅410x高さ260x奥行240mmと、TANNOYが大型です。BOSEはコンパクトなサイズで設置が容易です。
  • 重量:TANNOYは40kg、BOSEは5.1kgと、TANNOYが非常に重いです。
  • 最大入力:TANNOYは120W連続、350Wピークです。BOSEは75W(rms、IEC26805)です。
  • 音質:TANNOYは高い音質と音像の定位感がありますが、BOSEは臨場感を重視した設計になっています。

TANNOY Canterbury 12とONKYO D-202ALTDとの比較

TANNOY Canterbury 12とONKYO D-202ALTDとの比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Canterbury 12は2ウェイ・1スピーカー・特殊バスレフ方式・フロア型ですが、ONKYO D-202ALTDは2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁設計です。TANNOYはフロア型で部屋全体の音響を考慮していますが、ONKYOはブックシェルフ型でスペースを取らずに設置できます。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用の30cm同軸型ユニットを使用しています。一方で、ONKYOは低域用に16cmコーン型、高域用に2.5cmドーム型を使用しています。TANNOYの同軸型ユニットは音像の分解能や定位感に優れていますが、ONKYOは低域と高域で異なるユニットを使用しているため、各帯域の特性を最大限に活かせます。
  • 再生周波数帯域:TANNOYは33Hz~22kHz、ONKYOは36Hz~35kHzとなっています。ONKYOの方が高周波数帯域が広いため、より多くの音域をカバーできます。
  • インピーダンス:TANNOYは8Ω(最小5.5Ω)、ONKYOは6Ωです。TANNOYの方が多少高いインピーダンスを持っていますが、これはアンプとのマッチングに依存するため、一概に良いとは言えません。
  • 外形寸法:TANNOYは幅605x高さ900x奥行430mm、ONKYOは幅205x高さ327x奥行313mmです。ONKYOはよりコンパクトで、スペースが限られた場所でも設置が容易です。
  • 重量:TANNOYは40kg、ONKYOは8.9kgとなっています。ONKYOの方が軽量で移動が容易です。
  • 最大入力:TANNOYは120W連続、350Wピークですが、ONKYOは最大80Wです。TANNOYの方がより大きな入力に対応しています。
  • 音質:TANNOYは高い音像の分解能と定位感を持ち、ONKYOは音楽の純度と解像力に優れています。どちらも高い音質を持っていますが、好みの音質が何かによって選ぶべきです。

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、TANNOY Canterbury 12とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

TANNOY Canterbury 12と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • SANSUI AU-D607X
  • Pioneer A-580
  • Marantz PM-16

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

TANNOY Canterbury 12とSANSUI AU-D607Xの組み合わせ

TANNOY Canterbury 12とSANSUI AU-D607Xの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Canterbury 12のインピーダンスは8Ω(最小5.5Ω)であり、SANSUI AU-D607Xは6Ωと8Ωのスピーカーに対応しています。また、TANNOY Canterbury 12の許容入力は120W連続、350Wピークであり、SANSUI AU-D607Xの実効出力は100W+100W(6Ω)または90W+90W(8Ω)です。このように、スピーカーとアンプのスペックが互いにマッチしているため、安心して組み合わせることができます。
  • 音質の向上:TANNOY Canterbury 12は特殊バスレフ方式と強力なアルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用しており、低域から高域まで非常にバランスの取れた音を再生します。一方で、SANSUI AU-D607XはXバランス・アンプを採用しており、非常に低い歪みで高出力を実現しています。これらの特性が合致することで、非常にクリアでダイナミックなサウンドが得られます。
  • 機能の拡張:SANSUI AU-D607Xには高精度なイコライザー機能やトーンコントロールが備わっています。これにより、TANNOY Canterbury 12の音質をさらにカスタマイズすることが可能です。例えば、BassやTrebleの調整を行うことで、より自分好みの音に仕上げることができます。また、SANSUI AU-D607Xのサブソニックフィルターを使用すると、不要な低域をカットすることができ、よりクリアな音質を実現できます。

TANNOY Canterbury 12とPioneer A-580の組み合わせ

TANNOY Canterbury 12とPioneer A-580の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Canterbury 12は8Ωのインピーダンスを持ち、許容入力は120W連続、350Wピークです。一方で、Pioneer A-580は70W+70Wの実効出力を持ち、8Ωでの動作が可能です。この点から見ても、両者は非常に良い互換性を持っています。特に、Pioneer A-580のノンスイッチング回路と多重微分帰還技術は、TANNOY Canterbury 12の高品質な音質をさらに引き出します。また、Pioneer A-580の全段ノンカップリングコンデンサー化とラインストレート機能は、TANNOY Canterbury 12の音質を歪みなく忠実に再生するのに役立ちます。
  • 音質の向上:TANNOY Canterbury 12は、特殊バスレフ方式と強力なアルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用した30cm同軸型2ウェイユニットを搭載しています。これにより、非常に高い音像の分解能と定位感を実現しています。一方、Pioneer A-580は、ノンスイッチング回路と多重微分帰還を採用しており、広帯域にわたって低歪率化を実現しています。この組み合わせにより、低域から高域まで非常にバランスの取れた、自然な音場が得られます。
  • 機能の拡張:TANNOY Canterbury 12は、エンクロージャーのポートを開閉することで、低域補償量を調整できる特殊バスレフ設計を採用しています。これにより、オーディオシステムやルームアコースティックに合わせて音質を調整することが可能です。一方で、Pioneer A-580は、信号をイコライザー部からパワー部へダイレクトに送るラインストレート機能を持っています。この機能により、音の純度を保ちながら、より多様な音源に対応することができます。

TANNOY Canterbury 12とMarantz PM-16の組み合わせ

TANNOY Canterbury 12とMarantz PM-16の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Canterbury 12は8Ωのインピーダンスを持ち、Marantz PM-16は4Ω、6Ω、8Ωに対応しています。この点から見ても、両者は非常によく合います。また、TANNOY Canterbury 12の許容入力は120W連続、350Wピークであり、Marantz PM-16の定格出力は90W+90W(8Ω)です。この数値を基にすると、アンプとスピーカーのパワーバランスも適切です。
  • 音質の向上:TANNOY Canterbury 12は特殊バスレフ方式と強力なアルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用しており、低域から高域まで非常にバランスの取れた音を出力します。一方で、Marantz PM-16は高S/N技術とマルチフィードバック方式を採用しており、非常にクリアでダイナミックレンジの広い音を提供します。
  • 機能の拡張:Marantz PM-16はフォノイコライザーアンプ部がMM/MCの両カートリッジに対応しています。これにより、TANNOY Canterbury 12と組み合わせた際にも、多様な音源に対応することが可能です。また、TANNOY Canterbury 12には独自のレベルコントロールが搭載されており、Marantz PM-16の高性能なトーンコントロールと相まって、非常に柔軟な音作りが可能です。

TANNOY(タンノイ)Canterbury(カンタベリー)12を徹底解説!のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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