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Technics SL-1300はヴィンテージなターンテーブルです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
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Technics(テクニクス)SL-1300の概要と特徴
Technics(テクニクス)SL-1300のスペック | |
---|---|
型式 | ダイレクトドライブフルオートプレイヤー |
ターンテーブル | 33cmアルミダイカスト製、1.65kg |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
ワウ・フラッター | 0.03%(W.R.M.S.) |
SN比 | 60dB(IEC-B) 70dB(DIN45539B) |
適用カートリッジ重量 | 4.0g~8.5g 8.5g~13g(補助ウェイト使用時) |
消費電力 | 4W |
重量 | 9.4kg |
Technics SL-1300は1974年に発売したターンテーブル(レコードプレーヤー)です。
このターンテーブルはツマミの数字に合わせて1~5回と無限回、自動的に反復演奏できるメモリピート機構を搭載しています。
では、以下からTechnics SL-1300の特徴を解説します。
①:トーンアーム軸受部には高感度ジンバルサスペンション方式を採用
Technics SL-1300のトーンアーム軸受部には、高感度ジンバルサスペンション方式が採用されています。
高感度ジンバルサスペンション方式ってなに?
高感度ジンバルサスペンション方式は、トーンアームの動きをより自由にし、かつ安定させるための技術です。
「ジンバル」は物体を特定の方向に保持する機構で、「サスペンション」は衝撃を吸収するシステムです。
さらに、Technics SL-1300のトーンアーム軸受部の高感度ジンバルサスペンション方式には、「精密ピボットベアリング」が用いられています。
精密ピボットベアリングは非常に精密に作られた回転する部品で、トーンアームが滑らかに動くように支えます。
この部品が高品質であればあるほど、音楽の再生がクリアになります。
ちなみに、トーンアーム軸受部は、レコードプレーヤーのトーンアーム(針をレコードに接触させる部分)がスムーズに動くように支える部分を指します。
②:動作表示ランプ兼用のプリズム式ストロボイルミネーターを搭載
Technics SL-1300には、動作表示ランプ兼用のプリズム式ストロボイルミネーターが搭載されています。
プリズム式ストロボイルミネーターは特殊な光の装置で、レコードプレーヤーの回転速度を正確に測定するために使用されます。
プリズムを使って光を反射させ、ストロボ効果(一定間隔で光る効果)で回転速度を視覚的に表示します。
以下は、プリズム式ストロボイルミネーターの利点です
- 視覚的な確認:レコードプレーヤーが正常に動作しているか、一目で確認できます。
- 回転速度の正確な測定:ストロボ効果を使用して回転速度を正確に測定し、表示します。
- 音楽再生の精度向上:回転速度の正確な測定により、レコードからの音楽再生がより正確になります。
- 美しい表示:プリズムを使用することで、視覚的に魅力的な表示が可能です。
- 操作の便利さ:動作状態と回転速度を同時に確認できるため、操作がより便利になります。
ちなみに、動作表示ランプはレコードプレーヤーが正常に動作しているかを視覚的に確認するためのランプです。
このランプが点灯していると、プレーヤーが正しく動いていることが一目でわかります。
③:アンチスケーティングフォースコントロール装置を搭載
Technics SL-1300には、アンチスケーティングフォースコントロール装置を搭載されています。
アンチスケーティングフォースコントロール装置は、レコードプレーヤーが音楽を最高の品質で再生できるように、微細な調整を行う役割を果たす部分です。
アンチスケーティングフォースコントロール装置の詳細がもっと知りたい!
では、以下からアンチスケーティングフォースコントロール装置の詳細を解説します。
レコードプレーヤーで音楽を再生する際、トーンアームはレコードの溝に沿って動きます。
このトーンアームに取り付けられたカートリッジの針がレコードの溝に接触し、音を拾う役割を果たしています。
ここで問題となるのが「スケーティングフォース」という現象です。
スケーティングフォースとは、トーンアームがレコードの中心に向かって引っ張られる力のことです。
この力が強すぎるとカートリッジの針がレコードの溝から外れたり、不均等な圧力で接触したりすることがあります。
結果として、音質の劣化やレコードへのダメージが発生することがあります。
このスケーティングフォースを補正するために「アンチスケーティングフォースコントロール装置」が使用されます。
この装置は、トーンアームに対して外向きの力を適切に加えることで、スケーティングフォースを中和し、トーンアームとカートリッジの針が正しい位置でレコードの溝に沿って動くように調整します。
具体的には、バネや重りなどのメカニズムを使用してトーンアームに適切な反力を加え、スケーティングフォースを打ち消します。
この調整により、音質の向上とレコードの保護が図られます。
要するに、アンチスケーティングフォースコントロール装置はレコードプレーヤーの音質を最適化し、レコード自体の寿命を延ばすための重要な部分であると言えます。
Technics SL-1300と他のヴィンテージターンテーブルとの比較
当然ですが、ヴィンテージターンテーブルはTechnics SL-1300だけではありません。
以下では
- Pioneer PL-30LII
- TRIO KP-8080
- DENON DP-500M
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
Technics SL-1300とPioneer PL-30LIIとの比較
Technics SL-1300とPioneer PL-30LIIとの比較は以下の通りです。
- 型式:Technics SL-1300はダイレクトドライブフルオートプレイヤーで、Pioneer PL-30LIIはカートリッジレス・プレイヤーシステムです。
- モーター:Technicsは超低速電子整流子モーターを採用しており、Pioneerはコアレス・クォーツPLL DCサーボ・ホールモーターを使用しています。Pioneerのモーターはコギングの発生が少なく、ワウフラッターの大幅な低減が可能です。この点で、Pioneerのモーターが優れていると言えます。
- 回転数:両機種ともに回転数は33・1/3、45rpmで、Technicsには調整範囲10%の微調整機能があります。Pioneerは回転数切換えが電子式で、回転ムラも非常に低いです。この部分ではPioneerがわずかに優れていると評価できます。
- ワウ・フラッター:Technicsのワウ・フラッターは0.03%(W.R.M.S.)で、Pioneerの回転ムラは0.011%以下(WRMS/FG直読法)です。数値上、Pioneerの方が優れているように見えますが、実際の音質への影響は聴感上の差異が少ないかもしれません。
- SN比:TechnicsのSN比は60dB(IEC-B) 70dB(DIN45539B)で、Pioneerは82dB以上(DIN-B) 63dB以上(JIS)です。この部分ではPioneerが数値上優れています。
- トーンアーム:両機種ともに高品質なトーンアームを採用しており、特にPioneerはシェル一体型カーボングラファイト・ストレートアームとシリコンオイル制動方式を採用しています。この部分ではPioneerがより先進的な技術を採用しているため、優れていると言えます。
- 針圧調整範囲:Technicsの針圧調整範囲は0~3gで直読可変、Pioneerはウェイト1回転1gの調整が可能です。この部分では使用感に差があるかもしれませんが、機能としては同等です。
- 重量:Technicsは9.4kg、Pioneerは11.8kgです。重量が重い方が振動の影響を受けにくい場合があります。
- 音質:TechnicsはダイレクトドライブとユニバーサルS字型パイプアームの採用により、信頼性と性能の向上を実現しています。Pioneerはコアレスモーターとシリコンオイル制動方式のトーンアームにより、精緻な音質を提供します。
Technics SL-1300とTRIO KP-8080との比較
Technics SL-1300とTRIO KP-8080との比較は以下の通りです。
- 型式:Technics SL-1300は「ダイレクトドライブフルオートプレイヤー」で、TRIO KP-8080は「ダイレクトドライブ電子フルオートターンテーブル」です。両者ともダイレクトドライブ方式を採用していますが、TRIO KP-8080にはコンピューター制御機構が搭載されています。
- モーター:SL-1300は「超低速電子整流子モーター」を採用しており、KP-8080は「クォーツPLLリバーシブルサーボ 20極30スロットモーター」です。KP-8080のモーターはより精密な制御が可能で、高い性能を発揮します。KP-8080の方が優れていると言えるかもしれません。
- 回転数:両者とも「33・1/3、45rpm」の回転数を持っています。SL-1300は各回転数単独で調整可能な機能があります。この部分では特に差異はありません。
- ワウ・フラッター:SL-1300は「0.03%(W.R.M.S.)」、KP-8080は「0.022%(WRMS) 0.0165%(ロータリーエンコーダー使用)」です。KP-8080の方が若干低い値を示しており、音質の安定性では優れていると言えます。
- SN比:SL-1300のSN比は「60dB(IEC-B) 70dB(DIN45539B)」で、KP-8080は「62dB(JIS) 83dB(DIN-B)」です。こちらもKP-8080の方が高い値を示しており、優れていると評価できます。
- トーンアーム:両者ともS字型パイプアームを採用していますが、SL-1300はジンバルサスペンション方式、KP-8080はスタティックバランス方式です。構造の違いにより、音質やトレース性能に差が出ることがあります。
- 針圧調整範囲:SL-1300は「0~3g、直読可変」、KP-8080は「0~3g」です。調整範囲は同じですが、SL-1300の方が直読可変機能があるため、操作性が良いと言えます。
- 重量:SL-1300は「9.4kg」、KP-8080は「14.5kg」です。KP-8080の方が重く、安定性が高いと言えます。
- 音質:両者とも高品質な音を提供しますが、モーターやワウ・フラッター、SN比などのスペックから見て、KP-8080の方がより精緻な音質を提供する可能性が高いです。
Technics SL-1300とDENON DP-500Mとの比較
Technics SL-1300とDENON DP-500Mとの比較は以下の通りです。
- 型式:Technics SL-1300は「ダイレクトドライブフルオートプレイヤー」で、DENON DP-500Mは「レコードプレイヤーシステム」です。両者の設計思想に違いがありますが、どちらも高品質な製品です。
- モーター:Technicsは「超低速電子整流子モーター」を採用しており、DENONは「DENONクォーツサーボ式ダイレクトドライブ」です。DENONの方が起動時間が短く、高精度な回転を実現しています。
- 回転数:両者とも「33・1/3rpm、45rpm」の回転数をサポートしています。Technicsは回転数の微調整が可能ですが、DENONは回転数偏差が非常に低いです。
- ワウ・フラッター:Technicsは「0.03%(W.R.M.S.)」で、DENONは「0.1%以下(WRMS)」です。わずかにTechnicsの方が優れていると言えます。
- トーンアーム:両者とも「スタティックバランスS字型パイプアーム」を採用していますが、Technicsの方が多機能で高感度な設計となっています。
- 針圧調整範囲:Technicsは「0~3g、直読可変」で、DENONは「0~4.0g(1目盛0.25g)」です。DENONの方がより細かい調整が可能です。
- 重量:Technicsは「9.4kg」で、DENONは「10.1kg」です。重量に大きな違いはありません。
- 音質:両者とも高品質な音質を提供していますが、具体的な比較は使用するカートリッジやシステムにも依存します。
Technics SL-1300とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ
以下では、Technics SL-1300とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。
Technics SL-1300と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、
- LUXMAN L-309
- ONKYO A-924
- SANSUI AU-α607
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
Technics SL-1300とLUXMAN L-309の組み合わせ
Technics SL-1300とLUXMAN L-309の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SL-1300はダイレクトドライブフルオートプレイヤーで、高い信頼性と性能を誇ります。一方、LUXMAN L-309はプリメインアンプで、トランジスタプリメインアンプとしての高い性能を持っています。SL-1300のダイレクトドライブ方式とL-309の2段差動全段直結ピュアコンプリメンタリー方式が互いに補完し合い、非常に高い互換性を実現しています。特に、SL-1300の回転数微調整機能とL-309の周波数特性が組み合わさることで、音楽の細部まで忠実に再現されます。
- 音質の向上:Technics SL-1300の精密ピボットベアリングと高感度ジンバルサスペンション方式のトーンアームは、優れたトレース性能を提供します。これにLUXMAN L-309のプリメインアンプ部の高い出力帯域幅と低い全高調波歪率が加わることで、音質の向上が図られます。特に、SL-1300のモーターとターンテーブルの一体構造とL-309のダンピングファクターの相乗効果により、低音から高音までクリアで豊かな音質が実現されます。
- 機能の拡張:この組み合わせにより、機能の拡張も可能です。Technics SL-1300のメモリピート機構やオイルダンプ式キューイングレバーなどの特長と、LUXMAN L-309のリニアイコライザやマイクミキシング、トーンコントロールなどの多彩な機能が組み合わさることで、より多岐にわたる音楽再生が可能となります。また、L-309のトーンコントロールの湾曲点切換機能とSL-1300の回転速度調整機能の組み合わせにより、音楽のジャンルや個人の好みに合わせた細かい調整が可能となります。
>> LUXMAN(ラックスマン)L-309を徹底解説!【特徴の詳細】
Technics SL-1300とONKYO A-924の組み合わせ
Technics SL-1300とONKYO A-924の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SL-1300はダイレクトドライブフルオートプレイヤーで、高い信頼性と性能を誇ります。一方、ONKYO A-924は”クリーングランド思想”に基づいて開発されたプリメインアンプで、音場感やS/N、低域などの音質の改善に注力しています。この組み合わせにより、互いの特性を最大限に活かすことが可能です。特に、SL-1300のダイレクトドライブとA-924のディスクリートアンプの組み合わせは、音質の純粋さとダイナミックな性能を引き出します。
- 音質の向上:Technics SL-1300の精密ピボットベアリングや高感度ジンバルサスペンション方式と、ONKYO A-924の広帯域化と低NFBの基本設計が組み合わさることで、音質の向上が期待できます。特に、SL-1300の優れたトレース性能とA-924の音質の練り上げが相まって、よりクリアでリアルな音楽体験を提供します。この組み合わせにより、音楽の細部まで忠実に再現することが可能となります。
- 機能の拡張:Technics SL-1300とONKYO A-924の組み合わせは、機能の拡張にも寄与します。SL-1300の多彩な機能、例えば回転速度の調整やメモリピート機構などと、A-924のソースダイレクト回路やラウドネススイッチなどの機能が互いに補完し合います。また、A-924のバナナプラグに対応したネジ式2系統スピーカーターミナルは、スピーカーの選択の幅を広げ、システムの拡張性を高めます。
Technics SL-1300とSANSUI AU-α607の組み合わせ
Technics SL-1300とSANSUI AU-α607の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SL-1300はダイレクトドライブフルオートプレイヤーで、SANSUI AU-α607はインテグレーテッドDCアンプです。この組み合わせでは、SL-1300の高精度な回転制御とAU-α607のα-Xバランスサーキットが互いに補完し合い、高い互換性を発揮します。特に、SL-1300の回転数微調整機能とAU-α607の精密な出力制御が組み合わせることで、音楽再生の精度が向上します。
- 音質の向上:Technics SL-1300のダイレクトドライブとSANSUI AU-α607のα-Xバランスサーキットの組み合わせにより、音質の向上が期待できます。SL-1300のモーターの回転部とターンテーブルの一体構造は、信号の純度を保ちます。一方、AU-α607のα-Xバランスサーキットは信号回路・電源回路・NFB回路で信号をアースから独立させることで歪みを排除します。この相乗効果により、クリアでリアルな音質を実現します。
- 機能の拡張:この組み合わせにより、機能の拡張も可能です。SL-1300の多様な回転数設定やメモリピート機構、AU-α607のソースダイレクト機能やトーンコントロールなど、両機種の特長を最大限に活用することで、音楽再生の自由度が向上します。また、AU-α607の金メッキ端子とSL-1300の金メッキ処理された端子の組み合わせにより、信号伝送の品質も向上し、より豊かな音楽体験を提供します。
Technics SL-1300を徹底解説!【他のターンテーブルとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。