Technics SL-1700を徹底解説!【他のターンテーブルとの比較】

Technics SL-1700を徹底解説!【他のターンテーブルとの比較】

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Technics SL-1700はヴィンテージなターンテーブルです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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目次

Technics(テクニクス)SL-1700の概要と特徴

Technics(テクニクス)SL-1700のスペック
型式ダイレクトドライブプレイヤー
ターンテーブル33cmアルミダイカスト製
回転数33・1/3、45rpm
ワウ・フラッター0.025%(W.R.M.S.、JIS・C5521)
SN比60dB(IEC-B)
70dB(DIN45539B)
適用カートリッジ重量5g~11g
消費電力4W
重量8.8kg

Technics SL-1700は1976年に発売したターンテーブル(レコードプレーヤー)です。

トーンアームには、初動感度7mgのジンバルサスペンション方式高感度トーンアームを採用されています。

では、以下からTechnics SL-1700の特徴を解説します。

①:各種機能をワンチップ化した世界初のD.Dモーター用IC(AN630)回路を採用

Technics SL-1700は、各種機能をワンチップ化した世界初のD.Dモーター用IC(AN630)回路が採用されています。

それってどういうこと?

簡単に言うと、多くの機能を一つのチップに組み込んだということです。

以下では、もっと詳しく「各種機能をワンチップ化した世界初のD.Dモーター用IC(AN630)回路を採用」について解説します。

「各種機能をワンチップ化」と紹介しましたが、具体的な機能部分としては「モーター駆動部」・「制御部」です。

モーター駆動部とは

ターンテーブルのモーター駆動部は、レコードを回転させるための主要な部分です。

モーターが回転することでレコードが一定の速度で回転し、音楽が再生されます。

この部分が正確に動作することで、音楽のピッチやテンポが正確に保たれます。

制御部とは

制御部とは、モーターの速度や回転をコントロールする部分です。

ユーザーが再生速度を変更したい場合や、特定の部分を再生したい場合など、細かい調整が可能になります。

この部分がうまく機能することで、音楽の聴取体験が向上します。

そして、D.Dモーター用IC(AN630)とは、ターンテーブルのモーターを効率的に駆動するための特殊な回路です。

IC(AN630)回路は、モーターの速度やトルクを正確に制御する役割を果たします。

このワンチップ化されたD.Dモーター用IC(AN630)回路は、Technics SL-1700の性能を大幅に向上させることができます。

ちなみに、D.Dモーターはターンテーブルのレコードを直接駆動するモーターのことを指します。

②:B・FG(Back Electro Motive Force Frequency Generator)方式を採用

Technics SL-1700は、B・FG(Back Electro Motive Force Frequency Generator)方式が採用されています。

B・FG方式を簡単に説明すると、モーターの回転数を正確に測定し制御するための技術です。

以下は、Technics SL-1700に採用されているB・FG方式の特徴です。

  1. Back Electro Motive Force(逆起電力):モーターが回転する際に発生する電圧のことを指します。この電圧は、モーターの回転数に比例するため、測定することで回転数を知ることができます。
  2. Frequency Generator(周波数発生器):逆起電力から発生する周波数を測定する装置です。この周波数は、モーターの回転数に直接関連しているため、正確な制御に使用されます。

ターンテーブルでは、レコードの回転数を非常に正確に制御する必要があります。

回転数がずれると音楽のピッチや速度が変わってしまい、正しい音楽再生ができません。

ですが、B・FG方式を採用することで以下の利点が得られます。

  1. 精確な回転数の測定:モーターの逆起電力を測定することで、回転数を非常に正確に知ることができます。
  2. 迅速な調整:回転数が目標値からずれた場合、すぐに検出して調整することができます。
  3. 音質の向上:回転数の正確な制御により、音楽のピッチやリズムが正確に再現され、より高品質な音楽再生が可能になります。

③:フローティングダブルインシュレーターを採用

Technics SL-1700は、フローティングダブルインシュレーターが採用されています。

フローティングダブルインシュレーターは、ハウリング対策として使用される特殊な構造を指します。

音楽初心者

そもそもハウリングってなに?

ハウリングはスピーカーからの音がマイクやピックアップに戻り、増幅されて再びスピーカーから出るという悪循環が起きる現象です。

この結果、高いピッチの不快な鳴りや反響が発生します。

ターンテーブルではスピーカーからの振動がレコードプレーヤーに伝わり、ハウリングを引き起こすことがあります。

ですが、フローティングダブルインシュレーターがあることでハウリングを防ぐことが期待できます。

  1. フローティング:「浮かぶ」という意味で、ターンテーブルの主要部分を振動から隔離するために「浮かせる」技術です。
  2. ダブルインシュレーター:「二重の絶縁体」という意味で、振動を二重に防ぐ構造を指します。

Technics SL-1700と他のヴィンテージターンテーブルとの比較

Technics SL-1700と他のヴィンテージターンテーブルとの比較

当然ですが、ヴィンテージターンテーブルはSL-1700だけではありません。

以下では

  • DENON DP-2700
  • Pioneer PL-1250
  • YAMAHA YP-D7

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

Technics SL-1700とDENON DP-2700との比較

Technics SL-1700とDENON DP-2700との比較は以下の通りです。

  • モーター:echnics SL-1700はワンチップIC採用のB・FGサーボDCモーターを使用していますが、DENON DP-2700はソリッドロータ形ACトルクモーターを採用しています。DENONのモーターは滑らかで振動の少ない回転特性を持っているため、この部分ではDENONが優れていると言えます。
  • 回転数:両機種ともに33・1/3、45rpmの回転数を持っています。回転数微調整範囲も似ているため、この部分の差異はありません。
  • ワウ・フラッター:Technics SL-1700は0.025%、DENON DP-2700は0.03%となっており、Technicsの方がわずかに優れています。
  • SN比:両機種ともに60dBのSN比を持っていますが、Technics SL-1700は70dB(DIN45539B)という評価もあります。この部分ではTechnicsが優れていると言えます。
  • トーンアーム:両機種ともにスタティックバランスS字型アームを採用しています。
  • 針圧調整範囲:両機種ともに0~3gの針圧調整範囲を持っています。
  • 重量:Technics SL-1700は8.8kg、DENON DP-2700は12kgとなっており、DENONの方が重い設計となっています。重量によっては安定性に影響がある場合があります。

Technics SL-1700とPioneer PL-1250との比較

Technics SL-1700とPioneer PL-1250との比較は以下の通りです。

  • モーター:Technics SL-1700はワンチップIC採用のB・FGサーボDCモーターを使用しており、Pioneer PL-1250はブラシレスDCサーボモーターを採用しています。Technicsの方が集積度が高く、信頼性が向上しています。
  • 回転数:両者ともに回転数は33・1/3、45rpmで、調整範囲も存在します。
  • ワウ・フラッター:Technics SL-1700のワウ・フラッターは0.025%で、Pioneer PL-1250の回転ムラは0.03%以下です。Technicsの方がわずかに優れています。
  • SN比:両者のSN比は60dBで同等です。
  • トーンアーム:両者ともにスタティックバランスS字型パイプアームを採用していますが、Technicsはジンバルサスペンション方式を採用しているため、初動感度が高く優れています。
  • 針圧調整範囲:Technics SL-1700の針圧調整範囲は0~3gで、Pioneer PL-1250の使用針圧範囲は1.0g~2.0gです。調整範囲が広いTechnicsの方が多様なカートリッジに対応できます。
  • 重量:Technics SL-1700は8.8kgで、Pioneer PL-1250は9.0kgです。わずかな差ですが、軽いTechnicsの方が取り扱いが容易です。

Technics SL-1700とYAMAHA YP-D7との比較

Technics SL-1700とYAMAHA YP-D7との比較は以下の通りです。

  • モーター:SL-1700はワンチップIC採用のB・FGサーボDCモーターを使用し、YP-D7は12極24スロットFGサーボDCホールモーターを使用しています。YP-D7のモーターは起動トルクが強く、高いレスポンスを提供します。一方、SL-1700のモーターは集積度が高く、精密な制御が可能です。評価としては、YP-D7が動的な負荷変動に強い一方、SL-1700は精密な回転数制御が可能です。
  • 回転数:両者ともに回転数は33・1/3、45rpmで、YP-D7には±3%の回転数調整が可能です。SL-1700は調整範囲が10%と広く、各回転数単独調整が可能です。SL-1700の方がより細かい調整ができるため、SL-1700が優れていると言えます。
  • ワウ・フラッター:SL-1700のワウ・フラッターは0.025%、YP-D7は0.03%以下です。この数値は低いほど良く、SL-1700の方がわずかに優れています。
  • SN比:SL-1700のSN比は60dB(IEC-B) 70dB(DIN45539B)で、YP-D7は62dB以上です。この点ではYP-D7がわずかに優れていると言えます。
  • トーンアーム:両者ともにS字型のトーンアームを採用していますが、SL-1700はユニバーサルS字型パイプアーム、YP-D7はスタティックバランスジンバルサポートアームです。YP-D7の方が高感度で振動に強い構造となっています。
  • 針圧調整範囲:SL-1700は0~3gの直読可変、YP-D7は取付カートリッジ自重範囲2g~16gです。SL-1700の方がより細かい調整が可能です。
  • 重量:SL-1700は8.8kg、YP-D7は14kgです。YP-D7の方が重く、安定性が高いと言えます。

Technics SL-1700とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

Technics SL-1700とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、Technics SL-1700とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

Technics SL-1700と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • Technics SU-V100D
  • OTTO/SANYO DCA-1301
  • ALPINE/LUXMAN LV-117

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

Technics SL-1700とTechnics SU-V100Dの組み合わせ

Technics SL-1700とTechnics SU-V100Dの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Technics SL-1700は、ダイレクトドライブオートプレイヤーとして、高精度な回転数制御やハウリング対策などが特徴です。一方、Technics SU-V100Dは、4DAC・18bit変換システムやclassAAアンプなど、高品位な再生を可能にする機能を備えています。この2つの製品を組み合わせることで、互いの特性を最大限に活かすことができます。
  • 音質の向上:Technics SL-1700のワンチップIC採用のB・FGサーボDCモーターやジンバルサスペンション方式高感度トーンアームなどの技術と、Technics SU-V100Dの4DAC変換システムやVC-4アンプなどの技術が組み合わさることで、音質の向上が期待できます。
  • 機能の拡張:Technics SL-1700とTechnics SU-V100Dの組み合わせにより、機能の拡張も実現します。SL-1700のオートリターン機構や回転数微調整機能などと、SU-V100Dのデジタル入力対応やパワーアンプダイレクト機能などが連携することで、多岐にわたる音源の再生や細かな音質調整が可能になります。

Technics SL-1700とOTTO/SANYO DCA-1301の組み合わせ

Technics SL-1700とOTTO/SANYO DCA-1301の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Technics SL-1700は、ダイレクトドライブプレイヤーとしての高い性能を持ち、OTTO/SANYO DCA-1301との組み合わせにおいても、その互換性は非常に高いです。DCA-1301のプリメインアンプ部とSL-1700のターンテーブル部の連携はスムーズで、各種設定や調整も容易に行えます。特に、周波数特性や出力帯域幅などのスペックが互いにマッチしているため、安定した動作が期待できます。
  • 音質の向上:この組み合わせによって、音質の向上も実現します。SL-1700のハウリングに強い新構造とDCA-1301のクロスバイアス方式のトリプルダーリントン構成ピュアコンプリメンタリーOCL回路の採用により、クリアで豊かな音質が生み出されます。また、DCA-1301のトーンコントロール機能を活用することで、音色の調整も細かく行えます。
  • 機能の拡張:SL-1700とDCA-1301の組み合わせは、機能の拡張面でも魅力的です。例えば、DCA-1301のテープモニター回路を活用することで、録音・再生の管理がより柔軟に行えます。また、SL-1700のオートリターン機構とDCA-1301の高信頼保護回路の採用により、使用中の安全性も向上します。

Technics SL-1700とALPINE/LUXMAN LV-117の組み合わせ

Technics SL-1700とALPINE/LUXMAN LV-117の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Technics SL-1700は、ダイレクトドライブプレイヤーとして高い評価を受けており、ALPINE/LUXMAN LV-117との組み合わせでは、互換性が非常に高いです。LV-117の入力インピーダンス47kΩとSL-1700の出力特性がうまくマッチし、信号のロスなく伝送することが可能です。また、LV-117のデジタル入力に対応しているため、デジタル信号のままパワーアンプ直前まで伝送することができます。この組み合わせにより、高い互換性と安定した動作が実現されます。
  • 音質の向上:この組み合わせによって、音質の向上も期待できます。SL-1700のハウリングに強い新構造と、LV-117の高調波歪率0.004%の特性が相まって、クリアで歪みの少ない音質を実現します。特に、SL-1700のワンチップIC採用のB・FGサーボDCモーターと、LV-117のオールFETによる差動増幅回路の組み合わせは、音の鮮明度を向上させる効果があります。
  • 機能の拡張:ALPINE/LUXMAN LV-117とTechnics SL-1700の組み合わせでは、機能の拡張も見込めます。LV-117のラインストレート機能により、音の鮮明度向上が可能で、SL-1700のオートリターン機構との連携により、演奏終了時に自動的にトーンアームがレストに戻る機能など、使い勝手の向上が図られます。また、LV-117の3系統の映像入力とSL-1700の高画質再生能力との組み合わせにより、ビジュアルソースに対応した高品質な視聴体験も提供します。

Technics SL-1700を徹底解説!【他のターンテーブルとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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