この記事の概要
※上記の青文字をタップすると該当箇所に飛びます。
Technics SL-1700はヴィンテージなターンテーブルです。
本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。
ten
Technics(テクニクス)SP-10mk3の概要と特徴
Technics(テクニクス)SP-10mk3のスペック | |
---|---|
型式 | クォーツシンセサイザD.D.ターンテーブル |
ターンテーブル | 銅合金+アルミダイカスト製、直径32cm |
回転数 | 3スピード、33・1/3、45、78.26rpm |
回転数微調範囲 | 0.1%ステップ、±9.9%までのクォーツロックピッチ可変 (各回転数単独) |
ワウ・フラッター | 0.015%WRMS(JIS C5521) ±0.021%weighted zero to peak(DIN45507、IEC98A、weighted) |
SN比 | 92dB DIN-B(IEC98A weighted) 60dB DIN-A(IEC98A unweighted) |
消費電力 | 25W |
重量 | 本体:18kg コントロールユニット:6kg |
Technics SP-10mk3は1982年に発売したターンテーブル(レコードプレーヤー)です。
トーンアームには、初動感度7mgのジンバルサスペンション方式高感度トーンアームを採用されています。
では、以下からTechnics SP-10mk3の特徴を解説します。
①:超低速電子整流子ブラシレスDCモーターを採用
Technics SP-10mk3は、超低速電子整流子ブラシレスDCモーターを採用しています。
超低速電子整流子ブラシレスDCモーターってなに?
超低速電子整流子ブラシレスDCモーターを一言で解説するのは難しいので、以下で分割しながら解説します。
- 超低速:モーターが非常にゆっくりと回転することを意味します。超低速で回転することで、音楽の細部まで正確に再現することが可能です。
- 電子整流子:交流電流を直流電流に変換する部品です。ターンテーブルのモーターには直流電流が必要なため、この部品が重要な役割を果たします。整流子があることで電流の流れが安定し、モーターの回転が一定に保たれます。
- ブラシレスDCモーター:通常のDCモーターと異なり、ブラシレスDCモーターは機械的なブラシを持たず、電子的にコミュテーション(回転方向の制御)を行います。これにより摩耗が少なく、メンテナンスが容易です。
上記のように、Technics SP-10mk3に採用されている超低速電子整流子ブラシレスDCモーターは、ターンテーブルの性能を大いに向上させます。
さらに、超低速電子整流子ブラシレスDCモーターは、モーターの振動やノイズが極めて少ないため、音質の劣化を防ぎます。
②:ピッチコントロールも可能なクォーツシンセサイザ方式を採用
Technics SP-10mk3は、ピッチコントロールも可能なクォーツシンセサイザ方式を採用しています。
ターンテーブルで音楽を再生する際、音の高さや速度を微調整する機能が求められます。
この調整を行うための技術が「ピッチコントロール」で、その中でも「クォーツシンセサイザ方式」は先進的な方法です。
ピッチコントロールは、音楽の音の高さ(ピッチ)を調整する機能です。
ターンテーブルの回転速度を変えることで、レコードから再生される音楽の速度や音の高さを変更することができます。DJなどが演出を加える際によく使用されます。
クォーツシンセサイザ方式は、ピッチコントロールを行うための高精度な技術です。
「クォーツ結晶」を使用してターンテーブルの回転速度を正確に制御します。
上記に記載している「クォーツ結晶」は、一定の周波数で振動する性質を持っています。
この振動を利用してターンテーブルのモーターの速度を制御するため、非常に正確なピッチコントロールが可能です。
さらに、クォーツシンセサイザ方式を採用することで、外部からの振動や温度変化などによる影響を受けにくくなります。
これにより、一定のピッチで音楽を再生することが容易になります。
③:キャビネットには高精度亜鉛ダイカスト及びアルミダイカストを採用
Technics SP-10mk3のキャビネットには、高精度亜鉛ダイカスト及びアルミダイカストが採用されています。
キャビネットに「高精度亜鉛ダイカスト及びアルミダイカスト」を採用するという技術は、構造の強度と美観を向上させる効果があります。
そもそも、亜鉛ダイカストとアルミダイカストってなに?
以下は、亜鉛ダイカストとアルミダイカストとの特徴です。
- ダイカスト製法:ダイカストとは溶解した金属を型に注ぎ込み、高圧で成形する製造方法です。この方法により、複雑な形状でも高精度に成形することが可能です。
- 亜鉛ダイカスト:亜鉛ダイカストは亜鉛を主成分とした合金を使用します。亜鉛は鋳造性が良く、耐摩耗性に優れています。
- アルミダイカスト:アルミダイカストは、アルミニウムを主成分とした合金を使用します。アルミニウムは軽量でありながら強度が高く、耐食性にも優れています。
そして、亜鉛ダイカストとアルミダイカストをキャビネットに採用することで、以下のような利点があります。
- 強度と剛性の向上:亜鉛とアルミニウムのダイカスト部品は強度と剛性が高いため、キャビネットの構造を強化します。これにより、振動や外部からの衝撃に対する耐性が向上し、音質の安定が図られます。
- 美観の向上:ダイカスト製法による高精度な成形は、滑らかな表面と精緻なデザインを可能にします。これにより、ターンテーブルの外観が美しく仕上がります。
- 重量のバランス:アルミダイカストの軽量性はターンテーブルの重量バランスを最適化し、取り扱いや設置の自由度を高めます。
Technics SP-10mk3と他のヴィンテージターンテーブルとの比較
当然ですが、ヴィンテージターンテーブルはTechnics SP-10mk3だけではありません。
以下では
- YAMAHA P-700
- DENON DP-790
- SONY PS-X55
との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
Technics SP-10mk3とYAMAHA P-700との比較
Technics SP-10mk3とYAMAHA P-700との比較は以下の通りです。
- モーター:Technicsは超低速電子整流子ブラシレスDCモーターを採用しており、YAMAHAはクォーツPLL DC4相8極コアレスホールモーターです。両者ともにダイレクトドライブ方式を採用していますが、Technicsのモーターはより強力で精密な制御が可能です。
- ワウ・フラッター:両者ともに0.015%のワウフラッターを持っています。
- SN比:Technicsは92dB DIN-B、YAMAHAは78dB DIN-Bです。この点ではTechnicsの方が優れた性能を持っています。
- 重量:Technicsの本体重量は18kg、YAMAHAは6.4kgです。Technicsの方が重く、安定した動作が期待できるでしょうね。
Technics SP-10mk3とDENON DP-790との比較
Technics SP-10mk3とDENON DP-790との比較は以下の通りです。
- 型式:Technics SP-10mk3はクォーツシンセサイザD.D.ターンテーブルで、DENON DP-790はダイレクトドライブプレイヤーシステムです。Technicsの方がより先進的な技術を採用していると言えます。
- モーター:Technicsは超低速電子整流子ブラシレスDCモーターを採用しており、DENONは交流トルクモーターです。Technicsのモーターはより精密な制御が可能で、高いトルクを実現しています。
- 回転数:Technicsは3スピードで33・1/3、45、78.26rpm、DENONは33・1/3rpm、45rpmです。Technicsの方が多様な回転数に対応しており、より柔軟なプレイが可能です。
- ワウ・フラッター:Technicsのワウ・フラッターは0.015%WRMSで、DENONは0.03%wrmsです。Technicsの方が精度が高く、音質の安定性が優れています。
- SN比:TechnicsのSN比は92dB DIN-B、DENONは73dB以上(DIN-B)です。この値は信号対雑音比を示し、Technicsの方がクリアな音質を提供しています。
- 音質:Technicsはクォーツ制御による精緻な回転と高いSN比を実現しており、DENONも高品質なカートリッジとトーンアームを採用しています。
Technics SP-10mk3とSONY PS-X55との比較
Technics SP-10mk3とSONY PS-X55との比較は以下の通りです。
- 型式:Technics SP-10mk3は「クォーツシンセサイザD.D.ターンテーブル」で、SONY PS-X55は「クリスタルロックD.D.フルオートプレイヤーシステム」です。Technicsの方がより高精度なクォーツ制御を採用しており、精緻な回転が可能です。
- モーター:Technicsは「超低速電子整流子ブラシレスDCモーター」を採用しており、SONYは「リニアBSLモーター」を採用しています。Technicsのモーターは16kg・cmの巨大な起動トルクを実現しており、SONYのモーターはブラシやスロットが不要でトルクむらが低減されています。両者ともに優れた特性を持っています。
- 回転数:Technicsは3スピード、33・1/3、45、78.26rpmで、SONYのスペックには具体的な回転数が記載されていません。Technicsの方が回転数の微調範囲が0.1%ステップ、±9.9%までのクォーツロックピッチ可変が可能です。
- ワウ・フラッター:Technicsは0.015%WRMS、SONYは0.02%wrmsです。この数値は低いほど良く、Technicsの方がわずかに優れています。
- SN比:Technicsは92dB DIN-B、SONYは78dB(DIN-B)です。この点でもTechnicsの方が優れていると言えます。
- 重量:Technicsは本体18kg、コントロールユニット6kg、SONYは8kgです。重量が重い方が振動の影響を受けにくいため、Technicsが優れています。
- 音質:音質については、Technicsは高精度な構造とクォーツ制御による精緻な回転を実現し、SONYはトーンアーム部の無共振化とゲル状ダンプ材の振動吸収により優れた音質を提供しています。
Technics SP-10mk3とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ
以下では、Technics SP-10mk3とヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。
Technics SP-10mk3と組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、
- Technics SU-8099
- ONKYO Integra A-917F
- Pioneer A-470
です。
興味のある方は参考にしてみてください。
Technics SP-10mk3とTechnics SU-8099の組み合わせ
Technics SP-10mk3とTechnics SU-8099の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SP-10mk3は、クォーツシンセサイザD.D.ターンテーブルとして、高精度な回転を実現しています。一方、Technics SU-8099は、インテグレーテッドDCアンプとして、直流域から可聴帯域全般にわたって忠実な波形伝送を提供します。この組み合わせは互換性が高く、音楽の再生において各機器の特性を最大限に活かすことが可能です。SP-10mk3の高トルクとSU-8099のストレートDC方式が一体となり、音楽の細部まで忠実に再現します。
- 音質の向上:Technics SP-10mk3の超低速電子整流子ブラシレスDCモーターとSU-8099のスーパーリニアトランジスタの組み合わせは、音質の向上に寄与します。SP-10mk3の精緻な回転とSU-8099の低歪再生が一体となり、音楽のニュアンスを損なうことなく、クリアで豊かな音質を提供します。また、両機器の高いSN比が相互に作用し、ノイズの少ない滑らかな音楽再生を実現します。
- 機能の拡張:SP-10mk3とSU-8099の組み合わせにより、機能の拡張も期待できます。SP-10mk3のピッチコントロール機能とSU-8099のトーンコントロール機能が連携し、より細かい音楽の調整が可能になります。また、SU-8099のハイレベル入力とSP-10mk3の高トルク駆動が組み合わさることで、多岐にわたる音楽ジャンルに対応し、幅広い音楽体験を提供します。
Technics SP-10mk3とONKYO Integra A-917Fの組み合わせ
Technics SP-10mk3とONKYO Integra A-917Fの組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SP-10mk3とONKYO Integra A-917Fの組み合わせにおいて、互換性の面では非常に優れています。Technics SP-10mk3のクォーツシンセサイザD.D.ターンテーブルとONKYO Integra A-917FのLASERトランス搭載・スーパー・カレント・アンプの組み合わせは、音楽再生の精度と安定性を高めるための理想的な組み合わせです。特に、SP-10mk3の高トルクとA-917Fのダイナミックパワーが相互に補完し合い、音楽信号の忠実な再現を可能にしています。
- 音質の向上:音質の向上においても、この組み合わせは非常に効果的です。Technics SP-10mk3の超低速電子整流子ブラシレスDCモーターとONKYO Integra A-917Fのスーパーカレントアンプ構成は、音の細部にわたる再現性と、ダイナミックレンジの広がりを実現します。SP-10mk3のワウフラッターの低減とA-917Fの全高調波歪率の低さが一体となり、クリアで透明感のあるサウンドを生み出します。
- 機能の拡張:Technics SP-10mk3とONKYO Integra A-917Fの組み合わせによる機能の拡張も見逃せません。SP-10mk3の多様な回転数設定とA-917Fの多岐にわたる入力感度・インピーダンスの調整機能は、さまざまな音源とスピーカーの組み合わせに対応します。また、A-917Fのトーンコントロール機能とSP-10mk3のクォーツ制御による精緻な回転機能は、音楽のジャンルや個人の好みに合わせた細かい調整が可能になります。
Technics SP-10mk3とPioneer A-470の組み合わせ
Technics SP-10mk3とPioneer A-470の組み合わせは、以下のような結果が得られます。
- 互換性:Technics SP-10mk3とPioneer A-470の組み合わせにおいて、互換性は非常に高いものとなっています。Technics SP-10mk3は、クォーツシンセサイザD.D.ターンテーブルであり、その高精度な回転性能とクォーツ制御による精緻な回転が特徴です。一方、Pioneer A-470は、シンプルな回路構成のプリメインアンプで、高域のリニアリティに優れた集団トランジスタを採用しています。これらの特性が組み合わさることで、音楽再生における高い互換性を実現しています。
- 音質の向上:この組み合わせにより、音質の向上も期待できます。Technics SP-10mk3の超低速電子整流子ブラシレスDCモーターとPioneer A-470のDCアンプ構成が、音の色づけの原因となるコンデンサーを取り除くことで、ダンピングの劣化や中・低域での位相ズレ、過渡的混変調歪の発生を抑えます。
- 機能の拡張:さらに、機能の拡張もこの組み合わせの魅力です。Technics SP-10mk3のピッチコントロール機能とPioneer A-470のサブソニックフィルターやラウドネスコンターの搭載により、より幅広い音楽再生の表現が可能となります。
Technics SP-10mk3を徹底解説!【他のターンテーブルとの比較】のまとめ
本記事では以下を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。