Accuphase(アキュフェーズ)E-408を徹底解説!【他のアンプとの比較】

Accuphase(アキュフェーズ)E-408を徹底解説!【他のアンプとの比較】

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Accuphase E-408は、ヴィンテージなプリメインアンプです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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Accuphase(アキュフェーズ)E-408の概要と特徴

Accuphase E-408の概要と特徴
Accuphase(アキュフェーズ)E-408のスペック
定格連続平均出力
(両ch動作、20Hz~20kHz)
260W/ch(4Ω)
220W/ch(6Ω)
180W/ch(8Ω)
全高調波歪率
(両ch動作、20Hz~20kHz)
0.02%(4Ω~16Ω負荷)
周波数特性High Level input/Main input:
20Hz~20kHz +0 -0.2dB(定格連続平均出力時)
2Hz~150kHz +0 -3.0dB(1W出力時)
ダンピングファクター120(8Ω負荷、50Hz)
入力感度/インピーダンス
(定格出力/EIA1W出力)
High Level input:158mV/11.2mV/20kΩ
Balanced input:158mV/11.2mV/40kΩ
Main input:1.58V/112mV/20kΩ
トーンコントロール低音(300Hz):±10dB(50Hz)
高音(3kHz):±10dB(20kHz)
消費電力55W(無入力時)
460W(電気用品取締法)
605W(8Ω負荷定格出力時)
重量23.4kg

Accuphase E-408は2003年に発売したプリメインアンプです。

パワーアンプ部とプリアンプ部ともに、アキュフェーズ独自のMCS(Multiple Circuit Summing-up)回路を搭載しています。

では、以下からAccuphase E-408の特徴を解説します。

①:出力素子にはマルチエミッター型大電力オーディオ用パワートランジスタを採用

Accuphase E-408の出力素子には、マルチエミッター型大電力オーディオ用パワートランジスタが採用されています。

マルチエミッター型大電力オーディオ用パワートランジスタってなに?

一言で解説するのは難しいので、言葉を分解しながら解説します。

まず「マルチエミッター型」とは、一つのトランジスタに複数のエミッタ(電子を放出する部分)がある形状のことを指します

通常のトランジスタには、エミッタ、ベース、コレクタという三つの端子がありますが、マルチエミッター型ではエミッタ(電子を放出する部分)が複数存在します。

以下は「マルチエミッター型」の利点です。

  1. 高い電流容量:マルチエミッター型のトランジスタは複数のエミッタが同時に動作するため、より高い電流を扱うことが可能です。これにより、大電力のアプリケーションでの使用が可能となります。
  2. 効率的な動作:複数のエミッタがあることで、各エミッタが扱う電流が相対的に少なくなります。これにより、各エミッタの熱負荷が低減し、全体として効率的な動作が可能になります。
  3. 低い歪み:一つのトランジスタで複数のエミッタが動作することで、非線形な歪みが低減します。これは特にオーディオ機器において重要な要素であり、高品質な音を出力するために有用です。

次に「大電力オーディオ用パワートランジスタ」とは、高い出力を持ち、オーディオ用途に特化したトランジスタのことです。

「大電力オーディオ用パワートランジスタ」は、大きな電流と電圧を扱う能力があるので、大音量でも音質が劣化することなく、安定したパフォーマンスを発揮することができます。

さらに、「大電力オーディオ用パワートランジスタ」は耐熱性にも優れています。

大電力を扱うトランジスタは、避けては通れない発熱問題に対処する必要がありますが、このトランジスタはそのような厳しい条件下でも性能を維持することができます。

これにより、長時間の使用や高温環境でも安心して使用することができます。

ちなみに、「出力素子」とはアンプ内部でオーディオ信号を増幅する役割を果たす部品のことを指します。

この出力素子が高性能であればあるほど、音質が向上します。

②:増幅方式にはカレントフィードバック回路を採用

Accuphase E-408の出増幅方式には、カレントフィードバック回路が採用されています。

プリメインアンプに「カレントフィードバック回路」が採用される理由は、その高い性能と効率性にあります。

一般的なボルテージフィードバック回路と比較して、カレントフィードバック回路は出力信号を電流の形で帰還する特性があります。

この特性により位相回転が発生しにくく、その結果、位相補償の必要がほとんどありません。

位相補償とは?

位相補償とは、電子回路、特にアンプ(増幅器)において、信号の位相変化を調整するための手法です。

一般的に、アンプにはゲイン(増幅率)と位相という二つの主要な特性があります。信号がアンプを通過する際に、これらの特性が変化する可能性があります。

特に、高周波数信号になると位相が変化しやすく、これがそのまま放置されると、信号の歪みや安定性の低下を引き起こす可能性があります。

位相補償は、このような位相の変化を「補償」するために行われます。

具体的には、特定の周波数帯域で位相が変化する傾向がある場合、その逆の位相変化を引き起こすような回路を追加することで、全体として位相の変化を最小限に抑えます。

位相補償が不要であるため、少量の負帰還(NFB)だけで諸特性を改善することが可能です。

負帰還とは?

負帰還(Negative Feedback)とは、電子回路、特に増幅器(アンプ)において、出力信号の一部を逆相で入力に戻す手法を指します。この手法は、回路の性能を向上させるために広く用いられています。

負帰還の主な目的は、回路のゲイン(増幅率)を安定化し、線形性を向上させることです。

具体的には、アンプの出力から取り出した信号を逆相にして再び入力端子に加えることで、出力と入力の差(エラー)を最小限に抑えます。このプロセスにより、アンプのゲインが安定し、非線形歪みが減少します。

これにより、アンプの性能を高めるために必要なコンポーネント数が減少し、全体としての効率が向上します。

また、カレントフィードバック回路方式では、利得の大小による周波数特性の変化がほとんど発生しないため、音質に一貫性があります。

③:トーンコントロール部には加算型アクティブフィルター方式を採用

Accuphase E-408のトーンコントロール部には、加算型アクティブフィルター方式が採用されています。

加算型アクティブフィルター方式が採用される利点ってなに?

プリメインアンプのトーンコントロール部に「加算型アクティブフィルター方式」が採用される理由は、その高い音質と柔軟性にあります。

この方式では、本来のフラットな信号はそのまま通過し、必要に応じて別で特性を作ってフラットな信号から増減させます。

この特性が、音質を最も高いレベルで維持するための重要な要素となっています。

一般的なトーンコントロール方式と比較して、加算型アクティブフィルター方式は、音質の劣化を最小限に抑えることができます。

これは、フラットな信号がそのまま通過するため、信号の純度が保たれるからです。

また、この方式では必要に応じて特定の周波数帯域の増減が可能です。

これにより、ユーザーは音質に対する独自の調整を行うことができます。

Accuphase E-408と他のヴィンテージアンプとの比較

Accuphase E-408と他のヴィンテージアンプとの比較

当然ですが、ヴィンテージアンプはAccuphase E-408だけではありません。

以下では

  • Technics SU-7300
  • YAMAHA AX-900
  • Aurex SB-820

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

Accuphase E-408とTechnics SU-7300との比較

Accuphase E-408とTechnics SU-7300との比較は以下の通りです。

  • 型式:Accuphase E-408はプリメインアンプであり、Technics SU-7300もステレオプリメインアンプです。両者ともプリアンプとパワーアンプが一体になった形式で、基本的な設計思想は類似しています。ただし、E-408はより高度な回路設計と高品質な素材を採用しています。
  • 実効出力:E-408は260W/ch(4Ω)であり、SU-7300は42W+42W(4Ω)です。E-408の方が出力が大幅に高く、大きなスピーカーも十分に駆動できます。
  • 混変調歪率:E-408はIM歪率が0.01%で、SU-7300は全高調波歪率が0.08%です。E-408の方が歪みが少なく、クリアな音質を提供します。
  • 入力感度/インピーダンス:E-408はHigh Level inputで158mV/20kΩ、SU-7300はTuner、Aux、Tapeで150mV/47kΩです。両者はほぼ同等の感度とインピーダンスを持っています。
  • ダンピングファクター:E-408は120(8Ω)、SU-7300は45(8Ω)です。E-408の方がダンピングファクターが高く、スピーカーのコントロールが優れています。
  • 負荷インピーダンス:E-408は4Ω~16Ω、SU-7300も4Ω~16Ωと、両者ともに負荷インピーダンスの範囲は同じです。
  • SN比:E-408のHigh Level inputは113dB、SU-7300のTunerは97dBです。E-408の方がSN比が高く、ノイズが少ないです。
  • 消費電力:E-408は55W(無入力時)、SU-7300は95Wです。E-408の方がエコフレンドリーです。
  • 重量:E-408は23.4kg、SU-7300は6.0kgです。E-408の方が重く、堅牢な作りとなっていますが、設置場所や移動性を考慮するとSU-7300の方が便利です。
  • 音質:E-408は高品質な素材と独自の回路設計で音質に優れています。SU-7300もストレートな回路構成で良好な音質を持っていますが、全体的にE-408の方が高音質です。

Accuphase E-408とYAMAHA AX-900との比較

Accuphase E-408とYAMAHA AX-900との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:Accuphase E-408は、260W/ch(4Ω)、220W/ch(6Ω)、180W/ch(8Ω)と非常に高い出力を誇ります。一方で、YAMAHA AX-900は150W+150W(6Ω)、130W+130W(8Ω)とやや低めです。
  • 混変調歪率:Accuphase E-408のIM歪率は0.01%、YAMAHA AX-900の全高調波歪率はMC:0.005%、MM:0.003%と非常に低いです。
  • 入力感度/インピーダンス:Accuphase E-408はHigh Level input:158mV/11.2mV/20kΩ、YAMAHA AX-900はMC:160μV/220Ω、MM:2.5mV/47kΩとなっています。用途によりますが、一般的にはAccuphase E-408が多機能です
  • ダンピングファクター:Accuphase E-408は120(8Ω負荷、50Hz)、YAMAHA AX-900は150以上(1kHz、8Ω)なので、YAMAHA AX-900のほうが優れています
  • SN比:Accuphase E-408はHigh Level input:113dB/82dB、YAMAHA AX-900はMC:70dB、MM:86dBとなっておりAccuphase E-408が優れています
  • 消費電力:Accuphase E-408は55W(無入力時)、YAMAHA AX-900は260Wとなっています。
  • 重量:Accuphase E-408は23.4kg、YAMAHA AX-900は17.5kgとなっています。YAMAHA AX-900のほうが軽量で取り扱いやすいです
  • 音質:Accuphase E-408は高品質素材と最新の回路を採用しており、音質に優れています。YAMAHA AX-900もLiD電源、ALA回路などの技術を投入していますが、全体的にはAccuphaseが上です。

Accuphase E-408とAurex SB-820との比較

Accuphase E-408とAurex SB-820との比較は以下の通りです。

  • 実効出力:Accuphase E-408は、260W/ch(4Ω)、220W/ch(6Ω)、180W/ch(8Ω)という高い出力を持っています。一方で、Aurex SB-820は90W+90W(8Ω)、110W+110W(4Ω)となっています。明らかにAccuphase E-408の方が高出力です。
  • 混変調歪率:Accuphase E-408はIM歪率が0.01%、一方Aurex SB-820は0.1%以下とされています。この点では、E-408がより優れた性能を示しています。
  • 入力感度/インピーダンス:Accuphase E-408は多様な入力オプションと高いインピーダンスを提供しています。Aurex SB-820は比較的シンプルな設定ですが、それでも十分な性能を持っています。
  • ダンピングファクター:Accuphase E-408はダンピングファクターが120(8Ω負荷、50Hz)で、Aurex SB-820は40(8Ω、1kHz)です。この点でもE-408が優れています。
  • 負荷インピーダンス:両者ともに4Ω~16Ωの負荷インピーダンスに対応しています。
  • SN比:Accuphase E-408はHigh Level inputで113dB、Aurex SB-820はPhonoで73dB、Auxで90dBです。この点でもE-408が優れています。
  • 消費電力:Accuphase E-408は605W(8Ω負荷定格出力時)、Aurex SB-820の消費電力は明示されていませんが、出力が低いため消費電力も低い可能性が高いです。
  • 音質:Accuphase E-408は高品質素材と最新の回路を採用しており、音質に優れています。Aurex SB-820も高い性能を持っていますが、E-408が一歩リードしていると言えます。

Accuphase E-408とヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

Accuphase E-408と他のヴィンテージスピーカーとの組み合わせ

以下では、Accuphase E-408とヴィンテージスピーカーとの組み合わせを一部解説します。

Accuphase E-408と組み合わせるヴィンテージスピーカーは、

  • KENWOOD LS-X900
  • JBL L200B
  • ONKYO D-112E

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

Accuphase E-408とKENWOOD LS-X900の組み合わせ

Accuphase E-408とKENWOOD LS-X900の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:Accuphase E-408の負荷インピーダンスは4Ω~16Ωであり、KENWOOD LS-X900のインピーダンスは6Ωです。この数値から見ても、両者は非常に良い互換性を持っています。また、E-408の定格連続平均出力は220W/ch(6Ω)であり、LS-X900の最大入力は170W(EIAJ)です。このことからも、アンプとスピーカーが過負荷になる心配は少ないと言えます。
  • 音質の向上:E-408は高品質な素材と最新の回路設計を採用しており、特に低歪みと高いS/N比が特徴です。一方で、LS-X900は4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式を採用し、低域から高域まで広い再生周波数帯域を持っています。この組み合わせにより、低音の深みから高音のクリアさまで、非常に高いレベルでの音質が期待できます。
  • 機能の拡張:E-408にはオプションボード用のスロットが装備されており、デジタル入力やレコード再生が可能です。一方、LS-X900は防磁設計が施されています。これにより、デジタルとアナログの両方で高品質な音楽再生が可能となります。また、E-408には専用のヘッドホンアンプ回路が内蔵されているため、ヘッドホンでのリスニングも一層向上します。

>> KENWOOD(ケンウッド)LS-X900を徹底解説!【他のスピーカーとの比較】

Accuphase E-408とJBL L200Bの組み合わせ

Accuphase E-408とJBL L200Bの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:E-408の負荷インピーダンスは4Ω~16Ωであり、JBL L200Bのインピーダンスは8Ωです。これは、アンプとスピーカーが適切にマッチしていることを示しています。また、E-408の定格連続平均出力は180W/ch(8Ω)であり、JBL L200Bの許容入力は150W(連続プログラム)です。このことからも、両者は電力面でも適切にマッチしています。さらに、E-408の周波数特性とJBL L200Bのクロスオーバー周波数も良好な相性を示しています。
  • 音質の向上:E-408は全高調波歪率が0.02%と非常に低く、JBL L200Bも音圧レベルが93dBと高いため、クリアでダイナミックなサウンドが得られます。特に、E-408のMCS(Multiple Circuit Summing-up)回路とカレントフィードバック回路が、JBL L200Bの38cmコーン型ウーファーとホーン型ユニットと相まって、低域から高域まで均一で豊かな音場を作り出します。
  • 機能の拡張:E-408には多数の入力端子とオプションボード用のスロットがあり、デジタル入力やレコード再生が可能です。これにより、JBL L200Bと組み合わせても多様な音源を楽しむことができます。また、E-408には専用のヘッドホンアンプ回路も内蔵されているため、ヘッドホンでのリスニングも高品質なサウンドで楽しめます。

Accuphase E-408とONKYO D-112Eの組み合わせ

Accuphase E-408とONKYO D-112Eの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:E-408は負荷インピーダンスが4Ω~16Ωと幅広く、D-112Eのインピーダンスが4Ωであるため、問題なく接続できます。また、E-408の定格連続平均出力が260W/ch(4Ω)であり、D-112Eの最大入力が120Wであるため、十分なパワーを供給できます。
  • 音質の向上:E-408は高品質の素材と最新の回路設計を採用しており、特にパワーアンプ部には3パラレル・プッシュプル回路と高周波特性に優れたマルチエミッター型大電力オーディオ用パワートランジスタを採用しています。これにより、D-112Eの低域用10cmコーン型ウーファーと高域用3cmリング型ユニットを最大限に活かし、よりクリアで力強い音質を実現します。また、E-408の周波数特性が20Hz~20kHzと非常に広く、D-112Eの定格周波数範囲が50Hz~100kHzであるため、低音から高音までしっかりと再生されます。
  • 機能の拡張:E-408にはオプションボード用のスロットが装備されており、デジタル入力やレコード再生が可能です。これにより、D-112Eと組み合わせた際にも、多様な音源を高品質で楽しむことができます。また、E-408には専用のヘッドホンアンプ回路が内蔵されているため、D-112Eでのスピーカー出力以外にも、ヘッドホンでの高品質な音楽再生が可能です。

Accuphase(アキュフェーズ)E-408を徹底解説!【他のスピーカーとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました

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