SANSUI(サンスイ)S-900XRを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】

SANSUI(サンスイ)S-900XRを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】

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SANSUI S-900XRはヴィンテージなスピーカーです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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SANSUI(サンスイ)S-900XRの概要と特徴

SANSUI(サンスイ)S-900XRの概要と特徴
SANSUI(サンスイ)S-900XRのスペック
方式3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁設計
ユニット低域用:27cmコーン型
中域用:10cmコーン型
高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域40Hz~20kHz
インピーダンス
出力音圧レベル90dB/W/m
重量13.2kg
外形寸法幅323x高さ582x奥行265mm

SANSUI S-900XRは1990年ごろに発売したスピーカーシステムです。

低域には27cmコーン型ウーファーを搭載しています。

では、以下からSANSUI S-900XRの特徴を解説します。

①:SANSUI S-900XRの振動板にはカーボンコーンを採用

SANSUI S-900XRの振動板には、カーボンコーンが採用されています。

カーボンコーンってなに?

カーボンコーンは、カーボン繊維を主成分としたコンポジット素材です。

この素材は軽量でありながら高い剛性を持っているため、振動板として非常に優れた性能を発揮します。

具体的には、低音から高音まで広い周波数帯域で均一な音を再生することができます。

以下は、振動板にカーボンコーンを採用する利点です。

  • 高い剛性と低質量カーボンコーンは「ヤング率」が高い素材です。ヤング率とは、材料の剛性を表す指標であり、これが高いと非線形歪み(ノンリニアディストーション)が少なくなります。低質量であるために、振動板が迅速に動き、高い解像度の音響再生が可能です。
  • 広い帯域応答:カーボンコーンの高剛性と低質量は、広い周波数レスポンスを可能にします。これは、低音域から高音域まで均一な周波数特性を持つことを意味し、多様な音楽ジャンルや音源に対応できます。
  • 高い内部減衰:この素材は高い「内部減衰」を持っています。内部減衰とは、振動が素材内で吸収される性質で、これにより不要な共振や後響が抑制されます。結果として、音のトランジェント応答が向上し、音がクリアになります。
  • 熱安定性:カーボンコーンは高い熱伝導率を持つため、熱が効率よく分散されます。これにより、長時間の使用でも振動板の性能が低下しにくく、高いパワーハンドリング能力が維持されます。
  • 低Q値カーボンコーンは「Q値」が低いです。Q値が低いと、振動板の自然な共振が少なく、音の鳴りが少ないです。これにより、よりクリアで自然な音質が得られます。

②:SANSUI S-900XRのエンクロージャーにはバスレフ方式を採用

SANSUI S-900XRのエンクロージャーには、バスレフ方式が採用されています。

バスレフ方式ってなに?

バスレフ方式とは、スピーカーのエンクロージャー(スピーカーユニットを収める箱)に特定の形状と寸法を持つ「ポート」または「ダクト」を設ける設計方式です。

このポートを通して、スピーカーユニットの裏側で発生する音波を外部に放出することで、低音域の再生性能が高まります。

そして、この方式の最大の特長は、その低音の再生能力とも言えます。

通常、密閉型のエンクロージャーでは低音の再生が難しいのですが、バスレフ方式ではポートを通して低音を効率よく放出することができます。

これにより、低域応答が向上するとともに、スピーカーの効率と感度も高まります。

③:ミッドレンジとツィーターにはコルク材によるシールド処理が施されてる

SANSUI S-900XRのミッドレンジとツィーターには、コルク材によるシールド処理が施されています。

コルク材は天然素材であり、優れた防振性と吸音性を持っています。

これにより、スピーカーが発生させる不要な振動や共振を抑制することができます。

特にミッドレンジとツィーターは、音の細部まで再現する部分であるため、微細な振動が音質に大きな影響を与えます。

コルク材によるシールド処理は、これらの振動を効果的に抑制し、よりクリアで自然な音質を実現します。

シールド処理とは?

シールド処理とは、電子機器やスピーカーなどにおいて、外部からの電磁波やノイズの影響を最小限に抑えるために施される特別な処理です。

この処理は、特定の素材やコーティングを用いて、機器の敏感な部分を物理的に覆うことで行われます。

また、コルク材は耐久性と耐候性にも優れています。

これにより、スピーカーのミッドレンジとツィーターは、長期間にわたってその性能を維持することができます。

湿度や温度の変化による劣化が少なく、多様な環境下でも一定の音質を提供できます。

SANSUI S-900XRと他のヴィンテージスピーカーとの比較

当然ですが、ヴィンテージスピーカーはSANSUI S-900XRだけではありません。

以下では

  • JBL 4355
  • ONKYO D-092TX
  • KENWOOD LS-M5

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

SANSUI S-900XRとJBL 4355との比較

SANSUI S-900XRとJBL 4355との比較は以下の通りです。

  • 使用ユニット:SANSUI S-900XRは低域用に27cm、中域用に10cm、高域用に2.5cmのユニットを使用しています。一方、JBL 4355は低域用に38cm(2個)、中低域用に30cm、中高域と高域用にホーン型を使用しています。JBL 4355の方がより大型のユニットを使用しているため、音質が豊かです。
  • 再生周波数帯域:SANSUI S-900XRは40Hz~20kHz、JBL 4355は31.5Hz~18kHzです。JBL 4355の方が低域が広がっていますが、高域はSANSUI S-900XRが広いです。用途によりますが、一般的にはJBL 4355が優れています。
  • インピーダンス:SANSUI S-900XRは6Ω、JBL 4355は4Ω(290Hz以下)と8Ω(290Hz以上)です。JBL 4355の方がより柔軟なインピーダンス設定が可能です。
  • 外形寸法:SANSUI S-900XRは幅323x高さ582x奥行265mm、JBL 4355は幅1223x高さ901x奥行510mmです。JBL 4355の方が大きく、場所を取ります。
  • 重量:SANSUI S-900XRは13.2kg、JBL 4355は120kgです。JBL 4355の方が非常に重いです。
  • 最大入力:SANSUI S-900XRは150W(EIAJ)、JBL 4355は400W(290Hz以下)と200W(290Hz以上)です。JBL 4355の方が高い耐入力を持っています。
  • 音質:SANSUI S-900XRは周波数特性に合わせた素材構成を採用しています。JBL 4355は高い音圧レベルが要求される大型スタジオ用に開発されています。評価としては、プロフェッショナルな用途ではJBL 4355が、一般家庭用ではSANSUI S-900XRがそれぞれ優れています。

>> JBL 4355を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】

SANSUI S-900XRとONKYO D-092TXとの比較

SANSUI S-900XRとONKYO D-092TXとの比較は以下の通りです。

  • 方式:SANSUI S-900XRは3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式を採用していますが、ONKYO D-092TXは2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式です。3ウェイの方が音域が広く、より高品質な音を出力できます。
  • 使用ユニット:SANSUI S-900XRは低域用に27cm、中域用に10cm、高域用に2.5cmのユニットを使用しています。一方、ONKYO D-092TXは低域用に13cm、高域用に2.5cmのユニットを使用しています。より多くのユニットと大きなサイズを採用しているSANSUI S-900XRが優れています。
  • 再生周波数帯域:SANSUI S-900XRは40Hz~20kHz、ONKYO D-092TXは50Hz~35kHzです。ONKYO D-092TXの方が高周波数までカバーしているため、この点ではONKYO D-092TXが優れています。
  • インピーダンス:SANSUI S-900XRは6Ω、ONKYO D-092TXは4Ωです。一般的に低いインピーダンスは高出力に適していますが、6Ωはより多くのアンプとの互換性があります。
  • 外形寸法:SANSUI S-900XRは幅323x高さ582x奥行265mm、ONKYO D-092TXは幅170x高さ295x奥行232mmです。ONKYO D-092TXのほうが小型です。
  • 重量:SANSUI S-900XRは13.2kg、ONKYO D-092TXは3.8kgです。
  • 最大入力SANSUI S-900XRは150W、ONKYO D-092TXは70Wです。SANSUI S-900XRのほうがより高い出力が可能です。
  • 音質:SANSUI S-900XRは振動板にクロスカーボンとカーボンコーン、チタンダイアフラムを採用しています。ONKYO D-092TXはOMFダイアフラムとソフトドーム型トゥイーターを採用しています。素材と構造から考えて、SANSUI S-900XRのほうがより高品質な音を出力できます。

SANSUI S-900XRとDENON SC-E717Rとの比較

SANSUI S-900XRとDENON SC-E717Rとの比較は以下の通りです。

  • 方式:SANSUI S-900XRは3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式を採用していますが、DENON SC-E717Rは2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式です。3ウェイ設計のSANSUI S-900XRは中域の再現性が高く、より広い音域をカバーできます。一方で、DENONの2ウェイ設計はシンプルで効率的です。音域の広さを求めるならSANSUIが優れています。
  • 使用ユニット:SANSUIは低域用に27cm、中域用に10cm、高域用に2.5cmのユニットを使用しています。DENONは低域用に12cm(x2)と高域用に2.5cmのユニットを使用しています。SANSUIの低域ユニットが大きいため、低音の再現性が高いです。低音の力強さを求めるならSANSUIが優れています。
  • 再生周波数帯域:SANSUIは40Hz~20kHz、DENONは45Hz~35kHzです。DENONの方が高域の再生能力が高いですが、低域ではSANSUIが優れています。高音を重視するならDENON、低音を重視するならSANSUIが良いでしょう。
  • インピーダンス:両者ともに6Ωのインピーダンスを持っています。
  • 外形寸法:SANSUIは幅323x高さ582x奥行265mm、DENONは幅154x高さ250x奥行256mmです。SANSUIの方が大きく、スペースを取りますが、それが音質に貢献しています。
  • 重量:SANSUIは13.2kg、DENONは5.4kgです。SANSUIの方が重く、設置には工夫が必要です。
  • 最大入力:SANSUIは最大150W、DENONは最大100Wです。SANSUIの方が高い出力に対応しています。
  • 音質:SANSUIはクロスカーボン振動板やカーボンコーンを採用しており、DENONはOMFダイアフラムや高音質コンデンサーを採用しています。両者ともに高音質を追求していますが、SANSUIは力強い低音、DENONはクリアな高音が特徴です。

SANSUI S-900XRとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

SANSUI S-900XRとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、SANSUI S-900XRとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

SANSUI S-900XRと組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • KENWOOD KA-7090R
  • LUXMAN L-530X
  • Marantz PM-19

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

SANSUI S-900XRとKENWOOD KA-7090Rの組み合わせ

SANSUI S-900XRとKENWOOD KA-7090Rの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:SANSUI S-900XRとKENWOOD KA-7090Rを組み合わせる場合、まず考慮すべきは互換性です。SANSUI S-900XRのインピーダンスは6Ω、一方でKENWOOD KA-7090Rは4Ωと8Ωに対応しています。この差は大きな問題ではありませんが、アンプの設定を適切に行うことで最適なパフォーマンスを引き出せます。また、S-900XRの瞬間最大入力は150W(EIAJ)であり、KA-7090Rの定格出力が110W+110W(4Ω)であるため、十分なパワー供給が可能です。
  • 音質の向上:SANSUI S-900XRは低域から高域までバランスの取れたスピーカーであり、特にミッドレンジとツィーターには高品質な素材が使用されています。一方で、KENWOOD KA-7090RはTRIATR技術を採用しており、音楽信号の強弱に対する追従性が高いです。この組み合わせにより、低歪みでクリアな音質を実現できます。特に、ボーカルや楽器の音色が自然に感じられるはずです。
  • 機能の拡張:KENWOOD KA-7090Rは多機能なアンプであり、イコライザー、トーンコントロール、ラウドネスコントロールなどが搭載されています。これらの機能を活用することで、SANSUI S-900XRの持つ音質をさらに引き出すことが可能です。例えば、トーンコントロールを用いて低域や高域を調整することで、好みの音質にカスタマイズできます。

SANSUI S-900XRとLUXMAN L-530Xの組み合わせ

SANSUI S-900XRとLUXMAN L-530Xの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:S-900XRのインピーダンスは6Ω、一方でL-530Xは8Ωのスピーカーに対応しています。この差は大きくないため、特別な設定や調整なしで問題なく使用できます。また、S-900XRの瞬間最大入力は150W(EIAJ)で、L-530Xの連続実効出力が120W+120Wなので、パワー面でも互換性があります。
  • 音質の向上:S-900XRは低域から高域までバランスの取れたスピーカーであり、特に中域と高域に優れたユニットを搭載しています。一方で、L-530Xは一段増幅アンプを搭載し、高いリニアリティと低歪を実現しています。この組み合わせにより、中高域のクリアな再生と低域の力強さが一層引き出され、全体として非常に高いレベルの音質が得られます。
  • 機能の拡張:L-530Xには多数の機能が備わっています。例えば、トーンコントロールで高音域・低音域の調整が可能であり、S-900XRの音質をさらにカスタマイズできます。また、L-530Xにはプリメイン分離機能やフォノ・ストレートスイッチなども搭載されており、これらの機能を活用することで、より多様な音源や機器との接続が可能になります。

SANSUI S-900XRとMarantz PM-19の組み合わせ

SANSUI S-900XRとMarantz PM-19の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:SANSUI S-900XRはインピーダンスが6Ω、一方でMarantz PM-19は4Ω、6Ω、8Ωと幅広いインピーダンスに対応しています。この点から、両者は非常に高い互換性を持っていると言えます。また、SANSUI S-900XRの瞬間最大入力は150W(EIAJ)であり、Marantz PM-19の定格出力が最大100W(4Ω)であるため、パワー面でも問題なくマッチします。さらに、Marantz PM-19には多数の入出力端子があり、SANSUI S-900XRとの接続もスムーズに行えます。
  • 音質の向上:SANSUI S-900XRは低域から高域までバランスの取れた音質を持っています。特に、振動板にクロスカーボンやカーボンコーン、チタンダイアフラムを採用している点が注目されます。一方で、Marantz PM-19は電流帰還型パワーアンプと4連アクティブ・ボリュームを採用しており、S/N比が非常に高いです。この組み合わせにより、SANSUI S-900XRの持つ音質がさらに引き出され、よりクリアでダイナミックな音楽体験が可能になります。
  • 機能の拡張:Marantz PM-19にはアクティブフィルター式のトーンコントロールが搭載されています。これにより、SANSUI S-900XRの音質をさらに調整し、自分好みの音にカスタマイズすることが可能です。また、Marantz PM-19にはワイヤレスリモコンが付属しており、リモート操作が可能です。

SANSUI(サンスイ)S-900XRを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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