TANNOY(タンノイ)Stirling/TWWを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】

TANNOY(タンノイ)Stirling:TWWを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】

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TANNOY Stirling/TWWはヴィンテージなスピーカーです。

本記事では、その魅力を特徴やおすすめのヴィンテージ音楽機器との組み合わせなど、徹底解説します。

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TANNOY(タンノイ)Stirling/TWWの概要と特徴

TANNOY(タンノイ)Stirling(スターリング):TWWの概要と特徴
TANNOY(タンノイ)Stirling/TWWのスペック
方式2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
ユニット全帯域用:25cm同軸型
周波数特性35Hz~25kHz
公称インピーダンス8Ω(最小5.5Ω)
許容入力100W連続
250Wピーク
出力音圧レベル93dB/W/m
重量22kg
外形寸法幅486x高さ700x奥行310mm

TANNOY Stirling/TWWは1998年に発売したスピーカーシステムです。

エンクロージャーにはバリアブル・ディストリビューテッド・ポートシステムを採用しています。

では、以下からTANNOY Stirling/TWWの特徴を解説します。

①:磁気回路にはツイン・マグネット・システムを採用

TANNOY Stirling/TWWの磁気回路には、ツイン・マグネット・システムが採用されています。

ツイン・マグネット・システムってなに?

一言で解説するのは難しいので、以下で詳しく解説します。

まず、通常の磁気回路では一つのマグネットが使用されることが多いですが、ツイン・マグネット・システムでは、二つのマグネットが使用されます。

このシステムの最大の特長は、磁場の均一性と強度を高めることができる点です。

一つのマグネットだけを使用する場合に比べ、磁場が均一になるため、より正確な音の再生が可能です。

そして、TANNOY Stirling/TWWのツイン・マグネット・システムには、HFホーン(ウェーブガイド)をマグネットのポールピースとして使用しています。

その為、LF磁気回路を別途構成する必要がなくなります。

HFホーンとは?

HFホーンとはHigh Frequency Hornの略で高周波音(通常は2kHz以上)を効率よく放射するための装置です。

ウェーブガイドとも呼ばれ、この部分が高周波音の指向性や拡散性をコントロールします。具体的には、トゥイーター(高音を出力するスピーカーユニット)から出た音波を一定の方向に集中させる役割を果たします。

そして、これは高周波(HF)と低周波(LF)それぞれに最適な磁束が得られるというメリットがあります。

磁束とは、磁場の強さと方向をベクトルで表したもので、これが最適化されることで音質が向上します。

また、TANNOY Stirling/TWWの磁気回路には「同位性サマリウムフェライトマグネット」も採用されています。

サマリウムフェライトマグネットは、サマリウムと鉄(フェライト)を主成分とする希土類マグネットの一種です。

希土類マグネットは非常に強力な磁力を持つことで知られており、サマリウムフェライトマグネットもその一つです。

「同位性」という言葉が付いているのは、このマグネットが一定の方向性を持つことを示しています。

具体的には、マグネットの磁気特性が一定方向に整えられているため、非常に強力で安定した磁場を形成することができます。

②:ボイスコイルには低質量・低インダクタンスのアルミ線を採用

TANNOY Stirling/TWWのボイスコイルには、低質量・低インダクタンスのアルミ線が採用されています。

以下は、言葉を分割しながら解説したものです。

  • ボイスコイル:スピーカー内部で振動板(ダイアフラム)を動かすためのコイル状の部品です。このボイスコイルが電流を受けるとマグネットの磁場内で動き、振動板を動かして音を出します。そのため、ボイスコイルの性能が音質に直接影響を与えます。
  • 低質量:ボイスコイル自体の重さが軽いということです。質量が低いと、より高速で正確な動きが可能となり、これが高音質の出力に寄与します。特に高音域でのレスポンスが向上し、クリアな音質が得られます。
  • 低インダクタンス:コイルが持つ自己誘導の値が小さいという意味です。インダクタンスが低いと、電流の変化に素早く反応するため、音のダイナミクスと解像度が向上します。
  • アルミ線を採用:ボイスコイルの材料にアルミニウムが用いられているという点です。アルミニウムは軽量でありながらも良好な電気伝導性を持っているため、低質量と低インダクタンスを両立するのに適した材料です。

このように、ボイスコイルに低質量・低インダクタンスのアルミ線を採用することで、TANNOY Stirling/TWWのスピーカーは高いレスポンス性と優れた音質を実現します。

③:ネットワーク部には各パーツ間を線材で直結したハードワイヤリングを採用

TANNOY Stirling/TWWのネットワーク部にはプリント基板を使用しておらず、各パーツ間を線材で直結したハードワイヤリングが採用されています。

それってどういうこと?

これについても以下で詳しく解説します。

まず「ネットワーク部」とは、スピーカー内部で音信号を適切に分配する役割を果たす部分です。

通常、この部分はプリント基板(PCB)に各種の電子部品が実装されています。

しかし、プリント基板を使用すると、その材質や設計によっては音質が劣化する可能性があります。

ここで「ハードワイヤリング」が登場します。

これはプリント基板を使用せず、各電子部品を直接線材で接続する手法です。

この方法により信号経路が最短となり、接続部の品質も向上します。

結果として、よりクリアで高品質な音が得られます。

「各パーツ間を線材で直結」というのは、具体的には抵抗器やコンデンサ、コイルなどの部品が直接線で接続されている状態を指します。

このようにすることで、部品間の信号損失やノイズの影響を最小限に抑えることができます。

TANNOY Stirling/TWWと他のヴィンテージスピーカーとの比較

TANNOY(タンノイ)Stirling(スターリング):TWWと他のヴィンテージスピーカーとの比較

当然ですが、ヴィンテージスピーカーはTANNOY Stirling/TWWだけではありません。

以下では

  • HARBETH HL-P3
  • YAMAHA NS-E200
  • SONY SS-G55

との比較を解説しているので、興味のある方は参考にしてみてください。

TANNOY Stirling/TWWとHARBETH HL-P3との比較

TANNOY Stirling/TWWとHARBETH HL-P3との比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Stirling/TWWは2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型で、HARBETH HL-P3は2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型・防磁型です。TANNOYの方がバスレフ方式を採用しているため、低域の再生が強力です。一方で、HARBETHは密閉方式で防磁型も備えているため、音質の純度が高いと言えます。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用の25cm同軸型ユニットを、HARBETHは低域用の11cmコーン型と高域用の1.9cmドーム型ユニットを使用しています。TANNOYの同軸型ユニットは広い帯域をカバーできる一方、HARBETHは専用ユニットによって高精度な音質を実現しています。
  • 再生周波数帯域:TANNOYは35Hz~25kHz、HARBETHは80Hz~20kHz ±3dBです。TANNOYの方が広い帯域をカバーしているため、音域の広さでは優れています。
  • インピーダンス:TANNOYは8Ω、HARBETHは6Ωです。TANNOYの方が一般的なアンプに合わせやすいですが、HARBETHの低いインピーダンスは特定のアンプとの相性が良い場合があります。評価としては、一般性で言えばTANNOY、特定の設定で言えばHARBETHが優れています。
  • 外形寸法:TANNOYは幅486x高さ700x奥行310mm、HARBETHは幅188x高さ305x奥行185mmです。HARBETHの方がコンパクトで設置しやすいです。
  • 重量:TANNOYは22kg、HARBETHは6kgです。移動のしやすさを考慮すると、HARBETHが優れています。
  • 最大入力:TANNOYは100W連続、250Wピーク、HARBETHは45W(6Ω)です。大音量での再生を考慮すると、TANNOYが優れています。
  • 音質:TANNOYは高い能率と広い帯域を誇り、多機能な音質を提供します。一方で、HARBETHは高精度な音質と純度を重視しています。

TANNOY Stirling/TWWとYAMAHA NS-E200との比較

TANNOY Stirling/TWWとYAMAHA NS-E200との比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Stirling/TWWは2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型で、YAMAHA NS-E200は2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型・防磁設計です。TANNOYの方がバスレフ方式を採用しているため、低域の再生が豊かですが、YAMAHAは防磁設計がされているので、TVモニターの側に設置しても色ムラが起きません。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用の25cm同軸型ユニットを使用しています。YAMAHAはその詳細が明記されていませんが、2ウェイ構成です。TANNOYの25cm同軸型ユニットは、高い能率と広い再生周波数帯域を実現しています。
  • 再生周波数帯域:TANNOYは35Hz~25kHz、YAMAHAは80Hz~20kHzです。TANNOYの方が広い再生周波数帯域を持っています。特に低域と高域での性能が優れています。
  • インピーダンス:両方とも8Ωのインピーダンスを持っています。
  • 外形寸法:TANNOYは幅486x高さ700x奥行310mm、YAMAHAは幅157x高さ273x奥行139mmです。YAMAHAの方がコンパクトで設置しやすいですが、TANNOYの方が大きいため、より豊かな音を楽しめます。
  • 重量:TANNOYは22kg、YAMAHAは2.9kgです。YAMAHAの方が軽量で取り扱いが容易です。
  • 最大入力:TANNOYは100W連続、250Wピークです。YAMAHAは50Wです。TANNOYの方が高い最大入力を持っており、大音量でも安定した音質を提供します。
  • 音質:TANNOYは高度な磁気回路とユニット設計により、高い解像度と豊かな低音を実現しています。YAMAHAは小型でありながら、防磁設計と2ウェイ構成でしっかりとした音質を提供しています。しかし、全体的に見てTANNOYの方が高い音質を持っています。評価としては、TANNOYが優れています。

TANNOY Stirling/TWWとSONY SS-G55との比較

TANNOY Stirling/TWWとSONY SS-G55との比較は以下の通りです。

  • 方式:TANNOY Stirling/TWWは2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型で、SONY SS-G55は3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁設計です。TANNOYの方がシンプルな構造であり、SONYはより多くのユニットと防磁設計を採用しています。
  • 使用ユニット:TANNOYは全帯域用の25cm同軸型ユニットを使用しています。一方、SONYは低域用に20cmコーン型、中域用に10cmコーン型、高域用に2.5cmドーム型を使用しています。TANNOYの同軸型ユニットは一つで全帯域をカバーするため、音の一体感がありますが、SONYは各帯域に特化したユニットを使用しているため、より詳細な音を再生できます。評価としては、SONYの方が多機能で高性能です。
  • 再生周波数帯域:TANNOYは35Hz~25kHz、SONYは35Hz~35kHzとなっています。SONYの方が高周波までカバーしているため、より広い帯域の音を楽しむことができます。
  • インピーダンス:TANNOYは8Ω、SONYは6Ωです。一般的に、低いインピーダンスはアンプに負荷をかけやすいですが、高出力が可能です。
  • 外形寸法:TANNOYは幅486x高さ700x奥行310mm、SONYは幅320x高さ600x奥行320mmです。TANNOYの方がやや大きいですが、部屋のサイズや配置によって選ぶべきです。
  • 重量:TANNOYは22kg、SONYは17.0kgです。TANNOYの方が重いです
  • 最大入力:TANNOYは100W連続、250Wピークです。SONYは最大入力が180Wです。TANNOYの方が高出力であり、大音量での再生が可能です。
  • 音質:TANNOYは高度な磁気回路と新設計のウーファー、トゥイーターを採用しています。SONYは新技術と特殊素材を採用しています。両者ともに高い音質を実現していますが、TANNOYはよりプロフェッショナルな音質を求めるユーザーに適しています。評価としては、TANNOYが高音質で優れています。

>> SONY SS-G55を徹底解説!【他のヴィンテージスピーカーとの比較】

TANNOY Stirling/TWWとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

TANNOY(タンノイ)Stirling(スターリング):TWWとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせ

以下では、TANNOY Stirling/TWWとヴィンテージプリメインアンプとの組み合わせを一部解説します。

TANNOY Stirling/TWWと組み合わせるヴィンテージプリメインアンプは、

  • Lo-D HA-4800
  • Marantz PM4000
  • KENWOOD KA-7090R

です。

興味のある方は参考にしてみてください。

TANNOY Stirling/TWWとLo-D HA-4800の組み合わせ

TANNOY Stirling/TWWとLo-D HA-4800の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Stirling/TWWはインピーダンスが8Ωで、許容入力が100W連続、250Wピークです。一方で、Lo-D HA-4800は実効出力が55W+55W(8Ω、20Hz~20kHz、両ch駆動)です。このスペックから見ても、両者は非常によくマッチしています。特に、HA-4800の全高調波歪率が0.02%と非常に低いため、Stirling/TWWの高品質な音質を損なうことなく引き出すことができます。
  • 音質の向上:TANNOY Stirling/TWWは、25cm同軸型2ウェイユニットを採用し、周波数特性が35Hz~25kHzと非常に広い。一方で、Lo-D HA-4800はノンカットオフA回路やデュアルサーボ回路を搭載し、高忠実度再生を追求しています。これらの高度なテクノロジーが組み合わさることで、低域から高域まで非常にバランスの取れた、クリアで豊かな音質を実現します。
  • 機能の拡張:Lo-D HA-4800には、Phono MMとMCの入力があり、SN比もそれぞれ86dBと68dBと高いです。これにより、TANNOY Stirling/TWWの高品質な音源をさらに引き出すことができます。また、Stirling/TWWにはエナジーコントロールがあり、クロスオーバー周波数から20kHzまでのトゥイーターのレベル全体を±3dBの範囲で5段階に増減できます。これにより、HA-4800のイコライザー設定と合わせて、より細かい音質調整が可能です。

TANNOY Stirling/TWWとMarantz PM4000の組み合わせ

TANNOY Stirling/TWWとMarantz PM4000の組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Stirling/TWWのインピーダンスは8Ωで、Marantz PM4000は8Ω負荷で30W+30Wの定格出力を持っています。これにより、スピーカーとアンプの間でエネルギーの効率的な伝達が可能です。また、TANNOY Stirling/TWWの出力音圧レベルが93dB/W/mと高いため、Marantz PM4000の出力でも十分な音量を確保できます。さらに、両者ともに高い周波数特性を持っているため、広い音域での再生が可能です。
  • 音質の向上:TANNOY Stirling/TWWは25cm同軸型2ウェイユニットを採用しており、低域から高域まで均等に再生する能力があります。一方で、Marantz PM4000は全高調波歪率が0.03%と非常に低く、クリアな音質を提供します。特に、TANNOYの高性能なツイン・マグネット・システムとMarantzの精密な回路設計が合わさることで、音の解像度が高まります。
  • 機能の拡張:Marantz PM4000には多数の入力端子があり、TANNOY Stirling/TWWと合わせても多様なオーディオソースからの再生が可能です。例えば、Phono MM入力が搭載されているため、アナログレコードの再生も楽しめます。また、TANNOY Stirling/TWWにはバイワイヤリング端子が搭載されているため、高域と低域を独立して駆動することができます。

TANNOY Stirling/TWWとKENWOOD KA-7090Rの組み合わせ

TANNOY Stirling/TWWとKENWOOD KA-7090Rの組み合わせは、以下のような結果が得られます。

  • 互換性:TANNOY Stirling/TWWのインピーダンスは8Ω、許容入力は100W連続、250Wピークです。一方で、KENWOOD KA-7090Rの定格出力は85W+85W(8Ω)です。この数値から見ても、両者は非常によくマッチしています。特に、KENWOOD KA-7090RのダイナミックパワーとTANNOY Stirling/TWWの出力音圧レベルが高いため、非常にダイナミックなサウンドを楽しむことができます。
  • 音質の向上:TANNOY Stirling/TWWは25cm同軸型2ウェイユニットを採用し、高い能率と優れた音質を持っています。特に、低域から高域まで非常にバランスが取れています。一方、KENWOOD KA-7090RはTRAITR(Thermally Reactive Advanced Instantaneous TRansistor)を採用しており、音楽信号の強弱に対する追従性が高いです。この組み合わせにより、低域の力強さと高域のクリアさが一層引き立ち、非常に高いレベルの音質を実現できます。
  • 機能の拡張:TANNOY Stirling/TWWには、エナジーコントロール機能があり、クロスオーバー周波数から20kHzまでのトゥイーターのレベルを調整できます。一方で、KENWOOD KA-7090Rにはトーンコントロールやラウドネスコントロールがあり、更に細かい音質調整が可能です。また、KENWOOD KA-7090RにはPhono MMとPhono MCの入力もあり、アナログレコードの再生も楽しむことができます。これらの機能を駆使することで、より多様な音源や音楽ジャンルに対応した高品質なサウンドを楽しむことができます。

TANNOY(タンノイ)Stirling/TWWを徹底解説!【他のスピーカーとの比較】のまとめ

本記事では以下を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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